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始まりは乳房、終わりは初経―二次性徴の「順番」と骨年齢の関係

第108回医師国家試験 G問題 第33問

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第108回 G問題 第33問

二次性徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. a.女子では初経が最後の徴候である。
  2. b.女子では乳房腫大が最初の徴候である。
  3. c.陰茎の発育は思春期後期の徴候である。
  4. d.男子では声変わりが初期の徴候である。
  5. e.発現は骨年齢より暦年齢によく相関する。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は思春期の二次性徴がテーマだ。ポイントは、男女それぞれで「何から始まり、何で終わるか」という順番と、二次性徴の発現が何と相関するか、の2点。まずは仕組みから整理しよう。思春期になると何が起こって二次性徴が始まるのかな。
医学生医学生
視床下部からGnRHが出て、下垂体からLHとFSH、それで卵巣や精巣から性ホルモンが出る、という流れでしたよね。
ドクタードクター
その通り。ポイントはGnRHが「拍動性に」分泌され始めること。これをきっかけにエストロゲンやテストステロンが増え、乳房・性器・体毛・骨格・喉頭などに作用して二次性徴が進んでいく。では女子から。最初に目に見える変化は何だと思う?
医学生医学生
初経のイメージが強いんですが、生理学の講義では乳房の発育が先だと習った気がします。
ドクタードクター
そう、女子の二次性徴は乳房発育で始まる。おおむね10歳前後で、卵巣からのエストロゲンによる乳腺の芽生えが最初の徴候だ。そのあと陰毛の発生、身長の急伸と続いて、最後に初経が来る。
医学生医学生
初経が最後というのは少し意外です。思春期の始まりの印みたいに思っていました。
ドクタードクター
よくある誤解だね。初経は身長増加のピークを過ぎた後、思春期後半に起こるのが一般的で、日本の平均初経年齢は12歳台。エストロゲンで子宮内膜が十分に増殖し、視床下部・下垂体・卵巣系が成熟してはじめて起こる現象だから、順番としては最後になるんだ。つまり女子は「乳房に始まり、初経に終わる」。
医学生医学生
では男子は声変わりから始まるんでしょうか。中学生くらいで急に声が低くなるイメージがあります。
ドクタードクター
そこが落とし穴。男子で最初に現れるのは精巣の増大で、容量4mL以上がひとつの目安。10〜11歳ころに始まり、テストステロンが増えて陰茎の発育がそれに続く。だから陰茎の発育は思春期の前半から進む変化で、後期の徴候ではないんだ。
医学生医学生
声変わりはもっと後、ということですね。
ドクタードクター
そう。声変わりはテストステロンで喉頭が大きくなり、声帯が伸びて厚くなることで起こる。精巣・陰茎の発育、陰毛、身長の急伸を経て、腋毛やひげとともに14〜15歳ころに見られる後期の徴候だ。目立つ変化ほど後から来る、と覚えておくといい。
医学生医学生
男子は全体に女子より遅いんですよね。小学校高学年で女子のほうが背が高かった記憶があります。
ドクタードクター
まさにそれ。男子の開始は女子よりおよそ2年遅いから、一時的に女子の平均身長が上回る時期がある。最後に、二次性徴の発現と相関するのは暦年齢と骨年齢のどちらだと思う?
医学生医学生
年齢で決まるのかと思いましたが、個人差が大きいことを考えると骨年齢でしょうか。
ドクタードクター
正解。二次性徴の開始時期は個人差が大きく、暦年齢とはずれやすい。骨年齢は手のX線写真で評価する骨の成熟度で、性ホルモンの影響も受けるから、生物学的な成熟段階をよく反映する。だから発現は骨年齢とよく相関し、選択肢の記述は逆になる。
医学生医学生
小児科の臨床実習で、低身長の子の手のX線を見て骨年齢を評価しているのを見学しました。あれも同じ考え方ですね。
ドクタードクター
そうだね。思春期早発症では性ホルモンの影響で骨年齢が暦年齢より進むし、評価には骨年齢が欠かせない。目安として、女子で7歳6か月未満の乳房発育や10歳6か月未満の初経、男子で9歳未満の精巣増大は早発症を疑う。逆に女子で13歳までに乳房発育がない、男子で14歳までに精巣増大がない場合は遅発症を考える。
医学生医学生
進行度の評価にはTanner分類を使うんでしたよね。
ドクタードクター
その通り。乳房、男子外性器、陰毛をそれぞれ1〜5段階で評価する。外来では身長の成長曲線とTanner分類、骨年齢を組み合わせて、思春期が早すぎないか、遅すぎないかを判断するんだ。早発症を見逃すと、早く骨端線が閉じて最終身長が低くなることもあるから注意したい。

まとめ

二次性徴は、GnRHの拍動性分泌に始まる視床下部‐下垂体‐性腺系の活性化によって性ホルモンが増え、全身に変化が現れる過程です。女子は乳房発育に始まり、陰毛発生・身長の急伸を経て初経で終わり、男子は精巣増大に始まって陰茎の発育が続き、声変わりや腋毛・ひげは後期の徴候です。男子の開始は女子より約2年遅く、二次性徴の発現は暦年齢よりも骨年齢とよく相関します。この順序と骨年齢との関係は、Tanner分類や成長曲線とあわせて思春期早発症・遅発症を評価する際の基盤となります。

解答・解説

正解はa, bです

二次性徴とは、思春期に性ホルモンの作用で現れる、性器以外も含めた男女の身体的特徴の変化である。思春期になると視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の拍動性分泌が始まり、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、性腺(卵巣・精巣)からエストロゲンやテストステロンが産生される。これらの性ホルモンが乳房・性器・体毛・骨格・喉頭などに作用して二次性徴が進行する。 本問を解くには、男女それぞれの二次性徴が「何から始まり、どの順で進み、何で終わるか」を押さえておく必要がある。女子は乳房発育に始まり、陰毛発生・身長の急伸を経て初経に至る。男子は精巣の増大に始まり、陰茎の発育・陰毛発生・身長の急伸が続き、声変わりや腋毛・ひげは後半に現れる。男子の開始は女子よりおよそ2年遅い。また、二次性徴の発現は個人差が大きく、実際の年齢(暦年齢)よりも骨の成熟度を示す骨年齢とよく対応する点も重要である。

選択肢考察

  1. ○a.  女子では初経が最後の徴候である。

    女子の二次性徴は乳房発育に始まり、陰毛の発生、身長の急伸(成長スパート)を経て、最後に初経が訪れる。初経は身長増加のピークを過ぎた後、思春期の後半に起こるのが一般的で、わが国の平均初経年齢は12歳台である。エストロゲンによって子宮内膜が十分に増殖し、視床下部・下垂体・卵巣系が成熟してはじめて起こる現象であるため、女子の二次性徴の中で最後に位置づけられる。したがって正しい。

  2. ○b.  女子では乳房腫大が最初の徴候である。

    女子の思春期開始は、卵巣から分泌されるエストロゲンによる乳房の発育(乳房腫大、乳腺の芽生え)で外見上確認される。おおむね10歳前後に始まり、これが二次性徴の最初の徴候である。乳房の発育段階はタナー(Tanner)分類で評価され、乳房発育が早すぎる場合(一般に7〜8歳未満)は思春期早発症を疑う根拠となる。したがって正しい。

  3. ×c.  陰茎の発育は思春期後期の徴候である。

    男子の二次性徴で最初に現れるのは精巣の増大(精巣容量4mL以上が目安)で、おおむね10〜11歳ころに始まる。テストステロン分泌の増加に伴って陰茎の発育がそれに続き、思春期の前半から進行する。したがって陰茎の発育は思春期後期の徴候ではなく、誤りである。

  4. ×d.  男子では声変わりが初期の徴候である。

    声変わり(変声)は、テストステロンの作用で喉頭が大きくなり声帯が伸長・肥厚することで起こる。精巣・陰茎の発育、陰毛の発生、身長の急伸の後に、腋毛やひげの出現とともにおおむね14〜15歳ころにみられる、思春期後期の徴候である。したがって誤りである。

  5. ×e.  発現は骨年齢より暦年齢によく相関する。

    二次性徴が始まる時期は個人差が大きく、暦年齢(実際の年齢)とのずれが生じやすい。一方、骨年齢は手根骨などのX線写真で評価される骨の成熟度で、性ホルモンの影響も受けるため、生物学的な成熟段階をよく反映する。二次性徴の発現は暦年齢よりも骨年齢とよく相関するため、記述は逆であり誤りである。この性質から、思春期早発症や思春期遅発症の評価には骨年齢の測定が用いられる。

二次性徴の進む順序と目安の年齢

女子(男子より約2年早く始まる) ・10歳前後:乳房発育の開始(最初の徴候) ・11〜12歳ころ:陰毛の発生、身長の急伸、内・外性器の発育 ・12〜13歳ころ:腋毛の発生 ・12〜13歳ころ:初経(最後の徴候) ・その後骨端線が閉鎖し、身長の伸びが止まる 男子 ・10〜11歳ころ:精巣の増大(最初の徴候)、続いて陰茎の発育 ・12〜13歳ころ:陰毛の発生、身長の急伸 ・14〜15歳ころ:声変わり、腋毛・ひげの発生 ・その後骨端線が閉鎖し、成長が停止する 男子は開始が遅いため、小学校高学年ころには女子の平均身長が男子を上回る時期がある。

タナー分類

乳房(女子)、外性器(男子)、陰毛(男女)の発育をそれぞれ1〜5段階で評価する方法で、二次性徴の進行度の客観的評価に用いられる。

思春期の異常

思春期早発症:二次性徴が標準より著しく早く出現するもの(女子では乳房発育が7歳6か月未満、陰毛発生が8歳未満、初経が10歳6か月未満。男子では精巣増大が9歳未満など)。骨年齢は暦年齢より進行する。 思春期遅発症:女子で13歳までに乳房発育がない、男子で14歳までに精巣増大がないなど。

POINT

・女子の二次性徴は乳房発育で始まり、初経で終わる。 ・男子の二次性徴は精巣の増大で始まり、陰茎の発育が続く。声変わりや腋毛・ひげは後期の徴候である。 ・男子の思春期開始は女子より約2年遅い。 ・二次性徴の発現は暦年齢よりも骨年齢とよく相関する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。