StudyMed医師国家試験

片足立ちからスキップへ―幼児の「できる」を年齢順に並べる発達マイルストーン

第112回医師国家試験 F問題 第18問

国試問題にチャレンジ

第112回 F問題 第18問

発達過程において,可能になる年齢が最も遅いのはどれか。

  1. a.ごっこ遊びをする。
  2. b.自分の年齢を言う。
  3. c.スキップをする。
  4. d.片足立ちをする。
  5. e.三輪車に乗る。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は小児の発達の目安、いわゆるマイルストーンを比べる問題だ。運動、言語、社会性と領域がばらばらの項目が並んでいるけれど、それぞれ何歳ごろにできるようになるかを思い浮かべて、時間軸の上に並べてみるのがコツだよ。
医学生医学生
小児科の講義で発達の表は見たんですが、項目が多すぎて年齢がごちゃごちゃになっています。
ドクタードクター
大丈夫、軸を一本決めると整理しやすい。まずは粗大運動から。首すわりが3〜4か月、ひとり歩きが1歳から1歳3か月ごろ、2歳で走ったり両足でぴょんぴょん跳んだりできる。その先はどうなるかな。
医学生医学生
3歳で三輪車、というのは聞いたことがあります。片足立ちも同じくらいでしょうか。
ドクタードクター
その通り。短時間の片足立ちは2歳半〜3歳ごろ、三輪車のペダルをこげるのが3歳ごろで、どちらも3歳児の粗大運動の代表的な目安だ。三輪車は両足を交互に動かす協調運動の発達を示しているんだ。
医学生医学生
片足立ちができたら、次は片足で跳ぶケンケンですか。
ドクタードクター
いい流れだね。4歳ごろにケンケンができるようになり、その先にあるのがスキップだ。スキップは片足で体重を支えながら跳ねて、左右の足をリズムよく切り替えて前に進む動作。バランス、跳躍、左右の協調が同時に要るから、4歳半〜5歳ごろにようやく獲得される。
医学生医学生
つまり片足立ち、ケンケン、スキップという順番で積み上がっていくわけですね。スキップがかなり後になるのは納得です。
ドクタードクター
そう、粗大運動は前の段階を土台に積み上がっていくと考えると覚えやすい。では運動以外の項目も確認しよう。自分の年齢を言えるのはいつごろだと思う?
医学生医学生
2歳くらいで指を2本立てているイメージがあるので、2歳でしょうか。
ドクタードクター
指で示すのはもう少し早い段階でもみられるけれど、言葉で年齢を言えるのは一般に3歳ごろ、早い子で2歳半ごろとされる。同じ時期に自分の姓名も言えるようになり、3語文や「なぜ」「どうして」という質問も出てくる。3歳児健診で確認される代表的な言語の項目だよ。
医学生医学生
ごっこ遊びはもっと早くからやっている気がします。小児科の実習で、外来の待合室で2歳くらいの子がおもちゃの電話で話す真似をしていました。
ドクタードクター
鋭い観察だね。それは「見立て遊び」で、2歳ごろからみられる。ある物を別の物に見立てる象徴機能の芽生えだ。それが発展して、お母さん役やお店屋さん役のように役割を分担して友達と一緒に遊ぶごっこ遊びになるのが3〜4歳ごろなんだ。
医学生医学生
見立て遊びとごっこ遊びは段階が違うんですね。それでも5歳ごろのスキップよりは早いということですか。
ドクタードクター
その通り。並べると、片足立ち、三輪車、年齢を言うがだいたい3歳前後、ごっこ遊びが3〜4歳、スキップが4歳半〜5歳。だから最も遅いのはスキップになる。
医学生医学生
領域が違っても、年齢に置き換えて一列に並べれば比べられるんですね。
ドクタードクター
そうなんだ。ついでに描画の発達もセットで覚えておくと便利だよ。丸をまねて描くのが3歳、十字が4歳、四角や三角が5歳、ひし形が6歳ごろ。5歳では人物画で顔と手足を描けるようになり、じゃんけんの勝ち負けもわかってくる。
医学生医学生
OSCEの小児診察の練習でも発達の確認項目が出てきましたが、描画は検査のときに使いやすそうですね。
ドクタードクター
実際、乳幼児健診ではこうした通過年齢をもとに発達を評価するし、遠城寺式乳幼児分析的発達検査法、日本版デンバー式発達スクリーニング検査、新版K式発達検査などのツールもある。ただし大事な注意点がある。通過年齢はあくまで多くの子ができるようになる目安で、発達には個人差がある。単一の項目が少し遅いだけで異常と決めつけず、領域全体のバランスや経時的な変化をみて判断することが必要なんだ。
医学生医学生
保護者に「まだスキップができない」と相談されたら、年齢や他の領域の発達もあわせて見て、必要なら経過を追う、という対応になりそうですね。
ドクタードクター
その姿勢がまさに臨床で求められるものだよ。不安な保護者に寄り添いつつ、本当に支援が必要な子を見逃さないためにも、マイルストーンの知識は武器になる。

まとめ

幼児の発達は粗大運動・微細運動・言語・社会性の各領域に目安となる通過年齢があり、異なる領域の項目でも年齢に置き換えれば比較できます。短時間の片足立ちと三輪車、自分の年齢や姓名を言うことはおおむね3歳前後、役割を分担するごっこ遊びは3〜4歳ごろ、スキップは4歳半〜5歳ごろで、本問では最も遅いのはスキップです。粗大運動は「片足立ち→ケンケン→スキップ」と積み上がり、描画も「丸(3歳)→十字(4歳)→四角・三角(5歳)→ひし形(6歳)」と順に進むため、セットで覚えると整理しやすくなります。通過年齢はあくまで目安であり、個人差を踏まえて領域全体や経時的変化から評価する姿勢が、乳幼児健診や保護者対応の場で欠かせません。

解答・解説

正解はcです

小児の発達は、粗大運動、微細運動、言語、社会性(対人関係・遊び)といった領域ごとに、おおよその通過年齢(標準的な子どもの多くができるようになる年齢)が知られている。本問は、幼児期の各領域のマイルストーン(発達の目安)を比較し、最も遅く獲得されるものを選ぶ問題である。 各選択肢のおおよその獲得年齢を整理すると次のようになる。 ・片足立ち(短時間):2歳半〜3歳 ・三輪車をこぐ:3歳 ・自分の年齢を言う:3歳ころ ・ごっこ遊び:3〜4歳 ・スキップ:4歳半〜5歳 粗大運動は「歩く→走る→両足跳び→片足立ち・三輪車→片足跳び(ケンケン)→スキップ」の順に発達する。スキップは片足ずつ交互に跳ねながら前進する動作で、片足でのバランス保持、リズムの切り替え、左右の協調が同時に必要となるため、幼児期の粗大運動の中でも獲得が遅い。したがって最も遅いのはスキップである。

選択肢考察

  1. ×a.  ごっこ遊びをする。

    ままごとなどのごっこ遊びは3〜4歳(3歳半〜4歳ころ)に盛んになる。2歳ころの物を別の物に見立てる「見立て遊び」が発展し、役割を分担して友達と一緒に遊べるようになるものである。象徴機能(あるものを別のもので表す能力)と他者との関わりの発達を反映する。スキップより早い。

  2. ×b.  自分の年齢を言う。

    自分の年齢を言えるようになるのは3歳ころ(早い子では2歳半ころ)である。同じ時期に自分の姓名も言えるようになり、3語文や「なぜ」「どうして」といった質問が出てくる。3歳児健康診査で確認される代表的な言語発達の項目であり、スキップより早い。

  3. ○c.  スキップをする。

    スキップは4歳半〜5歳ころに可能となり、選択肢の中で最も遅い。スキップには片足で体重を支えるバランス能力、跳躍、左右の足の交互のリズム的な切り替えが必要で、片足立ち(3歳)、片足跳び(ケンケン、4歳)を経てようやく獲得される。5歳ころの粗大運動の代表的な目安である。

  4. ×d.  片足立ちをする。

    短時間の片足立ちは2歳半〜3歳ころに可能となる。その後、片足立ちの持続時間は年齢とともに延び、4歳ころには片足跳び(ケンケン)ができるようになる。スキップはこの片足でのバランス能力を前提とする動作であり、片足立ちの方が早い。

  5. ×e.  三輪車に乗る。

    三輪車のペダルをこいで進めるのは3歳ころである。両下肢を交互に動かす協調運動の発達を示し、3歳児の粗大運動の代表的な目安とされる。スキップより早い。

幼児期の主な発達の目安

・1歳:ひとり歩き(1歳〜1歳3か月)、意味のある単語(有意語)を話す。 ・1歳6か月:上手に歩く、なぐり書き、2〜3語の単語、絵本の絵を指さす。 ・2歳:走る、両足でぴょんぴょん跳ぶ、階段を手すりで昇り降り、2語文、積み木を数個積む、見立て遊び。 ・3歳:片足立ち(短時間)、三輪車をこぐ、階段を足を交互に出して昇る、円を描く(丸をまねて描く)、姓名・年齢を言う、3語文、衣服の着脱を手伝ってもらいながらする。 ・4歳:片足跳び(ケンケン)、十字をまねて描く、ごっこ遊び・友達と協同して遊ぶ、ボタンをかける、簡単な質問に答える。 ・5歳:スキップ、四角形・三角形をまねて描く、人物画(顔と手足のある絵)、じゃんけんの勝ち負けがわかる、色の名前を言う、ひとりで衣服の着脱。 ・6歳:ひし形をまねて描く、なわとび、文字への関心の高まり。

粗大運動の発達順序

頸定(3〜4か月)→寝返り(5〜6か月)→おすわり(7か月)→つかまり立ち(9か月)→ひとり歩き(1歳〜1歳3か月)→走る・両足跳び(2歳)→片足立ち・三輪車(3歳)→ケンケン(4歳)→スキップ(5歳)。

評価法

乳幼児健康診査では、こうした通過年齢をもとに発達の遅れを評価する。代表的な評価ツールとして遠城寺式乳幼児分析的発達検査法、日本版デンバー式発達スクリーニング検査(DENVER II)、新版K式発達検査などがある。発達には個人差があるため、単一項目の遅れだけで判断せず、領域全体の進み方や経時的な変化をみて評価する。

POINT

・スキップは5歳(4歳半〜5歳)の粗大運動の目安で、本選択肢中もっとも遅い。 ・3歳でできること:片足立ち、三輪車、姓名・年齢を言う、丸を描く。 ・4歳:ケンケン、十字を描く、ごっこ遊び。 ・5歳:スキップ、四角・三角を描く。 ・粗大運動は「片足立ち→ケンケン→スキップ」の順に発達する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。