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2歳で「指さし」がないのはサイン―通過年齢で読み解く発達の遅れ

第114回医師国家試験 C問題 第22問

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第114回 C問題 第22問

2歳0か月時の発達で遅れがあるのはどれか。

  1. a.三輪車をこげない。
  2. b.片足立ちができない。
  3. c.自分の姓名が言えない。
  4. d.はさみで紙を切れない。
  5. e.興味のあるものに指さしをしない。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、2歳0か月という年齢で「できていないと遅れ」と判断すべき技能を選ぶ問題だ。考え方はシンプルで、それぞれの技能がだいたい何歳でできるようになるか、つまり通過年齢を思い出して、2歳0か月と比べればいい。
医学生医学生
選択肢を見ると、どれも2歳の子にはまだ難しそうなことばかりに見えてしまいます。
ドクタードクター
そう感じたなら半分は正解に近づいているよ。「2歳ではまだできなくて当然」のものが並んでいる中で、1つだけ「とっくにできているはず」のものが混じっている、という構造なんだ。まず2歳0か月の目安を整理しよう。粗大運動では走る、両足でその場でジャンプする、ボールを蹴る、手すりにつかまって階段を昇り降りする。微細運動では積み木を4個くらい積む、なぐり書きをする。言語は2語文、社会性では簡単な指示に従い大人のまねをする。
医学生医学生
小児科の講義で「2歳で2語文」とは覚えましたが、運動面までは自信がなかったです。
ドクタードクター
では選択肢を見ていこう。三輪車をこぐのはどうかな。
医学生医学生
ペダルを左右交互に踏むのは難しそうなので、3歳ごろでしょうか。
ドクタードクター
その通り。交互の協調運動と体幹のバランスが必要で、おおむね3歳ごろだ。2歳でこげないのは年齢相応だね。片足立ちも同じく3歳ごろで、4歳になるとケンケンができるようになる。2歳の目安は両足ジャンプまでだ。
医学生医学生
自分の姓名を言うのも、3歳児健診で確認する項目だったと思います。
ドクタードクター
よく覚えているね。フルネームで答えられるのは2歳半〜3歳ごろ。2歳0か月はようやく2語文が出始める時期だから、姓名が言えなくても遅れではない。はさみで紙を切るのも、指の開閉と両手の協調が必要な巧緻運動で、2歳半〜3歳ごろに可能になる。
医学生医学生
そうなると残るのは指さしですね。でも、指さしってそんなに早く出るものでしたっけ。
ドクタードクター
ここが本問の核心だ。指さしは1歳前後に出現して、1歳6か月ごろまでにはほぼ全員でみられる。欲しいものを示す「要求の指さし」、問われたものを指す「応答の指さし」、そして興味をもったものを相手に見せて共有する「叙述(共感)の指さし」がある。2歳0か月でこれがないのは明らかな遅れだ。
医学生医学生
つまり、他の4つは「まだ」だけど、指さしは「もう」できていないといけない、ということですね。
ドクタードクター
その理解でいい。特に興味の対象を他者と共有する行動は共同注意と呼ばれ、言語や社会性の発達の土台になる。これが欠けているときは、自閉スペクトラム症などのコミュニケーションの障害や、知的障害を念頭に精査が必要になるんだ。
医学生医学生
精神科の講義で、自閉スペクトラム症の早期徴候として「共同注意の欠如」が挙がっていたのを思い出しました。
ドクタードクター
まさにつながる話だね。1歳6か月児健診では、ひとり歩き、意味のある単語、指さしを確認する。指さしがない、視線が合わない、名前を呼んでも反応しない、言葉が遅いといった所見は早期発見の手がかりで、スクリーニングにはM-CHATなどが使われる。
医学生医学生
健診の場で保護者に「指さしはしますか」と聞くのは、そういう意味があったんですね。
ドクタードクター
そう。ただし注意点もある。通過年齢には個人差があるから、典型的な時期にできていなくても直ちに異常とは言えない。多くの子が獲得する時期を明らかに過ぎてもできない場合や、複数の領域で遅れがある場合に精査を考えるんだ。
医学生医学生
首すわり3〜4か月、ひとり座り7〜8か月、ひとり歩き1歳過ぎ…と、マイルストーンを一続きの表で覚え直しておきます。
ドクタードクター
いい心がけだ。その表に「4歳で十字、5歳でスキップや三角形」まで入れておくと、どの年齢を問われても対応できるよ。

まとめ

発達の遅れは、各技能の通過年齢と評価時点の年齢を比べて判断します。2歳0か月の目安は走る、両足ジャンプ、ボールを蹴る、積み木を数個積む、2語文などで、三輪車、片足立ち、姓名を言う、はさみの使用は2歳半〜3歳ごろの技能のため、できなくても遅れではありません。一方、指さしは1歳前後に出現し1歳6か月までに確立するため、2歳で興味のあるものを指ささないのは明らかな遅れです。他者と興味を共有する指さしは共同注意の表れで、その欠如は自閉スペクトラム症などの早期発見の重要な手がかりとなり、1歳6か月児健診でも確認されます。マイルストーンを一連の流れで理解しておくことは、乳幼児健診や発達相談で異常を見逃さないための基本です。

解答・解説

正解はeです

発達の遅れを判断するには、各技能が「何歳ごろにできるようになるか(通過年齢)」を知り、評価時点の年齢と比べればよい。2歳0か月の時点ですでに獲得しているべき技能ができていなければ遅れ、まだ獲得時期に達していない技能ができないのは正常である。

2歳0か月の発達の目安

粗大運動では走る、両足でその場でジャンプする、ボールを蹴る、手すりにつかまって階段を昇降するなどができる。微細運動では積み木を数個(4個程度)積む、なぐり書きをする。言語では2語文(「ワンワン キタ」「ママ ちょうだい」など)を話し、語彙が増える。社会性では簡単な指示に従い、大人のまねをする。

本問の考え方

選択肢のうち、三輪車、片足立ち、姓名を言う、はさみの使用はいずれも2歳半〜3歳ごろに獲得する技能であり、2歳0か月でできなくても遅れとはいえない。一方、興味のあるものを指さして相手に伝える行動は1歳前後に出現し、1歳6か月までにはほぼ全員でみられる。2歳0か月でこれがないのは明らかな遅れであり、とくに社会的コミュニケーションの発達の問題(自閉スペクトラム症など)を疑う重要なサインとなる。

選択肢考察

  1. ×a.  三輪車をこげない。

    三輪車をこぐには、ペダルを左右交互に踏む協調運動と体幹のバランスが必要で、可能になるのはおおむね3歳ごろである。2歳0か月でこげないのは年齢相応であり、遅れではない。

  2. ×b.  片足立ちができない。

    片足立ち(数秒間)は3歳ごろに可能となり、4歳ごろには片足跳び(ケンケン)もできるようになる。2歳0か月では両足でのジャンプが目安であり、片足立ちができないのは正常範囲である。

  3. ×c.  自分の姓名が言えない。

    尋ねられて自分の姓と名をフルネームで答えられるのは、2歳半〜3歳ごろである(3歳児健診での確認項目の一つ)。2歳0か月は2語文が出始める時期であり、姓名が言えないのは遅れではない。

  4. ×d.  はさみで紙を切れない。

    はさみを使って紙を切るには、指を開閉する巧緻運動と両手の協調が必要で、2歳半〜3歳ごろに可能となる。2歳0か月での微細運動の目安は積み木を数個積む、なぐり書きをする程度であり、はさみが使えないのは年齢相応である。

  5. ○e.  興味のあるものに指さしをしない。

    指さしは1歳前後に出現し、1歳6か月ごろまでには、欲しいものを示す「要求の指さし」や、興味をもったものを相手に見せて共有する「叙述(共感)の指さし」、問われたものを指す「応答の指さし」がみられるようになる。特に興味の対象を他者と共有する行動は共同注意と呼ばれ、言語や社会性の発達の土台となる。2歳0か月でこれがみられないのは明らかな遅れであり、自閉スペクトラム症などのコミュニケーション障害や知的障害を念頭に精査が必要である。

主な発達のマイルストーン(目安)

・首のすわり:3〜4か月 ・寝返り:5〜6か月 ・ひとり座り:7〜8か月 ・つかまり立ち:9〜10か月 ・ひとり歩き、有意語(意味のある単語):1歳〜1歳3か月 ・指さし:1歳前後に出現、1歳6か月で確立 ・2語文、走る、両足ジャンプ、ボールを蹴る:2歳 ・自分の姓名を言う、三輪車、片足立ち、丸を描く、はさみの使用:2歳半〜3歳 ・ケンケン(片足跳び)、十字を描く:4歳 ・スキップ、三角形を描く:5歳

乳幼児健診での確認

1歳6か月児健診では、ひとり歩き、意味のある単語、指さしなどを確認する。指さしの欠如、視線が合わない、呼名に反応しない、言葉の遅れなどは、自閉スペクトラム症の早期発見の手がかりとなる。スクリーニングにはM-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト修正版)などが用いられる。

評価の注意点

通過年齢には個人差があるため、ある技能が典型的な時期に獲得できていなくても直ちに異常とはいえない。多くの子が獲得する時期を明らかに過ぎてもできない場合や、複数の領域で遅れがある場合に精査を考える。

POINT

・指さしは1歳前後に出現し、1歳6か月までに確立する。2歳でみられなければ遅れであり、自閉スペクトラム症などを疑う。 ・2歳の目安:2語文、走る、両足ジャンプ、ボールを蹴る、積み木を数個積む。 ・三輪車、片足立ち、姓名を言う、はさみの使用は2歳半〜3歳の技能で、2歳0か月でできなくても正常。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。