市町村と都道府県のあいだ―二次医療圏で読み解く地域医療の設計図
第115回医師国家試験 C問題 第1問
国試問題にチャレンジ
二次医療圏について正しいのはどれか。
- a.中学校区に該当する。
- b.各市町村に該当する。
- c.各都道府県内の複数の市町村を含む。
- d.各都道府県に該当する。
- e.複数の都道府県を含む。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
医療圏は、都道府県が医療法に基づく医療計画の中で設定する地理的な単位で、一次医療圏はおおむね市町村、二次医療圏は都道府県内の複数の市町村、三次医療圏は原則として都道府県全体(北海道は複数)に対応します。二次医療圏は救急を含む一般的な入院医療を圏内で完結させることを目指す単位で、療養病床・一般病床の基準病床数や地域医療構想の構想区域の基本となります。医療圏が都道府県をまたぐことはなく、中学校区は地域包括ケアシステムの日常生活圏域の目安であって医療圏とは別の概念です。医療圏の階層を押さえておくと、病床規制や救急医療体制など地域医療の仕組みを理解する土台になります。
解答・解説
正解はcです
医療圏とは、医療提供体制を計画的に整備するための地理的な単位である。各都道府県は医療法に基づいて医療計画を策定し、その中で医療圏を設定する。医療圏は、提供する医療の性格に応じて一次・二次・三次の3段階に分けて考えるのが一般的である。 ・一次医療圏:住民が日常的にかかる診療所(かかりつけ医)などによる身近な医療(プライマリ・ケア)を提供する単位で、おおむね市町村が想定される。 ・二次医療圏:入院を含む一般的な医療が、圏内でおおむね完結することを目指す単位である。地理的条件、日常生活の需要の充足状況、交通事情などの社会的条件を考慮して、複数の市町村をまとめて設定されることが多い。 ・三次医療圏:高度・特殊な医療を提供する単位で、原則として都道府県全体を一つの区域とする。 このように、二次医療圏は市町村(一次)と都道府県(三次)の中間にあたる単位であり、一つの都道府県の中に複数の二次医療圏が置かれ、それぞれが複数の市町村を含む。各段階の範囲を対応づけて覚えておけば解ける問題である。
選択肢考察
- ×a. 中学校区に該当する。
中学校区は医療圏の区分ではない。中学校区を目安とするのは、地域包括ケアシステムの「日常生活圏域」である。高齢者が住み慣れた地域で、おおむね30分以内に医療・介護・介護予防・住まい・生活支援などのサービスを受けられることを想定した単位であり、医療計画の医療圏とは別の概念である。
- ×b. 各市町村に該当する。
市町村単位に相当するのは一次医療圏である。日常的な外来診療や健康相談など、住民に身近な医療を担う範囲として想定されている。なお、一次医療圏は医療法で明確に定められた区域ではなく、規模の大きな市では一つの市の中に複数の一次医療圏が想定されることもある。
- ○c. 各都道府県内の複数の市町村を含む。
二次医療圏は、救急医療を含む一般的な入院医療が圏内でおおむね完結するよう、都道府県が医療計画で設定する区域である。一つの都道府県の中に通常いくつかの二次医療圏が置かれ、それぞれは複数の市町村から構成される。療養病床・一般病床の基準病床数はこの二次医療圏ごとに定められる。また、地域医療構想の構想区域も、二次医療圏を基本として設定されている。
- ×d. 各都道府県に該当する。
都道府県単位に相当するのは三次医療圏である。重度の熱傷や臓器移植、特殊な診断・治療など、高度で専門的な医療を提供する区域として、原則として都道府県全体が一つの圏域となる。例外として、面積の広い北海道では複数の三次医療圏が設定されている。
- ×e. 複数の都道府県を含む。
医療圏は都道府県が自らの医療計画の中で設定するものであり、都道府県の境界を越える医療圏は設定されない。実際には県境を越えて受診する患者もいるため、隣接する都道府県との連携は医療計画の中で考慮されるが、医療圏そのものが複数の都道府県にまたがることはない。
医療計画
医療法に基づき、各都道府県が地域の実情に応じて策定する、医療提供体制の確保に関する計画である。計画期間は6年で、主に次の事項を定める。 ・医療圏(二次医療圏・三次医療圏)の設定 ・基準病床数:療養病床・一般病床は二次医療圏ごと、精神病床・結核病床・感染症病床は都道府県単位で定める。既存の病床数が基準病床数を上回る区域(病床過剰地域)では、新たな病院開設や増床が制限されることがある。 ・5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と6事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療、新興感染症発生・まん延時における医療。6事業目は2024年度からの第8次医療計画で追加された)、および在宅医療の提供体制 ・地域医療構想:将来の医療需要を推計し、病床の機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとの必要量などを示すもので、医療計画の一部である。構想区域は二次医療圏を基本とする。
医療圏の整理
・一次医療圏:市町村単位。日常的な外来医療、プライマリ・ケア。 ・二次医療圏:複数の市町村。一般的な入院医療・救急医療の完結。全国で300余り設定されている。 ・三次医療圏:都道府県単位(北海道は複数)。高度・特殊な医療。
関連する圏域
・日常生活圏域(地域包括ケアシステム):おおむね中学校区。市町村が介護保険事業計画の中で設定する。
POINT
・一次医療圏=市町村、二次医療圏=複数の市町村(都道府県内)、三次医療圏=都道府県(北海道は複数)。 ・医療圏は都道府県が医療計画(医療法)で設定し、都道府県をまたぐ医療圏はない。 ・療養病床・一般病床の基準病床数は二次医療圏ごとに、精神・結核・感染症病床は都道府県単位で定める。 ・中学校区は地域包括ケアシステムの日常生活圏域の目安であり、医療圏ではない。
