ケアプランは誰が書く?―医療保険と介護保険の境界線で読み解く在宅ケア
第114回医師国家試験 C問題 第31問
国試問題にチャレンジ
法律に基づく在宅ケアについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- a.ケアプランは介護福祉士が作成する。
- b.人工呼吸器は在宅で使用可能である。
- c.訪問介護には医師の指示書が必要である。
- d.訪問診療は計画的・定期的に行う在宅医療である。
- e.通所リハビリテーションには医療保険が適用される。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
在宅ケアは医療保険と介護保険のサービスが組み合わさって成り立っており、それぞれの担い手と制度上の位置づけを区別することが重要です。ケアプランは介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成し、介護福祉士は実際の介護を担う職種です。医師の指示書が必要なのは訪問看護や訪問・通所リハビリテーションで、生活援助や身体介護を行う訪問介護には不要であり、通所リハビリテーション(デイケア)は医師の指示が必要でも介護保険のサービスです。訪問診療は計画的・定期的、往診は求めに応じた臨時の診療と区別され、在宅人工呼吸療法や在宅酸素療法などの高度な医療も自宅で行えます。将来、主治医意見書を書き多職種と連携する立場になる医師にとって、こうした制度の理解は患者のQOLを支える基盤となります。
解答・解説
正解はb, dです
在宅ケアは、医療保険によるサービスと介護保険によるサービスが組み合わさって成り立っている。本問は、それぞれのサービスの法的な位置づけについての基本的な知識を問う問題である。
整理のポイント
1. 誰がケアプランを作るのか:介護保険では、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する。 2. 医師の指示が必要なのはどのサービスか:医療行為を含むサービスには医師の指示が必要である。訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーションなどがこれにあたる。生活援助や身体介護を行う訪問介護には、医師の指示は不要である。 3. どの保険が適用されるか:通所リハビリテーション(デイケア)、訪問介護、通所介護(デイサービス)などは、介護保険のサービスである。 4. 訪問診療と往診の違い:訪問診療は、あらかじめ計画を立てて定期的に訪問する診療である。往診は、患者や家族の求めに応じて臨時に訪問する診療である。 5. 在宅で行える医療:在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法、在宅中心静脈栄養法、経管栄養、自己導尿などは、在宅医療として行われている。 これらを踏まえると、正しいのは「人工呼吸器の在宅使用」と「訪問診療の定義」の2つである。
選択肢考察
- ×a. ケアプランは介護福祉士が作成する。
介護保険の居宅サービス計画(ケアプラン)は、原則として介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成する。要支援者の介護予防サービス計画は、地域包括支援センターなどが作成する。利用者本人や家族が自分で作成すること(セルフプラン)も認められている。介護福祉士は、入浴・排泄・食事などの介護を実際に行う専門職(国家資格)である。ケアプランを作成する職種ではない。なお、ケアマネジャーは、介護福祉士・看護師・医師などの資格を持ち、実務経験を積んだ者が、研修を受けて就く資格である。
- ○b. 人工呼吸器は在宅で使用可能である。
在宅人工呼吸療法は保険診療として認められており、在宅で人工呼吸器を使うことができる。気管切開を介する侵襲的陽圧換気(TPPV)と、マスクを用いる非侵襲的陽圧換気(NPPV)の両方が在宅で行われている。対象となる疾患には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や筋ジストロフィーなどの神経筋疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがある。これらの患者が、自宅で家族と生活を続けることができる。在宅酸素療法(HOT)や、睡眠時無呼吸症候群に対する持続陽圧呼吸療法(CPAP)も、同じように在宅で行われている。
- ×c. 訪問介護には医師の指示書が必要である。
訪問介護(ホームヘルプ)は、介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅を訪れ、身体介護(入浴、排泄、食事の介助など)や生活援助(掃除、洗濯、調理など)を行うサービスである。医療行為ではないので、医師の指示書は必要ない。サービスの内容は、ケアプランに基づいて決まる。一方、医療的な処置や看護を行う訪問看護では、主治医が作成する訪問看護指示書が必要である。この2つを混同しないことが大切である。
- ○d. 訪問診療は計画的・定期的に行う在宅医療である。
訪問診療は、通院が難しい患者に対して、医師が診療計画を立て、本人の同意を得たうえで定期的に自宅などを訪れて行う診療である(例えば月2回など)。これに対して往診は、急に具合が悪くなったときなどに、患者や家族の求めに応じて臨時に訪れる診療である。診療報酬のうえでも、訪問診療と往診は区別されている。
- ×e. 通所リハビリテーションには医療保険が適用される。
通所リハビリテーション(デイケア)は、介護保険の居宅サービスである。要介護者などが介護老人保健施設や病院・診療所などに通い、理学療法や作業療法などのリハビリテーションを受ける。医師の指示のもとで行われるが、適用されるのは医療保険ではなく介護保険である。なお、病院の外来で行う疾患別リハビリテーションには医療保険が適用される。通所リハビリテーションとは制度が異なる。
在宅ケアを支える主なサービスと保険
・訪問診療・往診:医療保険 ・訪問看護:要介護・要支援の認定を受けた人には原則として介護保険が適用される。ただし、末期の悪性腫瘍やALSなど、厚生労働大臣が定める疾病の場合や、急に病状が悪化した時期(特別訪問看護指示書が出ている期間)には、医療保険が適用される。どちらの場合も、医師の指示書が必要である。 ・訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)、福祉用具の貸与:介護保険 ・訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション:介護保険(医師の指示が必要)
介護保険の基本
・保険者は市町村(特別区を含む)である。 ・65歳以上が第1号被保険者、40~64歳の医療保険加入者が第2号被保険者である。第2号被保険者は、末期がんなどの特定疾病が原因の場合に限ってサービスを受けられる。 ・要介護認定は市町村の介護認定審査会が行う。審査には主治医意見書が必要である。 ・ケアプランは介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成し、サービス担当者会議で関係する職種が情報を共有する。
在宅医療の意義
画像検査や手術などを除けば、多くの医療は在宅で行うことができる。住み慣れた環境で家族と一緒に療養できることは、QOL(生活の質)を保つうえで大きな意義がある。在宅医は、訪問看護師やケアマネジャーと連携し、医療と介護のサービスを調整する。
POINT
・ケアプランを作成するのは介護支援専門員(ケアマネジャー)で、介護福祉士ではない ・医師の指示書が必要なのは訪問看護。訪問介護には不要 ・訪問診療は計画的・定期的、往診は臨時の求めに応じたもの ・在宅人工呼吸療法(TPPV・NPPV)や在宅酸素療法は在宅で行える ・通所リハビリテーション(デイケア)は介護保険のサービス
