「8週間」と「翌日から」―産後休業は数字と起算日の2点で押さえる
第120回医師国家試験 C問題 第32問
国試問題にチャレンジ
産後休業期間で正しいのはどれか。
- a.出産翌日から4週間
- b.出産翌日から8週間
- c.出産翌日から1年間
- d.分娩予定日翌日から4週間
- e.分娩予定日翌日から8週間
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
労働基準法第65条により、産後休業は実際の出産日の翌日から8週間と定められ、本人の請求の有無にかかわらず就業させてはならない強制休業です。ただし産後6週間を経過し、本人が請求して医師が支障なしと認めた業務に限り就業できます。これに対し産前休業は分娩予定日を基準とする6週間(多胎妊娠では14週間)で、本人の請求により取得する任意の休業であり、出産当日は産前に含まれます。「1年」という数字は育児休業(原則子が1歳まで)や育児時間(生後1年未満の子)に関係するもので、産後休業と混同しないことが大切です。期間と起算日、任意か強制かを整理しておくことは、試験対策だけでなく、妊産婦の就労について医師として意見を求められる場面でも役立ちます。
解答・解説
正解はbです
働く女性の母性保護のうち、出産前後の休業は労働基準法第65条に定められている。問われているのは産後休業の「期間の長さ」と「どの日から数えるか(起算日)」の2点である。
期間
産後休業は8週間である。産前休業(6週間)と混同しないことが大切である。
起算日
産前休業は分娩予定日を基準に数える。一方、産後休業は実際に出産した日を基準にし、その翌日から数える。出産当日は産前休業に含まれる。予定日より遅れて出産した場合、予定日から実際の出産日までも産前休業として扱われ、産後8週間は実際の出産日の翌日から始まる。 以上から、産後休業は「出産翌日から8週間」となる。
選択肢考察
- ×a. 出産翌日から4週間
起算日(出産翌日)は合っているが、期間が短い。法律で定められた産後休業は8週間であり、4週間ではない。
- ○b. 出産翌日から8週間
労働基準法第65条第2項は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないと定めている。期間は実際の出産日の翌日から数える。したがって産後休業は出産翌日から8週間である。この期間の休業は本人が請求しなくても強制的に適用される。ただし産後6週間を過ぎた後に本人が請求し、医師が支障なしと認めた業務に限っては就業させてもよい。
- ×c. 出産翌日から1年間
1年間は産後休業ではない。子が1歳になるまでという期間は、育児・介護休業法の育児休業(原則子が1歳まで、条件により最長2歳まで延長可)や、労働基準法の育児時間(生後1年未満の子を育てる女性が1日2回各30分以上請求できる)に関係する数字である。産後休業と取り違えないこと。
- ×d. 分娩予定日翌日から4週間
起算日も期間も誤りである。分娩予定日を基準にするのは産前休業(6週間)であり、産後休業は実際の出産日の翌日から数える。期間も8週間である。
- ×e. 分娩予定日翌日から8週間
期間(8週間)は合っているが、起算日が誤りである。産後休業は分娩予定日ではなく実際の出産日の翌日から数える。予定日と実際の出産日がずれた場合、予定日を基準にすると産後の休業期間が実際より短くなったり長くなったりしてしまう。
労働基準法の主な母性保護規定
・産前休業(第65条第1項): 出産予定日の6週間前(多胎妊娠では14週間前)から、本人が請求すれば休業できる。請求がなければ就業してもよい。 ・産後休業(第65条第2項): 出産翌日から8週間は就業させてはならない(本人の請求の有無に関係なく強制)。産後6週間を経過し、本人が請求して医師が支障なしと認めた業務に限り就業できる。 ・軽易業務への転換(第65条第3項): 妊娠中の女性が請求すれば、他の軽易な業務へ転換させなければならない。 ・妊産婦の時間外労働・休日労働・深夜業の制限(第66条): 妊産婦(妊娠中および産後1年を経過しない女性)が請求すれば、これらをさせてはならない。 ・育児時間(第67条): 生後満1年に達しない子を育てる女性は、通常の休憩時間とは別に1日2回、各30分以上の育児時間を請求できる。 ・危険有害業務の就業制限(第64条の3): 妊産婦を重量物を扱う業務や有害ガスが発生する場所での業務などに就かせてはならない。
「出産」の範囲
労働基準法上の出産は妊娠4か月(85日)以上の分娩を指し、死産や人工妊娠中絶も含まれる。このような場合も産後休業の対象となる。
関連制度
・育児休業(育児・介護休業法): 原則として子が1歳になるまで取得でき、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できる。父親も取得できる。 ・出生時育児休業(いわゆる産後パパ育休): 子の出生後8週間以内に、最大4週間まで(2回まで分割可)取得できる。 ・出産手当金(健康保険法): 被保険者本人が出産のため仕事を休み給与を受けられない期間(産前42日〔多胎98日〕、産後56日の範囲)に支給される。 ・男女雇用機会均等法: 妊娠中・出産後の健康診査等を受けるための時間の確保や、医師の指導に基づく措置(通勤緩和、休憩、勤務時間の短縮など)を事業主に義務づけている。母性健康管理指導事項連絡カードはこの措置の伝達に使われる。
POINT
・産前休業: 出産予定日の6週間前(多胎14週間前)から、本人の請求により取得(任意)。 ・産後休業: 出産翌日から8週間、就業禁止(強制)。産後6週以降は本人の請求と医師の許可があれば就業可。 ・起算日の違い: 産前は予定日基準、産後は実際の出産日の翌日から。出産当日は産前に含まれる。 ・「1年」が出てくるのは育児時間(生後1年未満の子)や育児休業(原則子が1歳まで)。
