StudyMed医師国家試験

6歳臼歯が教えてくれる年齢―成長のマイルストーンで「正常」を見抜く

第109回医師国家試験 C問題 第4問

国試問題にチャレンジ

第109回 C問題 第4問

6歳児の所見として正常なのはどれか。

  1. a.身長90 cm
  2. b.大泉門開存
  3. c.永久歯萌出
  4. d.胸椎骨棘形成
  5. e.大腿骨骨端線閉鎖

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、小児の成長・発達の標準的な時期、いわゆるマイルストーンを問う問題だ。選択肢それぞれが「何歳ごろの所見か」を考え、6歳として年齢相応のものを選べばいい。6歳というのは、どんな時期だと思う?
医学生医学生
小学校に入学するころなので、幼児期の終わりから学童期の始まりですね。
ドクタードクター
その通り。体の面でも節目の時期なんだ。まず身長から。身長90 cmというのは何歳くらいの値かな。
医学生医学生
4歳で出生時の2倍、つまり約100 cmと習ったので、90 cmはそれより小さい子ですね。
ドクタードクター
いい覚え方だね。90 cmはおおむね2歳半ごろの平均身長に相当する。6歳の平均は約115 cm前後だから、90 cmは成長曲線で−2 SDを大きく下回る著しい低身長だ。成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、ターナー症候群、骨系統疾患、慢性疾患などの精査が必要になる。
医学生医学生
小児科の実習で、乳幼児健診の母子手帳の成長曲線を一緒に確認しました。
ドクタードクター
成長曲線は1点の値だけでなく、経時的な推移を見ることが大事だね。次は大泉門。いつごろ閉じるか覚えている?
医学生医学生
小泉門が生後1〜2か月、大泉門が1歳半ごろまで、でしたか。
ドクタードクター
正解。大泉門は前頭骨と左右の頭頂骨の間にあるひし形の隙間で、1歳〜1歳6か月ごろまでに閉鎖する。6歳で開いていれば明らかに異常で、水頭症などの頭蓋内圧亢進、くる病、甲状腺機能低下症、骨形成不全症、鎖骨頭蓋異形成症、ダウン症候群などで閉鎖が遅れる。逆に早く閉じすぎる場合は頭蓋骨縫合早期癒合症や小頭症を考える。
医学生医学生
6歳で永久歯というのは早すぎませんか。乳歯が全部抜けるのはもっと後のイメージです。
ドクタードクター
そこがポイントだね。乳歯がすべて生え替わるのは12〜13歳ごろだけど、永久歯の萌出自体は6歳ごろに始まる。最初に生えることが多いのは、乳歯列の奥に新しく生える第一大臼歯、いわゆる6歳臼歯と、下顎の中切歯だ。だから6歳児に永久歯の萌出がみられるのは正常所見で、これが正解になる。
医学生医学生
6歳臼歯って、名前そのものが答えだったんですね。乳歯の抜けた後ではなく奥に生えるから、親が気づきにくいと聞いたことがあります。
ドクタードクター
そう、生えたての6歳臼歯は溝が深くて磨きにくく、むし歯になりやすい。歯科健診でも重点的に見られる歯なんだ。ちなみに乳歯は生後6〜8か月ごろに下顎乳中切歯から生え始め、2歳半〜3歳ごろまでに20本そろう。
医学生医学生
胸椎の骨棘は、整形外科の講義で変形性脊椎症の所見として習いました。子どもには関係なさそうです。
ドクタードクター
その通り。骨棘は椎間板の変性などに伴って椎体の縁にできるとげ状の骨の突出で、中高年以降の加齢性変化だ。6歳児にみられることはない。最後に大腿骨の骨端線閉鎖はどうかな。
医学生医学生
骨端線は成長板なので、閉じたら身長が伸びなくなりますよね。6歳で閉じていたら困ります。
ドクタードクター
そう。骨端線は思春期に性ホルモン、特にエストロゲンの作用で成熟が進み、思春期の終わりに閉鎖する。大腿骨なら女子で15歳前後、男子で17〜18歳ごろだ。6歳で閉鎖していれば、思春期早発症などで骨成熟が異常に促進されていることを疑う。
医学生医学生
骨の成熟度を見るのが、手のX線で評価する骨年齢でしたね。
ドクタードクター
よく覚えているね。手根骨の化骨核の数や骨端線の状態から骨年齢を評価する。骨年齢の遅れは成長ホルモン分泌不全や甲状腺機能低下症、促進は思春期早発症や副腎性器症候群などでみられ、低身長や性成熟異常の鑑別に役立つ。臨床では、暦年齢・身長・骨年齢の3つをセットで見て、「年齢相応か」を判断する習慣をつけてほしい。

まとめ

6歳は幼児期から学童期への移行期で、第一大臼歯(6歳臼歯)や下顎中切歯から永久歯の萌出が始まるのが正常です。6歳児の平均身長は約115 cmで、90 cmは約2歳半に相当する著しい低身長として精査の対象になります。大泉門は1歳〜1歳6か月ごろ(小泉門は生後1〜2か月ごろ)に閉鎖し、骨端線は思春期の終わり(大腿骨で女子15歳前後、男子17〜18歳ごろ)に閉鎖するため、6歳での大泉門開存や骨端線閉鎖はそれぞれ異常を示唆します。骨棘形成は中高年以降の加齢性変化です。身長・泉門・歯・骨年齢といったマイルストーンを年齢と結びつけて覚えておくことは、乳幼児健診や成長障害の早期発見に直結します。

解答・解説

正解はcです

小児の成長・発達の標準的な時期(マイルストーン)を理解しているかを問う問題である。6歳は幼児期の終わりから学童期の入り口にあたり、次の特徴をもつ。 ・身長は平均で約115 cm前後(出生時約50 cmのおよそ2.3倍)。 ・大泉門はとうに閉鎖している(通常1歳〜1歳6か月ごろまでに閉鎖)。 ・乳歯から永久歯への生え替わりが始まる時期で、第一大臼歯(6歳臼歯)や下顎中切歯が萌出する。 ・骨はまだ成長途中で、長管骨の骨端線(成長板)は開いている。 ・脊椎の変性(骨棘形成)のような加齢性変化はみられない。 それぞれの選択肢が「何歳ごろの所見か」を考え、6歳として年齢相応のものを選べばよい。

選択肢考察

  1. ×a.  身長90 cm

    身長90 cmは、男女ともおおむね2歳半ごろの平均身長に相当する。6歳児の平均身長は約115 cmであり、90 cmでは著しい低身長となる。成長曲線上で−2 SD(標準偏差)を大きく下回るため、成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、ターナー症候群、骨系統疾患、慢性疾患などの精査が必要な値である。

  2. ×b.  大泉門開存

    大泉門(前頭骨と左右の頭頂骨の間にあるひし形の骨の隙間)は、通常1歳〜1歳6か月ごろまでに閉鎖する。6歳で開存しているのは異常であり、水頭症などの頭蓋内圧亢進、くる病、甲状腺機能低下症、骨形成不全症、鎖骨頭蓋異形成症、ダウン症候群などで閉鎖の遅れがみられる。なお小泉門は生後1〜2か月ごろに閉鎖する。

  3. ○c.  永久歯萌出

    永久歯の萌出は6歳ごろに始まる。最初に生えるのは、乳歯列の奥に新たに生える第一大臼歯(いわゆる6歳臼歯)と下顎中切歯であることが多い。その後12〜13歳ごろまでに乳歯はすべて永久歯へ生え替わり、第二大臼歯も萌出する(第三大臼歯=親知らずは10代後半以降、生えないこともある)。したがって6歳児に永久歯の萌出がみられるのは年齢相応の正常所見である。

  4. ×d.  胸椎骨棘形成

    骨棘(こつきょく)は、椎間板の変性などに伴って椎体の縁に形成される骨のとげ状の突出で、変形性脊椎症として中高年以降にみられる加齢性変化である。6歳児にみられることはなく、正常所見ではない。

  5. ×e.  大腿骨骨端線閉鎖

    骨端線(成長板)は長管骨が長さ方向に伸びる部位であり、思春期に性ホルモン(特にエストロゲン)の作用で成熟が進み、思春期の終わりに閉鎖して身長の伸びが止まる。大腿骨の骨端線閉鎖は、女子でおおむね15歳前後、男子で17〜18歳ごろである。6歳で閉鎖していれば、思春期早発症などによる骨成熟の異常な促進を疑う所見である。

身長・体重の目安

・出生時:身長約50 cm、体重約3 kg。 ・1歳:身長約75 cm(出生時の1.5倍)、体重約9 kg(出生時の約3倍)。 ・4歳:身長約100 cm(出生時の約2倍)。 ・6歳:身長約115 cm前後、体重約20 kg前後。 ・その後、思春期の成長スパートを経て成人身長に達する。

泉門

・小泉門:生後1〜2か月ごろ閉鎖。 ・大泉門:1歳〜1歳6か月ごろ閉鎖。 閉鎖遅延は頭蓋内圧亢進(水頭症)、くる病、先天性甲状腺機能低下症、ダウン症候群などで、早期閉鎖は頭蓋骨縫合早期癒合症や小頭症などでみられる。

歯の発育

・乳歯:生後6〜8か月ごろに下顎乳中切歯から萌出し始め、2歳半〜3歳ごろまでに20本がそろう。 ・永久歯:6歳ごろに第一大臼歯・下顎中切歯から萌出し、12〜13歳ごろまでに第二大臼歯まで生えそろう(第三大臼歯を除き28本、含めて32本)。

骨年齢

手根骨の化骨核の数や骨端線の状態から骨の成熟度(骨年齢)を評価できる。骨年齢の遅れは成長ホルモン分泌不全や甲状腺機能低下症、促進は思春期早発症や副腎性器症候群などでみられ、低身長や性成熟異常の鑑別に役立つ。

POINT

・6歳児の平均身長は約115 cm。身長90 cmは約2歳半に相当する。 ・大泉門は1歳〜1歳6か月ごろ閉鎖、小泉門は生後1〜2か月ごろ閉鎖。 ・永久歯は6歳ごろ(第一大臼歯=6歳臼歯、下顎中切歯)から萌出し、12〜13歳ごろ生えそろう。 ・骨端線は思春期終了時に閉鎖(大腿骨:女子15歳前後、男子17〜18歳ごろ)。 ・骨棘形成は中高年以降の加齢性変化。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。