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長寿の頂点はどこだ―GDPと平均寿命の散布図を「端から」読み解く

第114回医師国家試験 C問題 第11問

国試問題にチャレンジ

第114回 C問題 第11問

2018年の日本,イスラエル,韓国,中国およびベトナムにおける労働者1人当たりのGDP(横軸)と平均寿命(縦軸)を以下の図に示す。  図中の●の組合せで正しいのはどれか。 ① ② ③ ④ ⑤ a ベトナム イスラエル 中国 韓国 日本 b イスラエル ベトナム 韓国 日本 中国 c 中国 イスラエル ベトナム 韓国 日本 d ベトナム 日本 中国 韓国 イスラエル e イスラエル ベトナム 日本 韓国 中国

第114回 C問題 第11問の問題画像
  1. a.ベトナムイスラエル中国韓国日本
  2. b.イスラエルベトナム韓国日本中国
  3. c.中国イスラエルベトナム韓国日本
  4. d.ベトナム日本中国韓国イスラエル
  5. e.イスラエルベトナム日本韓国中国

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、労働者1人当たりのGDPと平均寿命を並べた散布図から、5か国の位置を当てる問題だ。細かい数字を覚えていなくても、各国の大まかな特徴と、図の「いちばん端にある点」に注目すれば解ける。まずは縦軸、平均寿命から考えてみよう。5か国の中で最も長寿なのはどこかな。
医学生医学生
日本だと思います。公衆衛生の講義で、日本は世界トップクラスの長寿国だと習いました。
ドクタードクター
その通り。2018年の簡易生命表では男性81.25歳、女性87.32歳で、男女合わせると約84歳になる。図でいちばん高い位置にあるのは右上の⑤だから、⑤が日本と決まる。これだけで候補はかなり絞れるよ。
医学生医学生
逆に、平均寿命が最も短い国はどこでしょう。中国かベトナムで迷います。
ドクタードクター
そこが次のポイントだね。中国は平均寿命が約76〜77歳、ベトナムは約75歳とされる。経済面でも、中国のほうが労働者1人当たりのGDPは高い。つまり中国はベトナムより、横軸でも縦軸でも上回ると考えていい。
医学生医学生
ということは、GDPも平均寿命もいちばん低い左下の①がベトナムで、その右上にある③が中国ですね。
ドクタードクター
そう。中国とベトナムを逆にした組合せは、この大小関係に合わないので外せる。では残る②と④はどうだろう。
医学生医学生
イスラエルと韓国ですよね。どちらも先進国のイメージですが、正直、どちらが長寿かは自信がありません。
ドクタードクター
それで大丈夫。両国とも平均寿命は約82〜83歳で、日本に次ぐ水準なんだ。図でも②と④はほぼ同じ高さにある。ここは細かい順位を覚えていなくても、日本・ベトナム・中国が決まった時点で、②イスラエル、④韓国という組合せだけが残る。ちなみにこの図は横軸の目盛りが不等間隔なので、GDPの位置を厳密に比べて判断するのはあまり勧めない。
医学生医学生
確定しやすい国から先に埋めて、選択肢を消していくわけですね。CBTの統計問題でも似た解き方をしました。
ドクタードクター
いい応用だね。ほかの組合せも見ておこう。中国を最も長寿の位置に置いたものは、中国の平均寿命が日本・韓国・イスラエルより短いことと矛盾する。イスラエルを最も平均寿命の短い位置に置いたものも、実際の値と合わない。そして日本を⑤以外に置いたものは、そもそも長寿国としての日本の位置づけと食い違う。
医学生医学生
結局、正解は①ベトナム、②イスラエル、③中国、④韓国、⑤日本の組合せですね。
ドクタードクター
正解。少し発展的な話もしておこう。平均寿命とは0歳時点の平均余命のこと。その年の年齢別死亡率がこの先も変わらないと仮定して計算した期待値なんだ。日本では厚生労働省が毎年の簡易生命表と、国勢調査に合わせて5年ごとの完全生命表を公表している。
医学生医学生
平均寿命って「今生まれた赤ちゃんが実際に何歳まで生きるか」の予測だと思っていました。
ドクタードクター
誤解されやすいところだね。あくまで現時点の死亡率に基づく仮定の値で、将来の医療の進歩などは織り込まれていない。もう一つ、所得と寿命の関係も押さえておこう。一般に、GDPが高い国ほど栄養・衛生・医療へのアクセスが良く、平均寿命も長い傾向がある。これはプレストン曲線として知られていて、所得が一定水準を超えると寿命の伸びは頭打ちになる。
医学生医学生
この図で、イスラエルや韓国が日本とそれほど変わらないのも、その頭打ちの部分にいるからでしょうか。
ドクタードクター
そう解釈できるね。ただ、医療制度や生活習慣、所得格差の影響も大きく、GDPだけで平均寿命が決まるわけではない。臨床に出てからも、地域や国の健康指標を見るときは、経済指標だけでなく背景にある制度や生活を合わせて考える姿勢が大切だよ。

まとめ

GDPと平均寿命の散布図から国を特定する問題では、まず特徴の明確な国を確定させるのが近道です。5か国中で最も長寿なのは日本(2018年:男性81.25歳、女性87.32歳)であり、最も高い位置の点が日本となります。中国(約77歳)はベトナム(約75歳)よりGDPも平均寿命も高いため、左下の最も低い点がベトナム、その上の点が中国と決まり、残る同程度の平均寿命(約82〜83歳)の2点がイスラエルと韓国となります。平均寿命は0歳時点の平均余命であり、所得が高いほど延びるものの一定水準で頭打ちになるという関係(プレストン曲線)も合わせて理解しておくと、国際比較の健康指標を読み解く力が身につきます。

解答・解説

正解はaです

図の読み取り

横軸は労働者1人当たりのGDP(gross domestic product:国内総生産、US$)、縦軸は平均寿命(歳)である。図中の5点はおおよそ次の位置にある。 ・①:GDPが最も低く(2,000〜4,000ドル付近)、平均寿命も最も短い(約74歳) ・②:GDPは低めだが、平均寿命は約82歳と長い ・③:GDPは中程度で、平均寿命は約77歳 ・④:GDPは高く、平均寿命は約82歳 ・⑤:GDPが最も高く、平均寿命も最も長い(80歳台半ば)

各国のおおまかな特徴

・日本:世界でもトップクラスの長寿国である。2018年の簡易生命表では、男性81.25歳、女性87.32歳で、男女を合わせると約84歳となる。5か国中で最も平均寿命が長い。 ・韓国・イスラエル:いずれも平均寿命は約82〜83歳で、日本に次ぐ水準の高所得国である。 ・中国:平均寿命は約76〜77歳。経済成長は著しいが、労働者1人当たりのGDPは先進国より低い。 ・ベトナム:平均寿命は約75歳で、5か国中で最も短い。労働者1人当たりのGDPも最も低い。

解き方

1. 5か国中で平均寿命が最も長いのは日本である。図で最も高い位置にあるのは⑤なので、⑤=日本となる。⑤が日本である選択肢は a と c に絞られる。 2. a と c の違いは、①と③のどちらがベトナムでどちらが中国かである。中国はベトナムより労働者1人当たりのGDPも平均寿命も高い。したがって、両方とも最も低い①がベトナム、③が中国となる。 3. 残る②と④は、平均寿命が同程度(約82歳)のイスラエルと韓国である。a の組合せ(②イスラエル、④韓国)とも矛盾しない。 以上より、①ベトナム、②イスラエル、③中国、④韓国、⑤日本の組合せが正しい。

解答のコツ

この種の国際比較の問題では、まず最も特徴的な国(ここでは平均寿命が最も長い日本、最も短いベトナム)を確定させ、選択肢を絞り込むとよい。似た値の国同士の細かい順位を覚えていなくても正解にたどり着ける。

選択肢考察

  1. ○a.  ベトナムイスラエル中国韓国日本

    ①ベトナム、②イスラエル、③中国、④韓国、⑤日本の組合せである。平均寿命が最も長い⑤が日本、GDPも平均寿命も最も低い①がベトナム、それより両方とも高い③が中国となる。②と④は平均寿命が約82歳でほぼ等しいイスラエルと韓国に当たり、図と矛盾しない。

  2. ×b.  イスラエルベトナム韓国日本中国

    ⑤(平均寿命が最も長い点)を中国としているが、中国の平均寿命は約77歳で、日本・韓国・イスラエルより短い。①をイスラエルとしている点も誤りで、イスラエルの平均寿命は約82歳あり、5か国中最も短い国ではない。②をベトナムとし平均寿命約82歳に置いている点も実際と合わない。

  3. ×c.  中国イスラエルベトナム韓国日本

    ⑤を日本、④を韓国、②をイスラエルとする点は正しいが、①を中国、③をベトナムとしている点が誤りである。中国はベトナムよりも労働者1人当たりのGDP・平均寿命ともに高いため、両方とも最も低い①はベトナムでなければならない。

  4. ×d.  ベトナム日本中国韓国イスラエル

    ①ベトナム、③中国は正しいが、⑤をイスラエル、②を日本としている点が誤りである。5か国中で平均寿命が最も長いのは日本であり、最も高い位置にある⑤が日本になる。また、日本の労働者1人当たりのGDPは中国より高く、③(中国)より左側の②に日本が位置することはない。

  5. ×e.  イスラエルベトナム日本韓国中国

    ⑤を中国としている点が誤りである。中国の平均寿命は約77歳で、日本・韓国・イスラエルより短い。また、③(平均寿命約77歳)を日本としているが、日本は5か国中で最も平均寿命が長い国であり合わない。①をイスラエル、②をベトナムとしている点も、両国の平均寿命の大小関係が逆である。

平均寿命と平均余命

平均寿命とは0歳時点の平均余命のことである。その年の年齢別死亡率がこの先も変わらないと仮定したとき、0歳児があと何年生きられるかの期待値を示す。日本では厚生労働省が毎年「簡易生命表」を、5年ごとの国勢調査に合わせて「完全生命表」を公表している。

日本の平均寿命

日本の平均寿命は世界でも最上位の水準にあり、女性は男性より約6年長い。2018年の簡易生命表では、男性81.25歳、女性87.32歳であった。

経済指標と健康指標の関係

一般に、国民1人当たりや労働者1人当たりのGDPが高い国ほど、栄養状態、衛生環境、医療へのアクセスが良く、平均寿命も長い傾向がある(プレストン曲線として知られる関係)。ただし、所得が一定水準を超えると平均寿命の伸びは頭打ちになる。また、医療制度や生活習慣、所得格差などの影響も大きく、GDPだけで平均寿命が決まるわけではない。労働者1人当たりのGDPは、国全体のGDPを就業者数で割った値で、労働生産性の指標として用いられる。人口1人当たりのGDPと比べて、国ごとの順位が大きく入れ替わることは少ない。

POINT

・5か国中、平均寿命が最も長いのは日本(2018年:男性81.25歳、女性87.32歳) ・韓国とイスラエルは平均寿命約82〜83歳で日本に次ぐ ・中国(約77歳)はベトナム(約75歳)より、平均寿命・GDPともに高い ・国際比較の図問題は、日本など特徴の明確な国から確定し、選択肢を絞り込む

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。