「翌日に出る」かぶれの正体―抗体を使わないⅣ型アレルギーを見抜く
第107回医師国家試験 G問題 第14問
国試問題にチャレンジ
Ⅳ型アレルギーに分類されるのはどれか。
- a.喘息
- b.蕁麻疹
- c.アナフィラキシー
- d.アレルギー性鼻炎
- e.アレルギー性接触皮膚炎
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
Gell-Coombs分類では、Ⅰ〜Ⅲ型が抗体を介する反応であるのに対し、Ⅳ型だけは感作T細胞が主役となる細胞性免疫の反応で、24〜72時間後にピークを迎える遅延型反応です。喘息(アトピー型)、蕁麻疹、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎はいずれもIgEと肥満細胞を介するⅠ型の代表であり、アレルギー性接触皮膚炎がⅣ型に該当します。接触皮膚炎ではハプテンが皮膚の蛋白と結合して抗原となり、再接触後1〜2日で接触部位に皮疹が生じ、原因検索には48・72時間後に判定するパッチテストを用います。Ⅳ型にはほかにツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成、重症薬疹の一部が含まれます。「抗体かT細胞か」「即時か遅延か」の2軸で整理することが、アレルギー疾患の病態理解と検査選択の基盤になります。
解答・解説
正解はeです
アレルギー(過敏反応)のGell-Coombs分類を問う基本問題である。 分類の軸は「何が組織障害を起こすか」と「発症までの時間」である。Ⅰ〜Ⅲ型は抗体(液性免疫)が主役で、Ⅳ型だけが抗体ではなく感作T細胞(細胞性免疫)によって起こる。 ・Ⅰ型(即時型):IgEが肥満細胞・好塩基球に結合し、抗原の再侵入で架橋されるとヒスタミンなどが放出される。抗原曝露から数分〜数十分で症状が出る。 ・Ⅱ型(細胞傷害型):細胞表面や基底膜の抗原にIgG・IgMが結合し、補体や食細胞によって細胞が破壊される。 ・Ⅲ型(免疫複合体型):抗原と抗体の免疫複合体が組織に沈着し、補体活性化と好中球浸潤で障害が起こる。 ・Ⅳ型(遅延型):感作されたT細胞が抗原に再び出会うとサイトカインを放出し、マクロファージなどを呼び寄せて炎症を起こす。反応のピークは24〜72時間後と遅い。 選択肢のうち、喘息・蕁麻疹・アナフィラキシー・アレルギー性鼻炎はいずれもIgEを介する代表的なⅠ型アレルギーとして扱われる。抗体を介さずT細胞が主役となる遅延型反応はアレルギー性接触皮膚炎だけである。
選択肢考察
- ×a. 喘息
気管支喘息、特にダニ・ハウスダストなどの吸入抗原に感作されたアトピー型喘息は、IgEを介したⅠ型アレルギーの代表例である。肥満細胞から放出されるヒスタミンやロイコトリエンが気管支平滑筋を収縮させ、即時型の喘息反応を起こす。数時間後に好酸球などの浸潤による遅発型反応を伴うこともあるが、これもIgEを起点とする反応の延長であり、分類上はⅠ型とされる。なお、IgEの関与がはっきりしない非アトピー型喘息も存在する。
- ×b. 蕁麻疹
アレルギー性の蕁麻疹は、食物や薬剤などの抗原がIgEを介して皮膚の肥満細胞を活性化し、ヒスタミンによる血管透過性亢進で膨疹(一過性の限局性浮腫)と瘙痒が生じるⅠ型アレルギーである。膨疹は通常24時間以内に跡を残さず消える。なお、蕁麻疹には物理的刺激や原因不明(特発性)のものなど、アレルギー以外の機序によるものも多い。
- ×c. アナフィラキシー
アナフィラキシーは、IgEを介して全身の肥満細胞・好塩基球から一斉にメディエーターが放出される全身性のⅠ型アレルギーである。蜂毒、食物、薬剤などが原因となり、皮膚症状、呼吸困難、血圧低下(アナフィラキシーショック)が急速に進行する。治療の第一選択はアドレナリンの筋注である。
- ×d. アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、スギ花粉やダニなどの吸入抗原に対するIgEを介したⅠ型アレルギーである。鼻粘膜の肥満細胞から放出されるヒスタミンやロイコトリエンにより、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉の三主徴が生じる。鼻汁中の好酸球増加や血清特異的IgE抗体の検出が診断の手がかりとなる。
- ○e. アレルギー性接触皮膚炎
アレルギー性接触皮膚炎は、金属(ニッケルなど)、ウルシ、化粧品、外用薬などの低分子物質(ハプテン)が皮膚の蛋白と結合して抗原となり、これに感作されたT細胞が再接触時に反応して起こるⅣ型(遅延型)アレルギーである。接触から1〜2日後に接触部位に一致して紅斑、丘疹、小水疱、瘙痒が出現する。原因物質の同定にはパッチテスト(48時間後、72時間後などに判定)が用いられる。抗体を介さない点がⅠ〜Ⅲ型との違いである。
Gell-Coombs分類と代表疾患
・Ⅰ型(即時型、IgE・肥満細胞):気管支喘息(アトピー型)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシー、食物アレルギー(即時型)。検査は皮膚プリックテスト、特異的IgE測定など。 ・Ⅱ型(細胞傷害型、IgG・IgM+補体):自己免疫性溶血性貧血、ABO不適合輸血、Rh血液型不適合妊娠(新生児溶血性疾患)、免疫性血小板減少症、抗GBM病(Goodpasture症候群)。受容体に対する抗体が機能を刺激・阻害するBasedow病や重症筋無力症をⅡ型に含める、あるいはⅤ型として別に扱う考え方もある。 ・Ⅲ型(免疫複合体型):血清病、全身性エリテマトーデス(SLE)のループス腎炎、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、過敏性肺炎(Ⅳ型も関与)、Arthus反応。関節リウマチにも免疫複合体の関与が指摘される。 ・Ⅳ型(遅延型、T細胞):アレルギー性接触皮膚炎、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成、薬疹の一部(Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症など)。
Ⅳ型アレルギーの流れ
初回の曝露でランゲルハンス細胞などの抗原提示細胞が抗原をリンパ節へ運び、T細胞を感作する(感作相)。再曝露時には、記憶T細胞が抗原を認識してIFN-γなどのサイトカインを放出し、マクロファージや細胞傷害性T細胞を動員して組織障害を起こす(惹起相)。細胞の移動とサイトカイン産生に時間を要するため、反応は遅延型となる。
接触皮膚炎の区別
接触皮膚炎には、感作を必要とせず誰にでも起こりうる刺激性接触皮膚炎(酸・アルカリ、洗剤など)と、感作が成立した人にだけ起こるアレルギー性接触皮膚炎がある。Ⅳ型アレルギーに当たるのは後者である。
POINT
・Ⅳ型アレルギーは唯一抗体を介さず、感作T細胞が起こす遅延型反応(24〜72時間後にピーク)。 ・代表例:アレルギー性接触皮膚炎、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫。 ・喘息(アトピー型)、蕁麻疹、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎はIgEを介したⅠ型。 ・接触皮膚炎の原因検索はパッチテスト(Ⅳ型)、Ⅰ型の検索はプリックテストや特異的IgE。
