6歳臼歯が教えてくれる年齢―成長のマイルストーンで「正常」を見抜く
第109回医師国家試験 C問題 第4問
国試問題にチャレンジ
6歳児の所見として正常なのはどれか。
- a.身長90 cm
- b.大泉門開存
- c.永久歯萌出
- d.胸椎骨棘形成
- e.大腿骨骨端線閉鎖
対話形式の解説
ドクター
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ドクターまとめ
6歳は幼児期から学童期への移行期で、第一大臼歯(6歳臼歯)や下顎中切歯から永久歯の萌出が始まるのが正常です。6歳児の平均身長は約115 cmで、90 cmは約2歳半に相当する著しい低身長として精査の対象になります。大泉門は1歳〜1歳6か月ごろ(小泉門は生後1〜2か月ごろ)に閉鎖し、骨端線は思春期の終わり(大腿骨で女子15歳前後、男子17〜18歳ごろ)に閉鎖するため、6歳での大泉門開存や骨端線閉鎖はそれぞれ異常を示唆します。骨棘形成は中高年以降の加齢性変化です。身長・泉門・歯・骨年齢といったマイルストーンを年齢と結びつけて覚えておくことは、乳幼児健診や成長障害の早期発見に直結します。
解答・解説
正解はcです
小児の成長・発達の標準的な時期(マイルストーン)を理解しているかを問う問題である。6歳は幼児期の終わりから学童期の入り口にあたり、次の特徴をもつ。 ・身長は平均で約115 cm前後(出生時約50 cmのおよそ2.3倍)。 ・大泉門はとうに閉鎖している(通常1歳〜1歳6か月ごろまでに閉鎖)。 ・乳歯から永久歯への生え替わりが始まる時期で、第一大臼歯(6歳臼歯)や下顎中切歯が萌出する。 ・骨はまだ成長途中で、長管骨の骨端線(成長板)は開いている。 ・脊椎の変性(骨棘形成)のような加齢性変化はみられない。 それぞれの選択肢が「何歳ごろの所見か」を考え、6歳として年齢相応のものを選べばよい。
選択肢考察
- ×a. 身長90 cm
身長90 cmは、男女ともおおむね2歳半ごろの平均身長に相当する。6歳児の平均身長は約115 cmであり、90 cmでは著しい低身長となる。成長曲線上で−2 SD(標準偏差)を大きく下回るため、成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、ターナー症候群、骨系統疾患、慢性疾患などの精査が必要な値である。
- ×b. 大泉門開存
大泉門(前頭骨と左右の頭頂骨の間にあるひし形の骨の隙間)は、通常1歳〜1歳6か月ごろまでに閉鎖する。6歳で開存しているのは異常であり、水頭症などの頭蓋内圧亢進、くる病、甲状腺機能低下症、骨形成不全症、鎖骨頭蓋異形成症、ダウン症候群などで閉鎖の遅れがみられる。なお小泉門は生後1〜2か月ごろに閉鎖する。
- ○c. 永久歯萌出
永久歯の萌出は6歳ごろに始まる。最初に生えるのは、乳歯列の奥に新たに生える第一大臼歯(いわゆる6歳臼歯)と下顎中切歯であることが多い。その後12〜13歳ごろまでに乳歯はすべて永久歯へ生え替わり、第二大臼歯も萌出する(第三大臼歯=親知らずは10代後半以降、生えないこともある)。したがって6歳児に永久歯の萌出がみられるのは年齢相応の正常所見である。
- ×d. 胸椎骨棘形成
骨棘(こつきょく)は、椎間板の変性などに伴って椎体の縁に形成される骨のとげ状の突出で、変形性脊椎症として中高年以降にみられる加齢性変化である。6歳児にみられることはなく、正常所見ではない。
- ×e. 大腿骨骨端線閉鎖
骨端線(成長板)は長管骨が長さ方向に伸びる部位であり、思春期に性ホルモン(特にエストロゲン)の作用で成熟が進み、思春期の終わりに閉鎖して身長の伸びが止まる。大腿骨の骨端線閉鎖は、女子でおおむね15歳前後、男子で17〜18歳ごろである。6歳で閉鎖していれば、思春期早発症などによる骨成熟の異常な促進を疑う所見である。
身長・体重の目安
・出生時:身長約50 cm、体重約3 kg。 ・1歳:身長約75 cm(出生時の1.5倍)、体重約9 kg(出生時の約3倍)。 ・4歳:身長約100 cm(出生時の約2倍)。 ・6歳:身長約115 cm前後、体重約20 kg前後。 ・その後、思春期の成長スパートを経て成人身長に達する。
泉門
・小泉門:生後1〜2か月ごろ閉鎖。 ・大泉門:1歳〜1歳6か月ごろ閉鎖。 閉鎖遅延は頭蓋内圧亢進(水頭症)、くる病、先天性甲状腺機能低下症、ダウン症候群などで、早期閉鎖は頭蓋骨縫合早期癒合症や小頭症などでみられる。
歯の発育
・乳歯:生後6〜8か月ごろに下顎乳中切歯から萌出し始め、2歳半〜3歳ごろまでに20本がそろう。 ・永久歯:6歳ごろに第一大臼歯・下顎中切歯から萌出し、12〜13歳ごろまでに第二大臼歯まで生えそろう(第三大臼歯を除き28本、含めて32本)。
骨年齢
手根骨の化骨核の数や骨端線の状態から骨の成熟度(骨年齢)を評価できる。骨年齢の遅れは成長ホルモン分泌不全や甲状腺機能低下症、促進は思春期早発症や副腎性器症候群などでみられ、低身長や性成熟異常の鑑別に役立つ。
POINT
・6歳児の平均身長は約115 cm。身長90 cmは約2歳半に相当する。 ・大泉門は1歳〜1歳6か月ごろ閉鎖、小泉門は生後1〜2か月ごろ閉鎖。 ・永久歯は6歳ごろ(第一大臼歯=6歳臼歯、下顎中切歯)から萌出し、12〜13歳ごろ生えそろう。 ・骨端線は思春期終了時に閉鎖(大腿骨:女子15歳前後、男子17〜18歳ごろ)。 ・骨棘形成は中高年以降の加齢性変化。
