10か月の赤ちゃんは何ができる?―つかまり立ちと人見知りで読み解く発達マイルストーン
第101回医師国家試験 B問題 第54問
国試問題にチャレンジ
10か月の乳児でみられるのはどれか。2つ選べ。
- a.人見知りをする。
- b.積木を2つ重ねる。
- c.つかまり立ちをする。
- d.意味のある単語を言う。
- e.他の子どもに興味を示す。
対話形式の解説
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ドクターまとめ
乳児の発達は、粗大運動・微細運動・言語・社会性の領域ごとに月齢と対応させて整理すると判断しやすくなります。10か月児では、お座りやはいはいに加えてつかまり立ちができ、養育者との愛着形成を反映して人見知りが最も強くなります。一方、積木を2つ重ねる(1歳〜1歳半)、意味のある単語を話す(1歳前後)、他の子どもに興味を示す(1歳3か月〜1歳半ごろ)は、いずれも1歳以降に獲得されるのが標準的です。10か月ごろの「マンマ」などは多くが喃語であり、有意語との区別が重要です。こうしたマイルストーンの知識は乳幼児健診で発達の遅れに気づくための基本であり、個人差の幅も踏まえて経過で評価する姿勢が求められます。
解答・解説
正解はa, cです
乳幼児の発達の目安(マイルストーン)を月齢と結びつけて覚えているかを問う一般問題である(2つ選ぶ)。 発達は、粗大運動(姿勢・移動)、微細運動(手先の操作)、言語、社会性(対人関係)の各領域に分けて整理すると判断しやすい。10か月児の到達目安は次のとおりである。 ・粗大運動:一人で安定して座る(お座り)、はいはいをする、つかまり立ちをする。伝い歩きを始める子もいる。 ・微細運動:親指と人差し指で小さな物をつまむ(ピンセットつまみの始まり)。 ・言語:「マンマ」「ダダ」などの喃語(なんご)を盛んに発するが、意味のある単語はまだ出ないことが多い。 ・社会性:人見知りがはっきりしており、バイバイや拍手などの模倣が始まる。 選択肢のうち、積木を2つ重ねる(微細運動)、意味のある単語を言う(言語)、他の子どもに興味を示す(社会性)は、いずれも1歳以降に獲得されるのが標準的である。したがって10か月児でみられるのは「人見知り」と「つかまり立ち」である。
選択肢考察
- ○a. 人見知りをする。
正しい。人見知りは、身近な養育者と見知らぬ人とを区別できるようになった結果として現れる行動で、生後6〜8か月ごろに始まり、10か月前後で最も強くなる。養育者との愛着(アタッチメント)が形成されていることを示す、正常な社会的発達の指標である。
- ×b. 積木を2つ重ねる。
誤り。積木を2つ重ねるには、物をつまんで目的の位置に置き、指を離すという手の協調運動が必要で、1歳〜1歳半ごろにできるようになる。10か月ごろは積木を両手に持って打ち合わせたり、親指と人差し指で小さな物をつまんだりする段階である。なお、積木を積む個数は年齢とともに増え、1歳半で3個前後、2歳で5〜6個程度が目安となる。
- ○c. つかまり立ちをする。
正しい。粗大運動は頭部から下肢へ向かって発達し、首すわり(3〜4か月)→寝返り(5〜6か月)→お座り(7か月前後)→はいはい(8〜9か月)→つかまり立ち(9〜10か月)→伝い歩き(10〜11か月)→ひとり立ち・ひとり歩き(1歳〜1歳3か月)の順に進む。10か月児がつかまり立ちをするのは標準的な発達である。
- ×d. 意味のある単語を言う。
誤り。「ママ」「ワンワン」など、特定の対象を指して意味のある単語(有意語、初語)を話すようになるのは1歳前後である。10か月ごろは「マンマ」「ダダダ」のような喃語を盛んに発し、大人の言葉や身振りをまねし始める段階であり、まだ有意語は出ないのが一般的である。1歳6か月で有意語が数語もない場合は言語発達の遅れとして評価を考える。
- ×e. 他の子どもに興味を示す。
誤り。同年代の子どもに関心を持ち、自分から近づいて触れたり、じっと様子を見たりするようになるのは1歳過ぎ(おおむね1歳3か月〜1歳半ごろ)である。10か月ごろの対人関係は主に養育者との関係が中心であり、見知らぬ人に対してはむしろ人見知りを示す時期である。なお、他児と関わりながら遊ぶ(並行遊び→協同遊び)のはさらに後の2〜3歳以降である。
粗大運動の発達の目安
・首すわり:3〜4か月 ・寝返り:5〜6か月 ・お座り(ひとり座り):6〜7か月(10か月ではほぼ全員が安定) ・はいはい:8〜9か月 ・つかまり立ち:9〜10か月 ・伝い歩き:10〜11か月 ・ひとり歩き:1歳〜1歳3か月 ・走る:1歳半ごろ、両足跳び:2歳ごろ、片足立ち:3歳ごろ
微細運動の発達の目安
・物に手を伸ばしてつかむ:5か月ごろ ・持ちかえ:6〜7か月 ・親指と人差し指でつまむ:9〜10か月 ・積木を2つ積む:1歳〜1歳半 ・なぐり書き:1歳〜1歳半 ・丸を描く:3歳、十字を描く:4歳、四角を描く:4〜5歳、三角を描く:5〜6歳
言語の発達の目安
・クーイング:2〜3か月 ・喃語:6か月ごろから、10か月ごろに盛ん ・有意語(初語):1歳前後 ・二語文:2歳ごろ
社会性の発達の目安
・社会的微笑(あやすと笑う):2〜3か月 ・人見知り:6〜8か月に始まり、10か月ごろ最も強い ・バイバイ・拍手などの模倣:9〜10か月 ・他児への興味:1歳過ぎ〜1歳半
乳幼児健診との関連
乳幼児健康診査(3〜4か月、9〜10か月、1歳6か月、3歳など)では、上記の発達の目安を確認し、遅れがあれば経過観察や精査につなげる。
POINT
・10か月児:ひとり座り、はいはい、つかまり立ち、人見知り(最も強い時期)、喃語、指でつまむ。 ・1歳前後:ひとり歩き、有意語(初語)。 ・1歳〜1歳半:積木を2つ重ねる、他の子どもに興味を示す。 ・発達は運動(粗大・微細)、言語、社会性の領域ごとに月齢と対応させて覚える。
