妊娠届から乳幼児健診まで―母子保健の主役は「市町村」
第106回医師国家試験 E問題 第31問
国試問題にチャレンジ
母子保健について正しいのはどれか。
- a.母子健康手帳は医療機関から受け取る。
- b.妊娠の届出には医師の証明が必要である。
- c.出生の届出は出生後1週以内に行わなければならない。
- d.母子健康センターは各都道府県に1か所設置されている。
- e.妊産婦に対する健康診査は母子保健法に基づき実施される。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクターまとめ
母子保健サービスは原則として住民に最も身近な市町村が担い、妊娠した本人が市町村に妊娠を届け出ると(医師の証明は不要)、市町村が母子健康手帳を交付します。妊婦健康診査は母子保健法第13条に基づいて市町村が実施または受診勧奨し、1歳6か月児・3歳児健診は第12条で市町村に実施が義務づけられています。出生届は戸籍法により14日以内に出生証明書を添えて提出し、死亡届や死産届の7日以内と区別することが重要です。母子健康センターは市町村の努力義務による施設で、現在はこども家庭センターへの再編が進んでいます。妊娠から乳幼児期までの手続きを流れと実施主体で理解しておくことは、試験対策に加え、未受診妊婦など支援が必要な母子を地域の制度につなぐ臨床力の土台になります。
解答・解説
正解はeです
母子保健の制度に関する知識問題である。妊娠から出産、乳幼児期までの行政手続きと保健サービスが、どの法律に基づき、どの主体(市町村・都道府県・医療機関など)が担うのかを整理しておくと解きやすい。
流れで押さえる
妊娠が判明する → 妊婦本人が市町村に妊娠を届け出る(母子保健法第15条) → 市町村が母子健康手帳を交付する(同第16条) → 妊婦健康診査を受ける(同第13条) → 出産 → 出生届を14日以内に提出する(戸籍法第49条) → 乳幼児健康診査(1歳6か月児・3歳児健診は同第12条で市町村に実施義務)へと続く。 母子保健サービスの主な実施主体は、住民に最も身近な市町村である。本問ではこの原則と、届出期限や医師の関与の有無といった細部を正確に覚えているかが問われている。
選択肢考察
- ×a. 母子健康手帳は医療機関から受け取る。
誤り。母子健康手帳は、妊娠の届出をした者に対して市町村が交付するものである(母子保健法第16条)。実際には市区町村の窓口や保健センターで受け取るのが一般的である。一部の医療機関が交付事務を代行する例もあるが、交付主体はあくまで市町村であり、医療機関から受け取るものとして制度が定められているわけではない。
- ×b. 妊娠の届出には医師の証明が必要である。
誤り。妊娠した者は速やかに市町村長に妊娠の届出をする(母子保健法第15条)。この届出は本人の申告によるもので、法律上、医師の診断書や証明書を添付する必要はない。実際には医療機関で胎児心拍が確認された頃に届け出るよう勧められることが多いが、それは法的な要件ではない。なお、出生届には医師・助産師などが作成した出生証明書の添付が必要であり、これと混同しないように注意する。
- ×c. 出生の届出は出生後1週以内に行わなければならない。
誤り。戸籍法第49条により、出生の届出は出生日を含めて14日以内に行う(国外での出生は3か月以内)。届出には出生証明書を添付し、これは原則として医師、医師がいなければ助産師、そのどちらもいなければ出産に立ち会ったその他の者が作成する。なお、7日以内という期限は死亡届にある(死亡の事実を知った日から7日以内、国外では3か月以内)ので、混同しないようにする。
- ×d. 母子健康センターは各都道府県に1か所設置されている。
誤り。母子健康センターは、母子保健に関する相談、妊産婦・乳幼児の保健指導、助産などを行う施設として母子保健法に規定されていた。設置したのは都道府県ではなく市町村であり、しかも「必要に応じて設置するよう努めなければならない」という努力義務であった。都道府県ごとに1か所置くという規定はない。この施設はのちの法改正で妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する母子健康包括支援センター(通称:子育て世代包括支援センター)に改められ、さらに現在は児童福祉分野の相談機関と一体化したこども家庭センターへと再編が進んでいる。いずれの時期も設置主体は市町村(努力義務)である。
- ○e. 妊産婦に対する健康診査は母子保健法に基づき実施される。
正しい。母子保健法第13条は、市町村が必要に応じて妊産婦・乳児・幼児に健康診査を行い、または健康診査を受けるよう勧めなければならないと定めている。妊婦健康診査はこの規定に基づき、市町村が実施または受診勧奨をしている。健診は医師・助産師などが行い、結果は母子健康手帳に記録される。現在では国が望ましい受診回数(標準で14回程度)を示しており、多くの市町村が母子健康手帳と一緒に受診券を交付して公費で費用を助成している。
母子保健法の主な規定(実施主体はいずれも市町村)
・保健指導(第10条):妊産婦やその配偶者、乳幼児の保護者への指導 ・新生児の訪問指導(第11条) ・健康診査(第12条):1歳6か月児健診と3歳児健診は市町村の義務 ・健康診査(第13条):上記以外の妊産婦・乳幼児の健診。妊婦健診はここに含まれる ・妊娠の届出(第15条):妊娠した者が速やかに市町村長へ届け出る。医師の証明は不要 ・母子健康手帳の交付(第16条) ・低体重児の届出(第18条):出生時体重2,500g未満の乳児が生まれたら、保護者が市町村に届け出る ・未熟児の訪問指導(第19条)、養育医療の給付(第20条)
出生・死亡・死産に関する届出期限
・出生届(戸籍法):14日以内(国外3か月以内)。出生証明書を添付 ・死亡届(戸籍法):死亡の事実を知った日から7日以内(国外3か月以内)。死亡診断書または死体検案書を添付 ・死産届(死産の届出に関する規程):妊娠満12週以後の死児の出産は7日以内に市町村長へ。死産証書または死胎検案書を添付
母子保健に関わるその他の制度
分娩費用には、健康保険などから出産育児一時金が支給される。住民登録や医療保険加入がなく妊婦健診を受けないまま出産に至る「未受診妊婦」は、母体・胎児のリスクが高く、社会的な支援の対象として問題になっている。
POINT
・母子保健サービスの実施主体は原則として市町村 ・妊娠の届出は本人が市町村に行い、医師の証明は不要。これを受けて市町村が母子健康手帳を交付する ・出生届は14日以内(死亡届・死産届は7日以内) ・妊婦健診・乳幼児健診は母子保健法に基づく(1歳6か月児・3歳児健診は市町村の義務) ・母子健康センターは市町村の努力義務による設置で、現在は母子健康包括支援センターを経てこども家庭センターへ再編されている
