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医師がいないお産、出生証明書は誰が書く?―「立ち会い」と「優先順位」で解く戸籍法の基本

第102回医師国家試験 C問題 第17問

国試問題にチャレンジ

第102回 C問題 第17問

28歳の女性。保健師,助産師,看護師および夫の立ち会いのもと,妊娠39週6日に3,200 gの児を娩出した。医師は立ち会っていない。  出生証明書の作成で正しいのはどれか。

  1. a.後日,医師が行う。
  2. b.保健師が行う。
  3. c.助産師が行う。
  4. d.看護師が行う。
  5. e.夫が行う。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、出生証明書を誰が作成するかという法規の問題だ。カギは2つ。作成できるのは「出産に立ち会った者」だけということ、そして立ち会った人が複数いるときの「優先順位」だ。医師が立ち会っていない、という点に注目して考えてみよう。
医学生医学生
証明書といえば医師が書くイメージがあるので、後日医師が書けばいいのかなと思いました。
ドクタードクター
そう考える人は多いね。でも出生証明書は、出生という事実を直接確認した人が証明する書類なんだ。戸籍法では、出産に立ち会った医師、助産師、またはその他の者が作成すると定められている。立ち会っていない医師は、後日であっても書けないんだよ。
医学生医学生
なるほど、診断書のように医師なら誰でも書けるわけではないんですね。では、立ち会った人が何人もいる場合はどうなるんですか。
ドクタードクター
優先順位があって、医師、助産師、その他の者の順だ。医師が立ち会っていれば医師、いなければ助産師が作成する。今回は助産師が立ち会っているから、助産師が出生証明書を作成するのが正解だよ。
医学生医学生
保健師と看護師はどうなるんでしょう。助産師と同じく国家資格なので、同列に扱われるのかと思っていました。
ドクタードクター
戸籍法上、保健師と看護師はどちらも「その他の者」に分類される。だから助産師がいる以上、作成者にはならない。ちなみに看護師は、助産師の資格がなければ分娩介助を業として行うことも認められていないんだ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、助産師は正常分娩の介助を業とする資格だと習いました。だから出生の証明でも医師の次に位置づけられているんですね。
ドクタードクター
その理解でいい。夫も同じく「その他の者」だ。医師も助産師も立ち会わなかった出産、たとえば自宅での急な分娩なら、立ち会った家族が「その他の者」として作成することになる。でも今回は助産師がいるから該当しない。
医学生医学生
夫は出生届を出す側ですよね。証明書を書く人と届け出る人は別、と整理すればいいでしょうか。
ドクタードクター
いい整理だね。出生届は、嫡出子なら父または母が届出義務者で、出生の日を含めて14日以内、国外での出生なら3か月以内に市区町村長へ提出する。届出先は出生地、本籍地、または届出人の所在地だ。そこに原則として出生証明書を添付するという関係なんだ。
医学生医学生
14日以内というのは、死亡届の7日以内と混同しやすいので気をつけます。
ドクタードクター
大事なポイントだね。ついでに、助産師がどこまで書類を作成できるかも比べておこう。出生証明書は医師、助産師、その他の立ち会った者。妊娠満12週以後の死産で必要な死産証書や死胎検案書は、医師または助産師が作成できる。一方、死亡診断書や死体検案書は医師が作成するもので、助産師は作成できない。死亡診断書は歯科医師も作成できるよ。
医学生医学生
助産師は出生と死産には関われるけれど、出生後に亡くなった場合の死亡診断書は書けない、ということですね。
ドクタードクター
その通り。死産の場合は、死産の届出に関する規程に基づいて、7日以内に死産証書などを添えて市区町村長に届け出ることになっている。
医学生医学生
臨床実習で産婦人科を回ったとき、院内助産で助産師さん中心にお産を進めているのを見ました。ああいうケースで実際に関わる知識なんですね。
ドクタードクター
そうだね。医師が分娩に立ち会えなかったのに、後から医師名で証明書を書いてしまうと、法的に問題になる。臨床に出てからも、誰が実際に立ち会ったかを意識しておくことが大切だよ。
医学生医学生
「立ち会った人の中で、医師→助産師→その他の者の順」と覚えておきます。

まとめ

出生証明書は戸籍法第49条に基づき、出産に立ち会った医師、助産師、その他の者がこの優先順位で作成する書類で、立ち会っていない医師は後日であっても作成できません。保健師・看護師・家族は「その他の者」に分類されるため、医師不在で助産師が立ち会った出産では助産師が作成します。出生届は原則として父母が出生日を含め14日以内に市区町村長へ提出し、出生証明書を添付します。あわせて、死産証書は医師または助産師、死亡診断書は医師(歯科医師も可)が作成するという区別も押さえておきましょう。誰がどの書類を作成できるかを正しく理解することは、法的に適正な診療と、出生・死亡統計の基盤を支える医療者の責務につながります。

解答・解説

正解はcです

状況の整理

・28歳の女性が妊娠39週6日(正期産)に3,200gの児を娩出した。 ・分娩に立ち会ったのは保健師、助産師、看護師、夫であり、医師は立ち会っていない。

問われていること

出生の届出(出生届)には、原則として出生証明書を添付しなければならない。本問は、その出生証明書を誰が作成するのかを問う法規の問題である。

考え方

戸籍法第49条第3項により、出生証明書は「出産に立ち会った」医師、助産師またはその他の者が作成し、複数の者が立ち会った場合は「医師→助産師→その他の者」の順に優先される。ここで重要なのは次の2点である。 ①作成できるのは実際に出産に立ち会った者である。立ち会っていない医師が後から作成することはできない。 ②立ち会った者の中で優先順位が最も高い者が作成する。 本問では医師が立ち会っていないため、立ち会った者の中で次順位にあたる助産師が作成する。保健師・看護師・夫はいずれも「その他の者」に分類され、助産師がいる以上、作成者とはならない。

選択肢考察

  1. ×a.  後日,医師が行う。

    出生証明書は、出生の事実を直接確認した者が証明する書類であり、作成できるのは出産に立ち会った者に限られる。分娩に立ち会っていない医師は、後日であっても出生証明書を作成できない。医師が最優先されるのは、あくまで医師が立ち会った場合である。

  2. ×b.  保健師が行う。

    保健師は戸籍法上「その他の者」に該当し、医師・助産師より順位が低い。本問では助産師が立ち会っているため、保健師は作成者とならない。

  3. ○c.  助産師が行う。

    戸籍法第49条第3項の優先順位は医師、助産師、その他の者の順である。医師が立ち会っていない本問では、立ち会った者の中で最も順位の高い助産師が出生証明書を作成する。助産師は正常分娩の介助を業とする資格であり(保健師助産師看護師法)、出生証明書のほか死産証書の作成も認められている。

  4. ×d.  看護師が行う。

    看護師も戸籍法上は「その他の者」であり、助産師より順位が低い。助産師が立ち会っている本問では作成者とならない。なお看護師は、助産師の資格がなければ分娩介助(助産)を業として行うことも認められていない。

  5. ×e.  夫が行う。

    夫も「その他の者」に該当するため、助産師が立ち会っている以上、作成者とはならない。なお、医師・助産師のいずれも立ち会わなかった出産(自宅での急な分娩など)では、立ち会った家族などが「その他の者」として出生証明書を作成することになる。また夫(父)は、出生届そのものを提出する届出義務者となる立場である。

出生届の概要(戸籍法)

・届出期間:出生の日を含めて14日以内(国外での出生は3か月以内)。 ・届出義務者:嫡出子では父または母(父母が届け出られない場合は同居者、出産に立ち会った医師・助産師・その他の者の順)。 ・届出先:出生地、本籍地、または届出人の所在地の市区町村長。 ・添付書類:出生証明書(やむを得ない事由があるときを除く)。

出生証明書の作成者の優先順位(戸籍法第49条第3項)

①医師 → ②助産師 → ③その他の者(保健師、看護師、家族など) いずれも出産に立ち会った者に限られる。

医師・助産師が作成できる主な証明書の比較

・出生証明書:医師、助産師、その他の立ち会った者 ・死産証書・死胎検案書(妊娠満12週以後の死産):医師または助産師 ・死亡診断書・死体検案書:医師(死亡診断書は歯科医師も可)。助産師は作成できない。

関連:死産の届出

妊娠満12週以後の死産は、死産の届出に関する規程に基づき、7日以内に死産証書(または死胎検案書)を添えて市区町村長へ届け出る。

POINT

・出生証明書を作成できるのは出産に立ち会った者のみで、優先順位は「医師→助産師→その他の者」(戸籍法第49条)。 ・立ち会っていない医師は後日でも作成できない。 ・保健師・看護師・家族は「その他の者」に含まれる。 ・出生届は出生日を含め14日以内に市区町村長へ提出する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。