「別の先生の意見も聞きたい」―セカンドオピニオンは患者の権利である
第115回医師国家試験 B問題 第5問
国試問題にチャレンジ
セカンドオピニオンについて正しいのはどれか。
- a.患者の権利に基づく。
- b.保険診療内で行われる。
- c.悪性腫瘍だけが対象になる。
- d.主治医の変更が目的である。
- e.受持ち患者からの依頼を拒否できる。
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
セカンドオピニオンとは、患者が現在の主治医の診断や治療方針について別の医療機関の医師に意見を求めることで、自己決定権や知る権利に基づく患者の権利です。リスボン宣言にも他の医師の意見を求める権利が明記されており、主治医は依頼を拒否できず、診療情報提供書や検査資料を快く提供する立場にあります。主治医の変更が目的ではなく、意見を聞いた後は元の主治医のもとで治療方針を決めるのが前提で、セカンドオピニオン外来では原則として検査や治療は行わず、相談自体は保険適用外の自費となります。対象疾患は悪性腫瘍に限らず、判断に迷うあらゆる疾患が含まれます。この仕組みを正しく理解することは、インフォームド・コンセントを実質化し、患者が納得して治療を選べる医療を実践するうえで欠かせません。
解答・解説
正解はaです
セカンドオピニオン(second opinion)とは、患者が現在の主治医から受けている診断や治療方針について、別の医療機関の医師に「第2の意見」を求めることである。目的は、患者が複数の専門的見解を参考にして、自分の治療を納得したうえで選択できるようにすることにあり、インフォームド・コンセントや患者の自己決定権を支える仕組みとして位置づけられる。世界医師会の「患者の権利に関するリスボン宣言」でも、患者はいつでも他の医師の意見を求める権利を有するとされている。 この性質から、セカンドオピニオンについては次の点を押さえておけば正解を導ける。 ・根拠は患者の権利であり、主治医は依頼を拒めない(むしろ快く応じ、必要な情報を提供する)。 ・対象疾患に制限はない。 ・主治医を替えることが目的ではなく、意見を聞いたあとは元の主治医のもとで治療を続けるのが原則である。 ・セカンドオピニオン外来での相談そのものは診療(検査・治療)ではないため、公的医療保険の対象外で自費となる。 したがって「患者の権利に基づく」とするaが正しい。
選択肢考察
- ○a. 患者の権利に基づく。
セカンドオピニオンは、患者が自分の病状や治療選択肢について十分な情報を得たうえで自ら決定するという、自己決定権・知る権利に根ざした制度である。リスボン宣言でも、患者が他の医師の意見を求める権利が明記されている。主治医はこの権利を尊重し、求めに応じて協力する立場にある。
- ×b. 保険診療内で行われる。
セカンドオピニオン外来は、持参した資料をもとに意見を述べる相談であり、新たな検査や治療を行う「傷病の治療」には当たらないため、公的医療保険は適用されず全額自己負担(自由診療)となる。料金は医療機関ごとに設定されている。なお、紹介元の主治医が作成する診療情報提供書については、要件を満たせば保険で算定できる(診療情報提供料)が、セカンドオピニオンの相談そのものは保険診療ではない。
- ×c. 悪性腫瘍だけが対象になる。
がん診療で利用されることが多いのは事実だが、対象疾患に制限はない。心疾患の手術適応、難病の治療方針、整形外科手術の要否など、診断や治療方針の判断に迷うあらゆる疾患で利用できる。
- ×d. 主治医の変更が目的である。
セカンドオピニオンは、主治医の見解を別の視点から検討し、納得して治療を選ぶための手段である。主治医の変更(転医)を目的とするものではなく、意見を聞いた後は元の主治医のもとに戻って治療方針を相談・決定するのが前提である。そのためセカンドオピニオン外来では、原則として新たな検査や治療は行わない。結果として患者が転院を選ぶことはありうるが、それは別の手続き(紹介・転院)となる。
- ×e. 受持ち患者からの依頼を拒否できる。
セカンドオピニオンを求めることは患者の権利であるため、主治医はこれを拒否できない。依頼を受けた主治医は、患者が不利益を受けないよう快く応じ、診療情報提供書(紹介状)を作成し、検査データや画像などの資料を提供する。依頼を理由に患者への態度を変えたり診療上不利に扱ったりしてはならない。
セカンドオピニオンの一般的な流れ
1. 患者が主治医にセカンドオピニオンを希望する旨を伝える。 2. 主治医が診療情報提供書を作成し、検査結果・画像・病理所見などの資料をそろえる。 3. 患者(または家族)がセカンドオピニオン外来を受診し、資料に基づいて意見を聞く。新たな検査・治療は原則行わない。 4. セカンドオピニオンを行った医師は、その意見を主治医に文書で報告する。 5. 患者は元の主治医のもとに戻り、得られた意見も踏まえて治療方針を決める。
関連する概念
・インフォームド・コンセント:十分な説明を受け理解したうえで、患者が自由意思に基づいて同意すること。 ・自己決定権:自分の医療に関する事柄を自分で決める権利。セカンドオピニオンはこれを実質化する手段である。 ・リスボン宣言(世界医師会、1981年採択):良質の医療を受ける権利、選択の自由(他の医師の意見を求める権利を含む)、自己決定権、情報を得る権利、守秘義務に関する権利、尊厳への権利などを掲げる。 ・転医(転院)との違い:転医は主治医そのものを替えることであり、セカンドオピニオンとは目的が異なる。
POINT
・セカンドオピニオンは患者の権利(自己決定権)に基づき、主治医は拒否できない。 ・主治医は快く応じ、診療情報提供書と資料を提供する。 ・対象疾患に制限はない(悪性腫瘍に限らない)。 ・主治医の変更が目的ではなく、元の主治医のもとで治療を続けるのが前提。 ・相談自体は保険適用外で全額自己負担。新たな検査や治療は原則行わない。
