StudyMed医師国家試験

「翌日に出る」かぶれの正体―抗体を使わないⅣ型アレルギーを見抜く

第107回医師国家試験 G問題 第14問

国試問題にチャレンジ

第107回 G問題 第14問

Ⅳ型アレルギーに分類されるのはどれか。

  1. a.喘息
  2. b.蕁麻疹
  3. c.アナフィラキシー
  4. d.アレルギー性鼻炎
  5. e.アレルギー性接触皮膚炎

対話形式の解説

ドクタードクター
今回はアレルギーの分類、いわゆるGell-Coombs分類の基本問題だ。着眼点は「何が組織を傷つけるのか」と「症状が出るまでの時間」の2つ。この2軸で整理すると、Ⅳ型だけが仲間外れになる理由がはっきり見えてくるよ。
医学生医学生
免疫学の講義でⅠ型からⅣ型まで習いましたが、Ⅰ型が即時型でIgE、くらいしかすぐに出てきません。
ドクタードクター
まずはそこが出れば十分。Ⅰ型ではIgEが肥満細胞や好塩基球の表面に結合していて、抗原が再びやってくると架橋されてヒスタミンなどが放出される。だから抗原曝露から数分〜数十分で症状が出るんだ。Ⅱ型は細胞表面や基底膜の抗原にIgGやIgMが結合して、補体や食細胞が細胞を壊す。Ⅲ型は抗原と抗体の免疫複合体が組織に沈着して、補体の活性化と好中球浸潤で障害を起こす。
医学生医学生
Ⅰ〜Ⅲ型は、どれも抗体が主役なんですね。
ドクタードクター
その通り。ここが最大のポイントで、Ⅳ型だけは抗体ではなく感作されたT細胞、つまり細胞性免疫が主役なんだ。T細胞が抗原に再会するとサイトカインを出し、マクロファージなどを呼び寄せて炎症を起こす。細胞が集まってくるのに時間がかかるから、反応のピークは24〜72時間後と遅い。だから遅延型と呼ばれる。
医学生医学生
選択肢を見ると、喘息、蕁麻疹、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性接触皮膚炎……。喘息は慢性的な炎症が続くので、遅延型っぽい気もしてしまいます。
ドクタードクター
そこは引っかかりやすいところだね。ダニやハウスダストに感作されたアトピー型喘息は、IgEを介したⅠ型の代表例だ。肥満細胞から出るヒスタミンやロイコトリエンが気管支平滑筋を収縮させる。数時間後に好酸球浸潤による遅発型反応が起こることもあるけれど、これもIgEを起点とした反応の延長なので、分類上はⅠ型として扱う。
医学生医学生
なるほど、「遅れて起こる反応がある」ことと「Ⅳ型」はイコールではないんですね。
ドクタードクター
そう。蕁麻疹も、食物や薬剤がIgEを介して皮膚の肥満細胞を活性化し、血管透過性が上がって膨疹が出るⅠ型だ。膨疹は通常24時間以内に跡を残さず消える。もっとも蕁麻疹には物理的刺激や原因不明のものも多くて、全部がアレルギーというわけではないけどね。
医学生医学生
アナフィラキシーは、臨床実習の救急外来で蜂に刺された患者さんにアドレナリンを筋注しているのを見ました。あれも全身性のⅠ型ですよね。
ドクタードクター
その通り。IgEを介して全身の肥満細胞・好塩基球から一斉にメディエーターが放出され、皮膚症状、呼吸困難、血圧低下が急速に進む。第一選択はアドレナリン筋注だ。アレルギー性鼻炎もスギ花粉やダニに対するIgEが関与するⅠ型で、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉が三主徴だね。
医学生医学生
残るアレルギー性接触皮膚炎がⅣ型ということですね。でも、金属やウルシみたいな小さな分子が、どうやってT細胞に認識されるんですか。
ドクタードクター
いい疑問だ。ニッケルやウルシ、化粧品成分のような低分子はハプテンと呼ばれ、それだけでは抗原にならない。皮膚の蛋白と結合して初めて抗原になる。初回の接触では表皮のランゲルハンス細胞がこれをリンパ節へ運んでT細胞を感作する。これが感作相。再び接触すると記憶T細胞がIFN-γなどを出して炎症を起こす。これが惹起相だ。だから症状は接触から1〜2日後に、接触した部位に一致して紅斑、丘疹、小水疱、瘙痒として現れる。
医学生医学生
皮膚科を回ったとき、背中にパッチを貼って2日後と3日後に判定しているのを見ました。あれがパッチテストですね。
ドクタードクター
まさにそれ。遅延型だから、48時間後、72時間後などに読むんだ。逆にⅠ型の原因検索ならプリックテストや特異的IgEの測定を使う。検査法も反応の型に合わせて選ぶ、と覚えておくといい。
医学生医学生
接触皮膚炎なら全部Ⅳ型と考えていいですか。
ドクタードクター
そこは注意。酸やアルカリ、洗剤のように感作なしで誰にでも起こる刺激性接触皮膚炎もある。Ⅳ型に当たるのは、感作が成立した人にだけ起こるアレルギー性接触皮膚炎のほうだ。ほかにⅣ型の代表としては、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成、そしてStevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症など一部の薬疹も挙げられる。
医学生医学生
ツベルクリン反応も48時間後に判定するので、遅延型という点でつながりますね。
ドクタードクター
その通り。CBTや国試では、Ⅱ型の自己免疫性溶血性貧血や不適合輸血、Ⅲ型の血清病やループス腎炎、溶連菌感染後急性糸球体腎炎なども合わせて問われる。「抗体か、T細胞か」「すぐか、1〜2日後か」という2軸で整理しておけば、初見の疾患でも分類を推論できるよ。

まとめ

Gell-Coombs分類では、Ⅰ〜Ⅲ型が抗体を介する反応であるのに対し、Ⅳ型だけは感作T細胞が主役となる細胞性免疫の反応で、24〜72時間後にピークを迎える遅延型反応です。喘息(アトピー型)、蕁麻疹、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎はいずれもIgEと肥満細胞を介するⅠ型の代表であり、アレルギー性接触皮膚炎がⅣ型に該当します。接触皮膚炎ではハプテンが皮膚の蛋白と結合して抗原となり、再接触後1〜2日で接触部位に皮疹が生じ、原因検索には48・72時間後に判定するパッチテストを用います。Ⅳ型にはほかにツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成、重症薬疹の一部が含まれます。「抗体かT細胞か」「即時か遅延か」の2軸で整理することが、アレルギー疾患の病態理解と検査選択の基盤になります。

解答・解説

正解はeです

アレルギー(過敏反応)のGell-Coombs分類を問う基本問題である。 分類の軸は「何が組織障害を起こすか」と「発症までの時間」である。Ⅰ〜Ⅲ型は抗体(液性免疫)が主役で、Ⅳ型だけが抗体ではなく感作T細胞(細胞性免疫)によって起こる。 ・Ⅰ型(即時型):IgEが肥満細胞・好塩基球に結合し、抗原の再侵入で架橋されるとヒスタミンなどが放出される。抗原曝露から数分〜数十分で症状が出る。 ・Ⅱ型(細胞傷害型):細胞表面や基底膜の抗原にIgG・IgMが結合し、補体や食細胞によって細胞が破壊される。 ・Ⅲ型(免疫複合体型):抗原と抗体の免疫複合体が組織に沈着し、補体活性化と好中球浸潤で障害が起こる。 ・Ⅳ型(遅延型):感作されたT細胞が抗原に再び出会うとサイトカインを放出し、マクロファージなどを呼び寄せて炎症を起こす。反応のピークは24〜72時間後と遅い。 選択肢のうち、喘息・蕁麻疹・アナフィラキシー・アレルギー性鼻炎はいずれもIgEを介する代表的なⅠ型アレルギーとして扱われる。抗体を介さずT細胞が主役となる遅延型反応はアレルギー性接触皮膚炎だけである。

選択肢考察

  1. ×a.  喘息

    気管支喘息、特にダニ・ハウスダストなどの吸入抗原に感作されたアトピー型喘息は、IgEを介したⅠ型アレルギーの代表例である。肥満細胞から放出されるヒスタミンやロイコトリエンが気管支平滑筋を収縮させ、即時型の喘息反応を起こす。数時間後に好酸球などの浸潤による遅発型反応を伴うこともあるが、これもIgEを起点とする反応の延長であり、分類上はⅠ型とされる。なお、IgEの関与がはっきりしない非アトピー型喘息も存在する。

  2. ×b.  蕁麻疹

    アレルギー性の蕁麻疹は、食物や薬剤などの抗原がIgEを介して皮膚の肥満細胞を活性化し、ヒスタミンによる血管透過性亢進で膨疹(一過性の限局性浮腫)と瘙痒が生じるⅠ型アレルギーである。膨疹は通常24時間以内に跡を残さず消える。なお、蕁麻疹には物理的刺激や原因不明(特発性)のものなど、アレルギー以外の機序によるものも多い。

  3. ×c.  アナフィラキシー

    アナフィラキシーは、IgEを介して全身の肥満細胞・好塩基球から一斉にメディエーターが放出される全身性のⅠ型アレルギーである。蜂毒、食物、薬剤などが原因となり、皮膚症状、呼吸困難、血圧低下(アナフィラキシーショック)が急速に進行する。治療の第一選択はアドレナリンの筋注である。

  4. ×d.  アレルギー性鼻炎

    アレルギー性鼻炎は、スギ花粉やダニなどの吸入抗原に対するIgEを介したⅠ型アレルギーである。鼻粘膜の肥満細胞から放出されるヒスタミンやロイコトリエンにより、くしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉の三主徴が生じる。鼻汁中の好酸球増加や血清特異的IgE抗体の検出が診断の手がかりとなる。

  5. ○e.  アレルギー性接触皮膚炎

    アレルギー性接触皮膚炎は、金属(ニッケルなど)、ウルシ、化粧品、外用薬などの低分子物質(ハプテン)が皮膚の蛋白と結合して抗原となり、これに感作されたT細胞が再接触時に反応して起こるⅣ型(遅延型)アレルギーである。接触から1〜2日後に接触部位に一致して紅斑、丘疹、小水疱、瘙痒が出現する。原因物質の同定にはパッチテスト(48時間後、72時間後などに判定)が用いられる。抗体を介さない点がⅠ〜Ⅲ型との違いである。

Gell-Coombs分類と代表疾患

・Ⅰ型(即時型、IgE・肥満細胞):気管支喘息(アトピー型)、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシー、食物アレルギー(即時型)。検査は皮膚プリックテスト、特異的IgE測定など。 ・Ⅱ型(細胞傷害型、IgG・IgM+補体):自己免疫性溶血性貧血、ABO不適合輸血、Rh血液型不適合妊娠(新生児溶血性疾患)、免疫性血小板減少症、抗GBM病(Goodpasture症候群)。受容体に対する抗体が機能を刺激・阻害するBasedow病や重症筋無力症をⅡ型に含める、あるいはⅤ型として別に扱う考え方もある。 ・Ⅲ型(免疫複合体型):血清病、全身性エリテマトーデス(SLE)のループス腎炎、溶連菌感染後急性糸球体腎炎、過敏性肺炎(Ⅳ型も関与)、Arthus反応。関節リウマチにも免疫複合体の関与が指摘される。 ・Ⅳ型(遅延型、T細胞):アレルギー性接触皮膚炎、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成、薬疹の一部(Stevens-Johnson症候群・中毒性表皮壊死症など)。

Ⅳ型アレルギーの流れ

初回の曝露でランゲルハンス細胞などの抗原提示細胞が抗原をリンパ節へ運び、T細胞を感作する(感作相)。再曝露時には、記憶T細胞が抗原を認識してIFN-γなどのサイトカインを放出し、マクロファージや細胞傷害性T細胞を動員して組織障害を起こす(惹起相)。細胞の移動とサイトカイン産生に時間を要するため、反応は遅延型となる。

接触皮膚炎の区別

接触皮膚炎には、感作を必要とせず誰にでも起こりうる刺激性接触皮膚炎(酸・アルカリ、洗剤など)と、感作が成立した人にだけ起こるアレルギー性接触皮膚炎がある。Ⅳ型アレルギーに当たるのは後者である。

POINT

・Ⅳ型アレルギーは唯一抗体を介さず、感作T細胞が起こす遅延型反応(24〜72時間後にピーク)。 ・代表例:アレルギー性接触皮膚炎、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫。 ・喘息(アトピー型)、蕁麻疹、アナフィラキシー、アレルギー性鼻炎はIgEを介したⅠ型。 ・接触皮膚炎の原因検索はパッチテスト(Ⅳ型)、Ⅰ型の検索はプリックテストや特異的IgE。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。