StudyMed医師国家試験

「解熱後3日」は麻疹だけ―学校保健安全法の出席停止期間は「いつまでうつるか」で覚える

第109回医師国家試験 G問題 第7問

国試問題にチャレンジ

第109回 G問題 第7問

疾患と学校保健安全法による出席停止期間の基準の組合せで正しいのはどれか。

  1. a.水痘 ―― 解熱した後2日を経過するまで
  2. b.風疹 ―― 解熱するまで
  3. c.麻疹 ―― 解熱した後3日を経過するまで
  4. d.百日咳 ―― 出席停止の必要なし
  5. e.鳥インフルエンザ(H5N1) ―― 特有の咳が消失するまで

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は学校保健安全法で定められた出席停止期間の基準を問う問題だ。丸暗記に頼ると混乱しやすいけれど、「その感染症はいつまで周りにうつしうるのか」「それを外から判断できる目安は何か」という視点で整理すると、ぐっと覚えやすくなるよ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で表を配られたんですが、解熱後2日とか3日とか、似た数字が多くてごちゃごちゃになっていました。
ドクタードクター
そういう人は多いね。まず枠組みから。学校で予防すべき感染症は第一種から第三種に分かれる。第一種はエボラ出血熱やペスト、ジフテリア、特定鳥インフルエンザなど、感染症法の一類と結核を除く二類にあたる重い疾患で、基準は一律に「治癒するまで」だ。第二種は飛沫感染などで学校内で流行しやすい疾患で、疾患ごとに細かい基準がある。第三種はコレラや腸管出血性大腸菌感染症、流行性角結膜炎などで、医師が感染のおそれがないと認めるまで、となっている。
医学生医学生
じゃあ鳥インフルエンザ(H5N1)は第一種だから「治癒するまで」で、「特有の咳が消失するまで」というのは違うんですね。
ドクタードクター
その通り。「特有の咳」という言葉が出たら、それは百日咳の基準の一部だ。百日咳は第二種で、「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで」とされている。
医学生医学生
百日咳に出席停止の必要がない、というのも当然間違いですね。小児科実習で、ワクチンを打っていても学童や大人がかかって、乳児にうつすことがあると教わりました。
ドクタードクター
よく覚えているね。ワクチンの効果が年齢とともに減弱するため、年長児や成人の百日咳は典型的な症状がはっきりしないこともあり、感染源として見過ごされやすい。乳児がかかると無呼吸などで重症化しうるから、集団での拡大防止は大切なんだ。では麻疹はどうだろう。
医学生医学生
麻疹は「解熱した後3日を経過するまで」で、これが正しい組合せだと思います。でも、なぜ解熱した後もさらに休む必要があるんですか。
ドクタードクター
いい疑問だ。麻疹は空気感染する非常に感染力の強いウイルスで、感染性はカタル期、つまり発熱・咳・鼻汁・結膜充血が出る発疹前の時期に最も高い。そして発疹が出てからも数日間は感染性が続く。だから解熱しただけでは不十分で、さらに3日間の余裕を持たせているんだ。
医学生医学生
なるほど、熱が下がっても感染性がまだ残っているから「解熱後3日」なんですね。風疹は「解熱するまで」となっていますが、これも違いますか。
ドクタードクター
違う。風疹の基準は「発疹が消失するまで」だ。風疹は発熱が軽かったり、熱が出なかったりする例も少なくない。熱が目安にならない以上、より確実に見える発疹を基準にしている、と考えると納得しやすいよ。
医学生医学生
水痘の「解熱した後2日を経過するまで」も、発熱ではなく発疹で決めるんでしたっけ。
ドクタードクター
そう。水痘の基準は「すべての発疹が痂皮化するまで」だ。水疱の中の液体にウイルスが含まれていて、かさぶたになれば感染性はなくなる。水痘は紅斑、丘疹、水疱、痂皮が混在するのが特徴だから、新しい水疱が一つでも残っていればまだ登校できない。ちなみに「解熱した後2日」という要素はインフルエンザの基準に含まれるものだ。
医学生医学生
インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで」でしたよね。幼児は3日でしたか。
ドクタードクター
正解。幼児では解熱後3日になる。せっかくだから第二種の残りも押さえておこう。流行性耳下腺炎は「耳下腺・顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」、咽頭結膜熱は「主要症状が消退した後2日を経過するまで」。2023年からは新型コロナウイルス感染症も第二種に加わり、「発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで」とされている。
医学生医学生
熱が目安になるもの、発疹が目安になるもの、腫れや咳が目安になるもの、とグループで考えると整理できそうです。
ドクタードクター
それがおすすめの覚え方だ。臨床で役立つ注意点も二つ挙げておこう。一つは、第二種でも学校医などの医師が感染のおそれがないと認めた場合は、この基準に限らないということ。もう一つは、出席停止を指示するのは校長で、学級閉鎖などの臨時休業を決めるのは学校の設置者だということだ。
医学生医学生
外来で「いつから学校に行っていいですか」と聞かれたら、この基準を根拠に説明できるようにしておきます。
ドクタードクター
それが一番大事な使い方だね。保護者にとっては切実な問題だし、根拠を示して説明できると信頼にもつながる。疾患の感染様式と経過を理解していれば、基準を忘れても筋道を立てて思い出せるはずだよ。

まとめ

学校保健安全法では、学校で予防すべき感染症を第一種から第三種に分け、出席停止期間の基準を定めています。麻疹は空気感染する強い感染力をもち、解熱後も感染性が残るため「解熱した後3日を経過するまで」とされ、本問の正しい組合せです。風疹は「発疹が消失するまで」、水痘は「すべての発疹が痂皮化するまで」、百日咳は「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで」、インフルエンザは「発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで」で、特定鳥インフルエンザ(H5N1)などの第一種感染症は「治癒するまで」です。各基準は「いつまで感染しうるか」と「外から判断できる目安」から決められており、この視点で理解しておくと、試験だけでなく外来で登校再開の時期を説明する場面でも役立ちます。

解答・解説

正解はcです

問われていること

学校保健安全法では、学校で集団感染を起こしやすい感染症を「学校において予防すべき感染症」として第一種から第三種に分類し、それぞれ出席停止期間の基準を学校保健安全法施行規則で定めている。本問は、代表的な感染症とその出席停止基準の組合せを正しく覚えているかを問う知識問題である。

考え方

出席停止期間の基準は、その感染症が「いつまで周囲にうつしうるか」と、感染性の消失を判断しやすい臨床的な目安(解熱、発疹の変化、咳の消失など)を組み合わせて決められている。 ・麻疹: 解熱後もしばらく感染力が残るため「解熱した後3日を経過するまで」。 ・風疹: 発疹が感染性の目安となるため「発疹が消失するまで」。 ・水痘: 水疱の内容液にウイルスが含まれ、痂皮(かさぶた)になれば感染性がなくなるため「すべての発疹が痂皮化するまで」。 ・百日咳: 特徴的な咳が続く間は感染性があり、抗菌薬で菌が除かれれば感染性が下がるため「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで」。 ・鳥インフルエンザ(H5N1): 重篤で危険性が高い第一種感染症であり「治癒するまで」。 このように、疾患の感染様式と症状経過に結びつけて理解すると覚えやすい。

選択肢考察

  1. ×a.  水痘 ―― 解熱した後2日を経過するまで

    水痘(みずぼうそう)は第二種感染症で、出席停止期間の基準は「すべての発疹が痂皮化するまで」である。水痘は紅斑、丘疹、水疱、痂皮と様々な段階の発疹が混在し、新しい水疱がある間は感染力があるため、解熱ではなく発疹の状態で判断する。なお「解熱した後2日を経過」という要素は、インフルエンザの基準(発症後5日を経過し、かつ解熱後2日〈幼児は3日〉を経過するまで)に含まれるものである。

  2. ×b.  風疹 ―― 解熱するまで

    風疹(三日ばしか)は第二種感染症で、出席停止期間の基準は「発疹が消失するまで」である。風疹では発熱が軽いか、ない例も少なくないため、解熱は感染性消失の目安にならない。

  3. ○c.  麻疹 ―― 解熱した後3日を経過するまで

    麻疹(はしか)は第二種感染症で、出席停止期間の基準は「解熱した後3日を経過するまで」であり、組合せは正しい。麻疹は空気感染を起こし、感染力が極めて強い。感染性はカタル期(発熱、咳、鼻汁、結膜充血が出る時期)に最も高く、発疹出現後も数日間は持続するため、解熱後さらに3日間の出席停止が求められる。

  4. ×d.  百日咳 ―― 出席停止の必要なし

    百日咳は第二種感染症であり、出席停止の対象である。基準は「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤(マクロライド系抗菌薬など)による治療が終了するまで」である。飛沫感染で広がり、ワクチン接種歴のある学童や成人でも感染しうるため、集団での感染拡大に注意が必要である。

  5. ×e.  鳥インフルエンザ(H5N1) ―― 特有の咳が消失するまで

    鳥インフルエンザ(H5N1)は、感染症法上の二類感染症(特定鳥インフルエンザ)に当たり、学校保健安全法では第一種感染症に分類される。第一種感染症の出席停止期間の基準は「治癒するまで」である。「特有の咳が消失するまで」は百日咳の基準の一部である。

学校において予防すべき感染症と出席停止期間の基準

第一種(感染症法の一類感染症と、結核を除く二類感染症): エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎(ポリオ)、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、特定鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)。基準はいずれも「治癒するまで」。 第二種(飛沫感染などで学校での流行が起こりやすいもの): ・インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く): 発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで。 ・百日咳: 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで。 ・麻疹: 解熱した後3日を経過するまで。 ・流行性耳下腺炎(おたふくかぜ): 耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで。 ・風疹: 発疹が消失するまで。 ・水痘: すべての発疹が痂皮化するまで。 ・咽頭結膜熱(プール熱): 主要症状が消退した後2日を経過するまで。 ・新型コロナウイルス感染症: 発症した後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで(2023年5月に追加)。 ・結核、髄膜炎菌性髄膜炎: 病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで。 第三種(学校教育活動を通じて流行が広がるおそれのあるもの): コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の感染症。基準は「病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで」。

補足

・第二種感染症でも、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、この限りではない。 ・出席停止は校長が行い、臨時休業(学級閉鎖・学校閉鎖など)は学校の設置者が行う。

POINT

・麻疹: 解熱した後3日を経過するまで。 ・風疹: 発疹が消失するまで。 ・水痘: すべての発疹が痂皮化するまで。 ・百日咳: 特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬治療が終了するまで。 ・インフルエンザ: 発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで。 ・流行性耳下腺炎: 腫脹発現後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで。 ・第一種感染症(特定鳥インフルエンザなど): 治癒するまで。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。