回るコマが教える「何を、どれだけ」―食事バランスガイドの読み解き方
第108回医師国家試験 E問題 第7問
国試問題にチャレンジ
食事バランスガイドのイラストを別に示す。 説明として適切なのはどれか。

- a.「糖尿病患者の献立がわかります」
- b.「食材を無駄にしないために使います」
- c.「検査のための食事の選択に利用します」
- d.「日常の活動に見合った運動がわかります」
- e.「何をどれだけ食べたらよいか示しています」
対話形式の解説
ドクター
医学生
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医学生まとめ
食事バランスガイドは、2005年に厚生労働省と農林水産省が策定した健康な人向けの食生活の目安で、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかをコマのイラストで示したものです。料理を主食・副菜・主菜・牛乳・乳製品・果物の5区分に分け、量を「つ(SV)」という料理単位で数えるため、一般の人にも日々の食事に当てはめやすいのが特徴です。コマの軸は水・お茶、ヒモは菓子・嗜好飲料、運動はコマを回す役として描かれていますが、運動量の具体的な目安を示すものではなく、糖尿病などの食事療法には食品交換表や医師・管理栄養士の指導が用いられます。食事摂取基準や食生活指針との関係を含めて整理しておくと、保健指導や患者説明の場面で適切なツールを選ぶ力につながります。
解答・解説
正解はeです
食事バランスガイドは、2005年に厚生労働省と農林水産省が作った、健康な人向けの食生活の目安である。2000年に定められた「食生活指針」の内容を、日常の行動に移しやすくするために具体化したものであり、1日に「何を」「どれだけ」食べればよいかを、回転するコマ(独楽)のイラストで示している。 イラストでは、料理を主食・副菜・主菜・牛乳・乳製品・果物の5区分に分け、上から多くとるべき区分の順に積み重ねている。区分ごとの量は「つ(SV:サービング)」という料理単位で数える。どれかの区分が不足したり偏ったりするとコマが傾いて倒れること、コマの軸は水・お茶であること、菓子・嗜好飲料はコマを回すヒモとして「楽しく適度に」とされていること、そして運動することでコマが回る(安定する)ことが表現されている。 設問は、このイラストの趣旨を一般の人に説明する言葉として適切なものを選ばせている。ガイドの本質である「何をどれだけ食べたらよいか」を示す選択肢を選べばよい。
選択肢考察
- ×a. 「糖尿病患者の献立がわかります」
不適切である。食事バランスガイドは健康な人を対象とした目安であり、特定の疾患の食事療法を示すものではない。糖尿病、高血圧、腎臓病などで食事制限が必要な人は、医師や管理栄養士の指導に従う必要がある。糖尿病の食事療法には、食品交換表(食品を栄養素の構成で表に分け、80kcalを1単位として交換できるようにしたもの)などが用いられる。
- ×b. 「食材を無駄にしないために使います」
不適切である。食事バランスガイドは、1日の食事の組み合わせと量のバランスを示すものであり、食品ロス(食べられるのに捨てられる食品)を減らすための道具ではない。食べ残しや廃棄の削減は、食育や食品ロス削減推進の施策で扱われるテーマである。
- ×c. 「検査のための食事の選択に利用します」
不適切である。検査前の絶食や、検査のための特別な食事(例:便潜血検査や大腸内視鏡前の検査食など)は医療機関の指示で決めるものであり、食事バランスガイドの目的とは関係がない。ガイドは日常の食生活全般の目安である。
- ×d. 「日常の活動に見合った運動がわかります」
不適切である。イラストには走る人が描かれ、運動によってコマが安定して回ることが示されているが、これは適度な運動の大切さを象徴的に表しているにすぎない。どのくらいの運動量が必要かを具体的に示しているわけではない。逆に、食事量の目安は性別・年齢・身体活動量によって変わるので、身体活動量は「どれだけ食べるか」を決める材料として使われる。運動量の目安は「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」などで示されている。
- ○e. 「何をどれだけ食べたらよいか示しています」
適切である。食事バランスガイドの目的そのものである。5つの料理区分ごとに、1日にとるべき量を「つ(SV)」で示しており、性別・年齢・身体活動量に応じて必要量を調整できる。例えば、成人の標準的な目安(約2,200±200kcal)では、主食5〜7つ、副菜5〜6つ、主菜3〜5つ、牛乳・乳製品2つ、果物2つとされる。栄養素ではなく実際に食べる「料理」で数えるので、一般の人でも日々の食事に当てはめやすい。
5つの料理区分と主な栄養素
主食:ごはん、パン、麺、パスタなど。主に炭水化物(エネルギー源)の供給源。 副菜:野菜、いも、豆類(大豆を除く)、きのこ、海藻などを主材料とする料理。主にビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源。 主菜:肉、魚、卵、大豆・大豆製品などを主材料とする料理。主に蛋白質の供給源。 牛乳・乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズなど。主にカルシウムの供給源。 果物:りんご、みかんなど。主にビタミンCやカリウムの供給源。
イラストの構成要素
コマ本体:上から主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品と果物の順(上ほど多くとる区分)。 軸:水・お茶。食事に欠かせないものとして描かれる。 ヒモ:菓子・嗜好飲料。「楽しく適度に」とされる。 運動:コマを回す人として描かれ、運動することでコマが安定して回ることを表す。
関連する施策
食生活指針(2000年策定、2016年改定):望ましい食生活のための10項目の指針。 日本人の食事摂取基準:エネルギーと各栄養素の摂取量の基準で、厚生労働省が5年ごとに改定する。主に専門職向け。 食事バランスガイド:上記を一般の人向けに料理単位で具体化したもの。 食育基本法(2005年):食育を国民運動として進めるための法律。
POINT
・食事バランスガイドは健康な人を対象に「何をどれだけ食べたらよいか」をコマのイラストで示したもの(厚生労働省・農林水産省、2005年)。 ・料理を主食・副菜・主菜・牛乳・乳製品・果物の5区分に分け、量を「つ(SV)」で表す。 ・軸は水・お茶、ヒモは菓子・嗜好飲料、運動でコマが回る。 ・疾患の食事療法(糖尿病など)には用いず、医師・管理栄養士の指導に従う。
