風疹は「発疹が消えるまで」―学校感染症の出席停止基準を疾患ごとに見分ける
第115回医師国家試験 C問題 第3問
国試問題にチャレンジ
学校保健安全法における風疹の出席停止期間の基準について正しいのはどれか。
- a.発疹が消失するまで
- b.解熱した後3日を経過するまで
- c.発症した後5日を経過するまで
- d.すべての発疹が痂皮化するまで
- e.病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
学校保健安全法では学校感染症を第1種〜第3種に分類し、施行規則で出席停止期間の基準を定めており、風疹(第2種)の基準は「発疹が消失するまで」です。紛らわしい基準として、水痘は「すべての発疹が痂皮化するまで」、麻疹は「解熱した後3日を経過するまで」、インフルエンザは「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」、結核・髄膜炎菌性髄膜炎・第3種感染症は「医師が感染のおそれがないと認めるまで」があります。基準は各疾患の病原体排出期間や皮疹の経過を反映しているため、病態と結びつけて覚えると混同を防げます。風疹は妊娠初期の感染で先天性風疹症候群を起こしうるため、学校での流行抑制は母子保健の観点からも重要であり、診断書や登校許可の相談に応じる臨床の場でもこの知識が求められます。
解答・解説
正解はaです
学校保健安全法では、学校で集団発生しやすい感染症を「学校において予防すべき感染症」(学校感染症)として第1種〜第3種に分類している。感染症にかかった、またはかかった疑いのある児童生徒等について、校長は出席を停止させることができ、その期間の基準は同法施行規則で疾患ごとに定められている。出席停止の目的は、病原体を多く排出して周囲への感染源となる期間に集団生活を避けること、そして本人が回復するための療養期間を確保することである。 第2種感染症(飛沫感染などで流行しやすく、学校での流行が広がる可能性が高いもの)では、疾患ごとに具体的な基準が示されており、「疾患名」と「基準」の組み合わせが繰り返し出題される。風疹は第2種感染症で、出席停止期間の基準は「発疹が消失するまで」である。 各選択肢は、いずれも実在する第2種感染症の基準(またはその一部)であるため、どの疾患の基準かを対応づけて区別できることが求められる。
選択肢考察
- ○a. 発疹が消失するまで
風疹の出席停止期間の基準である。風疹は風疹ウイルスによる感染症で、発熱、全身の小さな淡い紅斑・丘疹、耳介後部や後頸部のリンパ節腫脹を特徴とする。ウイルスは発疹が出る数日前から出現後約1週間まで咽頭から排出されるため、発疹が消えるまでを出席停止の目安としている。妊娠初期の妊婦が感染すると先天性風疹症候群(白内障、先天性心疾患、感音難聴など)の原因となるため、学校内での流行を抑えることが特に重要である。
- ×b. 解熱した後3日を経過するまで
麻疹(はしか)の出席停止期間の基準である。麻疹は空気感染するきわめて感染力の強い疾患で、カタル期(発熱、咳、鼻汁、結膜充血、Koplik斑)に最も感染力が強く、発疹出現後もしばらく感染性が続く。そのため、発疹期の高熱が下がってから3日が経つまで出席停止とされる。
- ×c. 発症した後5日を経過するまで
「発症した後5日を経過」はインフルエンザの基準の一部であるが、単独では基準として不完全である。インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)の基準は「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」である。また、新型コロナウイルス感染症の基準は「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」である。いずれも風疹の基準ではない。
- ×d. すべての発疹が痂皮化するまで
水痘(みずぼうそう)の出席停止期間の基準である。水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、紅斑、丘疹、水疱、痂皮(かさぶた)の各段階の皮疹が同時に混在するのが特徴である。水疱の内容液にもウイルスが含まれ、すべての皮疹がかさぶたになると感染性がほぼなくなるため、これが基準とされている。
- ×e. 病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで
第2種感染症のうち結核と髄膜炎菌性髄膜炎、および第3種感染症(コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の感染症)に適用される基準である。また、第2種感染症でも、病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めたときは、規定の期間より前でも出席を認めてよいとされる。しかし、風疹には「発疹が消失するまで」という具体的な基準が定められている。
学校において予防すべき感染症と出席停止期間の基準
・第1種感染症(エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、急性灰白髄炎、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群、中東呼吸器症候群、特定鳥インフルエンザなど):治癒するまで。感染症法の一類感染症と、結核を除く二類感染症などが含まれる。 ・第2種感染症 インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く):発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで 百日咳:特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで 麻疹:解熱した後3日を経過するまで 流行性耳下腺炎:耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで 風疹:発疹が消失するまで 水痘:すべての発疹が痂皮化するまで 咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで 新型コロナウイルス感染症:発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで(2023年5月から) 結核、髄膜炎菌性髄膜炎:病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで ・第3種感染症(コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の感染症):病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで
出席停止と臨時休業
・出席停止は校長が行い、学校の設置者に報告する。設置者は保健所に連絡する。 ・感染症予防のための学校の全部または一部の臨時休業(学級閉鎖、学校閉鎖など)は、学校の設置者が行う。 ・迅速診断検査が陰性になったことは、出席を再開してよい基準にはならない。
POINT
・風疹:発疹が消失するまで。 ・麻疹:解熱した後3日。 ・インフルエンザ:発症後5日を経過し、かつ解熱後2日(幼児は3日)。 ・水痘:すべての発疹が痂皮化するまで。 ・流行性耳下腺炎:腫脹の発現後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで。 ・咽頭結膜熱:主要症状の消退後2日。 ・百日咳:特有の咳の消失、または5日間の適正な抗菌薬治療の終了まで。 ・結核、髄膜炎菌性髄膜炎、第3種感染症:医師が感染のおそれがないと認めるまで。
