開業したら誰に届ける?―「許可」と「届出」で整理する医療法の開設手続き
第120回医師国家試験 B問題 第2問
国試問題にチャレンジ
診療所開設の届出先はどれか。
- a.市町村長
- b.厚生労働大臣
- c.地区医師会長
- d.都道府県知事
- e.地域医療支援病院長
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
ドクターまとめ
医療法では、臨床研修を修了した医師が無床または19床以下の診療所を開設した場合、開設後10日以内に所在地の都道府県知事へ届け出ることと定められています(第8条)。一方、病院の開設、医師以外による診療所の開設、診療所への病床設置には、事前に都道府県知事の許可が必要です(第7条)。保健所を設置する市や特別区では市長・区長が届出先となり、実務上の窓口は保健所ですが、原則は都道府県知事です。医師会や地域医療支援病院は行政機関ではなく、厚生労働大臣は特定機能病院の承認など全国的な事項を担います。「許可か届出か」「誰が権限を持つか」を整理しておくことは、医療法関連の出題に答えるうえでも、将来の開業実務を理解するうえでも役立ちます。
解答・解説
正解はdです
問われていること
医療機関の開設手続きを定める医療法のうち、診療所を開設したときの届出先を問う問題である。
医療法における開設手続きの整理
医療法では、開設する施設の種類と開設者によって「許可」と「届出」が使い分けられている。 ・病院(入院用のベッド20床以上):開設者が誰であっても、開設前に都道府県知事の許可が必要である(医療法第7条)。 ・診療所(無床または19床以下): - 臨床研修を修了した医師(歯科診療所では歯科医師)が開設する場合は、開設後10日以内に、所在地の都道府県知事に届け出ればよい(医療法第8条)。 - 医師・歯科医師以外の者(医療法人など)が開設する場合は、病院と同様に都道府県知事の許可が必要である(医療法第7条)。 - 診療所に病床を設ける場合は、開設者にかかわらず病床設置について都道府県知事の許可が必要である。 ・助産所:助産師が開設する場合は届出、それ以外の者が開設する場合は許可である。 つまり、医療施設の開設に関する許可・届出の権限は、原則として都道府県知事にある。医師が個人で診療所を開業する典型的な場面では「都道府県知事への届出」となる。 なお、条文上、診療所の所在地が保健所を設置する市(政令指定都市・中核市など)または東京都の特別区にある場合は、届出先はその市長または区長となる。また、実際の書類の提出窓口は、所在地を管轄する保健所である。試験では原則としての「都道府県知事」を選べばよい。
選択肢考察
- ×a. 市町村長
医療施設の開設に関する許可・届出の受理と監督は、医療法上、原則として都道府県知事の権限である。市町村長が一般に届出先となるわけではない。例外として、保健所を設置する市(政令指定都市・中核市など)や特別区の区域内の診療所では市長・区長が届出先となるが、これは保健所設置自治体としての特例であり、一般的な「市町村長」が届出先であるとはいえない。
- ×b. 厚生労働大臣
厚生労働大臣は医療制度全体の企画立案や、特定機能病院の承認などの全国的な事項を担う。個々の診療所の開設届は地域の医療行政の範囲であり、厚生労働大臣への届出ではない。
- ×c. 地区医師会長
医師会は医師が加入する公益的な職能団体であり、行政機関ではない。開業時に地区医師会へ入会・挨拶をすることは実務上あるが、医療法に基づく開設届の受理者ではなく、入会も義務ではない。
- ○d. 都道府県知事
医療法第8条により、臨床研修を修了した医師が診療所を開設したときは、開設後10日以内に所在地の都道府県知事に届け出なければならない。病院の開設許可や医師以外による診療所開設の許可も都道府県知事が行い、医療施設の開設・監督は都道府県の所管である。実務上の提出窓口は管轄の保健所であり、保健所設置市・特別区では市長・区長が届出先となる。
- ×e. 地域医療支援病院長
地域医療支援病院は、かかりつけ医からの紹介患者の受け入れや医療機器の共同利用、地域の医療従事者の研修などを通じて地域医療を支える病院で、都道府県知事が承認する。医療機関の一つにすぎず行政機関ではないため、診療所の開設届を受理する立場にはない。
許可制と届出制の違い
・許可制:開設前に行政が構造設備や人員などを審査し、許可を得てはじめて開設できる。病院、医師以外が開設する診療所、病床を設ける診療所などが該当する。 ・届出制:開設自体は自由で、開設後に行政へ届け出る。その後、行政の立入検査などによる監督を受ける。医師が開設する無床診療所が代表例である。
病院と診療所の定義(医療法)
・病院:医師または歯科医師が医業・歯科医業を行う場所で、20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの。 ・診療所:入院施設を有しないもの、または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの。
医療法上の主な承認・許可権者
・病院の開設許可:都道府県知事 ・地域医療支援病院の承認:都道府県知事 ・特定機能病院の承認:厚生労働大臣 ・臨床研究中核病院の承認:厚生労働大臣
関連事項
・診療所の管理者は、臨床研修を修了した医師でなければならない。 ・開設届のほか、保険診療を行うには地方厚生局への保険医療機関の指定申請が別途必要である。 ・都道府県は医療計画を策定し、二次医療圏ごとの基準病床数などを定める。病院の開設許可や病床設置の際にはこれとの関係も考慮される。
POINT
・医師が開設する診療所:開設後10日以内に都道府県知事へ届出(医療法第8条)。窓口は保健所。 ・病院の開設、医師以外が開設する診療所、診療所の病床設置:都道府県知事の許可が必要(医療法第7条)。 ・保健所設置市・特別区では市長・区長が都道府県知事に代わる。 ・医師会や地域医療支援病院は行政機関ではなく、届出先にはならない。 ・特定機能病院の承認は厚生労働大臣、地域医療支援病院の承認は都道府県知事。
