解熱しても登校できない?―インフルエンザ出席停止「5日と2日」のカレンダー計算
第119回医師国家試験 C問題 第52問
国試問題にチャレンジ
8歳の女児。12月1日(金)午後6時から発熱を認めたため,12月2日(土)に母親に連れられて来院した。抗原検査でインフルエンザAと診断され,抗インフルエンザ薬を処方された。12月3日(日)には解熱し,症状が改善した。12月のカレンダーを以下に示す。 登校が可能になるのはどれか。

- a.4日(月)
- b.5日(火)
- c.6日(水)
- d.7日(木)
- e.8日(金)
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
インフルエンザの出席停止期間は学校保健安全法施行規則で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」と定められています。日数は発症日・解熱日を0日目として数え(発症時刻は問わない)、両条件のうち遅いほうを満たした翌日から登校可能となるため、本問では12月1日発症・3日解熱の小学生は7日(木)から登校できます。抗インフルエンザ薬で早く解熱しても解熱後のウイルス排出は続くため、発症後5日の条件は短縮されません。麻疹・流行性耳下腺炎・水痘など他の第二種感染症の基準や、出席停止の指示者が校長である点もあわせて整理しておくと、試験だけでなく保護者への具体的な説明にも役立ちます。
解答・解説
正解はdです
所見の整理
・8歳の女児(小学生であり、幼児ではない) ・12月1日(金)午後6時に発熱 → 発症日は12月1日 ・12月2日(土)に迅速抗原検査でインフルエンザA型と診断、抗インフルエンザ薬を処方 ・12月3日(日)に解熱 → 解熱日は12月3日
問われていること
学校保健安全法施行規則に定められたインフルエンザ(特定鳥インフルエンザおよび新型インフルエンザ等感染症を除く)の出席停止期間の基準を、実際のカレンダーに当てはめて登校可能日を求める問題である。 基準は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」である。2つの条件を両方満たした翌日から登校できる。
日数の数え方
「〜した後○日を経過する」という表現では、発症(解熱)した当日を0日目と数え、翌日を1日目とする。これは民法の初日不算入の原則と同じ考え方である。時刻(本問では午後6時)は関係なく、その日に発症していれば当日が0日目となる。 ① 発症後5日の経過 発症0日目=12月1日(金)、1日目=2日、2日目=3日、3日目=4日、4日目=5日、5日目=6日(水)。6日(水)が終わった時点で「5日を経過」したことになり、条件を満たすのは7日(木)からである。 ② 解熱後2日の経過(本児は8歳なので「2日」を適用) 解熱0日目=12月3日(日)、1日目=4日(月)、2日目=5日(火)。5日(火)が終わった時点で条件を満たし、6日(水)から登校可能となる。 ③ 両条件をともに満たす日 ①と②の遅い方が採用されるので、登校可能となるのは12月7日(木)である。 なお、抗インフルエンザ薬で早期に解熱しても、ウイルスの排出は解熱後もしばらく続くため、発症後5日という条件が別に設けられている。本問のように早く解熱した例では、発症後5日の条件の方が登校可能日を決めることになる。
選択肢考察
- ×a. 4日(月)
12月4日は発症3日目、解熱1日目にあたる。発症後5日・解熱後2日のいずれの条件も満たしておらず、出席停止期間中である。解熱した翌日なので登校させたくなるが、解熱後もウイルス排出が続いており、登校は認められない。
- ×b. 5日(火)
12月5日は発症4日目、解熱2日目にあたる。この日が終わるまでは解熱後2日が「経過」したことにならず、また発症後5日の条件も満たしていないため登校できない。
- ×c. 6日(水)
12月6日は発症5日目、解熱3日目にあたる。解熱後2日の条件は満たしている(解熱2日目の5日が終わっている)が、発症後5日はこの日の終わりにようやく経過するため、6日当日はまだ出席停止期間に含まれる。解熱条件だけで判断したり、発症日を1日目と数えたりすると誤ってこの日を選んでしまう。
- ○d. 7日(木)
12月7日は発症6日目、解熱4日目にあたる。前日の6日(発症5日目)が終わった時点で「発症した後5日を経過」の条件を満たし、解熱後2日の条件はすでに5日の終了時点で満たしている。両方の条件がそろう最初の日であり、この日から登校が可能となる。
- ×e. 8日(金)
12月8日は発症7日目、解熱5日目であり、登校して差し支えない日ではある。しかし設問は登校が可能に「なる」日、すなわち最初に登校できる日を問うており、それは前日の7日(木)である。8日まで休ませる必要はない。
学校保健安全法による感染症の分類と出席停止
・第一種:エボラ出血熱、ペスト、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(SARS)、特定鳥インフルエンザなど。治癒するまで出席停止。 ・第二種:飛沫感染などで学校内に広がりやすい感染症。インフルエンザ、百日咳、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘、咽頭結膜熱、新型コロナウイルス感染症、結核、髄膜炎菌性髄膜炎。疾患ごとに出席停止期間の基準が定められている(ただし、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときはこの限りではない)。 ・第三種:コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフスなど。医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止。
第二種の主な出席停止基準
・インフルエンザ:発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで ・新型コロナウイルス感染症:発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで ・百日咳:特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで ・麻疹:解熱後3日を経過するまで ・流行性耳下腺炎:耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで ・風疹:発疹が消失するまで ・水痘:すべての発疹が痂皮化するまで ・咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで
インフルエンザのウイルス排出
インフルエンザウイルスは発症前日ごろから鼻咽頭に排出され、発症後3〜7日程度排出が続く。排出量は解熱とともに減るが、解熱後もしばらくは排出される。抗インフルエンザ薬で解熱が早まってもウイルス排出が直ちに止まるわけではないため、解熱のみを基準にせず、発症からの日数も条件に含めている。
出席停止を指示する主体
出席停止は校長が指示し、臨時休業(学級閉鎖・学校閉鎖)は学校の設置者が行う。医師は出席停止の判断材料となる診断を行う立場である。
POINT
・インフルエンザの出席停止:発症後5日経過、かつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまで。 ・発症日・解熱日は「0日目」と数える(時刻は問わない)。 ・2つの条件の遅い方の翌日から登校可。早く解熱しても発症後5日の条件は短縮されない。 ・本問:発症12/1→12/6まで出席停止、解熱12/3→12/5まで出席停止 → 12/7(木)から登校可。
