StudyMed医師国家試験

2歳の誕生日に何ができる?―「2語文」と「小走り」で押さえる発達マイルストーン

第109回医師国家試験 G問題 第31問

国試問題にチャレンジ

第109回 G問題 第31問

2歳0か月児の発達で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. a.2語文を言う。
  2. b.小走りができる。
  3. c.自分の年齢を言う。
  4. d.自分の名前を言う。
  5. e.1人で階段を降りることができる。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、2歳0か月の子どもが通常どんなことをできるかを問う問題だ。発達は粗大運動・微細運動・言語・社会性の領域ごとに、おおよその獲得時期を整理して覚えるのがコツ。選択肢も言語と運動に分けて考えてみよう。
医学生医学生
言語だと、2語文、名前、年齢が並んでいますね。どれも2歳くらいでできそうな気がしてしまいます。
ドクタードクター
そこが迷いどころだね。言語は「単語→2語文→3語文・会話」と段階的に進む。意味のある単語、つまり有意語が出るのが1歳ころ。そこから2歳までに語彙が一気に増えて、2つの単語をつなげる2語文が出てくるんだ。
医学生医学生
「ジュース ちょうだい」みたいな言い方ですね。小児科実習で外来の子がそう話していて、お母さんが「最近しゃべるようになって」と喜んでいました。
ドクタードクター
まさにそれが2語文。だから2語文は2歳0か月で可能、正しい選択肢だね。逆に、2歳を過ぎても2語文が出なければ言語発達の遅れとして評価の対象になる。では、自分の名前や年齢を言うのはどうかな。
医学生医学生
名前は呼ばれたら振り向くので、言えるのも早いのかと思っていました。
ドクタードクター
「呼ばれて反応する」理解と「自分で答える」表出は別物なんだ。自分の名前を言い始めるのは2歳半ころで、姓名をはっきり言えるのは3歳ころ。年齢はさらに、数や年齢という抽象的な概念の理解が必要だから、確実に言えるのは3歳ころになる。2歳0か月ではどちらもまだ早いね。
医学生医学生
3歳児健診で名前と年齢を聞くのは、そのためなんですね。公衆衛生の講義で母子保健法の健診を習いました。
ドクタードクター
その通り。母子保健法で市町村に義務付けられているのは1歳6か月児健診と3歳児健診で、3歳児健診では会話や名前・年齢の応答を確認する。次は運動だ。小走りと、1人で階段を降りる。どちらが2歳で可能だろう。
医学生医学生
走り始めは1歳6か月ころと覚えたので、小走りは大丈夫そうです。階段も2歳なら昇れる子がいるので、降りるのもできるのでは。
ドクタードクター
小走りはその通り正解。1歳半の走りはぎこちなく転びやすいけれど、2歳になると転ばずに小走りでき、その場で両足ジャンプやボールを蹴ることもできるようになる。一方、階段は「昇るのが先、降りるのが後」が鉄則なんだ。
医学生医学生
降りる方が難しいのはなぜですか。大人の感覚だと降りる方が楽に思えます。
ドクタードクター
降りるときは、片足で体重を支えながらもう一方の足を下の段に下ろす必要がある。つまり片足立ちのバランス能力が要るんだ。片足立ちが数秒できるのが3歳ころだから、1人で降りられるのは3歳以降が目安。足を交互に出して降りるのはさらに遅く4歳ころだ。手すりにつかまって一段ずつなら2歳台とする資料もあるけれど、「1人で」となると2歳0か月では難しいと考えよう。
医学生医学生
なるほど、2歳0か月でできるのは2語文と小走りですね。運動は「片足立ち」が3歳の目安になると覚えておきます。
ドクタードクター
いいまとめ方だ。ほかの2歳の目安も確認しておこう。微細運動では積み木を6〜8個積む、縦線をまねて描く、スプーンを上手に使う。社会性では積み木を電車に見立てるような「見立て遊び」が出てくる。
医学生医学生
3歳だと三輪車、丸をまねて描く、ごっこ遊び、でしたっけ。CBTの前に表にして覚えました。
ドクタードクター
よく覚えているね。4歳になるとケンケン、十字をまねて描く、交互に足を出して階段を降りる。臨床では、健診でこうしたマイルストーンを確認し、遅れがあれば一つの領域だけなのか全般的なのかを見ることが大切だ。言葉だけが遅いなら難聴の除外も忘れずに。ただし発達には個人差があるので、一つの項目だけで判断せず、経過を追って総合的に評価する姿勢が欠かせない。

まとめ

2歳0か月の正常発達では、言語面で2語文が出現し、粗大運動では転ばずに小走りやその場での両足ジャンプができるようになります。自分の名前や年齢を答えるのは2歳半ころから始まり、確実になるのは3歳ころで、3歳児健診ではこの応答を確認します。階段は昇るのが先で、降りるには片足で体重を支えるバランスが必要なため、1人で降りられるのは片足立ちが可能になる3歳以降、交互に足を出して降りるのは4歳ころが目安です。発達を領域別・年齢別に整理しておくことは、乳幼児健診で遅れを早期に見つけ、適切な支援につなげるための基本となります。

解答・解説

正解はa, bです

2歳0か月の時点で、通常の発達を示す子どもが獲得しているマイルストーン(発達の節目となる能力)を問う問題である。発達の評価では、粗大運動・微細運動・言語・社会性の各領域ごとに、おおよその獲得時期を覚えておく必要がある。 本問の選択肢を領域別に整理すると次のようになる。 ・言語:2語文(2歳ころ)→ 自分の名前・年齢を言う(3歳ころ) ・粗大運動:走る(1歳6か月ころ)→ 転ばずに小走りする(2歳ころ)→ 1人で階段を降りる(3歳以降) 1歳6か月から3歳にかけては、言語では単語から2語文、さらに3語文や簡単な会話へと進み、自己認識の発達に伴って自分の名前や年齢を言えるようになる。運動面では、歩行が安定したのち走ることを覚え、2歳ではその場でジャンプする、手すりにつかまって階段を昇るなどができるようになる。階段を降りる動作は、片足でいったん体重を支えながら下の段へ踏み出す必要があり、昇るより難しく、獲得はさらに遅れる。 したがって、2歳0か月で可能なのは2語文と小走りである。

選択肢考察

  1. ○a.  2語文を言う。

    2語文は2歳ころに出現する。「ワンワン いた」「ジュース ちょうだい」のように、2つの単語をつなげて意味のある文を作る段階である。有意語(意味のある単語)が出るのは1歳ころで、2歳までに語彙が急増し(いわゆる語彙爆発)、2語文につながる。2歳を過ぎても2語文が出ない場合は言語発達の遅れとして評価の対象となる。

  2. ○b.  小走りができる。

    走り始めるのは1歳6か月ころであるが、この時期はまだぎこちなく転びやすい。2歳ころになると転ばずに小走りできるようになり、その場で両足をそろえてジャンプすることも可能になる。したがって2歳0か月で小走りができるのは正常発達の範囲である。

  3. ×c.  自分の年齢を言う。

    自分の年齢を答えられるようになるのは2歳半ころからで、確実に言えるのは3歳ころである。年齢という抽象的な概念と数の理解を要するため、2歳0か月ではまだ難しい。3歳児健康診査では、名前や年齢を問うことで言語・認知の発達を確認する。

  4. ×d.  自分の名前を言う。

    自分の名前を言えるようになるのは2歳半ころからで、姓と名をはっきり言えるのは3歳ころである。2歳0か月では、名前を呼ばれて反応したり、身近な人の名前を理解したりはできても、自分の名前を答える段階には十分に達していないのが一般的である。

  5. ×e.  1人で階段を降りることができる。

    階段は昇る方が早く獲得され、手を引いてもらったり手すりにつかまったりすれば1歳半~2歳ころに昇れるようになる。降りる動作は、片方の足で体重を支えながらもう一方の足を下の段に下ろすため、片足立ちのバランス能力が必要である。片足立ちが数秒できるようになる3歳を過ぎてから、1人で降りられるようになる。足を交互に出して降りられるのはさらに遅く、4歳ころである。

1歳6か月~3歳の主な発達の目安

1歳6か月 ・粗大運動:一人歩きが安定、走り始める ・微細運動:積み木を2~3個積む、なぐり描き ・言語:意味のある単語をいくつか話す 2歳 ・粗大運動:小走り、その場で両足ジャンプ、ボールを蹴る ・微細運動:積み木を6~8個積む、縦線をまねて描く、スプーンを上手に使う ・言語:2語文 ・社会性:積み木を電車などに見立てる「見立て遊び」 3歳 ・粗大運動:片足立ち(数秒)、三輪車をこぐ、交互に足を出して階段を昇る ・微細運動:丸(○)をまねて描く ・言語:3語文・簡単な会話、自分の姓名や年齢を言う ・社会性:ままごとなどのごっこ遊び、友達との遊び 4歳 ・粗大運動:片足跳び(ケンケン)、交互に足を出して階段を降りる ・微細運動:十字(+)をまねて描く

乳幼児健康診査

母子保健法に基づき、1歳6か月児健診と3歳児健診が市町村に義務付けられている。1歳6か月児健診では歩行や有意語の出現、3歳児健診では会話や名前・年齢の応答などを確認し、発達の遅れを早期に発見する。

POINT

・2歳:2語文、小走り、両足ジャンプ、積み木6~8個、スプーンを使う ・3歳:自分の姓名・年齢を言う、片足立ち、三輪車、丸を描く ・階段は昇るのが先、降りるのは後(1人で降りるのは3歳以降) ・2歳で2語文が出なければ言語発達遅滞を疑う

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。