StudyMed医師国家試験

胸から始まり月経で締めくくる―女子の二次性徴「出現の順番」を一本の物語で覚える

第101回医師国家試験 B問題 第55問

国試問題にチャレンジ

第101回 B問題 第55問

思春期の女子で最も遅くみられるのはどれか。

  1. a.初経
  2. b.腋毛発生
  3. c.陰毛発生
  4. d.乳房発育
  5. e.身長急伸

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、女子の思春期に起こる身体の変化が、どんな順番で現れるかを問う問題だ。ポイントは、それぞれの変化をどのホルモンが起こしているのかを押さえること。ホルモンの流れがわかれば、順番は自然に並べられるよ。まず、思春期はどこから始まるか覚えているかな。
医学生医学生
生理学の講義で習いました。視床下部からGnRHが脈動的に出るようになって、下垂体からLHとFSHが分泌される、という流れでしたよね。
ドクタードクター
その通り。その結果、卵巣でエストロゲンが作られ始める。エストロゲンが最初に目に見える形で現れるのが乳房の膨らみ、つまり乳房発育で、日本人ではおよそ10歳ごろだ。一方、陰毛や腋毛は副腎や卵巣から出るアンドロゲンの作用で生えてくる。
医学生医学生
じゃあ、身長が急に伸びるのは一番最後でしょうか。中学生くらいでぐんぐん伸びるイメージがあります。
ドクタードクター
そこはよくある誤解だね。女子の成長スパートは乳房発育とほぼ同時期に始まって、11歳前後に伸びの速さがピークを迎える。男子より約2年早いんだ。小学校高学年で女子のほうが背が高い時期があるのはそのためだよ。
医学生医学生
なるほど、身長急伸は意外と早いんですね。陰毛はどうですか。
ドクタードクター
陰毛は乳房発育のやや後、10〜11歳ごろに生え始める。標準的な順序は、乳房発育、陰毛発生、身長急伸のピーク、腋毛発生、そして初経だ。だから最も遅いのは初経になる。
医学生医学生
腋毛と初経はかなり近い時期ですよね。正直、腋毛を選びそうになりました。
ドクタードクター
迷うのは自然だよ。実際、報告によっては両者がほぼ同時とするデータもある。ただ、国内の標準的な教科書では腋毛が11〜12歳、初経が平均約12歳で、腋毛のほうが先と整理されている。初経が遅い理由を考えると、納得しやすいはずだ。
医学生医学生
初経は、子宮内膜がエストロゲンで厚くなってからの消退出血ですよね。卵巣機能がある程度成熟しないと起こらない、ということですか。
ドクタードクター
まさにそれ。乳房発育から平均2年半前後遅れて、視床下部・下垂体・卵巣の系がある程度整った結果として現れるのが初経なんだ。そして初経は身長の伸びのピークを過ぎてから来るから、初経後に伸びる身長は一般に数cm程度にとどまる。
医学生医学生
小児科の実習で、低身長の外来に来た女の子のお母さんに、先生が「初経が来たかどうか」を必ず聞いていたのはそのためだったんですね。
ドクタードクター
いいところに気づいたね。初経の有無は、残りの身長の伸びしろを推測する手がかりになる。二次性徴の評価にはTanner分類も使う。乳房と陰毛をそれぞれ1〜5度で評価し、2度が思春期の開始。初経は乳房Tanner 3〜4度のころが多いよ。
医学生医学生
男子だと最初のサインは何でしたっけ。CBTで出た気がします。
ドクタードクター
男子は精巣容量の増大、目安は4mL以上が最初の徴候だ。その後に陰毛、陰茎の増大、身長急伸、腋毛・ひげ・声変わりと続く。ちなみに男女とも思春期の最終段階は骨端線の閉鎖で、エストロゲンがこれを促進する。今回の選択肢にはないけれど、知っておくと応用が利く。
医学生医学生
異常の目安も覚えておかないといけませんね。
ドクタードクター
そうだね。女子では、7歳6か月未満の乳房発育、8歳未満の陰毛発生、10歳6か月未満の初経などが思春期早発症の目安とされる。逆に13歳になっても乳房発育がなければ思春期遅発症を考え、18歳になっても初経がなければ原発性無月経だ。正常の順番と時期を知っていることが、異常に気づく出発点になるよ。

まとめ

女子の思春期はGnRHの脈動的分泌開始に始まり、エストロゲンによる乳房発育(約10歳)が最初の徴候となります。その後、アンドロゲンによる陰毛発生、11歳前後の身長急伸のピーク、腋毛発生と続き、卵巣機能がある程度成熟した結果として平均約12歳で初経が訪れるため、選択肢中で最も遅いのは初経です。初経は身長の伸びのピークを過ぎてから起こるので、その後の伸びは数cm程度にとどまります。男子の最初の徴候は精巣容量の増大であり、思春期全体の最終段階は骨端線閉鎖です。正常な順序と時期を押さえておくことは、思春期早発症・遅発症や原発性無月経を見抜く臨床判断の基礎になります。

解答・解説

正解はaです

女子の思春期に現れる身体変化(二次性徴)が、どの順番で起こるかを問う問題である。 思春期は、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が脈動的に分泌されるようになることで始まる。これにより下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、卵巣でエストロゲンが作られるようになる。エストロゲンは乳房の発育と骨の成長を促す。一方、陰毛や腋毛は主に副腎や卵巣に由来するアンドロゲン(男性ホルモン)の作用で生えてくる。 日本人女子の標準的な順序はおおむね次のとおりである。 1. 乳房発育(乳房の膨らみ始め、thelarche):約10歳 2. 陰毛発生(pubarche):乳房発育のやや後、約10〜11歳 3. 身長急伸(成長スパート):11歳前後に身長の伸びが最大になる(最大成長速度期) 4. 腋毛発生:陰毛より遅れて11〜12歳ごろ 5. 初経(初めての月経、menarche):日本人の平均は約12歳(12〜13歳) 初経は、エストロゲンによって子宮内膜が十分に厚くなり、その後の消退出血として起こる。つまり卵巣機能がある程度成熟して初めて現れる現象であり、乳房発育から平均で2年半前後遅れる。また、初経は身長の伸びのピークを過ぎてから起こるため、初経の後に伸びる身長は一般に数cm程度にとどまる。 したがって、選択肢の中で最も遅く現れるのは初経である。

選択肢考察

  1. ○a.  初経

    初経は日本人女子で平均約12歳(12〜13歳)にみられ、選択肢の中で最も遅い。子宮内膜がエストロゲンで十分に増殖し、視床下部-下垂体-卵巣系がある程度成熟してはじめて起こるため、乳房発育の開始から平均2年半前後遅れ、身長の伸びが最大となる時期(身長急伸のピーク)よりも後になる。

  2. ×b.  腋毛発生

    腋毛はアンドロゲンの作用で生え、陰毛より遅れて11〜12歳ごろに現れる。選択肢の中では初経に次いで遅い変化であり、初経と時期が近いため紛らわしいが、標準的な順序では初経より前に位置づけられる。誤って選びやすい選択肢である。

  3. ×c.  陰毛発生

    陰毛は副腎・卵巣由来のアンドロゲンの作用で生え始め、乳房発育のやや後、約10〜11歳でみられる。初経よりも早い。

  4. ×d.  乳房発育

    乳房発育は女子の思春期で最初に現れる徴候で、約10歳で始まる。エストロゲン分泌開始の最初の目に見える表れである。8歳未満(7歳6か月未満とする基準もある)で乳房発育がみられれば思春期早発症を疑う。初経よりもかなり早い。

  5. ×e.  身長急伸

    女子の身長急伸(成長スパート)は乳房発育とほぼ同時期に始まり、11歳前後に最大成長速度となる。女子のスパートは男子より約2年早く始まる。初経は身長急伸のピークを過ぎてから起こるので、身長急伸は初経より早い。

二次性徴の評価:Tanner分類

乳房と陰毛の発達をそれぞれ1〜5度に分けて評価する。1度は思春期前、2度が思春期の開始(乳房では乳輪下の小さな膨らみ=乳房芽)、5度が成人型である。初経は乳房Tanner 3〜4度のころにみられることが多い。

女子と男子の順序の比較

女子:乳房発育 → 陰毛 → 身長急伸(ピーク)→ 腋毛 → 初経 男子:精巣容量の増大(4mL以上)→ 陰毛 → 陰茎の増大 → 身長急伸 → 腋毛・ひげ・声変わり 男子の最初の徴候は精巣の増大であり、身長急伸は女子より約2年遅れて起こる。

思春期全体の最後の変化

男女とも、成長の最終段階は骨端線(成長軟骨板)の閉鎖であり、これにより身長の伸びが止まる。エストロゲンは骨端線閉鎖を促進する。本問の選択肢には含まれていないが、思春期に起こる変化として最も遅いのはこの骨端線の閉鎖である。

思春期の異常

・思春期早発症:女子では7歳6か月未満の乳房発育、8歳未満の陰毛発生、10歳6か月未満の初経などが目安である(日本の診断の手引き)。 ・思春期遅発症:女子で13歳になっても乳房発育がない場合などが目安とされる。原発性無月経は18歳になっても初経がない状態をいう。

POINT

・女子の二次性徴の順序:乳房発育 → 陰毛 → 身長急伸 → 腋毛 → 初経 ・最初は乳房発育(約10歳)、選択肢中で最後は初経(平均約12歳) ・初経は身長の伸びのピークより後に起こる ・腋毛は初経の直前で時期が近く、誤答しやすい ・男子の最初の徴候は精巣容量の増大 ・思春期の最終段階は骨端線閉鎖

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。