StudyMed医師国家試験

20本×30年の意味―Brinkman指数で喫煙の「積み重ね」を数える

第118回医師国家試験 A問題 第75問

国試問題にチャレンジ

第118回 A問題 第75問

20歳から30年間,1日20本の喫煙をしていた患者のBrinkman指数を求めよ。 Brinkman指数:① ② ③

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、喫煙による累積の曝露量を数値で表すBrinkman指数を計算する問題だ。定義さえ正確に覚えていれば一瞬で解けるけれど、問題文の中に計算に使わない数字が紛れ込んでいるのがポイントだよ。まず、Brinkman指数の定義を言ってみてくれるかな。
医学生医学生
1日の喫煙本数×喫煙年数、だったと思います。
ドクタードクター
正解。単位は付けずに数値だけで表す。では、今回の患者さんに当てはめるとどうなる?
医学生医学生
1日20本で、20歳から……あ、20歳と30年を掛けそうになりました。
ドクタードクター
そこが引っかけどころだね。「20歳から」というのは喫煙を始めた年齢であって、計算には使わない。必要なのは何年吸い続けたかという期間だけだ。
医学生医学生
じゃあ喫煙年数は30年なので、20×30で600ですね。
ドクタードクター
その通り、答えは600。数字自体は簡単でも、問題文から「本数」と「年数」を正しく拾い出す力が試されているんだ。
医学生医学生
呼吸器内科の臨床実習で、問診票に必ず喫煙歴の欄があって、指導医の先生がその場で掛け算していたのを思い出しました。
ドクタードクター
臨床ではとてもよく使う指標だからね。国際的にはpack-yearsという指標もよく使われる。1日に吸う箱数×喫煙年数で、1箱を20本として計算するんだ。
医学生医学生
1日20本なら1箱なので、1×30で30 pack-yearsですね。Brinkman指数を20で割った値になるということですか。
ドクタードクター
そう、その関係を覚えておくと、英語の論文や海外のガイドラインを読むときにすぐ換算できる。では、この600という数字にはどんな臨床的意味があると思う?
医学生医学生
肺癌のリスクと関係があると公衆衛生の講義で聞いた気がします。
ドクタードクター
うん。Brinkman指数が高いほど、肺癌、COPD、喉頭癌などの喫煙関連疾患のリスクが高まる。一般に400以上で肺癌のリスクが明らかに上がるとされ、600以上は肺癌の高危険群として扱われてきた。今回の患者さんはまさにその水準にあるわけだ。
医学生医学生
単なる計算問題ではなく、その数字を見たらリスクの高い人だと意識しないといけないんですね。
ドクタードクター
その感覚が大切だ。もう一つ、禁煙治療との関係も押さえておこう。禁煙外来でのニコチン依存症管理料、つまり保険診療で禁煙治療を受けるための要件の一つとして、35歳以上ではBrinkman指数200以上が求められる。
医学生医学生
若い人だと吸っている年数が短いので、200に届かない人もいそうですね。
ドクタードクター
鋭いね。まさにその理由で、2016年度の診療報酬改定で35歳未満では喫煙指数の要件がなくなった。そのほか、ニコチン依存症のスクリーニングテストで5点以上であること、直ちに禁煙を希望して文書で同意していることなども要件になっている。
医学生医学生
OSCEの医療面接でも喫煙歴は必ず聞きますけど、本数と年数をきちんと確認しておかないと、後で指数を出せないですね。
ドクタードクター
その通り。「吸っています」で終わらせず、何歳から何歳まで、1日何本かを具体的に聞くこと。途中で本数が変わった人や禁煙期間がある人もいるから、丁寧に聴き取るのが臨床の基本だよ。

まとめ

Brinkman指数(喫煙指数)は「1日の喫煙本数×喫煙年数」で求める喫煙の累積曝露量の指標で、本問では20本×30年=600となり、喫煙開始年齢は計算に用いません。国際的に使われるpack-yearsは1日の箱数×喫煙年数で、Brinkman指数を20で割った値に相当し、本問では30 pack-yearsです。Brinkman指数が高いほど肺癌やCOPDなど喫煙関連疾患のリスクが高まり、400以上で肺癌リスクが明らかに上昇し、600以上は高危険群として扱われてきました。禁煙治療の保険適用では35歳以上でBrinkman指数200以上が要件の一つとなっています。問診で喫煙本数と期間を具体的に聴き取り、指数としてリスクを評価する習慣は、疾患の予防と早期発見に直結する基本的な臨床技能です。

解答・解説

正解は600です

問われていること

喫煙による累積曝露量を表す指標であるBrinkman指数(喫煙指数)を計算する問題である。

定義

Brinkman指数 = 1日の喫煙本数 × 喫煙年数 単位は付けずに数値で表す。

計算

・1日の喫煙本数:20本 ・喫煙年数:20歳から30年間 → 30年 Brinkman指数 = 20 × 30 = 600 なお、「20歳から」という開始年齢は計算には用いない。必要なのは喫煙を続けた期間(年数)と1日あたりの本数だけである。

解答

600

喫煙量の指標

・Brinkman指数(喫煙指数):1日の喫煙本数×喫煙年数。日本の臨床で広く用いられる。 ・pack-years(パックイヤー):1日の喫煙箱数(1箱=20本)×喫煙年数。国際的に用いられる指標で、Brinkman指数を20で割った値に相当する。本問では1日1箱×30年=30 pack-yearsとなる。

臨床での目安

・Brinkman指数が高いほど肺癌、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喉頭癌などの喫煙関連疾患のリスクが高まる。一般に400以上で肺癌の発症リスクが明らかに上昇するとされ、600以上は肺癌の高危険群として扱われてきた。 ・ニコチン依存症管理料(禁煙治療の保険適用)の要件の一つとして、35歳以上ではBrinkman指数200以上が求められる。35歳未満ではこの喫煙指数の要件はない(若年者は喫煙年数が短く指数が低くなりやすいため、2016年度の診療報酬改定で撤廃された)。そのほか、ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)で5点以上であること、直ちに禁煙を希望し文書で同意していることなどが要件となる。

POINT

・Brinkman指数=1日の喫煙本数×喫煙年数(開始年齢は計算に使わない)。 ・pack-years=1日の箱数×喫煙年数(=Brinkman指数÷20)。 ・Brinkman指数400以上で肺癌リスク上昇。禁煙治療の保険適用は35歳以上でBrinkman指数200以上(35歳未満は指数要件なし)。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。