StudyMed医師国家試験

上から順に「見る・絞る・つなぐ」―点滴ラインの部品配置を流れで覚える

第108回医師国家試験 H問題 第9問

国試問題にチャレンジ

第108回 H問題 第9問

点滴器具の模式図(A)と部品の写真(Bア~ウ)とを別に示す。  部品の正しい位置を示すのはどれか。(編註:選択肢表は下記をご参照ください。) ① ② ③ a ア イ ウ b ア ウ イ c イ ア ウ d ウ ア イ e ウ イ ア

第108回 H問題 第9問の問題画像
  1. a.アイウ
  2. b.アウイ
  3. c.イアウ
  4. d.ウアイ
  5. e.ウイア

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は点滴セットの部品の名前と役割、そしてそれがライン上のどこに付くかを問う問題だ。丸暗記ではなく、「薬液がバッグから患者さんへ流れる順に、何が必要か」を考えると自然に答えが出る。まず写真の3つの部品、それぞれ何か分かるかな。
医学生医学生
ローラーが付いている部品はクレンメ、コックが3方向に伸びているのは三方活栓、透明な筒状のものは点滴筒だと思います。
ドクタードクター
正解。クレンメはローラーでチューブを押しつぶす度合いを変えて流量を調節する器具、三方活栓はコックを回して流路を切り替える器具、点滴筒はドリップチャンバーとも呼ばれ、薬液が1滴ずつ落ちる様子を観察する部分だ。では、一番上、輸液バッグのすぐ下に来るのはどれだろう。
医学生医学生
OSCEの練習で点滴の準備をしたとき、瓶針をバッグに刺したらすぐ下に筒があって、指で押して液をためた記憶があります。点滴筒ですね。
ドクタードクター
その通り。点滴筒は瓶針と一体になってバッグの直下にある。滴下を目で見て数えるためだけでなく、筒の中に空気層と液面をつくることで、バッグ交換のときなどに空気がチューブへ流れ込むのを防ぐ役割もあるんだ。液面は筒の1/3〜1/2くらいにしておくのが目安だね。
医学生医学生
次はクレンメか三方活栓ですが、クレンメは患者さんの手元で操作するほうが便利な気もして、少し迷います。
ドクタードクター
いい疑問だ。でも考えてほしいのは、クレンメで流量を変えたとき、その結果をどこで確認するか。点滴筒の滴下を見ながらローラーを動かすから、クレンメは点滴筒の下流、チューブの途中に置かれる。見る部品のすぐ下に、絞る部品がある、というイメージだ。
医学生医学生
なるほど。じゃあ三方活栓は一番患者さん側ですね。
ドクタードクター
そう。三方活栓は側管から薬剤を静注したり、別の輸液ラインをつないだりするためのもの。留置針に接続する手前、患者さんに近い位置に置くのが一般的だ。だから上から点滴筒、クレンメ、三方活栓という並びが正しい組合せになる。
医学生医学生
点滴筒を一番下に置いている組合せは、すぐに除外できますね。
ドクタードクター
そうだね。点滴筒はバッグ直下にしか存在し得ないから、患者側の末端に置く配置はまず外れる。クレンメを点滴筒より上流に置く配置も、瓶針と点滴筒が一体である以上ありえない。紛らわしいのは、点滴筒が一番上でも三方活栓とクレンメが入れ替わっている配置だ。三方活栓は患者側、クレンメはその上流、と流れで判断しよう。
医学生医学生
上から「見る・絞る・つなぐ」の順番で覚えると忘れなさそうです。
ドクタードクター
いい覚え方だ。ちなみに三方活栓は側管を使わないなら必須ではないから、実際には付いていないラインもあるよ。それから、点滴セットには種類があるのは知っているかな。
医学生医学生
成人用と小児用で1滴の大きさが違うと習いました。
ドクタードクター
そう。一般用の成人用セットは20滴で約1mL、微量用の小児用セットは60滴で約1mLだ。1分間の滴下数は「総輸液量×1mLあたりの滴数÷投与時間(分)」で計算する。たとえば500mLを2時間で成人用セットで落とすなら、500×20÷120で約83滴/分になる。
医学生医学生
病棟実習で看護師さんが時計を見ながら滴下を数えていたのは、これを確認していたんですね。
ドクタードクター
その通り。準備の手順も大切で、まずクレンメを閉じてから瓶針を刺し、点滴筒に液をためてからクレンメを開いてチューブ先端まで満たし、空気をしっかり抜いてから留置針に接続する。クレンメを開いたまま刺すと、点滴筒に液面ができる前に一気に流れて空気が入りやすいから注意しよう。

まとめ

点滴セットは、輸液バッグ側から点滴筒(ドリップチャンバー)、クレンメ、三方活栓の順に並びます。点滴筒は瓶針と一体でバッグ直下にあり、滴下の観察と空気混入の防止を担い、その下流のクレンメで滴下を見ながら流量を調節し、患者側の三方活栓で側管注や別ラインの接続を行います。成人用セットは20滴≒1mL、小児用(微量用)セットは60滴≒1mLで、1分間の滴下数は総輸液量×1mLあたりの滴数÷投与時間(分)で求めます。部品の役割を薬液の流れに沿って理解しておくことは、臨床実習での点滴準備や、病棟での安全な輸液管理の基本になります。

解答・解説

正解はdです

点滴(輸液)セットの基本構造と、各部品の名称・役割・配置順を問う問題である。 写真の部品は次のとおりである。 ア:クレンメ(ローラークランプ)。ローラーでチューブを押しつぶす程度を変え、流量(滴下速度)を調節する器具である。 イ:三方活栓。3方向に接続口があり、コックを回して流路を切り替える器具で、側管からの薬剤注入や別の輸液ラインの接続に使う。 ウ:点滴筒(ドリップチャンバー)。輸液ボトル(バッグ)の直下に位置し、薬液が1滴ずつ落ちる様子を観察して滴下数を数える部分である。 配置は、液体が流れる順(輸液バッグ側から患者側)に考えるとよい。まずボトルに瓶針を刺し、その直下に点滴筒がある(①=ウ)。点滴筒で滴下を確認しながら流量を調節するため、その下流のチューブ途中にクレンメを置く(②=ア)。そして患者に近い側、留置針に接続する手前に三方活栓を置き、側管からの薬剤投与を行う(③=イ)。したがって、①ウ、②ア、③イの組合せとなる。

選択肢考察

  1. ×a.  アイウ

    ①にクレンメ(ア)、③に点滴筒(ウ)を置く配置である。点滴筒はボトル直下で滴下を観察する部品であり、患者側の末端には置かない。また、クレンメは点滴筒より下流のチューブに付ける。誤りである。

  2. ×b.  アウイ

    ①にクレンメ(ア)、②に点滴筒(ウ)を置く配置である。点滴筒はボトルの瓶針と一体になってボトル直下に位置するものであり、クレンメがその上流に来ることはない。三方活栓(イ)を③とする点は正しいが、組合せ全体として誤りである。

  3. ×c.  イアウ

    ①に三方活栓(イ)、③に点滴筒(ウ)を置く配置である。三方活栓は側管から薬剤を注入するための部品であり、通常は患者に近い側に置く。点滴筒を患者側の末端に置くことはできず、誤りである。

  4. ○d.  ウアイ

    ①点滴筒(ウ)→②クレンメ(ア)→③三方活栓(イ)の順であり、正しい。点滴筒はボトル直下にあり、滴下を目で見て速度を確認する。その下流のクレンメで流量を調節し、患者側(留置針の手前)の三方活栓から必要に応じて側管注や別ラインの接続を行う。

  5. ×e.  ウイア

    ①に点滴筒(ウ)を置く点は正しいが、②に三方活栓(イ)、③にクレンメ(ア)を置く配置である。三方活栓は側管から薬剤を注入するため患者に近い位置に置くのが一般的であり、クレンメを患者側の末端に置く構造にはならない。誤りである。

輸液セットの構成(上流→下流)

輸液バッグ(ボトル)→瓶針→点滴筒(ドリップチャンバー)→チューブ→クレンメ→(必要に応じて)三方活栓・延長チューブ→留置針(静脈内カテーテル)→患者

各部品の役割

点滴筒:滴下を目で見て速度を確認する。また、筒内に空気層と液面を作ることで、ボトル交換時などに空気がチューブ内へ流れ込むのを防ぐ。筒内の液面は1/3〜1/2程度に満たしておく。 クレンメ:ローラーを動かしてチューブを締め付け、流量を調節する。輸液を止める際にも用いる。 三方活栓:コックの向きで流路を切り替える。側管からの静脈注射、別の輸液の同時投与、採血などに使う。側管を使わない場合は必須ではない。

輸液セットの種類と滴下数

一般用(成人用)輸液セット:20滴で約1mL 微量用(小児用)輸液セット:60滴で約1mL

滴下速度の計算例

1分間の滴下数=総輸液量(mL)×1mLあたりの滴数÷投与時間(分) 例:500mLを2時間(120分)で成人用セットを使って投与する場合、500×20÷120≒83滴/分となる。

準備の手順(概略)

クレンメを閉じてから瓶針をボトルに刺し、点滴筒を指で押して液面を満たす。その後クレンメを開いてチューブ先端まで薬液を満たし、空気を抜いてから留置針に接続する。

POINT

・輸液セットの並びはボトル側から点滴筒→クレンメ→三方活栓の順である。 ・点滴筒は滴下の確認と空気混入の防止、クレンメは流量調節、三方活栓は側管注・流路切り替えに用いる。 ・成人用セットは20滴≒1mL、小児用(微量用)セットは60滴≒1mLである。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。