その皮膚テスト、何を見ている?―プリックテストからパッチテスト、針反応まで一気に整理
第108回医師国家試験 E問題 第13問
国試問題にチャレンジ
疾患と検査の組合せで正しいのはどれか。
- a.Behçet病 ―― 皮膚描記法
- b.アナフィラキシー ―― 皮内テスト
- c.アレルギー性鼻炎 ―― プリックテスト
- d.若年性特発性関節炎〈JIA〉 ―― パッチテスト
- e.全身性エリテマトーデス〈SLE〉 ―― 針反応
対話形式の解説
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ドクターまとめ
皮膚を用いる検査は、「何型のアレルギーを見るのか」「どんな皮膚の反応性を見るのか」で整理すると混同を防げます。アレルギー性鼻炎などI型アレルギーの原因抗原検索にはプリックテストが用いられ、簡便で全身反応のリスクが低く、15〜20分後の膨疹で判定します。皮内テストは感度が高い一方で全身反応の危険が大きく、アナフィラキシーの既往例では特異的IgE測定やプリックテストを優先します。パッチテストはIV型アレルギーである接触皮膚炎の原因検索、針反応はBehçet病、皮膚描記法は蕁麻疹やアトピー性皮膚炎の評価に用いられ、SLEや若年性特発性関節炎は皮膚テストではなく臨床症状と血液検査で診断します。検査の原理と適応を結びつけて理解することは、安全な検査計画と正確な診断の基礎になります。
解答・解説
正解はcです
皮膚を用いる検査は、それぞれ特定の反応や疾患を調べるために使い分けられている。本問は、代表的な皮膚検査が「何を見る検査で、どの疾患の診断に使われるか」を整理できているかを問う。 【即時型(I型)アレルギーの原因抗原を調べる検査】プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト。抗原を皮膚に入れ、15〜20分後の膨疹・紅斑をみる。 【遅延型(IV型)アレルギーを調べる検査】パッチテスト。接触皮膚炎の原因物質を貼付し、48時間・72時間後(さらに1週間後)に判定する。 【皮膚の反応性をみる検査】皮膚描記法(皮膚をこすって膨疹や紅斑・白色線の出現をみる)、針反応(Behçet病の皮膚の過敏性をみる)。 アレルギー性鼻炎はスギ花粉やハウスダスト(ダニ)などに対するI型アレルギーであり、原因抗原の同定にプリックテストが用いられる。したがって「アレルギー性鼻炎 ―― プリックテスト」が正しい組合せである。 アナフィラキシーもI型アレルギーであるが、皮膚テストで全身反応を誘発する危険があるため、まず血清の抗原特異的IgE測定や、抗原量が少なく安全性の高いプリックテストなどを優先し、皮内テストは第一選択とならない。
選択肢考察
- ×a. Behçet病 ―― 皮膚描記法
Behçet病で行う皮膚検査は針反応である。皮膚描記法(ダーモグラフィズム)は、先端の鈍なもので皮膚をこすった部位の反応をみる検査で、蕁麻疹(特に機械性蕁麻疹)ではこすった線に沿って膨疹が生じる(隆起性皮膚描記症)。アトピー性皮膚炎では白く線状に残る白色皮膚描記症がみられる。また色素性蕁麻疹(肥満細胞症)では皮疹をこすると膨疹が出る(Darier徴候)。Behçet病との組合せは誤り。
- ×b. アナフィラキシー ―― 皮内テスト
皮内テストは抗原を真皮内に注射するため、皮膚に入る抗原量が多く、プリックテストやスクラッチテストより感度は高いが全身反応を誘発する危険が大きい。また注入した抗原は反応が起きても取り除けない。そのためアナフィラキシーの既往がある患者の原因検索では、まず特異的IgE抗体の血液検査や、プリックテストなど抗原量の少ない検査を行い、皮内テストを行う場合も十分希釈した抗原を用い、救急処置の準備下で慎重に行う。皮内テストはアナフィラキシーを代表する検査とはいえず、本組合せは適切ではない。
- ○c. アレルギー性鼻炎 ―― プリックテスト
アレルギー性鼻炎はIgEを介するI型アレルギーであり、原因抗原の同定にはプリックテストが用いられる。プリックテストは抗原液を皮膚に1滴たらし、専用の針で表皮を軽く刺して抗原を入れ、15〜20分後に膨疹径を陽性対照(ヒスタミン)・陰性対照(生理食塩水)と比較して判定する。簡便で痛みが少なく、全身反応のリスクも低い。アレルギー性鼻炎ではほかに、鼻汁中好酸球検査、血清の抗原特異的IgE抗体測定、鼻誘発試験も行われる。検査前には抗ヒスタミン薬を中止しておく必要がある。
- ×d. 若年性特発性関節炎〈JIA〉 ―― パッチテスト
パッチテストはIV型(遅延型)アレルギーを調べる検査で、アレルギー性接触皮膚炎や一部の薬疹の原因物質の特定に用いる。被検物質を背部などに48時間貼付し、除去後の48時間・72時間(必要に応じ1週間)後に紅斑・丘疹・小水疱の有無を判定する。若年性特発性関節炎(16歳未満で発症し6週間以上続く原因不明の慢性関節炎)の診断は臨床症状や血液検査(炎症反応、リウマトイド因子、抗核抗体、フェリチンなど)、画像検査で行い、パッチテストは用いない。
- ×e. 全身性エリテマトーデス〈SLE〉 ―― 針反応
針反応(パサージテスト)は、滅菌針を皮膚に刺して24〜48時間後に刺入部に紅斑や無菌性膿疱が生じるかをみる検査で、Behçet病に特徴的な皮膚の被刺激性亢進を反映し、診断基準の参考所見に含まれる。SLEの診断は抗核抗体、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、補体低下などの免疫学的検査と臨床症状で行い、針反応は用いない。
I型アレルギーの皮膚テスト
抗原の侵入量が少なく安全な順に、スクラッチテスト・プリックテスト<皮内テスト。皮内テストは感度が高い反面、偽陽性や全身反応の危険が大きい。判定は15〜20分後の膨疹・紅斑で行う。抗ヒスタミン薬などは結果を偽陰性にするため事前に休薬する。
IV型アレルギーの皮膚テスト
パッチテスト:接触皮膚炎、薬疹(固定薬疹など)の原因検索。光線過敏が疑われる場合は光パッチテストを行う。
その他の皮膚を用いる検査
・皮膚描記法:蕁麻疹(隆起性皮膚描記症)、アトピー性皮膚炎(白色皮膚描記症)。 ・Darier徴候:色素性蕁麻疹(肥満細胞症)で皮疹を擦ると膨疹・発赤を生じる。 ・針反応:Behçet病。 ・Nikolsky現象:正常にみえる皮膚をこすると表皮が剥離する。天疱瘡、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、中毒性表皮壊死症などでみられる。 ・Köbner現象:健常皮膚への刺激で同じ皮疹が生じる。尋常性乾癬、扁平苔癬など。 ・ツベルクリン反応:結核菌に対するIV型アレルギー(細胞性免疫)をみる。
アレルギー性鼻炎の診断
鼻症状(くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉)に加え、鼻汁好酸球陽性と、皮膚テストまたは血清特異的IgE、鼻誘発試験のいずれかで原因抗原を確認する。
POINT
・I型アレルギー(アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、食物アレルギー)の原因抗原検索:プリックテスト、スクラッチテスト、皮内テスト、特異的IgE。 ・アナフィラキシーの既往では、全身反応の危険の少ない検査から行い、皮内テストは慎重に。 ・IV型アレルギー(接触皮膚炎):パッチテスト。 ・Behçet病:針反応。 ・蕁麻疹:皮膚描記法、色素性蕁麻疹:Darier徴候。
