時間とともに開く子宮口―Friedman曲線とBishopスコアを取り違えない
第111回医師国家試験 B問題 第23問
国試問題にチャレンジ
Friedman曲線に用いられる分娩進行の評価項目はどれか。
- a.頸管の展退(%)
- b.子宮口の開大(cm)
- c.陣痛発作の持続時間(秒)
- d.頸部の硬さ(軟,中,硬)
- e.子宮口の位置(前,中,後)
対話形式の解説
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ドクターまとめ
Friedman曲線は、横軸に分娩開始からの経過時間、縦軸に子宮口の開大度(cm)をとった分娩進行の標準曲線で、子宮口開大はS字状、併記される児頭下降は双曲線状に進みます。頸管の展退・頸部の硬さ・子宮口の位置は、子宮口開大度・児頭の位置とともにBishopスコアの項目で、ある時点の頸管成熟度を評価するものです。陣痛発作の持続時間は陣痛周期・子宮内圧とともに陣痛の強さを評価する指標で、微弱陣痛・過強陣痛の判定に用います。Friedman曲線を応用したパルトグラムで経過を記録することで潜伏期遷延や活動期の停止に気づけますが、近年は現代の分娩がより緩徐に進むことを踏まえ、活動期開始を6cmとする考え方も広まっています。「時間で追う指標」と「一時点の状態を見る指標」を区別することが、分娩管理を理解する土台になります。
解答・解説
正解はbです
Friedman曲線とは
Friedman曲線は、1950年代にFriedmanが多数の分娩経過を解析して作成した分娩進行の標準曲線である。横軸に分娩開始からの経過時間をとり、縦軸に子宮口の開大度(cm)を経時的にプロットしたもので、典型的にはS字状(シグモイド型)の曲線を描く。あわせて児頭の下降度(station)を同じ図に記録すると、児頭下降は分娩後半に急速に進む双曲線状の曲線となる。個々の産婦の経過をこの標準曲線と比較することで、分娩が順調に進んでいるか、遷延・停止していないかを判断する。これを応用して実際の分娩経過を記録する図をパルトグラム(partogram)と呼ぶ。
考え方
本問は、分娩進行を時間経過で追跡する指標(Friedman曲線)と、分娩開始前・誘発前の頸管の成熟度を一時点で評価する指標(Bishopスコア)を区別できるかを問うている。選択肢のうち、頸管展退・頸部の硬さ・子宮口の位置はBishopスコアの評価項目であり、陣痛発作の持続時間は陣痛の強さ(微弱陣痛・過強陣痛)の評価に用いる。Friedman曲線の縦軸に用いられるのは子宮口の開大(cm)である。
選択肢考察
- ×a. 頸管の展退(%)
頸管の展退とは、子宮頸管が分娩に向けて短縮・菲薄化していく程度を百分率で表したもので、Bishopスコアの評価項目の一つである(0〜30%で0点、40〜50%で1点、60〜70%で2点、80%以上で3点)。頸管の熟化度の評価には重要だが、Friedman曲線の軸には用いられない。
- ○b. 子宮口の開大(cm)
Friedman曲線は、分娩開始からの時間を横軸、子宮口の開大度(cm)を縦軸にとって分娩進行を表したものである。開大は全開大の10cmまで記録され、緩徐に進む潜伏期と、急速に進む活動期(加速期・極期・減速期)に区分される。この曲線と比較することで、潜伏期遷延や活動期の開大遅延・停止といった分娩進行異常を判断できる。なお、児頭の下降度もFriedman曲線のもう一つの評価項目として併記される。
- ×c. 陣痛発作の持続時間(秒)
陣痛発作の持続時間は、陣痛周期(発作の始まりから次の発作の始まりまでの間隔)や子宮内圧とともに陣痛の強さを評価する指標であり、微弱陣痛・過強陣痛の判定に用いられる。分娩監視装置(胎児心拍数陣痛図)で記録されるが、Friedman曲線の評価項目ではない。
- ×d. 頸部の硬さ(軟,中,硬)
子宮頸部の硬さは、内診で硬・中・軟の3段階に評価し(硬0点、中1点、軟2点)、Bishopスコアの項目に含まれる。分娩が近づくと頸部は軟化する。頸管成熟度の指標であり、Friedman曲線には用いない。
- ×e. 子宮口の位置(前,中,後)
子宮口の位置は、内診で後方・中央・前方の3段階に評価し(後0点、中1点、前2点)、Bishopスコアの項目である。頸管が熟化すると子宮口は後方から前方へ移動する。Friedman曲線の評価項目ではない。
Friedman曲線の区分
分娩第1期(陣痛開始〜子宮口全開大) ・潜伏期:子宮口の開大が緩やかな時期。頸管の熟化・展退が主に進む。 ・活動期:開大が急速に進む時期で、加速期・極期(最大傾斜期)・減速期に分けられる。 分娩第2期(子宮口全開大〜胎児娩出):児頭の下降が急速に進む。 Friedmanの基準では、潜伏期が初産婦で20時間、経産婦で14時間を超えると潜伏期遷延とされ、活動期の開大速度が初産婦で1.2cm/時、経産婦で1.5cm/時未満を開大遅延の目安とする。
近年の知見
Friedman曲線は1950年代のデータに基づくもので、近年の大規模研究(Zhangらの報告)では、現代の分娩はより緩徐に進行し、活動期への移行も遅い(子宮口6cm前後から急速に開大する)ことが示されている。これを受けて米国産婦人科学会(ACOG)などは、活動期の開始を6cmとみなし、分娩停止の判断を従来より慎重に行う方針を示している。それでも、子宮口開大と児頭下降を時間軸で評価するという基本的な考え方は変わらない。
Bishopスコア
分娩誘発の可否や分娩開始の予測に用いる頸管成熟度の指標で、以下の5項目を内診で評価する(合計13点満点)。 ・子宮口の開大度(0〜3点) ・頸管の展退度(0〜3点) ・児頭の位置(station、0〜3点) ・頸部の硬さ(0〜2点) ・子宮口の位置(0〜2点) 点数が高いほど頸管は成熟しており、一般に9点以上で熟化良好(誘発が成功しやすい)と判断する。
両者の違い
Bishopスコアは「ある時点での頸管の状態」、Friedman曲線は「時間経過に伴う分娩の進み具合」を評価するもの、と整理するとよい。子宮口の開大度と児頭の位置(下降度)は両方に共通して用いられる項目である。
POINT
・Friedman曲線:横軸=分娩開始からの時間、縦軸=子宮口開大度(cm)。子宮口開大はS字状、児頭下降は双曲線状の曲線を描く。 ・評価項目は子宮口の開大と児頭の下降度の2つ。 ・頸管展退、頸部の硬さ、子宮口の位置はBishopスコアの項目(他に子宮口開大度、児頭の位置)。 ・陣痛の持続時間・周期は陣痛の強さ(微弱・過強陣痛)の評価に用いる。
