紹介・共同利用・救急・研修―「地域を支える病院」の4つの役割を整理する
第118回医師国家試験 C問題 第15問
国試問題にチャレンジ
地域医療支援病院に求められる機能はどれか。
- a.高度医療技術の開発
- b.地域住民の栄養改善
- c.質の高い臨床研究の主導
- d.難病患者の療養生活支援
- e.地域の医療従事者に対する研修
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
地域医療支援病院は1997年の第3次医療法改正で創設され、都道府県知事が承認する病院で、かかりつけ医など地域の医療機関を支える拠点として、紹介患者への医療提供、医療機器・病床の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修を担います。高度医療技術の開発は特定機能病院(厚生労働大臣承認)、質の高い臨床研究の主導は臨床研究中核病院(厚生労働大臣承認)の役割であり、住民の栄養改善は保健所・市町村保健センターの保健活動、難病患者の療養生活支援は難病相談支援センターや保健所を中心とした多機関連携が担います。承認者や病床数の目安(地域医療支援病院は原則200床以上、他の2つは原則400床以上)も頻出です。病診連携の仕組みを理解することは、紹介・逆紹介を日常的に行う臨床現場でも欠かせない知識です。
解答・解説
正解はeです
医療法では、一般の病院とは別に、特別な役割を担う病院として「特定機能病院」「地域医療支援病院」「臨床研究中核病院」が定められている。それぞれ担う役割と承認者が異なるため、混同しないよう整理して覚えることが本問のテーマである。 地域医療支援病院は、1997年の第3次医療法改正で創設された制度で、都道府県知事が承認する。かかりつけ医など地域の診療所・中小病院を後方から支える「地域医療の拠点」として位置づけられ、次の機能が求められる。 ・紹介患者に対する医療の提供(他の医療機関から紹介された患者を受け入れ、治療後は地域の医療機関へ逆紹介する) ・医療機器・病床の共同利用(地域の医師が自院の患者を地域医療支援病院の設備を使って診療できる体制) ・救急医療の提供 ・地域の医療従事者に対する研修の実施 ・在宅医療の推進など、地域の医療確保に向けた支援 したがって、選択肢の中から「地域の医療機関を支える機能」に当たるものを選べばよく、他の選択肢は特定機能病院・臨床研究中核病院・保健所や難病支援の機関など、別の主体の役割である。
選択肢考察
- ×a. 高度医療技術の開発
高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修は、特定機能病院に求められる機能である。特定機能病院は1992年の第2次医療法改正で創設され、厚生労働大臣が承認する。大学病院本院や国立がん研究センター中央病院など、原則400床以上の高度医療機関が該当する。地域医療支援病院の承認要件には含まれない。
- ×b. 地域住民の栄養改善
地域住民の栄養改善は、病院の医療機能ではなく公衆衛生(保健)活動に属する。健康増進法などに基づき、保健所や市町村保健センターが、管理栄養士による栄養指導・食生活改善の普及啓発などとして実施する。地域医療支援病院に求められる機能ではない。
- ×c. 質の高い臨床研究の主導
日本発の革新的な医薬品・医療機器の開発などに必要な、質の高い臨床研究や治験を中心となって推進する役割は、臨床研究中核病院に求められる機能である。臨床研究中核病院は2014年の医療法改正で創設(2015年施行)され、厚生労働大臣が承認する。地域医療支援病院の要件ではない。
- ×d. 難病患者の療養生活支援
難病患者の療養生活の支援は、難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)に基づき、都道府県などが設置する難病相談支援センターや保健所が中心となって相談・支援を行い、さらにかかりつけ医や訪問看護、福祉サービスなど多くの機関が連携して担うものである。地域医療支援病院に固有に求められる機能として定められたものではない。
- ○e. 地域の医療従事者に対する研修
地域医療支援病院の承認要件の一つに、地域の医療従事者の資質向上を図るための研修を行わせる能力を有することが定められている。地域の診療所の医師や看護師などを対象に、症例検討会や講習会などの生涯教育の場を提供することで、地域全体の医療水準を引き上げる役割を担う。これは紹介患者への医療提供、共同利用、救急医療と並ぶ主要な機能であり、正解である。
医療法上の特別な病院の比較
・特定機能病院 創設:1992年(第2次医療法改正) 承認:厚生労働大臣 主な役割:高度の医療の提供、高度の医療技術の開発・評価、高度の医療に関する研修 主な要件:原則400床以上、定められた診療科の標榜、紹介患者中心の診療など ・地域医療支援病院 創設:1997年(第3次医療法改正) 承認:都道府県知事 主な役割:紹介患者に対する医療の提供、医療機器・病床の共同利用、救急医療の提供、地域の医療従事者に対する研修 主な要件:原則200床以上、一定以上の紹介率・逆紹介率など ・臨床研究中核病院 創設:2014年医療法改正(2015年施行) 承認:厚生労働大臣 主な役割:質の高い臨床研究・治験の計画立案・実施の中心、他施設の臨床研究の支援、臨床研究に関わる人材の育成 主な要件:原則400床以上、臨床研究支援体制の整備など
背景
地域医療支援病院は、病院と診療所の機能分化と連携(病診連携)を進める目的で導入された。患者はまずかかりつけ医を受診し、精密検査や入院が必要な場合に地域医療支援病院へ紹介され、治療後は再びかかりつけ医へ戻るという流れを支える仕組みである。
保健活動の担い手
・保健所:都道府県・政令指定都市・中核市などが設置し、広域的・専門的な保健業務(感染症対策、精神保健、難病対策、食品衛生など)を担う。 ・市町村保健センター:住民に身近な対人保健サービス(健康相談、乳幼児健診、栄養指導など)を担う。
POINT
・地域医療支援病院(都道府県知事承認、原則200床以上):紹介患者への医療、共同利用、救急医療、地域の医療従事者への研修。 ・特定機能病院(厚生労働大臣承認、原則400床以上):高度医療の提供・開発・評価・研修。 ・臨床研究中核病院(厚生労働大臣承認):質の高い臨床研究・治験の中心的役割。 ・承認者の違い(知事か大臣か)も頻出である。
