赤ちゃんは「外側」が水びたし―新生児の体液は細胞外液が主役
第118回医師国家試験 B問題 第16問
国試問題にチャレンジ
体液量に占める細胞外液量の割合が最も高いのはどれか。
- a.新生児
- b.乳児
- c.幼児
- d.学童
- e.成人
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
成人の体液は体重の約60%で、細胞内液40%・細胞外液20%、つまり体液量の約3分の1が細胞外液です。年齢が低いほど総体液量は多くなり、その増加分の大部分は細胞外液(特に間質液)であるため、体液量に占める細胞外液の割合は新生児で5割を超えて最も高く、乳児、幼児と下がり、学童期にはほぼ成人と同じになります。新生児は細胞外液が細胞内液を上回る唯一の年代で、生理的体重減少でも主に細胞外液が失われます。乳幼児は体重あたりの細胞外液や必要水分量が多く、腎の尿濃縮能も未熟なため脱水に陥りやすい点が臨床上重要です。年齢による体液組成の違いを理解しておくことは、小児の脱水評価や輸液計画を立てるうえでの基礎となります。
解答・解説
正解はaです
体液(体内の水分)は、細胞膜を境に細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞外液はさらに間質液(組織間液)と血漿に分けられる。成人ではおおよそ「体重の60%が体液、そのうち細胞内液40%・細胞外液20%」であり、体液量に占める細胞外液の割合は約3分の1である。 年齢による体液組成の変化には次の2つの特徴がある。 (1) 年齢が低いほど体重に占める体液量(総体内水分量)の割合が大きい。新生児では体重の約75〜80%が水分であり、早産児ではさらに多い。 (2) 増加分の多くは細胞外液、特に間質液である。細胞内液の割合は新生児から成人まで体重の35〜40%程度と大きくは変わらない一方、細胞外液は新生児で体重の約40〜45%、乳児で約30%、幼児で約25%と年齢とともに減少し、学童期にはほぼ成人と同じ約20%になる。 したがって、体液量に占める細胞外液量の割合(細胞外液量÷総体液量)を代表的な値で計算すると、おおよそ次のようになる。 ・新生児: 45÷80 ≒ 56%(40÷75 で計算しても約53%) ・乳児: 30÷70 ≒ 43% ・幼児: 25÷65 ≒ 38% ・学童: 20÷60 ≒ 33% ・成人: 20÷60 ≒ 33% 教科書によって数値には多少の幅があるが、どの値を用いても新生児が最も高く、新生児では細胞外液量が細胞内液量を上回る点が特徴である。これは、新生児の体が細胞の数・大きさ(特に筋肉量)に比べて間質の水分を多く含むためで、成長に伴い細胞が増えて大きくなるにつれて細胞内液の比率が相対的に増していく。
選択肢考察
- ○a. 新生児
正しい。新生児の総体液量は体重の約75〜80%、細胞外液量は約40〜45%で、体液量に占める細胞外液の割合は5割を超える(約53〜56%)。選択肢の中で唯一、細胞外液が細胞内液より多い年代であり、割合は最も高い。出生後は生理的体重減少(生後数日で出生体重の5〜10%程度が減少する現象)の際に主として細胞外液が失われ、その後も成長とともに細胞外液の比率は低下していく。
- ×b. 乳児
誤り。乳児の総体液量は体重の約70%、細胞外液量は約30%で、体液量に占める細胞外液の割合は約43%である。新生児よりは低いが成人よりは高い。乳児は体重あたりの細胞外液が多く、さらに体重あたりの不感蒸泄量・尿量が多く、腎臓の尿濃縮能も未熟なため、下痢や嘔吐で容易に脱水に陥る。
- ×c. 幼児
誤り。幼児の総体液量は体重の約65%、細胞外液量は約25%で、体液量に占める細胞外液の割合は約38%である。乳児期から細胞外液の割合はさらに低下し、成人の値に近づいていく途中段階である。なお、幼児期以降は総体液量を体重の約60%と簡略化して扱う資料もある。
- ×d. 学童
誤り。学童期には総体液量は体重の約60%、細胞外液量は約20%となり、体液組成はほぼ成人と同等になる。体液量に占める細胞外液の割合は約33%で、新生児の割合よりはるかに低い。
- ×e. 成人
誤り。成人の総体液量は体重の約60%(細胞内液40%、細胞外液20%)であり、体液量に占める細胞外液の割合は約33%と、新生児と比べて低い。なお成人でも、女性や肥満者は脂肪組織(水分が少ない)の割合が大きいため総体液量の比率はやや低く、高齢者では筋肉量の減少により細胞内液を中心に体液量が減少し、体重の50〜55%程度になる。
体液区分の基本(成人)
・総体液量: 体重の約60% ・細胞内液: 体重の約40%(主な陽イオンはK⁺、主な陰イオンはリン酸イオンやタンパク質) ・細胞外液: 体重の約20%(主な陽イオンはNa⁺、主な陰イオンはCl⁻とHCO₃⁻)。内訳は間質液が約15%、血漿が約5%
年齢による体液量の目安(体重比)
・新生児: 総体液約75〜80%、細胞外液約40〜45%、細胞内液約35% ・乳児: 総体液約70%、細胞外液約30%、細胞内液約40% ・幼児: 総体液約65%、細胞外液約25%、細胞内液約40% ・学童〜成人: 総体液約60%、細胞外液約20%、細胞内液約40% ・高齢者: 総体液約50〜55%(主に細胞内液が減少) 数値は資料により若干異なるが、「低年齢ほど総体液量が多く、その差の大部分は細胞外液による」という傾向は共通している。
小児の体液管理で重要な点
・体重あたりの必要水分量が多い(乳児では成人の約2〜3倍)。体重あたりの体表面積が大きく不感蒸泄が多いこと、代謝が盛んであることによる。 ・腎臓の尿濃縮能・Na保持能が未熟で、水・電解質の喪失に対する代償が不十分である。 ・このため、乳幼児は胃腸炎などで容易に脱水となり、輸液や経口補水療法の量・速度を体重に応じて慎重に設定する必要がある。
POINT
・成人の体液は体重の60%(細胞内液40%、細胞外液20%)。 ・低年齢ほど総体液量が多く、増加分の大部分は細胞外液である。 ・新生児は総体液約75〜80%、細胞外液約40〜45%で、細胞外液が細胞内液を上回る唯一の年代であり、体液量に占める細胞外液の割合が最も高い。 ・学童期にはほぼ成人と同じ体液組成になる。
