スコープを入れる前の「ひと手間」―経鼻内視鏡を支える前鼻鏡と吸引管
第112回医師国家試験 A問題 第14問
国試問題にチャレンジ
診察器具の写真(①~⑤)を別に示す。 成人に対して鼻処置を行った上で,鼻腔から上咽頭,喉頭にかけて内視鏡検査を実施する際に使用する器具はどれか。2つ選べ。

- a.①
- b.②
- c.③
- d.④
- e.⑤
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
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医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
経鼻内視鏡検査は、細径の軟性スコープを鼻孔から挿入して鼻腔・上咽頭から喉頭までを観察する耳鼻咽喉科の基本検査です。挿入前には、前鼻鏡で鼻腔の形態や粘膜を確認して経路を決め、血管収縮薬と表面麻酔薬を噴霧して粘膜の腫脹と痛みを抑え、吸引管で鼻汁を除いて視野を確保するため、使用する器具は前鼻鏡と吸引管です。拡大耳鏡は外耳道・鼓膜、舌圧子は口腔・中咽頭の観察、膝状鑷子は異物除去や綿球・ガーゼの操作に用いる器具で、それぞれ用途が異なります。器具の形と用途、さらに検査手順を結びつけて理解しておくと、臨床実習やOSCEでの診察、患者の苦痛や合併症を減らす前処置の意味まで自然に身につきます。
解答・解説
正解はb, cです
問われていること
耳鼻咽喉科外来で日常的に行われる経鼻内視鏡検査(細径の軟性ファイバースコープや電子スコープを鼻孔から入れ、鼻腔→上咽頭→中咽頭→下咽頭・喉頭を順に観察する検査)の前に行う「鼻処置」で何を使うかが問われている。
鼻処置の流れ
経鼻内視鏡をスムーズかつ苦痛少なく挿入するには、事前に鼻腔の通り道を確保しておく必要がある。一般的な手順は次のとおりである。 1. 前鼻鏡で鼻孔を広げ、鼻腔内(鼻中隔の弯曲、下鼻甲介の腫脹、鼻汁の有無など)を確認して、スコープを通す経路を決める。 2. 血管収縮薬(アドレナリンなど)と表面麻酔薬(リドカイン)を鼻腔へ噴霧する。血管収縮薬で粘膜の腫脹が取れて鼻腔が広がり、麻酔薬で挿入時の痛みや不快感が軽くなる。出血予防にもなる。 3. 鼻腔内に残る鼻汁・分泌物を吸引管で吸い取り、視野を確保する。 このあとに内視鏡を挿入する。 したがって、本問で使用する器具は鼻腔を観察するための「前鼻鏡(③)」と、分泌物を除くための「吸引管(②)」である。写真の器具名を正しく判別し、それぞれの用途を思い出せるかがポイントとなる。
選択肢考察
- ×a. ①
光源を内蔵した持ち手の先に、先細りの耳鏡(スペキュラ)と拡大レンズが付いた器具で、拡大耳鏡(電気耳鏡、オトスコープ)である。外耳道に先端を挿入し、外耳道や鼓膜の状態を観察するのに用いる。鼻処置や経鼻内視鏡の準備には用いない。
- ○b. ②
細長い金属管の先端が曲がり、手元側に吸引チューブを接続する口がある器具で、耳鼻科用の吸引管(吸引嘴管)である。鼻汁・唾液・血液などを吸い取るのに使う。鼻腔内に分泌物が残っていると内視鏡の視野が妨げられ、レンズも汚れるため、薬液噴霧の後に鼻腔内を吸引して清掃しておく。経鼻内視鏡前の鼻処置に必要な器具である。
- ○c. ③
握ると先端の2枚のブレードが開く構造の器具で、前鼻鏡(鼻鏡)である。鼻孔に先端を入れて鼻翼を外側に広げ、鼻前庭から鼻腔前方を観察する(前鼻鏡検査)。内視鏡の挿入前に鼻腔の形態や粘膜の状態を確認し、薬液の噴霧や吸引を行う際にも視野を確保するために用いる。
- ×d. ④
先端が細く、途中で屈曲した(銃剣状・膝状の)ピンセット(鑷子)である。屈曲していることで手が視線を遮らず、狭い外耳道や鼻腔の奥を見ながら操作できる。異物・耳垢・痂皮の除去や、綿球・ガーゼの把持などに用いる。経鼻内視鏡前の標準的な鼻処置で必須の器具とはされず、本問の正解には含まれない。
- ×e. ⑤
金属の板をL字状に曲げた器具で、舌圧子である。舌を下方へ押さえて口腔や中咽頭(口蓋扁桃、咽頭後壁など)を観察するために使う。鼻腔からの処置・観察には用いない。
耳鼻咽喉科の主な診察器具と用途
・耳鏡(拡大耳鏡・電気耳鏡を含む):外耳道・鼓膜の観察。ジーグル耳鏡を用いると鼓膜の可動性も確認できる。 ・前鼻鏡(鼻鏡):鼻孔を広げて鼻腔前方を観察する。 ・後鼻鏡(小さな斜めの鏡):口から入れて上咽頭や後鼻孔を観察する(現在は内視鏡が主流)。 ・間接喉頭鏡:口から入れて喉頭を鏡で観察する(これも現在は内視鏡に置き換わりつつある)。 ・舌圧子:舌を押さえて口腔・中咽頭を観察する。 ・吸引管:鼻汁・耳漏・血液などを吸引する。 ・膝状鑷子(銃剣状ピンセット):耳・鼻の異物除去、綿球やガーゼの挿入。 ・額帯鏡・ヘッドライト:診察部位を照らし、両手を空けて処置できるようにする。
経鼻内視鏡検査の概要
細径の軟性内視鏡を鼻孔から挿入して、鼻腔・上咽頭・中咽頭・下咽頭・喉頭を連続的に観察する検査である。上咽頭癌、喉頭癌・下咽頭癌、声帯ポリープ、声帯麻痺、喉頭蓋炎などの診断に用いられ、嚥下内視鏡検査(VE)としても利用される。挿入前には血管収縮薬と表面麻酔薬で鼻粘膜の前処置を行い、鼻汁を吸引して視野を確保する。これにより、鼻腔が広がって挿入が容易になり、痛みや鼻出血も起こりにくくなる。
POINT
・経鼻内視鏡前の鼻処置:前鼻鏡で鼻腔を確認→血管収縮薬・表面麻酔薬を噴霧→吸引管で鼻汁を吸引→挿入。 ・使用器具は前鼻鏡と吸引管。 ・器具の判別:耳鏡=外耳道・鼓膜、前鼻鏡=鼻腔、舌圧子=口腔・咽頭、屈曲したピンセット=異物除去やガーゼ挿入。
