思春期のはじまりは胸から―女児の二次性徴、その順番を読み解く
第104回医師国家試験 B問題 第15問
国試問題にチャレンジ
女児の二次性徴で最初に認めるのはどれか。
- a.乳房発育
- b.腋毛発生
- c.陰毛発生
- d.小陰唇色素沈着
- e.初経
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
女児の思春期は、GnRHの拍動性分泌の開始によりLH・FSHが分泌され、卵巣由来のエストロゲンが作用することで始まります。外から確認できる最初の二次性徴は乳房発育(thelarche)で、10歳前後に乳房芽として現れます。その後、陰毛発生、身長増加のピーク、初経(平均12歳台)、腋毛発生と進み、子宮発育は乳房より早いものの視診では確認できません。男児では精巣の増大が最初の徴候で、女児より約2年遅れて始まります。正常な出現順序と時期をTanner分類や成長曲線とともに理解しておくことは、思春期早発症や遅発症、原発性無月経を見逃さないための基本となります。
解答・解説
正解はaです
女児の思春期に現れる二次性徴の出現順序を問う問題である。 二次性徴とは、思春期に性ホルモンの作用で生じる、性器以外の身体の性差(乳房、体毛、体型など)の発現をいう。思春期は視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の拍動性分泌が高まり、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)・卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されて卵巣が活動を始めることで開始する。 女児では、卵巣から分泌されたエストロゲンがまず乳腺に作用するため、外から観察できる最初の変化は乳房発育(乳房発育開始:thelarche)である。続いて副腎・卵巣由来のアンドロゲンの作用で陰毛が生え、身長の急速な伸び(思春期スパート)が起こり、その後に初経(menarche)、腋毛の発生と進む。外性器の発育や小陰唇の色素沈着も思春期の進行に伴って生じる。 おおまかな順序は「乳房発育 → 陰毛発生 → 身長増加のピーク → 初経 → 腋毛発生」と覚えるとよい。子宮の発育は乳房発育より早く始まるとされるが、視診や触診では確認できないため、「最初に認める」所見としては乳房発育が正解となる。
選択肢考察
- ○a. 乳房発育
卵巣から分泌が始まったエストロゲンが乳腺を刺激し、乳輪下に硬結(乳房芽)を触れるようになるのが女児の最初の二次性徴である。日本人女児ではおおむね10歳前後(9〜11歳頃)に始まる。内部ではそれ以前から子宮の発育が進むが外から確認できないため、観察できる最初の変化は乳房発育である。
- ×b. 腋毛発生
腋毛は陰毛よりも遅れて生え、12〜13歳頃に出現する。女児の二次性徴のなかでは後半に現れる所見であり、最初ではない。
- ×c. 陰毛発生
陰毛は主に副腎や卵巣由来のアンドロゲンの作用で生え、11〜12歳頃、乳房発育の開始から少し遅れて出現する。乳房発育より先に陰毛が出る女児もまれにいるが、一般的な順序としては乳房発育の次である。
- ×d. 小陰唇色素沈着
小陰唇の色素沈着は、エストロゲンやアンドロゲンの作用による外性器の発育に伴って、思春期の進行とともに徐々に生じる変化である。乳房発育の開始よりも後に目立ってくる所見であり、最初の二次性徴ではない。
- ×e. 初経
初経(初めての月経)は、乳房発育開始からおよそ2〜3年後、身長増加のピークを過ぎた頃に起こる。日本人の平均初経年齢は12歳台である。二次性徴のなかでは比較的遅い段階の現象であり、最初ではない。なお初経後は身長の伸びが鈍り、数年で骨端線が閉鎖して成長が止まる。
女児の二次性徴のおおよその時期
・子宮発育の開始:8〜9歳頃(外からは確認できない) ・乳房発育の開始:10歳前後 ・陰毛発生、身長増加の促進:11〜12歳頃 ・外性器の発育(小陰唇の色素沈着など):思春期の進行に伴い ・腋毛発生:12〜13歳頃 ・初経:12歳台(平均) ・骨端線閉鎖・成長停止:16〜17歳頃
男児の二次性徴
男児は女児より約2年遅れて始まる。このため10〜12歳頃には女児の平均身長が男児を上回る時期がある。 ・精巣の増大(容量4mL以上):最初の徴候で、10〜11歳頃 ・陰茎の発育、陰毛の発生:12〜13歳頃 ・身長増加の促進、声変わり、腋毛の発生:13〜15歳頃 ・骨端線閉鎖・成長停止:17〜18歳以降
Tanner分類
乳房・陰毛(男児では外性器・陰毛)の発育段階をⅠ(思春期前)〜Ⅴ(成人型)の5段階で評価する方法で、思春期の進行度を客観的に表す。
思春期早発症・遅発症の目安(女児)
・思春期早発症:7歳6か月未満で乳房発育、8歳未満で陰毛・腋毛発生、10歳6か月未満で初経を認める場合などが基準とされる。 ・思春期遅発症:13歳を過ぎても乳房発育がみられない場合などが目安となる。 ・原発性無月経:満18歳になっても初経が来ない状態をいう。
POINT
・女児で最初に認める二次性徴は乳房発育(男児では精巣の増大)。 ・女児の順序:乳房発育 → 陰毛 → 身長スパート → 初経 → 腋毛。 ・子宮発育は乳房より早いが、視診では確認できない。 ・男児の思春期開始は女児より約2年遅い。
