医師の指示なしで動ける職種は?―「診療の補助」と助産師の独立業務
第107回医師国家試験 E問題 第3問
国試問題にチャレンジ
医師の指示が必要でないのはどれか。
- a.看護師による静脈注射
- b.臨床検査技師による採血
- c.助産師による正常分娩の介助
- d.診療放射線技師によるCTの撮影
- e.臨床工学技士による経皮的心肺補助〈PCPS〉の交換
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
医行為は医師法第17条により本来医師だけが行えるもので、看護師・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士などは、それぞれの資格法に基づき医師の指示の下で「診療の補助」として医行為の一部を担います。看護師の静脈注射、臨床検査技師の採血、診療放射線技師の放射線照射、臨床工学技士による生命維持管理装置(PCPSなど)の操作は、いずれも医師の指示(多くは具体的な指示)が必要です。これに対し助産師は助産を固有の業務とし、正常分娩であれば医師の指示なく介助でき、へその緒の切断など付随行為も行えますが、異常を認めた場合は医師の診療を求め、臨時応急の手当以外は自ら処置してはなりません。各職種の「独立して行える業務」と「指示が必要な業務」を区別して理解することは、チーム医療の中で医師が適切な指示を出し責任を果たすための基礎になります。
解答・解説
正解はcです
医療行為(医行為)は本来、医師(歯科医療では歯科医師)だけが行える業務である(医師法第17条)。そのうえで、看護師・臨床検査技師・診療放射線技師・臨床工学技士などの医療関係職種は、それぞれの資格法によって、医師の指示の下で医行為の一部を「診療の補助」として行うことが認められている。つまり、これらの職種が医行為を行う際には原則として医師(または歯科医師)の指示が前提となる。 これに対し、助産師は保健師助産師看護師法(保助看法)により「助産」そのものを固有の業務として認められている。正常な経過の妊娠・分娩であれば、医師の指示を受けずに自らの判断で分娩の介助を行うことができ、助産所を開設して独立して業務を行うこともできる。ただし妊婦・産婦・褥婦や胎児・新生児に異常を認めた場合には、医師の診療を受けさせなければならず、臨時応急の手当を除いて自ら処置してはならない(保助看法第38条)。 したがって本問は「診療の補助として医師の指示が必要な行為」と「職種固有の業務として独立して行える行為」を区別できるかを問うている。選択肢のうち後者に当たるのは、助産師による正常分娩の介助である。
選択肢考察
- ×a. 看護師による静脈注射
看護師の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」であり、静脈注射は診療の補助に当たる。保助看法第37条は、主治の医師または歯科医師の指示がなければ、診療機械の使用、医薬品の授与・指示など衛生上危害を生じるおそれのある行為をしてはならないと定めている(臨時応急の手当などを除く)。静脈注射は、かつて行政解釈で看護師の業務範囲外とされていたが、2002年の通知で診療の補助行為の範疇として扱うよう改められた。いずれにしても医師の指示が必要である。なお特定行為研修を修了した看護師が医師の手順書に基づいて行う特定行為も、医師の指示の一形態である。
- ×b. 臨床検査技師による採血
臨床検査技師は、臨床検査技師等に関する法律に基づき、診療の補助として採血や検体採取を行うことができるが、医師または歯科医師の具体的な指示を受けて行う必要がある。「具体的な指示」とは、採血の方法・部位・採血量などを示すことを指すとされている。近年のタスクシフトに関する法改正で、鼻腔ぬぐい液などの検体採取や一部の静脈路確保なども業務に加えられたが、いずれも医師の指示の下で行う点は変わらない。
- ○c. 助産師による正常分娩の介助
助産は助産師に固有に認められた業務であり、正常な経過の分娩であれば医師の指示なしに助産師が単独で介助できる。へその緒を切る、浣腸を施すなど助産に当然付随する行為も、医師の指示なく行える(保助看法第37条ただし書き)。一方、分娩の経過に異常がある場合には医師の診療を求めなければならず、臨時応急の手当を除いて自ら処置してはならない(同法第38条)。日本で助産を業として行えるのは医師と助産師のみである。
- ×d. 診療放射線技師によるCTの撮影
診療放射線技師は、医師または歯科医師の指示の下に放射線を人体に照射することを業とする者であり、診療放射線技師法では医師・歯科医師の具体的な指示を受けなければ放射線を照射してはならないと定めている。CTはエックス線を用いる検査であり、撮影には医師の指示が必要である。なおMRIや超音波検査など放射線を用いない画像検査も、診療の補助として医師の指示の下で行う。
- ×e. 臨床工学技士による経皮的心肺補助〈PCPS〉の交換
臨床工学技士は、医師の指示の下に生命維持管理装置(人工心肺装置、人工呼吸器、血液浄化装置など)の操作と保守点検を行う職種である。経皮的心肺補助(PCPS:大腿動静脈から挿入したカニューレを通じて遠心ポンプと膜型人工肺で循環・呼吸を補助する装置)は生命維持管理装置であり、その回路や人工肺の交換を含む操作は、臨床工学技士法により医師の具体的な指示を受けて行わなければならない。
医療関係職種と医師の指示
・看護師:療養上の世話は看護師の判断で行えるが、診療の補助(注射、点滴、医療機器の使用など)は医師・歯科医師の指示が必要。 ・准看護師:医師・歯科医師・看護師の指示を受けて業務を行う。 ・助産師:正常な妊娠・分娩・産褥の助産、妊婦・褥婦・新生児の保健指導は独立して行える。異常時は医師へ。 ・保健師:保健指導は独立して行えるが、傷病者の療養上の指導を行う際に主治医があれば、その指示を受けなければならない。 ・臨床検査技師:検体検査は医師の指示なく行えるが、採血・検体採取・生理学的検査(心電図、脳波、超音波検査など)は医師の指示の下で行う。 ・診療放射線技師:放射線照射は医師・歯科医師の具体的な指示が必要。 ・臨床工学技士:生命維持管理装置の操作は医師の具体的な指示が必要。 ・理学療法士・作業療法士:医師の指示の下にリハビリテーションを行う。 ・救急救命士:医師の具体的な指示(オンラインメディカルコントロール)の下で特定行為(静脈路確保と輸液、器具を用いた気道確保、アドレナリン投与など)を行う。 ・薬剤師:調剤は医師の処方箋に基づいて行うが、処方内容に疑義があれば処方医に問い合わせる義務(疑義照会)がある。
助産師に関する主な規定(保助看法)
・定義:厚生労働大臣の免許を受けて、助産または妊婦・褥婦・新生児の保健指導を行うことを業とする女子。 ・第37条ただし書き:へその緒を切る、浣腸を施すなど助産師の業務に当然付随する行為は医師の指示なく行える。 ・第38条:妊婦等に異常があると認めたときは医師の診療を求めさせ、臨時応急の手当を除き自ら処置してはならない。 ・出生証明書・死産証書・死胎検案書を交付できる(医師も交付できる)。 ・助産所を開設・管理できる。分娩を取り扱う助産所は、嘱託医師と連携医療機関を定めておく必要がある。
POINT
・医療関係職種の多くは「診療の補助」として医師(歯科医師)の指示の下で医行為を行う。 ・助産師は正常分娩の介助を医師の指示なく単独で行える。異常を認めたら医師の診療を求め、臨時応急の手当以外の処置はしない。 ・診療放射線技師の照射、臨床工学技士の生命維持管理装置の操作、臨床検査技師の採血は、いずれも医師の具体的な指示が必要。 ・看護師の静脈注射は診療の補助であり、医師の指示が必要。
