StudyMed医師国家試験

5つの内診所見を足し算する―Bishopスコアで「お産の準備度」を読む

第112回医師国家試験 F問題 第55問

国試問題にチャレンジ

第112回 F問題 第55問

28歳の初産婦。妊娠39週0日に陣痛発来のため入院した。これまでの妊娠経過に異常はなかった。入院時の内診で子宮口は3cm開大,展退度は50%,児頭下降度はSP-2cm,硬さは中等硬,位置は後方である。  この患者のBishopスコアはどれか。

  1. a.5 点
  2. b.6 点
  3. c.7 点
  4. d.8 点
  5. e.9 点

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、陣痛で入院した初産婦さんの内診所見からBishopスコアを計算する問題だ。5つの項目それぞれの配点の区切りを正確に覚えているかが勝負になる。まず、Bishopスコアが何を評価する指標か説明できるかな。
医学生医学生
子宮頸管がどれくらい熟化しているか、つまり分娩に向けて準備ができているかを点数化するもの、と産婦人科の講義で習いました。
ドクタードクター
その通り。項目は子宮口開大度、頸管展退度、児頭下降度、頸部の硬さ、子宮口の位置の5つ。前の3つは0〜3点、後ろの2つは0〜2点で、満点は13点だ。では、ひとつずつ採点していこう。まず子宮口開大度から。
医学生医学生
開大度は、0cmが0点、1〜2cmが1点、3〜4cmが2点、5cm以上が3点でしたよね。今回は3cmなので2点です。
ドクタードクター
正解。次は頸管展退度。展退というのは、頸管が短く薄くなっていく程度を百分率で表したもので、展退していない頸管をおよそ3cmとして、完全に消えた状態を100%とする。
医学生医学生
0〜30%が0点、40〜50%が1点、60〜70%が2点、80%以上が3点なので、50%は1点ですね。50%だと真ん中あたりなので、つい2点にしたくなります。
ドクタードクター
そこがまさに引っかけポイントだ。50%はまだ1点の区分に入る。境界値をあいまいに覚えていると、ここで1点ずれてしまう。次は児頭下降度だ。
医学生医学生
坐骨棘を結ぶ線を0として、それより上がマイナスでしたっけ。
ドクタードクター
そう。児頭の先進部が坐骨棘の線より母体の頭側にあればマイナス、足側に下がればプラスで表す。配点は−3cmが0点、−2cmが1点、−1〜0cmが2点、+1cm以上が3点だ。
医学生医学生
今回はSP−2cmなので1点ですね。マイナスの数字だと0点にしてしまいそうで、注意が必要だと思いました。
ドクタードクター
いい気づきだね。残りは硬さと位置。硬さは硬・中等硬・軟の順に0・1・2点。位置は後方・中央・前方の順に0・1・2点だ。
医学生医学生
中等硬で1点、後方で0点です。全部足すと、2+1+1+1+0で5点になります。
ドクタードクター
正解、5点だ。ほかの点数になってしまう人は、どこかの項目で1点ずつ多く数えていることが多い。たとえば後方を1点にする、SP−2cmを2点にする、開大度3cmを3点にする、展退度50%を2点にする、といった具合だ。9点という数字は頸管が十分に熟化している目安で、硬さや位置、展退の所見とは合わないね。
医学生医学生
硬さと位置って、実際にはどんな感覚なんでしょう。OSCEの内診シミュレーターではそこまでわからなくて。
ドクタードクター
よく例えられるのは、硬い頸部は鼻翼くらい、軟らかい頸部は口唇くらいの硬さということ。位置については、未熟な頸管は後方、つまり仙骨側を向いていて、熟化が進むにつれて中央から前方へと移ってくる。分娩が近づくほど頸管は軟らかく、短く、前を向くと覚えるとイメージしやすい。
医学生医学生
では、スコアが低いと臨床的にはどう扱うんですか。
ドクタードクター
Bishopスコアは特に分娩誘発を考えるときに重要になる。点数が高いほど誘発が成功しやすく、経腟分娩に至りやすい。一般に9点以上で熟化良好とされ、目安として4点以下のように低い場合は頸管が未熟と判断して、誘発の前に頸管熟化処置を考える。ラミナリアなどの吸湿性頸管拡張材、メトロイリンテル、プロスタグランジンE2製剤などが使われる。
医学生医学生
今回は自然に陣痛が来ているので、点数が中くらいでも経過を見ながら進めていけばよいということですね。
ドクタードクター
そういうこと。陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上になった時点が分娩開始で、そこから子宮口全開大までが分娩第1期だ。Bishopスコアは「今どの段階にいるか」を共有する共通言語として、病棟でも頻繁に使われるよ。

まとめ

Bishopスコアは、子宮口開大度・頸管展退度・児頭下降度(各0〜3点)と頸部の硬さ・子宮口の位置(各0〜2点)の5項目を合計し、子宮頸管の熟化の程度を評価する指標で、満点は13点です。本例は開大度3cm(2点)、展退度50%(1点)、SP−2cm(1点)、中等硬(1点)、後方(0点)で合計5点となります。展退度50%や開大度3cmなど、区分の境界値を取り違えると1点ずつずれるため、配点表を正確に覚えることが重要です。一般に9点以上は熟化良好とされ、点数が低い場合は分娩誘発の前にラミナリアやメトロイリンテル、プロスタグランジンE2製剤などによる頸管熟化処置を考えます。分娩誘発の可否や分娩進行の評価に直結するため、産科臨床の基本として確実に計算できるようにしておきたい指標です。

解答・解説

正解はaです

Bishopスコアとは

Bishopスコアは、内診で分かる子宮頸管の5つの所見を点数にして合計し、子宮頸管がどの程度熟化しているか(分娩に向けてどれだけ準備が整っているか)を評価する指標である。項目は、子宮口開大度、頸管展退度、児頭下降度(station)、頸部の硬さ、子宮口の位置の5つである。前の3項目は0〜3点、後の2項目は0〜2点で、満点は13点である。

採点表

・子宮口開大度: 0cm=0点、1〜2cm=1点、3〜4cm=2点、5cm以上=3点 ・頸管展退度: 0〜30%=0点、40〜50%=1点、60〜70%=2点、80%以上=3点 ・児頭下降度(SP: 坐骨棘を結ぶ線からの距離): −3cm=0点、−2cm=1点、−1〜0cm=2点、+1cm以上=3点 ・頸部の硬さ: 硬=0点、中等硬=1点、軟=2点 ・子宮口の位置: 後方=0点、中央=1点、前方=2点

本例の計算

・子宮口開大度 3cm → 2点 ・頸管展退度 50% → 1点 ・児頭下降度 SP−2cm → 1点 ・硬さ 中等硬 → 1点 ・位置 後方 → 0点 合計は 2+1+1+1+0=5点 である。

選択肢考察

  1. ○a.  5 点

    正しい。開大度3cm(2点)、展退度50%(1点)、SP−2cm(1点)、中等硬(1点)、後方(0点)を合計すると5点になる。

  2. ×b.  6 点

    誤り。計算は5点である。どこか1項目を1点多く数えると6点になる。例えば、子宮口の位置「後方」を1点とする(正しくは0点、中央が1点)、SP−2cmを2点とする(2点は−1〜0cm)といった誤りである。

  3. ×c.  7 点

    誤り。2項目を1点ずつ多く数えると7点になる。開大度3cmを3点とする(3点は5cm以上)、展退度50%を2点とする(2点は60〜70%)など、境界値を取り違えないよう注意する。

  4. ×d.  8 点

    誤り。本例の所見から8点にはならない。正しい合計は5点である。

  5. ×e.  9 点

    誤り。9点以上は頸管が十分に熟化していることを示す点数で、本例の所見(中等硬、後方、展退50%など)とは合わない。正しい合計は5点である。

Bishopスコアの臨床的な意味

・点数が高いほど頸管は熟化しており、分娩誘発の成功率が高く、経腟分娩に至りやすい。 ・一般に9点以上で頸管熟化が良好とされる。点数が低い場合(目安として4点以下)は頸管が未熟化と判断し、分娩誘発の前に頸管熟化処置を考える。熟化処置には、吸湿性頸管拡張材(ラミナリアなど)、メトロイリンテル(バルーン)、プロスタグランジンE2製剤などを用いる。

項目の補足

・頸管展退度: 頸管が短く薄くなる程度を百分率で表す。展退していない頸管長をおよそ3cm(0%)とし、完全に消失したものを100%とする。 ・児頭下降度(station): 母体の坐骨棘を結ぶ線を0として、児頭の先進部がそれより上(母体頭側)にあればマイナス、下にあればプラスでcm単位で表す。 ・頸部の硬さ: 硬は鼻翼程度、軟は口唇程度の硬さに例えられる。 ・子宮口の位置: 未熟な頸管は後方(仙骨側)を向き、熟化が進むと中央から前方へ移る。

分娩の経過

分娩第1期は陣痛開始(陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上)から子宮口全開大(10cm)まで。第2期は全開大から胎児娩出まで。第3期は胎児娩出から胎盤娩出までである。

POINT

・Bishopスコアは5項目(開大度、展退度、児頭下降度、硬さ、位置)の合計で、満点は13点。 ・開大度は0/1〜2/3〜4/5cm以上、展退度は0〜30/40〜50/60〜70/80%以上、下降度は−3/−2/−1〜0/+1以上で、それぞれ0〜3点。 ・硬さは硬/中等硬/軟、位置は後方/中央/前方で、それぞれ0〜2点。 ・9点以上は頸管熟化良好。低い点数では分娩誘発の前に頸管熟化処置を考える。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。