病院から地域へ―保健所と精神保健福祉センターで読み解く日本の精神保健福祉
第105回医師国家試験 G問題 第30問
国試問題にチャレンジ
我が国の精神保健福祉で正しいのはどれか。2つ選べ。
- a.精神病床の過半数は国公立である。
- b.デイケアは入院医療の一つの形態である。
- c.保健所は地域における精神保健活動を提供する。
- d.精神障害者授産施設と福祉工場とは家庭内自立を目的とする。
- e.精神保健福祉センターは都道府県あるいは政令指定都市に設置される。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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ドクターまとめ
日本の精神病床は人口あたりで国際的に多く、その8〜9割を民間病院が担い、平均在院日数が長いことが特徴で、国は「入院医療中心から地域生活中心へ」の転換を進めています。精神科デイケアは入院ではなく外来医療の一形態で、日中に通所してSSTなどのプログラムを受け、再発予防や社会復帰を目指します。保健所は地域精神保健福祉の第一線機関として相談・訪問指導・入院関連事務などを担い、精神保健福祉法に基づき都道府県・政令指定都市に設置される精神保健福祉センターが専門的・技術的に支援します。授産施設や福祉工場は就労を通じた社会復帰を目的とした施設で、現在は障害者総合支援法の就労系サービスに再編されています。こうした機関の役割分担を理解することは、患者を適切な地域資源につなぐ臨床実践の基礎となります。
解答・解説
正解はc, eです
本問は、日本の精神保健福祉体制について、医療提供体制の特徴と行政機関の役割を問う一般問題である。 押さえるべき要点は次の通りである。 ・医療提供体制: 日本の精神病床は数が多く、その大部分を民間病院(医療法人など)が担っている。諸外国に比べて入院が長期化しやすいことが課題であり、「入院医療中心から地域生活中心へ」という方針のもと、外来医療・デイケア・訪問支援などの地域ケアの充実が進められている。 ・行政機関: 地域の精神保健福祉行政の第一線は保健所(および市町村)が担い、都道府県・政令指定都市に設置される精神保健福祉センターが、専門的・技術的な立場からこれを支援する。 ・社会復帰施設: 精神障害者の社会復帰施設は、地域での自立した生活や就労を目指すためのものである。 これらを踏まえ、行政機関の役割と設置主体について正しく述べている選択肢を選ぶ。
選択肢考察
- ×a. 精神病床の過半数は国公立である。
誤り。日本の精神病床はおよそ30万床余りあるが、その8〜9割は医療法人などの民間病院が占めており、国公立病院の病床は少数にとどまる。歴史的に、戦後の精神病床整備が民間病院の建設を促す政策によって進められたことが背景にある。精神病床数が人口比で国際的に非常に多いこと、平均在院日数が長いことも日本の特徴としてよく問われる。
- ×b. デイケアは入院医療の一つの形態である。
誤り。精神科デイケアは外来医療(通院医療)の一つの形態である。患者は自宅などから日中に医療機関へ通い、集団活動、作業療法的プログラム、生活技能訓練(SST: social skills training)などを受け、夕方には帰宅する。再発予防、生活リズムの確立、対人関係能力の向上、社会復帰の促進を目的とする。実施時間により、ショートケア、デイケア、ナイトケア、デイ・ナイトケアなどの形態がある。
- ○c. 保健所は地域における精神保健活動を提供する。
正しい。保健所は地域における精神保健福祉行政の第一線の機関であり、精神保健福祉相談、訪問指導、患者家族会などへの支援、普及啓発、関係機関との連絡調整などを行う。さらに、措置入院に関わる通報の受理や調査、医療保護入院などの届出の受理・進達といった精神保健福祉法に基づく事務も担う。身近な相談や福祉サービスについては市町村の役割も大きくなっているが、保健所は依然として地域精神保健活動の中核である。
- ×d. 精神障害者授産施設と福祉工場とは家庭内自立を目的とする。
誤り。精神障害者授産施設や精神障害者福祉工場は、家庭の中で生活できるようにすることではなく、就労を通じて社会参加・社会復帰を果たすことを目的とした施設である。授産施設は雇用されることが難しい人に訓練や作業の場を提供して自活を促し、福祉工場は一般企業での就労が難しい人を雇用して社会的自立を支援する。なお、これらの施設区分は障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)の施行に伴って再編され、現在は就労移行支援、就労継続支援A型(雇用契約あり)・B型(雇用契約なし)などの障害福祉サービスに移行している。
- ○e. 精神保健福祉センターは都道府県あるいは政令指定都市に設置される。
正しい。精神保健福祉センターは精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)第6条に基づき、都道府県および政令指定都市に設置される精神保健福祉の専門的・技術的中核機関である。保健所や市町村への技術指導・技術援助、関係職員の教育研修、普及啓発、調査研究、複雑・困難な事例の相談指導、精神医療審査会の事務、精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療(精神通院医療)の判定などを担う。
精神保健福祉の行政体制
・国(厚生労働省): 制度の企画立案。 ・都道府県・政令指定都市: 精神保健福祉センターの設置、措置入院の決定、精神医療審査会の設置など。 ・精神保健福祉センター: 技術的中核機関。保健所・市町村を支援し、専門的な相談、研修、調査研究などを行う。 ・保健所: 地域精神保健福祉の第一線の行政機関。相談、訪問指導、入院関係事務、関係機関との調整など。 ・市町村: 身近な相談、障害福祉サービスの実施主体など。
精神保健福祉法に基づく主な入院形態
・任意入院: 本人の同意に基づく。 ・措置入院: 精神保健指定医2名以上の診察で、自傷他害のおそれがあると一致した場合に都道府県知事(政令指定都市の市長)の権限で入院させる。 ・緊急措置入院: 急速を要する場合、指定医1名の診察で72時間以内に限り入院させる。 ・医療保護入院: 指定医1名の診察と家族等の同意による。 ・応急入院: 家族等の同意が得られない緊急時に、指定医の診察で72時間以内に限り入院させる。
日本の精神医療の特徴と方向性
・精神病床数が人口あたりで国際的に多く、平均在院日数が長い。 ・病床の大部分を民間病院が担う。 ・「入院医療中心から地域生活中心へ」という方針のもと、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築が進められている。デイケア、訪問看護、障害福祉サービス(就労支援、グループホームなど)がその担い手である。
POINT
・精神病床の大部分(8〜9割)は民間病院であり、国公立は少数。 ・精神科デイケアは外来医療(通院)の一形態で、社会復帰や再発予防を目的とする。 ・保健所は地域精神保健福祉活動の第一線機関。 ・精神保健福祉センターは精神保健福祉法に基づき都道府県・政令指定都市に設置され、保健所・市町村を技術的に支援する。 ・授産施設・福祉工場は社会復帰(就労)を目的とし、現在は障害者総合支援法の就労系サービスに再編されている。
