麻疹・水痘・結核―「空気で広がる3疾患」を英語で見抜く
第117回医師国家試験 B問題 第8問
国試問題にチャレンジ
Which of the following diseases needs airborne precautions?
- a.herpes
- b.influenza
- c.mumps
- d.rubella
- e.varicella
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
空気感染は、5μm以下の飛沫核が長時間空気中を漂って離れた人にも吸入される伝播様式で、空気感染予防策が必要な代表的疾患は麻疹・水痘・結核の3つです。本問ではvaricella(水痘)が該当し、インフルエンザ、ムンプス、風疹は飛沫感染予防策、単純ヘルペスは接触感染予防策の対象となります。特に麻疹(measles・空気)と風疹(rubella・飛沫)の取り違えに注意し、播種性帯状疱疹や免疫不全者の帯状疱疹は水痘に準じて空気感染予防策をとる点も押さえておきましょう。空気感染予防策では陰圧個室、医療者のN95マスク、移動時の患者のサージカルマスクが基本で、水痘では接触感染予防策も併用します。感染経路ごとの対策と英語表現を整理しておくことは、国試だけでなく院内感染を防ぐ日々の臨床に直結します。
解答・解説
正解はeです
問題文の意味
「次の疾患のうち、空気感染予防策(airborne precautions)を必要とするのはどれか」という英語の一般問題である。
考え方
医療現場の感染対策は、すべての患者に共通して行う標準予防策(standard precautions:手指衛生、血液・体液に触れる際の手袋・ガウン等)を土台とし、そのうえで病原体の伝播経路に応じた感染経路別予防策(接触・飛沫・空気)を上乗せする二段構えになっている。 空気感染(飛沫核感染)とは、咳やくしゃみで放出された飛沫の水分が蒸発し、直径およそ5μm以下の微小粒子(飛沫核)となって長時間空気中を漂い、気流に乗って離れた場所の人にも吸入される伝播様式である。この経路で広がることが確立している代表的な疾患は、麻疹(measles)、水痘(varicella)、結核(tuberculosis)の3つであり、まずこれを確実に覚えることが本問を解く鍵となる。 選択肢のうち、この3疾患に含まれるのはvaricella(水痘)のみである。インフルエンザ、ムンプス、風疹はいずれも大きな飛沫(5μmより大きく、通常1〜2m程度で落下する)を介して広がるため飛沫感染予防策の対象であり、単純ヘルペスは主に病変との直接接触で広がるため接触感染予防策の対象となる。
選択肢考察
- ×a. herpes
単に herpes という場合、通常は単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)による口唇ヘルペスや性器ヘルペスを指す。HSV は水疱内容液や粘膜の分泌物との直接接触で伝播するため、標準予防策に加えて必要に応じ接触感染予防策(手袋・ガウン)を行う。空気感染はしない。なお、herpes zoster(帯状疱疹)は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によるもので、免疫正常者の限局した帯状疱疹なら病変を被覆したうえでの接触感染予防策が基本となる。ただし、播種性帯状疱疹や免疫不全者の帯状疱疹では水疱からウイルスが空気中に広がりうるため、水痘と同様に空気感染予防策(+接触感染予防策)が推奨される点は知っておくとよい。
- ×b. influenza
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症で、高熱、悪寒、頭痛、筋肉痛・関節痛などの全身症状が急激に出現する。主な伝播経路は咳・くしゃみによる飛沫感染であり、ウイルスが付着した手指や物品を介した接触感染も起こる。したがって飛沫感染予防策(患者・医療者ともサージカルマスク、個室または1m以上の間隔をあけたベッド配置など)と手指衛生が基本となり、陰圧個室やN95マスクを要する空気感染予防策の対象ではない。ただし、気管挿管や気管支鏡などのエアロゾル発生手技を行う場合は、N95マスクを着用するなどの追加対策がとられる。
- ×c. mumps
ムンプス(流行性耳下腺炎、おたふくかぜ)はムンプスウイルスによる感染症で、耳下腺の有痛性腫脹が特徴である。合併症として無菌性髄膜炎、難聴(ムンプス難聴)、思春期以降では精巣炎・卵巣炎、膵炎などがある。唾液を含む飛沫や、唾液との接触によって伝播するため、飛沫感染予防策(+手指衛生)の対象である。空気感染予防策は不要である。
- ×d. rubella
風疹(三日はしか)は風疹ウイルスによる感染症で、発熱とほぼ同時に出現する全身の淡い紅色の発疹と、耳介後部・後頭部などのリンパ節腫脹が特徴である。妊娠初期の感染で先天性風疹症候群(白内障、先天性心疾患、感音難聴など)を起こすことが臨床上の大きな問題となる。伝播は飛沫感染が主体で、接触感染も起こりうるため飛沫感染予防策の対象である。名前の似た麻疹(measles)は空気感染するため空気感染予防策が必要であり、両者を取り違えないことが重要である。
- ○e. varicella
水痘(chickenpox)は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の初感染による疾患で、発熱とともに紅斑→丘疹→水疱→痂皮と進む発疹が全身に出現し、各段階の発疹が混在するのが特徴である。VZV は飛沫核として空気中を漂い、同じ空間にいる感受性者に吸入されて感染する(空気感染)。加えて水疱内容との接触でも感染する。このため空気感染予防策(陰圧の空気感染隔離室への収容、入室する医療者のN95マスク着用、移動時の患者のサージカルマスク着用)に接触感染予防策を併用する。隔離は全ての発疹が痂皮化するまで続ける。また、免疫のない医療者は担当させないことが望ましい。
感染経路別予防策の整理
・接触感染予防策:手指衛生の徹底、患者や周囲の環境に触れる際の手袋・ガウン(エプロン)着用、聴診器などの器具の専用化。対象例は MRSA などの薬剤耐性菌、Clostridioides difficile、ノロウイルス、疥癬、流行性角結膜炎、単純ヘルペスなど。 ・飛沫感染予防策:飛沫(5μmより大きい粒子)は通常1〜2m程度で落下するため、患者との距離の確保、医療者のサージカルマスク着用、症状のある患者にもサージカルマスクを着用させる。個室管理が望ましいが、同じ病原体の患者同士の同室収容(コホーティング)も可能。対象例はインフルエンザ、ムンプス、風疹、百日咳、マイコプラズマ肺炎、髄膜炎菌感染症、溶連菌感染症など。 ・空気感染予防策:飛沫核(5μm以下)は長時間空中を浮遊するため、陰圧で1時間に6〜12回以上換気される個室(空気感染隔離室)に収容し、扉を閉めておく。入室する医療者はN95マスクを着用し、着用ごとにフィットチェック(漏れの確認)を行う。患者が室外へ出る際はサージカルマスクを着用させる。対象は結核、麻疹、水痘(播種性帯状疱疹を含む)である。
マスクの使い分け
N95マスクは0.3μm程度の微粒子を95%以上捕集できる高性能マスクで、医療者が自分を守るために着用する。空気感染症の患者自身には、飛沫を周囲に出さないためにサージカルマスクを着用させる(N95は呼吸がしにくく、患者に着用させる目的には適さない)。
免疫のある医療者の配置
麻疹・水痘については抗体価を確認し、免疫のある職員が担当する。免疫のない者が曝露した場合は、麻疹では曝露後72時間以内の生ワクチン接種、水痘では72時間以内(可能なら120時間以内)の生ワクチン接種が発症予防に有効とされる。
POINT
・空気感染予防策が必要な疾患は「麻疹・水痘・結核」の3つ(播種性帯状疱疹や免疫不全者の帯状疱疹も水痘に準じる)。 ・インフルエンザ、ムンプス、風疹は飛沫感染予防策。麻疹(空気)と風疹(飛沫)の違いに注意。 ・空気感染予防策:陰圧個室、医療者はN95マスク、移動時の患者はサージカルマスク。 ・英単語:measles=麻疹、rubella=風疹、varicella/chickenpox=水痘、mumps=ムンプス、herpes zoster=帯状疱疹、airborne precautions=空気感染予防策、droplet precautions=飛沫感染予防策、contact precautions=接触感染予防策。
