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出産の中心は「30代前半」へ―母の年齢階級別出生数で読む晩産化のいま

第106回医師国家試験 E問題 第10問

国試問題にチャレンジ

第106回 E問題 第10問

2005年以降の人口動態統計で,母の年齢階級別出生数が最も多い年齢階級はどれか。

  1. a.20~24歳
  2. b.25~29歳
  3. c.30~34歳
  4. d.35~39歳
  5. e.40~44歳

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は人口動態統計の問題だ。母の年齢階級別に出生数を見たとき、最も多いのはどの世代か。キーワードは「晩婚化・晩産化」。日本の出産年齢がこの半世紀でどう動いてきたかをイメージできれば解けるよ。
医学生医学生
なんとなく25〜29歳が一番多いイメージがあります。親世代の話を聞くと、20代半ばで出産している人が多いので。
ドクタードクター
その感覚は1970年代くらいまでなら正解なんだ。当時は25〜29歳が最多で、次が20〜24歳だった。でも女性の高学歴化や社会進出、結婚年齢の上昇によって、出産年齢はずっと高い方へ移動してきた。25〜29歳は長く最多の座にあったけれど、2000年代前半に30〜34歳に逆転されている。
医学生医学生
ということは、2005年以降なら30〜34歳が最多ということですね。
ドクタードクター
その通り。それ以降、現在に至るまで30〜34歳が一貫して最も多く、出生総数のおおむね3分の1強を占める。裏付けとして覚えておきたいのが、第1子出生時の母の平均年齢で、近年はおよそ31歳なんだ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、1975年ごろは25歳台だったと習いました。そこから6歳近く上がっているんですね。
ドクタードクター
よく覚えているね。では残りの年齢階級の位置づけも整理しよう。かつて2番手だった20〜24歳はどうなったと思う?
医学生医学生
晩婚化の影響をいちばん受けていそうなので、かなり減っていそうです。
ドクタードクター
そう、大幅に減った。1980年代初めには30〜34歳を下回り、その後は35〜39歳よりも少なくなっている。近年の順位はおおむね30〜34歳、25〜29歳、35〜39歳、20〜24歳、40〜44歳の順だ。
医学生医学生
35〜39歳が20〜24歳より多いのは意外でした。ただ、それでも最多にはならないんですね。
ドクタードクター
そうだね。35〜39歳は出生数全体が減る中でも割合が上昇しているけれど、絶対数では3番目。40〜44歳も増加傾向で割合は上がっているものの、選択肢の中では最も少ない。「増えている」ことと「最も多い」ことは別だから、問題文が何を聞いているかを丁寧に読もう。
医学生医学生
産婦人科の実習で、外来の妊婦さんに30代後半や40代の方がかなり多い印象がありました。
ドクタードクター
臨床の現場の実感としてはそうだろうね。35歳以上の高年出産では、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、染色体異常などの頻度が上がるから、周産期医療の大きな課題になっている。統計の数字の変化は、そのまま診療の中身の変化につながるんだ。
医学生医学生
もう一つ確認ですが、出生「数」ではなく出生「率」で聞かれたら答えは変わりますか。
ドクタードクター
いい質問だ。出生数は実数、年齢階級別出生率はその年齢の女性人口あたりの割合で、指標としては別物だね。ただ、近年はどちらで見ても30〜34歳が最も高いから、答えは同じになる。とはいえ国試では数と率の違いを突いてくることがあるので、区別する習慣はつけておこう。
医学生医学生
合計特殊出生率もあわせて押さえておいたほうがよさそうですね。
ドクタードクター
そうだね。合計特殊出生率は2005年に1.26と当時の過去最低を記録し、いったんやや持ち直したあと再び低下して、2024年は1.15と過去最低を更新した。人口置換水準の約2.07を大きく下回っている。出生数も2016年に100万人を割り、2024年には日本人の出生で約68.6万人と70万人を下回った。最新の数字は年ごとに変わるから、毎年の統計で更新しておくといい。

まとめ

日本の母の年齢階級別出生数は、かつて25〜29歳が最多でしたが、晩婚化・晩産化により2000年代前半に30〜34歳が逆転し、2005年以降は30〜34歳が一貫して最多です。近年の順位はおおむね30〜34歳>25〜29歳>35〜39歳>20〜24歳>40〜44歳で、第1子出生時の母の平均年齢は約31歳となっています。35歳以上の高年出産の割合は増加しており、妊娠高血圧症候群や染色体異常など周産期のリスク管理がより重要になっています。出生数と出生率の違い、合計特殊出生率の推移とあわせて理解しておくと、人口統計の問題に強くなるだけでなく、少子化や周産期医療の課題を社会的な視点で捉える力にもつながります。

解答・解説

正解はcです

問われていること

人口動態統計における「母の年齢階級別出生数」で、2005年以降に最も出生数が多い年齢階級を問う問題である。晩婚化・晩産化という日本の出生動向の大きな流れを理解していれば解ける。

考え方

日本では1970年代までは25〜29歳の母からの出生が最も多く、次いで20〜24歳が多かった。しかし、女性の高学歴化・社会進出、結婚年齢の上昇(晩婚化)などにより、出産年齢は一貫して高い方へ移動してきた(晩産化)。 ・20〜24歳の出生数は1970年代以降大きく減少した。 ・25〜29歳は長く最多であったが減少が続き、2000年代前半(2003年頃)に30〜34歳に逆転された。 ・30〜34歳はそれ以降、現在に至るまで最多の年齢階級である。 ・35〜39歳、40〜44歳は出生数全体が減る中でも構成割合が上昇してきた。 2005年以降の出生数の順位はおおむね「30〜34歳 > 25〜29歳 > 35〜39歳 > 20〜24歳 > 40〜44歳」であり、最も多いのは30〜34歳である。第1子出生時の母の平均年齢もおよそ31歳となっており、出生の中心が30歳代前半にあることと合致する。

選択肢考察

  1. ×a.  20~24歳

    20〜24歳の母からの出生数は、1970年代前半までは25〜29歳に次いで多かったが、晩婚化の進行とともに大幅に減少した。1980年代初めには30〜34歳を下回り、その後35〜39歳よりも少なくなっている。2005年以降は5つの選択肢の中で4番目であり、最多ではない。

  2. ×b.  25~29歳

    25〜29歳はかつて出生数が最も多い年齢階級であったが、晩産化により年々減少し、2000年代前半に30〜34歳に抜かれた。2005年以降は30〜34歳に次ぐ2番目であり、最多ではない。

  3. ○c.  30~34歳

    30〜34歳の母からの出生数は1970年代後半から増加し、その後しばらく横ばいで推移したのち、25〜29歳の減少に伴って2000年代前半に最多の年齢階級となった。2005年以降も一貫して最も多く、出生総数に占める割合も最大(おおむね3分の1強)である。第1子出生時の母の平均年齢が約31歳であることからも、出産の中心が30歳代前半にあることがわかる。

  4. ×d.  35~39歳

    35〜39歳の母からの出生数は1970年代後半から徐々に増え、20〜24歳を上回るようになった。出生総数に占める割合も上昇しているが、2005年以降の出生数は30〜34歳、25〜29歳に次ぐ3番目であり、最多ではない。高年出産(35歳以上)の増加は、妊娠高血圧症候群や染色体異常などの頻度上昇とも関連し、周産期医療上の課題となっている。

  5. ×e.  40~44歳

    40〜44歳の母からの出生数は近年増加傾向にあり、出生総数に占める割合も上がっている。しかし絶対数では選択肢の中で最も少なく、最多にはほど遠い。

日本の出生動向の要点

・出生数:第1次ベビーブーム(1947〜1949年)に年間約270万人、第2次ベビーブーム(1971〜1974年)に約200万人であったが、以降は減少傾向が続き、2016年に100万人を下回った。2024年には、国の人口動態統計(日本における日本人の出生)で約68.6万人となり、初めて70万人を下回った(外国人等を含む速報値では約72万人である)。 ・合計特殊出生率(1人の女性が15〜49歳の間に産む子どもの数の平均):2005年に1.26と当時の過去最低を記録し、その後やや回復したが再び低下し、2023年は1.20、2024年は1.15と過去最低を更新している。人口を維持するのに必要な水準(人口置換水準)は約2.07である。 ・晩産化:第1子出生時の母の平均年齢は1975年の約25.7歳から上昇を続け、近年は約31歳となっている。 ・母の年齢階級別出生率(女性人口あたりの出生率)でも、30〜34歳が最も高い。

出生数と出生率の区別

「出生数」は実数、「出生率」は人口あたりの割合である。本問は出生数を問うているが、年齢階級別の出生率でみても近年は30〜34歳が最も高く、いずれの指標でも同じ答えになる。

POINT

・母の年齢階級別出生数は、2000年代前半以降、30〜34歳が最多である(それ以前は25〜29歳が最多)。 ・近年の順位:30〜34歳 > 25〜29歳 > 35〜39歳 > 20〜24歳 > 40〜44歳。 ・背景は晩婚化・晩産化で、第1子出生時の母の平均年齢は約31歳。 ・35歳以上の高年出産の割合は増加している。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。