その事項、根拠はどの法律?―医療計画が描く「地域医療の設計図」
第106回医師国家試験 G問題 第24問
国試問題にチャレンジ
医療計画に定められているのはどれか。
- a.保健所の設置
- b.医療監査の計画
- c.医療従事者の確保
- d.栄養摂取基準の設定
- e.臨床研修病院の指定
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
医療計画は医療法に基づき、国の基本方針に沿って都道府県が策定する地域医療提供体制の設計図で、現在は6年ごとに見直されます。主な記載事項は医療圏の設定、基準病床数、5疾病・6事業と在宅医療、地域医療構想、医療従事者の確保(医師確保計画を含む)、医療安全の確保です。保健所の設置は地域保健法、食事摂取基準は健康増進法、臨床研修病院の指定は医師法に基づき、医療機関への立入検査や保険医療機関の指導・監査は監督行政の枠組みであって医療計画の内容ではありません。制度問題は「どの法律に基づき、誰が、何の目的で定めるか」を整理すると解きやすくなり、臨床現場で自院が地域医療の中で担う役割を理解する土台にもなります。
解答・解説
正解はcです
医療計画とは
医療計画は、医療法に基づいて都道府県が策定する計画である。地域の実情に応じて医療機関の機能分担と連携を進め、住民が必要な医療を切れ目なく、過不足なく受けられる体制を確保することを目的とする。国(厚生労働大臣)が定める基本方針に即して都道府県が作成し、現在は6年ごとに見直される(かつては5年ごとであった)。
解き方
本問は「その事項がどの法律・どの主体によって定められているか」を問う問題である。医療計画に書かれる内容は、医療圏の設定、基準病床数、5疾病・6事業および在宅医療の体制、医療従事者の確保、医療安全の確保など、「地域の医療提供体制をどう整えるか」に関わるものである。これに該当するのは医療従事者の確保であり、そのほかの選択肢はそれぞれ別の法律(地域保健法、健康増進法、医師法など)に根拠がある事項である。
選択肢考察
- ×a. 保健所の設置
保健所の設置は地域保健法(第5条)に定められている。設置主体は都道府県、政令指定都市、中核市、その他の政令で定める市および特別区である。保健所は地域保健の拠点となる行政機関であり、その設置は医療計画の記載事項ではない。
- ×b. 医療監査の計画
医療機関に対する監督は医療計画の内容ではない。病院・診療所への立入検査(いわゆる医療監視)は医療法第25条に基づき都道府県知事や保健所設置市の長などが行うものであり、保険医療機関・保険医に対する指導や監査は健康保険法に基づいて厚生労働省(地方厚生局)が都道府県と共同で行う。いずれも監督行政の枠組みであり、地域の医療提供体制の整備を目的とする医療計画とは別物である。
- ○c. 医療従事者の確保
医療法第5章「医療提供体制の確保」の医療計画の規定において、医師・看護師など医療従事者の確保に関する事項は医療計画に定める事項とされている。病床や医療機関を整備しても担い手がいなければ医療は提供できないため、医療計画の重要な柱となっている。2018年度からは医療計画の一部として「医師確保計画」も策定されるようになり、医師偏在の是正が図られている。
- ×d. 栄養摂取基準の設定
国民の健康の保持・増進のために望ましいエネルギーや栄養素の摂取量の基準は、健康増進法に基づき厚生労働大臣が「日本人の食事摂取基準」として定め、おおむね5年ごとに改定している(かつては「栄養所要量」と呼ばれていた)。医療計画の記載事項ではない。
- ×e. 臨床研修病院の指定
医師の卒後臨床研修(2年以上の必修)は医師法第16条の2に規定されており、臨床研修病院の指定もこの医師法に基づく。従来は厚生労働大臣が指定していたが、2020年度からは指定権限が都道府県知事に移譲されている。いずれにせよ根拠は医師法であり、医療計画に定められる事項ではない。
医療計画の主な記載事項
・医療圏の設定:一次医療圏(市町村単位の日常的な医療)、二次医療圏(入院を含む一般的な医療を完結させる単位)、三次医療圏(原則として都道府県単位、高度・特殊な医療) ・基準病床数:二次医療圏ごとの療養病床・一般病床、都道府県単位の精神病床・結核病床・感染症病床について定める。既存病床数が基準病床数を超える地域では病床の新設・増床が制限される。 ・5疾病:がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患 ・6事業:救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療(小児救急を含む)、新興感染症発生・まん延時における医療(2024年度からの第8次医療計画で追加。それ以前は5事業) ・在宅医療 ・地域医療構想(2025年などの将来の医療需要を見据えた病床の機能分化・連携) ・医療従事者の確保(医師確保計画を含む)、外来医療に係る医療提供体制の確保(外来医療計画) ・医療の安全の確保
関連する法律と所管事項の整理
・地域保健法:保健所・市町村保健センターの設置 ・健康増進法:国民健康・栄養調査、食事摂取基準、受動喫煙対策、健康増進計画 ・医師法:医師免許、臨床研修 ・医療法:病院・診療所の開設や構造設備の基準、立入検査、医療法人、医療計画 ・健康保険法:保険診療、保険医療機関の指定・指導・監査
POINT
・医療計画は医療法に基づき都道府県が策定し、6年ごとに見直す。 ・主な記載事項は医療圏、基準病床数、5疾病・6事業と在宅医療、地域医療構想、医療従事者の確保、医療安全の確保である。 ・保健所の設置は地域保健法、食事摂取基準は健康増進法、臨床研修病院の指定は医師法に根拠がある。
