StudyMed医師国家試験

検査名から疾患を引き出す―「何を見る検査か」で解く皮膚科の組合せ問題

第102回医師国家試験 G問題 第19問

国試問題にチャレンジ

第102回 G問題 第19問

組合せで正しいのはどれか。

  1. a.皮内試験 ―― 接触皮膚炎
  2. b.貼布試験 ―― サルコイドーシス
  3. c.Tzanck試験 ―― 乾癬
  4. d.最少紅斑量試験 ―― 色素性乾皮症
  5. e.リンパ球刺激試験 ―― アトピー性皮膚炎

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は皮膚科の検査法と対象疾患の組合せを問う問題だ。丸暗記で挑むと混乱しやすいけれど、それぞれの検査が「何を見ているのか」、つまり即時型アレルギーか遅延型アレルギーか、細胞か、光への反応か、薬への反応か、を整理すれば自然に答えが出る。まずはアレルギー検査から考えてみよう。
医学生医学生
接触皮膚炎はアレルギーなので、皮内試験で調べるのは自然に思えたんですが……。
ドクタードクター
そこがよくある引っかかりどころ。アレルギーの型を思い出してほしい。皮内試験は抗原液を真皮に少量注射して15〜20分後の膨疹や紅斑をみる検査で、IgEが介在するⅠ型、つまり即時型アレルギーを評価するものなんだ。
医学生医学生
免疫学の講義で習ったⅠ型からⅣ型の分類ですね。アレルギー性接触皮膚炎はT細胞が担うⅣ型、遅延型でした。
ドクタードクター
その通り。だから接触皮膚炎の原因検索には貼布試験、いわゆるパッチテストを使う。被疑物質を48時間貼って、はがした後もしばらく時間をおいて紅斑や丘疹、小水疱を判定する。反応の時間軸と検査の時間軸がそろっているわけだ。
医学生医学生
じゃあ貼布試験とサルコイドーシスの組合せも違いますね。サルコイドーシスは肉芽腫の病気なので、アレルギー検査とは結びつかない気がします。
ドクタードクター
いい推論だね。サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする全身疾患で、血清ACEや可溶性IL-2受容体の上昇、両側肺門リンパ節腫脹、組織生検などで診断する。むしろツベルクリン反応が陰性化するように、遅延型過敏反応はかえって低下しやすいことが知られているんだ。
医学生医学生
呼吸器内科を回ったときに、BHLの胸部X線を見せてもらいました。次のTzanck試験は、確か水疱の検査でしたよね。
ドクタードクター
そう。水疱底を擦過して塗抹し、ギムザ染色で細胞を観察する簡便な細胞診だ。天疱瘡では細胞同士の接着が失われた棘融解細胞が、単純ヘルペスや水痘・帯状疱疹ではウイルス性の多核巨細胞が見える。乾癬はどうだろう。
医学生医学生
乾癬は銀白色の鱗屑がついた紅斑で、水疱はできないから対象外ですね。乾癬ならKöbner現象やAuspitz現象のほうがCBTで出ていました。
ドクタードクター
完璧だ。では残りの2つ。最少紅斑量試験、略してMED試験は、背部などに段階的な量の紫外線を当てて、紅斑が出る最小の量を求める光線過敏の検査だ。色素性乾皮症との組合せはどう思う?
医学生医学生
色素性乾皮症は紫外線によるDNA損傷を修復できない病気だったはずなので、少ない紫外線量でも紅斑が出る、つまりMEDが下がるということですか。
ドクタードクター
その理解で正しい。ヌクレオチド除去修復の遺伝的欠損による常染色体潜性遺伝の疾患で、日本人に多いA群ではUVBに対するMEDが著しく低下し、紅斑が遅れて出て長く続くのが特徴だ。だからこの組合せが正解になる。ただし修復機能が比較的保たれたバリアント型では、MEDが正常のこともあるので断定は禁物だよ。
医学生医学生
最後のリンパ球刺激試験は、薬疹のときに原因薬を探す検査だったと思います。アトピー性皮膚炎とは関係なさそうですね。
ドクタードクター
その通り。薬剤リンパ球刺激試験、DLSTは患者のリンパ球を被疑薬と培養して増殖反応をみるもので、薬疹や薬物性肝障害の原因薬推定に使う。アトピー性皮膚炎で使うのは血清総IgEや特異的IgE、好酸球数、そして重症度の指標になる血清TARCだ。
医学生医学生
検査ごとに「何を見ているか」を言えれば、組合せは自然に絞れるんですね。
ドクタードクター
そういうこと。発展として色素性乾皮症の臨床像も押さえておこう。幼少期から少しの日光で強い日焼けを起こし、露光部に雀卵斑様の色素斑が出て、若いうちから基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫などの皮膚癌が多発する。A群では進行性の神経症状も伴う。治療の基本は徹底した遮光だ。
医学生医学生
小児科で日焼けの強い子を診たら、単なる日焼けで片付けないことが大事ですね。
ドクタードクター
その姿勢が大切。ほかにも、光アレルギー性接触皮膚炎には光貼布試験、白癬にはKOH直接鏡検、紅斑と紫斑の鑑別には硝子圧法と、検査と目的をセットで覚えておくと、外来でも迷わず検査を選べるよ。

まとめ

皮膚科の検査は「何を見る検査か」で整理すると対象疾患が明確になります。皮内試験はⅠ型(即時型)アレルギー、貼布試験はアレルギー性接触皮膚炎などⅣ型(遅延型)アレルギー、Tzanck試験は天疱瘡やヘルペス属感染の細胞診、DLSTは薬疹の原因薬検索に用います。最少紅斑量(MED)試験は紫外線への感受性を測る光線検査で、DNA修復異常により光線過敏を示す色素性乾皮症ではMEDが著しく低下するため、この組合せが正しくなります。サルコイドーシスでは遅延型過敏反応がむしろ低下し、乾癬は水疱を作らずKöbner現象・Auspitz現象が特徴である点も併せて押さえましょう。検査原理と疾患の病態を結びつけて理解することは、実臨床で適切な検査を選ぶ力に直結します。

解答・解説

正解はdです

問われていること

皮膚科で用いられる代表的な検査法と、それが診断に役立つ疾患との対応を問う問題である。各検査が「何を調べる検査か」(即時型か遅延型か、細胞診か、光に対する反応か、薬剤に対するリンパ球の反応か)を押さえれば、対応の正誤を判断できる。

整理のしかた

・アレルギー検査は、Ⅰ型(即時型、IgE介在)とⅣ型(遅延型、T細胞介在)で方法が異なる。Ⅰ型ではプリックテスト・スクラッチテスト・皮内試験(判定は15〜20分後)や血清特異的IgE測定を、Ⅳ型では貼布試験(パッチテスト、判定は48時間後以降)を用いる。 ・Tzanck試験は水疱底の細胞を調べる細胞診で、水疱性疾患やウイルス性水疱症に用いる。 ・最少紅斑量(MED)試験は紫外線に対する皮膚の感受性を測る光線検査で、光線過敏症の評価に用いる。 ・リンパ球刺激試験は、被疑薬に対する患者リンパ球の反応をみる検査で、薬疹などの原因薬検索に用いる。 色素性乾皮症は紫外線に対して過敏な代表的疾患であり、MED試験との組合せが正しい。

選択肢考察

  1. ×a.  皮内試験 ―― 接触皮膚炎

    皮内試験は抗原液を真皮内に少量注射し、15〜20分後の膨疹・紅斑をみる検査で、Ⅰ型(即時型)アレルギーの評価に用いる(薬剤アレルギーや食物・吸入抗原の検索など)。アレルギー性接触皮膚炎はⅣ型(遅延型)アレルギーであり、原因物質の同定には貼布試験(パッチテスト)を行う。

  2. ×b.  貼布試験 ―― サルコイドーシス

    貼布試験(パッチテスト)は被疑物質を皮膚に48時間貼付し、除去後の48時間・72時間(必要により1週間後)に紅斑・丘疹・小水疱の有無を判定する検査で、アレルギー性接触皮膚炎などⅣ型アレルギーの原因検索に用いる。サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を特徴とする全身性疾患で、診断には血清ACE(アンジオテンシン変換酵素)・リゾチーム・可溶性IL-2受容体の上昇、胸部画像での両側肺門リンパ節腫脹(BHL)、気管支肺胞洗浄液のCD4/CD8比上昇、67Gaシンチグラフィ、そして組織生検が用いられる。かつてはKveim反応も用いられたが、現在は実施されていない。むしろサルコイドーシスではツベルクリン反応が陰性化するなど遅延型過敏反応が低下することが知られている。

  3. ×c.  Tzanck試験 ―― 乾癬

    Tzanck試験は水疱底を擦過して塗抹・ギムザ染色し、細胞を観察する簡便な細胞診である。尋常性天疱瘡などの天疱瘡群では表皮細胞間の接着が失われた棘融解細胞(Tzanck細胞)を、単純ヘルペスや水痘・帯状疱疹ではウイルス性巨細胞(多核巨細胞)を認める。乾癬は銀白色の鱗屑を伴う紅斑を特徴とする炎症性角化症で、水疱を形成しないため本試験の対象ではない。乾癬の診断では、無疹部への刺激で皮疹が生じるKöbner現象や、鱗屑を剥がすと点状出血をみるAuspitz現象が参考になる。

  4. ○d.  最少紅斑量試験 ―― 色素性乾皮症

    最少紅斑量(MED:minimal erythema dose)試験は、背部などに段階的な量の紫外線(主にUVB、必要に応じUVA)を照射し、紅斑を生じる最小の照射量を求める光線過敏性の検査である。色素性乾皮症(XP)は紫外線で生じたDNA損傷を修復するヌクレオチド除去修復の遺伝的欠損による常染色体潜性(劣性)遺伝疾患で、日本人に多いA群ではUVBに対するMEDが著しく低下し、紅斑反応が遅れて出現し長く続くのが特徴である。したがって本試験は色素性乾皮症の光線過敏の評価に有用である。なお、修復機能が保たれた病型(バリアント型)ではMEDが正常のこともある。

  5. ×e.  リンパ球刺激試験 ―― アトピー性皮膚炎

    薬剤リンパ球刺激試験(DLST:drug-induced lymphocyte stimulation test)は、患者の末梢血リンパ球を被疑薬と培養し、その増殖反応から原因薬を推定する検査で、薬疹や薬物性肝障害の原因薬検索に用いる。アトピー性皮膚炎では、血清総IgE値(かつてIgE RISTと呼ばれた)や抗原特異的IgE(RAST法など)、好酸球数、重症度の指標として血清TARC(thymus and activation-regulated chemokine)が用いられる。

皮膚科の主な検査と対象疾患

・プリックテスト/スクラッチテスト/皮内試験:Ⅰ型アレルギー(蕁麻疹、食物アレルギー、薬剤による即時型反応など)。15〜20分で判定。 ・貼布試験(パッチテスト):Ⅳ型アレルギー(アレルギー性接触皮膚炎、金属アレルギー、一部の薬疹)。48時間貼付後に判定。 ・光貼布試験(フォトパッチテスト):光アレルギー性接触皮膚炎。被疑物質を貼付後に紫外線を照射して判定。 ・最少紅斑量(MED)試験:光線過敏症(色素性乾皮症、光線過敏型薬疹、慢性光線性皮膚炎、SLEなど)。 ・Tzanck試験:天疱瘡(棘融解細胞)、単純ヘルペス・水痘・帯状疱疹(ウイルス性巨細胞)。 ・直接鏡検(KOH法):白癬、カンジダ、癜風などの真菌症。 ・硝子圧法:紅斑(圧迫で消える)と紫斑(消えない)の鑑別。 ・DLST:薬疹、薬物性肝障害の原因薬推定。 ・Nikolsky現象:一見正常な皮膚への摩擦で表皮が剥離する現象。天疱瘡、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)、中毒性表皮壊死症(TEN)などで陽性。

色素性乾皮症の要点

・原因:ヌクレオチド除去修復遺伝子(XPA〜XPGの各群)の異常。バリアント型はDNAポリメラーゼηの異常による。 ・症状:幼少期からの日光過敏(少量の日光で強い日焼け)、露光部の雀卵斑様色素斑、乾燥、若年での皮膚癌(基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫)多発。A群では進行性の神経症状を伴う。 ・対策:徹底した遮光が基本である。

POINT

・Ⅰ型アレルギー → プリック・スクラッチ・皮内試験、特異的IgE。Ⅳ型アレルギー → 貼布試験。 ・Tzanck試験:天疱瘡(棘融解細胞)、ヘルペス属感染(多核巨細胞)。 ・MED試験:光線過敏症の評価。色素性乾皮症ではMEDが著しく低下する。 ・DLST:薬疹の原因薬検索。 ・乾癬:Köbner現象、Auspitz現象。サルコイドーシス:血清ACE上昇、BHL、ツベルクリン反応陰性化。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。