医師だけでは医療は回らない―チーム医療の「メンバー」と「関係性」を整理する
第119回医師国家試験 E問題 第10問
国試問題にチャレンジ
チーム医療で正しいのはどれか。
- a.事務職員も参加できる。
- b.医師の指示が最優先される。
- c.医療機関の経営業績の向上が目的である。
- d.チーム全員の意見が一致する必要がある。
- e.単一の医療機関内で完結することが推奨されている。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクターまとめ
チーム医療とは、多様な職種がそれぞれの専門性を持ち寄り、目的と情報を共有しながら連携・補完して患者中心の医療を提供することです。構成員は医療専門職に限らず事務職員を含む全職員であり、患者・家族もチームの一員と位置づけられます。職種間は対等で、医師はまとめ役を担うことが多いものの指示が無条件に優先されるわけではなく、多様な意見を出し合ったうえで合意形成を目指します。目的は経営業績ではなく安全で質の高い医療による患者利益の最大化であり、その範囲は地域の医療機関や介護施設との連携にまで及びます。NSTやICTなどの院内チーム、タスク・シフト/シェア、SBARといった具体例とあわせて理解しておくことは、臨床実習や研修で多職種と協働する際の土台になります。
解答・解説
正解はaです
チーム医療とは、医療に関わる多様な職種がそれぞれの専門性を持ち寄り、目的と情報を共有しながら業務を分担・連携して、患者の状況に的確に対応した医療を提供することである。厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」報告書(2010年)でも、各職種の専門性を前提に、互いに連携・補完し合うことが基本とされている。
押さえるべき原則
・目的:患者中心の質の高い医療の提供と、患者・家族の利益の最大化。 ・構成員:医師・看護師に限らず、薬剤師、管理栄養士、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、医療事務職員など、患者に関わるあらゆる職員が含まれ、患者・家族自身もチームの一員と位置づけられる。 ・関係性:職種間に上下関係を前提とせず、互いの専門性を尊重して対等に意見を出し合う。医師はまとめ役(リーダー)を担うことが多いが、医師の指示が無条件に優先されるわけではない。 ・意思決定:多職種の多様な視点からの議論を通じて最善の方針を合意形成していく。最初から全員の意見が一致している必要はない。 ・範囲:一つの医療機関内にとどまらず、急性期病院・回復期病院・診療所・訪問看護ステーション・介護施設・行政などとの地域連携も含む。 これらの原則に照らすと、構成員を医療専門職に限定しない「事務職員も参加できる」が正しい記述となる。
選択肢考察
- ○a. 事務職員も参加できる。
チーム医療の構成員は、患者を取り巻くすべての職員である。医療事務職員は受付・会計・診療報酬請求、診療情報の管理、医師事務作業補助(診断書作成の補助や電子カルテ入力の代行など)を担い、患者の療養を支える重要な一員である。患者を全人的にケアするためには、医療専門職だけでなく医療機関の全職員が協力する必要があり、事務職員がチーム医療に参加することは当然に認められる。
- ×b. 医師の指示が最優先される。
チーム医療では、各職種がそれぞれの専門的見地から意見を述べ、互いの判断を尊重する。医師は診断・治療の責任者として、また多職種の意見をまとめて的確な診療につなげる調整役としてチームを主導することが多いが、医師の指示が常に最優先されるという上下関係を前提とするものではない。例えば薬剤師による処方内容の疑義照会のように、他職種の専門的指摘によって医師の判断が修正されることは、チーム医療が機能している証である。
- ×c. 医療機関の経営業績の向上が目的である。
チーム医療の第一の目的は、質が高く安全な医療を提供し、患者の利益を最大化することである。業務の効率化や医療従事者の負担軽減といった副次的効果があり、医療機関の運営上も経営を無視することはできないが、経営業績の向上そのものがチーム医療の目的ではない。
- ×d. チーム全員の意見が一致する必要がある。
多職種がそれぞれの立場から異なる意見を出し合い、議論を重ねることにこそチーム医療の価値がある。意見が最初から一致している必要はなく、むしろ多様な視点を出し合うことで見落としを防ぐことができる。ただし、ばらばらのまま終わってよいわけではなく、明確な目標を共有したうえで最終的に方針についての合意(コンセンサス)を得ることが重要である。合意された診療の流れを見える形にしたものがクリニカルパスであり、チーム医療の道具の一つといえる。
- ×e. 単一の医療機関内で完結することが推奨されている。
患者は急性期の治療から回復期のリハビリテーション、慢性期の療養、在宅医療へと移行していくことが多く、その過程では複数の医療機関や介護・福祉サービスとの連携が欠かせない。地域連携クリニカルパス(脳卒中や大腿骨頸部骨折などで用いられる)や地域包括ケアシステムに代表されるように、医療機関の枠を越えた多職種連携は現在では日常的に行われており、単一の医療機関内で完結することが推奨されているわけではない。
院内チーム医療の具体例
・栄養サポートチーム(NST:nutrition support team):医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などが栄養管理を支援する。 ・感染制御チーム(ICT:infection control team)、抗菌薬適正使用支援チーム(AST:antimicrobial stewardship team)。 ・緩和ケアチーム、呼吸サポートチーム(RST)、褥瘡対策チーム、認知症ケアチーム、摂食嚥下支援チームなど。
多職種チームの形態
・マルチディシプリナリー型:各職種が独立して役割を果たし、医師などのリーダーの下で連携する。 ・インターディシプリナリー型:各職種が情報を共有し、協働して目標を設定・評価する。 ・トランスディシプリナリー型:職種間の役割の境界をある程度越え、互いの役割を補い合う。
タスク・シフト/シェア
医師の働き方改革に伴い、看護師(特定行為研修修了者など)、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、臨床工学技士、医師事務作業補助者などへ業務の移管・共同化が進められている。これもチーム医療の一形態であるが、単なる業務の押し付けではなく、情報と責任を共有したうえでの分担である。業務を任せた側も責任の一端を担い続ける点が重要である。
チーム医療を支える仕組み
カンファレンス(多職種合同の症例検討)、電子カルテによる情報共有、クリニカルパス、SBAR(状況・背景・評価・提案の順で伝える報告手法)などのコミュニケーション手法、TeamSTEPPS(チームワーク向上のためのトレーニングプログラム)などがある。
POINT
・チーム医療の目的は、質が高く安全な医療の提供と患者利益の最大化であり、経営業績の向上ではない。 ・構成員は医療専門職に限らず、事務職員を含む全職員、さらに患者・家族も含む。 ・職種間は対等で互いの専門性を尊重する。医師はまとめ役を担うことが多いが、指示が最優先されるわけではない。 ・全員の意見の一致は前提でなく、多様な意見を出し合ったうえで合意形成を目指す。 ・医療機関内で完結せず、地域の医療機関・介護施設との連携も含む。
