1年で体重3倍、身長1.5倍―乳児の成長を「数字の比」でつかむ
第104回医師国家試験 B問題 第30問
国試問題にチャレンジ
生後1年間の成長について正しいのはどれか。
- a.身長は約2倍になる。
- b.体重は約3倍になる。
- c.頭囲は約2倍になる。
- d.胸囲は約2倍になる。
- e.体表面積は約3倍になる。
対話形式の解説
ドクター
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ドクターまとめ
生後1年間で体重は約3kgから約9kgへと約3倍に増える一方、身長は約50cmから約75cmへ約1.5倍、頭囲・胸囲はともに約45〜46cmとなり約1.4倍にとどまります。体表面積は身長と体重の両方から算出され、体重のおおむね2/3乗に比例するため、約0.2m²から約0.4m²強へと約2倍の増加となります。長さの指標は1.5倍前後、重さは3倍、体表面積はその中間という大小関係を押さえると、数値があいまいでも正答を導けます。体重は3〜4か月で2倍、身長は4歳で2倍、胸囲は1歳前後で頭囲と並ぶといった目安や、体表面積に基づく小児薬用量の考え方も関連して重要です。これらの基準を理解しておくことは、乳幼児健診で成長曲線からの逸脱に気づき、疾患を早期に発見するための土台になります。
解答・解説
正解はbです
【テーマ】乳児期(生後1年間)の身体発育の目安を問う問題である。 乳児期は一生のうちで最も発育速度が速い時期であり、出生時と満1歳時の代表的な数値を覚えておけば、「何倍になるか」はすぐに計算できる。
出生時 → 満1歳の目安
・体重:約3kg → 約9kg(約3倍) ・身長:約50cm → 約75cm(約1.5倍) ・頭囲:約33cm → 約45〜46cm(約1.4倍) ・胸囲:約32cm → 約45〜46cm(約1.4倍) ・体表面積:約0.2m² → 約0.4m²強(約2倍)
考え方
長さの指標(身長・頭囲・胸囲)は1年間で1.3〜1.5倍程度しか伸びないのに対し、重さの指標である体重は約3倍と最も大きく増える。体表面積は身長と体重の両方から計算される値であるため、その増加率は両者の中間(約2倍)になる。この大小関係を押さえておくと、数値をうろ覚えでも選択肢を絞り込める。
選択肢考察
- ×a. 身長は約2倍になる。
誤り。出生時の身長は約50cmで、生後1年間に約25cm伸びて満1歳で約75cmとなる。増加率は約1.5倍である。身長が出生時の約2倍(約100cm)になるのは4歳ごろ、約3倍(約150cm)になるのは12歳ごろである。
- ○b. 体重は約3倍になる。
正解。出生時体重は約3kgで、生後3〜4か月で約2倍(約6kg)、満1歳で約3倍(約9kg)に達する。なお、生理的体重減少(生後数日で出生体重の5〜10%程度が減る現象)の後、生後1〜2週で出生体重に戻り、その後は乳児期前半に1日あたり25〜30g程度という速いペースで増加する。乳児期後半には増加速度が鈍くなる。
- ×c. 頭囲は約2倍になる。
誤り。出生時の頭囲は約33cmで、生後1年間に約12cm増えて満1歳で約45〜46cmとなる。増加率は約1.4倍であり、2倍にはならない。頭囲の増加は乳児期前半に特に大きく、3歳で約50cmとなり、その後の伸びはわずかである。頭囲は脳の発育をよく反映するため、乳幼児健診では小頭症・大頭症(水頭症など)の早期発見のために測定される。
- ×d. 胸囲は約2倍になる。
誤り。出生時の胸囲は約32cmで頭囲よりやや小さい。満1歳で約45〜46cmとなり、増加率は約1.4倍である。胸囲は1歳前後で頭囲とほぼ等しくなり、その後は胸囲が頭囲を上回るようになる。
- ×e. 体表面積は約3倍になる。
誤り。体表面積は身長と体重から算出される。出生時(約50cm・約3kg)はおよそ0.2m²、満1歳(約75cm・約9kg)はおよそ0.4〜0.45m²で、約2倍の増加にとどまる。体重が3倍になっても体表面積は体重ほど増えないのは、体表面積がおおむね体重の2/3乗に比例する(体が大きくなるほど体重あたりの体表面積は小さくなる)ためである。
身体発育の主な目安(出生時との比較)
・体重:3〜4か月で2倍、1歳で3倍、2〜3歳ごろに4倍、4〜5歳ごろに5倍 ・身長:1歳で1.5倍、4歳で2倍、12歳ごろに3倍 ・頭囲:1歳で約45〜46cm、3歳で約50cm ・胸囲:1歳前後で頭囲とほぼ等しくなり、以後は頭囲より大きくなる
大泉門
出生時は約2.5cm×2.5cm程度で、生後9〜10か月ごろまでやや大きくなることもあるが、1歳半ごろまでに閉鎖する。早期閉鎖は小頭症や頭蓋縫合早期癒合症、閉鎖遅延は水頭症・くる病・甲状腺機能低下症などを疑うきっかけとなる。
体表面積と小児薬用量
小児の薬用量は体重よりも体表面積に比例させた方が実際に近いとされ、体表面積をもとにしたvon Harnack(フォン・ハルナック)の換算表がよく用いられる。成人量を1としたとき、おおよそ1歳で1/4、3歳で1/3、7歳半で1/2、12歳で2/3である。
カウプ指数
乳幼児の栄養状態の評価には、体重(g)÷身長(cm)²×10で求めるカウプ指数が用いられる(体重kg÷身長m²で計算するBMIと同じ値になる)。乳児ではおよそ16〜18が標準的とされる。
POINT
・生後1年で体重は約3倍(3kg→9kg)、身長は約1.5倍(50cm→75cm) ・頭囲は33cm→約45cm、胸囲は32cm→約45cmで、いずれも約1.4倍 ・胸囲は1歳前後で頭囲とほぼ等しくなり、その後頭囲を上回る ・体表面積は1年で約2倍(約0.2m²→約0.4m²) ・体重2倍は3〜4か月、身長2倍は4歳
