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BMIでは見逃す子どもの肥満―「肥満度」で測る学童の体格

第119回医師国家試験 C問題 第75問

国試問題にチャレンジ

第119回 C問題 第75問

7歳5か月の男児。太っていることを心配した母親に連れられて来院した。身長120cm,体重28kg。 肥満度を求めよ。 ただし,7歳5か月,男児,身長120cmの標準体重を22kgとする。 また,小数点以下の数値が得られた場合には,小数第1位を四捨五入すること。 解答:①②%

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は小児の体格評価、肥満度の計算問題だ。ポイントは、なぜ小児では成人と同じBMIではなく肥満度を使うのか、そして計算した数字をどう判定するか。まずは成人の肥満の判定法を思い出してみよう。
医学生医学生
成人ではBMIで、体重kgを身長mの2乗で割って、25以上なら肥満でした。
ドクタードクター
そうだね。ではこの子のBMIを計算すると、どうなるかな。
医学生医学生
28÷1.2の2乗で、だいたい19.4です。あれ、成人基準だと肥満じゃないことになりますね。
ドクタードクター
そこが大事なところ。小児は成長に伴って体格の基準が年齢とともに大きく変わるから、成人のBMI基準をそのまま当てはめると評価を誤ってしまう。そこでわが国の幼児・学童では、性別・年齢別・身長別の標準体重から、実際の体重がどれだけずれているかを百分率で示す肥満度を使うんだ。
医学生医学生
小児科の講義で、乳幼児はKaup指数、学童はRohrer指数と習った気がします。
ドクタードクター
その整理も間違いではないけれど、現在の学童期の判定は肥満度が主流だ。Rohrer指数は身長によって値がぶれやすいので、補助的な位置づけと考えておこう。さて、肥満度の式はどうなる?
医学生医学生
実測体重から標準体重を引いて、標準体重で割って100を掛ける、ですよね。
ドクタードクター
正解。分母が実測体重ではなく標準体重であることに注意してね。では代入してみよう。
医学生医学生
(28−22)÷22×100で、6÷22は0.2727…なので27.27%。四捨五入して27%です。
ドクタードクター
その通り、答えは27%だ。では判定は?
医学生医学生
20%以上が肥満なので、肥満ですね。重症度はどうでしょう。
ドクタードクター
学童では、20%以上30%未満が軽度肥満、30%以上50%未満が中等度肥満、50%以上が高度肥満。だから27%は軽度肥満にあたる。ちなみに幼児では15%以上を肥満とするから、年齢で基準が違う点も押さえておこう。
医学生医学生
臨床実習の小児科外来で、学校健診で肥満を指摘されて来た子がいましたが、そのときも成長曲線を一緒に見ていました。
ドクタードクター
いい経験をしたね。肥満の子を診るときに成長曲線はとても大事なんだ。小児肥満の多くは過食と運動不足による単純性肥満で、この場合は身長もむしろ高めであることが多い。一方、肥満なのに身長の伸びが悪いときは要注意だ。
医学生医学生
身長が伸びない肥満というと、内分泌の病気を疑うということですか。
ドクタードクター
そう。Cushing症候群、甲状腺機能低下症、成長ホルモン分泌不全、Prader-Willi症候群などの症候性肥満を鑑別する必要がある。成長曲線で身長が下に外れていく肥満は見逃してはいけないサインだよ。
医学生医学生
単純性肥満なら、様子を見ていてもいいんでしょうか。
ドクタードクター
油断は禁物だ。学童期の肥満は思春期や成人期の肥満に移行しやすく、脂質異常症、耐糖能異常、脂肪肝、高血圧といった代謝合併症にもつながる。だから肥満度だけで終わらず、合併症の有無も評価して、治療介入が必要な肥満症かどうかを判断するんだ。治療の基本は食事と運動、生活習慣の見直しで、家族全体で取り組むことが大切だね。
医学生医学生
数字を出すだけでなく、成長全体の中で位置づけることが大事なんですね。
ドクタードクター
その通り。体格の指標は、子どもの健康を守るための入り口なんだ。

まとめ

小児は成長に伴い体格の基準が変化するため、成人のBMI基準をそのまま当てはめず、わが国の幼児・学童では性別・年齢別・身長別の標準体重を用いた肥満度で評価します。肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100で、本問では(28−22)÷22×100=27.27…、四捨五入して27%となり、学童の基準(20%以上で肥満、20〜30%未満は軽度)から軽度肥満と判定されます。幼児では15%以上を肥満とし、乳幼児期にはKaup指数も用いられます。小児肥満の多くは単純性肥満ですが、身長の伸びが悪い場合は内分泌疾患や遺伝性疾患による症候性肥満を鑑別する必要があります。学童期の肥満は成人期の肥満や代謝合併症につながるため、正確な評価と成長曲線を併せた判断が早期介入の第一歩となります。

解答・解説

正解は27%です

状況の整理

患児は7歳5か月の男児で、体格を気にした母親とともに受診している。身長120cm、体重28kgであり、問題文には同じ性・年齢・身長の小児の標準体重が22kgと与えられている。学童期の小児の体格評価を、肥満度で行う場面である。

なぜ肥満度を使うのか

成人ではBMI(body mass index:体重kg÷身長m²)で肥満を判定するが、小児は成長に伴って体格の基準が年齢とともに大きく変わるため、BMIの値をそのまま成人の基準に当てはめることはできない。参考までに本児のBMIを計算すると28÷1.2²≒19.4であり、成人基準(25以上が肥満)では肥満に該当しないことになってしまう。そこでわが国の幼児・学童では、性別・年齢別・身長別の標準体重からどれだけ体重が多い(少ない)かを百分率で示す「肥満度」で評価するのが標準である。

計算式

肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100

計算過程

実測体重28kg、標準体重22kgを代入する。 (28-22)÷22×100 =6÷22×100 =0.27272…×100 =27.27…(%) 小数第1位を四捨五入して、肥満度は27%となる。 したがって解答は①=2、②=7である。

判定

学童期では肥満度+20%以上を肥満とし、20%以上30%未満を軽度肥満、30%以上50%未満を中等度肥満、50%以上を高度肥満と分類する。本児の肥満度27%は軽度肥満に相当する。

小児の体格指標の使い分け

・乳幼児期:Kaup(カウプ)指数=体重(g)÷身長(cm)²×10(体重kg÷身長m²と同じ値になる)。おおむね15〜18を標準とし、年齢によって判定基準が少しずつ異なる。 ・幼児期〜学童期:肥満度が標準的に用いられる。幼児では肥満度+15%以上を肥満(太りぎみ)とし、学童では+20%以上を肥満とする。 ・学童期にはRohrer(ローレル)指数=体重(kg)÷身長(cm)³×10⁷も用いられ、160以上が肥満の目安とされるが、身長によって値がぶれやすいため、現在は肥満度による判定が主流である。 ・近年は、成人と連続した評価ができるよう、年齢・性別ごとのBMIパーセンタイルやBMI-SDスコアを使う考え方も広まっている。

学童の肥満度による判定区分

・+50%以上:高度肥満 ・+30%以上+50%未満:中等度肥満 ・+20%以上+30%未満:軽度肥満 ・-20%超+20%未満:ふつう ・-20%以下:やせ(-30%以下は高度のやせ)

標準体重について

標準体重は、全国の学校保健統計データをもとに作成された性別・年齢別・身長別の式や表から求める。学校健診で使われる値もこれに基づいている。本問のように試験では値が与えられるので、式を正しく使えればよい。

小児肥満の意義

小児肥満の多くは過食と運動不足による単純性(原発性)肥満であるが、低身長や成長率の低下を伴う肥満では、Cushing症候群、甲状腺機能低下症、成長ホルモン分泌不全、Prader-Willi症候群などの症候性(二次性)肥満を鑑別する必要がある。単純性肥満では身長はむしろ高めであることが多い。学童期の肥満は思春期・成人期の肥満や、脂質異常症・耐糖能異常・脂肪肝・高血圧など代謝合併症につながりやすく、肥満度だけでなく合併症の有無も評価して「肥満症」として治療介入の必要性を判断する。

POINT

・肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100 ・本問:(28-22)÷22×100=27.27…→27%(軽度肥満) ・学童の肥満は肥満度+20%以上(20〜30%未満:軽度、30〜50%未満:中等度、50%以上:高度) ・幼児の肥満は肥満度+15%以上 ・乳幼児期はKaup指数、学童期は肥満度(Rohrer指数も補助的に)を用いる ・小児に成人のBMI基準をそのまま当てはめない

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。