StudyMed医師国家試験

3歳児が描けるのは「丸」まで―マイルストーンで読み解く幼児の発達

第104回医師国家試験 G問題 第1問

国試問題にチャレンジ

第104回 G問題 第1問

3歳0か月児のほとんどが到達している発達レベルはどれか。

  1. a.丸を模写する。
  2. b.一人で服を着る。
  3. c.三語文を復唱する。
  4. d.スキップができる。
  5. e.高い,低いがわかる。

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は幼児期の正常発達、いわゆるマイルストーンの問題だ。ポイントは問題文の「ほとんどが到達している」という言い回し。ある能力が「できはじめる」時期と「ほとんどの子ができる」時期にはずれがある、という点を意識して選択肢を見ていこう。
医学生医学生
「ほとんど」というのは、具体的にどのくらいの割合を指すんですか。
ドクタードクター
発達検査ではおおむね90%の子が通過している状態と考えるといい。たとえばデンバー式発達スクリーニング検査では、各項目について25%、50%、75%、90%の子が通過する月齢が示されていて、90%の子ができる月齢を過ぎてもできなければ遅れを疑う。だから、目安年齢ちょうどか、それより早い時点の能力は「ほとんどが到達」とはいえないんだ。
医学生医学生
小児科の講義で「発達は個人差が大きい」と繰り返し言われたのは、そういう幅があるからなんですね。
ドクタードクター
その通り。では選択肢を一つずつ年齢に当てはめよう。まずは図形の模写から。3歳で描けるのはどんな図形かな。
医学生医学生
丸ですよね。四角は4歳、三角は5歳と覚えました。
ドクタードクター
正解。見本の丸を見て閉じた円を描けるのが3歳の目安だ。2歳ごろはなぐり描きや縦線のまねの段階で、閉じた丸を見本どおりに描けるようになるのが3歳。図形の模写は丸、十字、四角、三角、ひし形と、角や斜めの線が増えるほど難しくなる。目と手の協調、つまり微細運動の発達をみる代表的な指標だ。今回の正解は、この丸の模写になる。
医学生医学生
一人で服を着るのはどうでしょう。小児科実習で会った3歳の子は、自分で着たがって看護師さんを困らせていました。
ドクタードクター
いいエピソードだね。3歳ごろは「自分でやりたい」という意欲が強く、Tシャツを脱ぐなど簡単な動作はできる。でもボタンを留めたり前後を判断したりして、介助なしに着替えを完了できるのは4〜5歳ごろだ。意欲と完遂は別物と考えよう。
医学生医学生
三語文も3歳と覚えていたので、正直迷いました。
ドクタードクター
そこが引っかけどころだね。言語は1歳で有意語、2歳で二語文、3歳ごろに三語文を話しはじめる。ただ、発達検査で使うような文を聞いて正確に復唱できるのは3歳半〜4歳ごろとされる。「話しはじめる」と「ほとんどが確実にできる」の差に注意しよう。
医学生医学生
スキップは明らかに早すぎますね。体育でもスキップって意外とリズムが難しいです。
ドクタードクター
そう、片足跳びを左右交互にリズムよく繰り返す必要があるから、バランスと協調運動が高度に発達した5歳ごろの課題だ。3歳では両足跳びや短時間の片足立ち、三輪車こぎあたりが目安。4歳で片足けんけん、5歳でスキップと段階的に覚えるといい。
医学生医学生
高い・低いがわかる、というのは大きい・小さいとは違うんですか。
ドクタードクター
鋭いね。3歳ごろは大きい・小さいの区別ができる段階。高い・低い、重い・軽い、長い・短いといった比較の概念を正しく理解して答えられるのは4歳以降なんだ。大小の次にくる、一段上の概念と考えておこう。
医学生医学生
まとめると、3歳0か月でほとんどの子ができるのは丸の模写だけで、ほかは3歳半〜5歳の課題ということですね。
ドクタードクター
その理解で完璧だ。発展として、臨床との結びつきも押さえておこう。母子保健法に基づいて、1歳6か月児健診と3歳児健診が市町村に義務づけられている。3歳児健診では運動・言語・社会性の発達に加え、視覚や聴覚の異常も確認するんだ。
医学生医学生
発達の評価にはデンバー式以外にも検査がありますよね。CBTの勉強で遠城寺式という名前を見ました。
ドクタードクター
そう、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、津守・稲毛式、田中ビネー知能検査などがある。臨床で大事なのは、一つの項目ができないだけで慌てず、運動・言語・社会性など複数の領域を総合して、経時的に追うこと。そして90%の子ができる時期を明らかに過ぎても到達しない場合や、一度できたことができなくなる退行がある場合には、専門的な評価につなげることだ。
医学生医学生
保護者に説明するときも、「まだ幅の範囲内です」と言えるかどうかは、こういう目安を正確に知っているかにかかっているんですね。
ドクタードクター
まさにそれ。マイルストーンは暗記で終わらせず、保護者の不安に応え、見逃してはいけない遅れを拾うための道具として身につけてほしい。

まとめ

3歳0か月の児のほとんどが到達している発達レベルは丸の模写であり、図形の模写は丸(3歳)、十字(3〜4歳)、四角(4歳)、三角(5歳)、ひし形(6〜7歳)の順に可能になります。一人での着衣は4〜5歳、文の正確な復唱は3歳半〜4歳、スキップは5歳、高い・低いなどの比較概念の理解は4歳以降が目安で、3歳では大小の区別や三語文の発話がはじまる段階です。「ほとんどが到達している」とは発達検査でおおむね90%が通過している状態を指し、「できはじめる」時期との違いを意識することが正答の鍵となります。こうした目安は1歳6か月児健診や3歳児健診での発達評価の基盤であり、保護者への説明や発達の遅れの早期発見に直結する知識です。

解答・解説

正解はaです

テーマ

幼児期の正常発達の目安(マイルストーン)を問う問題である。「ほとんどが到達している」とは、その月齢の子どもの大多数(発達検査ではおおむね90%)ができるようになっている、という意味で理解する。ある能力が「できはじめる」時期と「ほとんどの子ができる」時期にはずれがあるため、目安の年齢より早い時点では「ほとんどが到達している」とはいえない。

考え方

各選択肢が何歳ごろに可能になるかを整理すると、丸の模写は3歳、服を一人で着るのは4〜5歳ごろ、三語文の復唱は3歳半〜4歳ごろ、スキップは5歳、高い・低いなどの比較概念の理解は4歳以降である。3歳0か月の時点でほとんどの児ができるのは、丸の模写のみである。 図形の模写は「丸(3歳)→十字(3〜4歳)→四角(4歳)→三角(5歳)→ひし形(6〜7歳)」と、角や斜めの線が増えるほど難しくなる順に可能になる。この順序は目と手の協調(微細運動)の発達を評価する代表的な指標であり、国家試験でも繰り返し問われている。

選択肢考察

  1. ○a.  丸を模写する。

    3歳になると、見本の丸を見て閉じた円を描けるようになる。2歳ごろは線をなぐり描きしたり縦線をまねたりする段階で、閉じた丸を見本どおりに描けるのが3歳の目安である。その後、四角は4歳、三角は5歳で模写できるようになる。3歳0か月の児のほとんどが到達している発達レベルとして正しい。

  2. ×b.  一人で服を着る。

    3歳ごろは自分で着たい・脱ぎたいという意欲は強く、Tシャツを脱ぐなど簡単な動作はできるが、ボタンを留めたり前後を正しく判断したりして一人で着替えを完了するのは難しいことが多い。介助なしに服を着られるようになるのは4〜5歳ごろである。3歳0か月でほとんどが到達しているとはいえない。

  3. ×c.  三語文を復唱する。

    言語の発達は、1歳ごろに有意語(意味のある単語)、2歳ごろに二語文(「ママ、きた」など)、3歳ごろに三語文を話しはじめるという流れで進む。ただし、発達検査で用いるような文(「きれいな花が咲いています」など)を聞いて正確に復唱できるようになるのは3歳半〜4歳ごろであり、3歳0か月の時点でほとんどの児ができるとはいえない。

  4. ×d.  スキップができる。

    スキップは、片足で跳ぶ動作を左右交互にリズムよく繰り返す必要があり、バランス感覚と協調運動が高度に発達して初めて可能になる。できるようになるのは5歳ごろである。3歳ではその場で両足跳びをしたり、片足立ちが短時間できたりする程度である。

  5. ×e.  高い,低いがわかる。

    高い・低い、重い・軽い、長い・短いといった比較の概念を正しく理解して答えられるようになるのは4歳以降(4歳〜4歳半ごろ)である。3歳ごろは大きい・小さいの区別ができる段階であり、3歳0か月でほとんどの児が高い・低いを理解しているとはいえない。

幼児期の主な発達の目安

・1歳:一人で立つ・歩きはじめる、有意語を話す。 ・1歳6か月:一人で上手に歩く、なぐり描きをする、単語をいくつか話す。 ・2歳:走る、両足でその場跳びをする、二語文を話す、縦線をまねて描く。 ・3歳:片足立ちが短時間できる、三輪車をこぐ、丸を模写する、三語文を話す、自分の名前・年齢を言える、大小がわかる。 ・4歳:片足けんけんをする、四角を模写する、簡単な着替えができる、ごっこ遊びをする。 ・5歳:スキップをする、三角を模写する、一人で衣服の着脱ができる、ルールのある集団遊びができる。 ・6歳:ひし形を模写しはじめる(7歳ごろには多くの児ができる)。

図形模写の発達順序

丸(3歳)→十字(3〜4歳)→四角(4歳)→三角(5歳)→ひし形(6〜7歳)。

発達の評価法

乳幼児の発達評価には、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法、日本版デンバー式発達スクリーニング検査(DENVER II)、田中ビネー知能検査などが用いられる。デンバー式では各項目について25%、50%、75%、90%の児が通過する年齢が示されており、90%の児ができる年齢を過ぎてもできない場合に遅れを疑う。

乳幼児健康診査との関係

母子保健法に基づき、1歳6か月児健診と3歳児健診が市町村に義務づけられている。3歳児健診では運動・言語・社会性の発達のほか、視覚・聴覚の異常も確認する。

POINT

・図形の模写は、丸3歳、四角4歳、三角5歳、ひし形6〜7歳。 ・言語は、有意語1歳、二語文2歳、三語文3歳。 ・スキップは5歳、一人での着衣は4〜5歳。 ・高い・低いなどの比較概念の理解は4歳以降。 ・「ほとんどが到達している」は、発達検査でおおむね90%が通過している状態を指す。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。