StudyMed医師国家試験

思春期のはじまりは胸から―女児の二次性徴、その順番を読み解く

第104回医師国家試験 B問題 第15問

国試問題にチャレンジ

第104回 B問題 第15問

女児の二次性徴で最初に認めるのはどれか。

  1. a.乳房発育
  2. b.腋毛発生
  3. c.陰毛発生
  4. d.小陰唇色素沈着
  5. e.初経

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、女児の思春期で「最初に外から確認できる変化」は何かを問う問題だ。ポイントは、ホルモンがどの臓器に最初に作用するか、そして「最初に認める」という言葉が何を意味するかの2点だよ。
医学生医学生
二次性徴というと、初経がいちばん象徴的なイメージがあります。
ドクタードクター
印象は強いけれど、実は初経はかなり後のほうなんだ。まず仕組みから整理しよう。思春期は、視床下部からGnRHが拍動性に分泌されるようになり、下垂体からLHとFSHが出て、卵巣が働き始めることで始まる。卵巣から出たエストロゲンがまず作用するのはどこだと思う?
医学生医学生
エストロゲンの標的といえば乳腺と子宮内膜ですね。生理学の講義で習いました。
ドクタードクター
その通り。そして外から観察できる最初の変化が乳房発育、いわゆるthelarcheだ。乳輪の下に小さな硬いしこり、乳房芽を触れるようになる。日本人女児ではおおむね10歳前後に始まるよ。だから正解は乳房発育になる。
医学生医学生
子宮はもっと早く大きくなり始めると聞いたことがあるんですが、そちらが最初にはならないんですか。
ドクタードクター
鋭い指摘だね。子宮の発育は乳房より早く始まるとされている。でも視診や触診では確認できない。問題文は「最初に認める」だから、診察で捉えられる所見として乳房発育が答えになるんだ。
医学生医学生
なるほど、「認める」という言葉がポイントなんですね。では陰毛はどうでしょう。
ドクタードクター
陰毛は主に副腎や卵巣由来のアンドロゲンの作用で生えてきて、乳房発育の開始から少し遅れる。まれに陰毛が先行する子もいるけれど、一般的な順序としては乳房の次だ。腋毛はさらに遅く、陰毛より後、二次性徴の後半に出てくる所見だよ。
医学生医学生
腋毛と陰毛は同じ体毛なのに、時期がずれるんですね。小陰唇の色素沈着はどうですか。
ドクタードクター
小陰唇の色素沈着は外性器の発育に伴う変化で、思春期の進行とともに徐々に目立ってくる。乳房発育の開始より後の所見だから、最初の徴候とはいえない。そして初経は、乳房発育開始からおよそ2〜3年後、身長の伸びのピークを過ぎた頃に来る。日本人の平均初経年齢は12歳台だ。
医学生医学生
まとめると、乳房、陰毛、身長スパート、初経、腋毛という順番ですね。
ドクタードクター
完璧。その流れで覚えておけば、ほとんどの問題に対応できる。ちなみに男児の場合、最初の徴候は何かな。
医学生医学生
男児は……声変わりでしょうか。
ドクタードクター
よくある誤解だね。男児で最初に出るのは精巣の増大で、容量4mL以上がひとつの目安だ。声変わりはかなり後になる。男児は女児より約2年遅れて思春期が始まるから、小学校高学年では女児のほうが平均身長が高い時期があるんだ。
医学生医学生
小児科の実習で、成長曲線と一緒にTanner分類をつけているのを見ました。
ドクタードクター
Tanner分類は乳房と陰毛、男児では外性器と陰毛の発育をⅠからⅤの5段階で評価するもので、思春期の進行度を客観的に表すのに使う。臨床で大事なのは、時期の異常に気づくことだ。女児では7歳6か月未満の乳房発育、8歳未満の陰毛発生、10歳6か月未満の初経などが思春期早発症の目安とされる。
医学生医学生
逆に遅い場合は、13歳を過ぎても乳房発育がなければ遅発症を疑う、ということですね。
ドクタードクター
その通り。そして満18歳を過ぎても初経がなければ原発性無月経だ。正常な順序と時期を知っていてこそ、早すぎる・遅すぎる・順番がおかしいという異常に気づける。成長曲線と合わせて評価する習慣をつけておこう。

まとめ

女児の思春期は、GnRHの拍動性分泌の開始によりLH・FSHが分泌され、卵巣由来のエストロゲンが作用することで始まります。外から確認できる最初の二次性徴は乳房発育(thelarche)で、10歳前後に乳房芽として現れます。その後、陰毛発生、身長増加のピーク、初経(平均12歳台)、腋毛発生と進み、子宮発育は乳房より早いものの視診では確認できません。男児では精巣の増大が最初の徴候で、女児より約2年遅れて始まります。正常な出現順序と時期をTanner分類や成長曲線とともに理解しておくことは、思春期早発症や遅発症、原発性無月経を見逃さないための基本となります。

解答・解説

正解はaです

女児の思春期に現れる二次性徴の出現順序を問う問題である。 二次性徴とは、思春期に性ホルモンの作用で生じる、性器以外の身体の性差(乳房、体毛、体型など)の発現をいう。思春期は視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の拍動性分泌が高まり、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)・卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されて卵巣が活動を始めることで開始する。 女児では、卵巣から分泌されたエストロゲンがまず乳腺に作用するため、外から観察できる最初の変化は乳房発育(乳房発育開始:thelarche)である。続いて副腎・卵巣由来のアンドロゲンの作用で陰毛が生え、身長の急速な伸び(思春期スパート)が起こり、その後に初経(menarche)、腋毛の発生と進む。外性器の発育や小陰唇の色素沈着も思春期の進行に伴って生じる。 おおまかな順序は「乳房発育 → 陰毛発生 → 身長増加のピーク → 初経 → 腋毛発生」と覚えるとよい。子宮の発育は乳房発育より早く始まるとされるが、視診や触診では確認できないため、「最初に認める」所見としては乳房発育が正解となる。

選択肢考察

  1. ○a.  乳房発育

    卵巣から分泌が始まったエストロゲンが乳腺を刺激し、乳輪下に硬結(乳房芽)を触れるようになるのが女児の最初の二次性徴である。日本人女児ではおおむね10歳前後(9〜11歳頃)に始まる。内部ではそれ以前から子宮の発育が進むが外から確認できないため、観察できる最初の変化は乳房発育である。

  2. ×b.  腋毛発生

    腋毛は陰毛よりも遅れて生え、12〜13歳頃に出現する。女児の二次性徴のなかでは後半に現れる所見であり、最初ではない。

  3. ×c.  陰毛発生

    陰毛は主に副腎や卵巣由来のアンドロゲンの作用で生え、11〜12歳頃、乳房発育の開始から少し遅れて出現する。乳房発育より先に陰毛が出る女児もまれにいるが、一般的な順序としては乳房発育の次である。

  4. ×d.  小陰唇色素沈着

    小陰唇の色素沈着は、エストロゲンやアンドロゲンの作用による外性器の発育に伴って、思春期の進行とともに徐々に生じる変化である。乳房発育の開始よりも後に目立ってくる所見であり、最初の二次性徴ではない。

  5. ×e.  初経

    初経(初めての月経)は、乳房発育開始からおよそ2〜3年後、身長増加のピークを過ぎた頃に起こる。日本人の平均初経年齢は12歳台である。二次性徴のなかでは比較的遅い段階の現象であり、最初ではない。なお初経後は身長の伸びが鈍り、数年で骨端線が閉鎖して成長が止まる。

女児の二次性徴のおおよその時期

・子宮発育の開始:8〜9歳頃(外からは確認できない) ・乳房発育の開始:10歳前後 ・陰毛発生、身長増加の促進:11〜12歳頃 ・外性器の発育(小陰唇の色素沈着など):思春期の進行に伴い ・腋毛発生:12〜13歳頃 ・初経:12歳台(平均) ・骨端線閉鎖・成長停止:16〜17歳頃

男児の二次性徴

男児は女児より約2年遅れて始まる。このため10〜12歳頃には女児の平均身長が男児を上回る時期がある。 ・精巣の増大(容量4mL以上):最初の徴候で、10〜11歳頃 ・陰茎の発育、陰毛の発生:12〜13歳頃 ・身長増加の促進、声変わり、腋毛の発生:13〜15歳頃 ・骨端線閉鎖・成長停止:17〜18歳以降

Tanner分類

乳房・陰毛(男児では外性器・陰毛)の発育段階をⅠ(思春期前)〜Ⅴ(成人型)の5段階で評価する方法で、思春期の進行度を客観的に表す。

思春期早発症・遅発症の目安(女児)

・思春期早発症:7歳6か月未満で乳房発育、8歳未満で陰毛・腋毛発生、10歳6か月未満で初経を認める場合などが基準とされる。 ・思春期遅発症:13歳を過ぎても乳房発育がみられない場合などが目安となる。 ・原発性無月経:満18歳になっても初経が来ない状態をいう。

POINT

・女児で最初に認める二次性徴は乳房発育(男児では精巣の増大)。 ・女児の順序:乳房発育 → 陰毛 → 身長スパート → 初経 → 腋毛。 ・子宮発育は乳房より早いが、視診では確認できない。 ・男児の思春期開始は女児より約2年遅い。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。