StudyMed医師国家試験

名前がすべてを語る―「急性熱性好中球性皮膚症」Sweet病の血液像

第103回医師国家試験 I問題 第38問

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第103回 I問題 第38問

Sweet病で末梢血に増加するのはどれか。

  1. a.好中球
  2. b.好酸球
  3. c.好塩基球
  4. d.単球
  5. e.リンパ球

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、Sweet病で末梢血に何が増えるかを問う知識問題だ。一見すると暗記勝負に見えるけれど、実は病名の意味を理解していれば迷わず解ける。まずはSweet病がどんな病気か、思い出せるかな。
医学生医学生
皮膚科の講義で聞いた気はするんですが、Behçet病と似ている病気、くらいの印象しかありません。
ドクタードクター
その印象も実は大事なポイントなんだけど、まずは日本語名を確認しよう。Sweet病は「急性熱性好中球性皮膚症」と呼ばれる。急に発症し、発熱を伴い、皮膚に好中球が集まって病変をつくる。名前の中に病態がそのまま書いてあるんだ。
医学生医学生
名前に「好中球性」と入っているなら、末梢血で増えるのも好中球ということですか。
ドクタードクター
その通り。典型例では上気道感染などをきっかけに38℃を超える発熱が出て、顔面や頸部、上肢に、痛みを伴って赤く盛り上がった浮腫性紅斑が急に現れる。血液検査では好中球優位の白血球増加、CRP陽性、赤沈亢進と、強い炎症所見がそろうんだ。
医学生医学生
皮膚生検ではどんな像になるんでしょうか。病理実習では血管炎の標本をよく見ましたが。
ドクタードクター
いい質問だね。真皮に好中球が密に浸潤し、真皮上層に浮腫がみられる。ただし、血管壁が壊れる白血球破砕性血管炎は原則としてみられない。ここが血管炎との大事な違いで、診断基準の主項目にも含まれている。つまり血液でも組織でも主役は好中球なんだ。
医学生医学生
ほかの白血球が増える病気と整理しておきたいです。好酸球はアレルギーのイメージですが。
ドクタードクター
そうだね。好酸球が増えるのはアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患、寄生虫感染、好酸球増多症候群、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、薬剤性過敏症症候群などだ。皮膚科で好酸球というと、むしろ薬疹やアレルギー側の話になる。
医学生医学生
好塩基球は、CBTの勉強で慢性骨髄性白血病の特徴として覚えました。
ドクタードクター
よく覚えているね。好塩基球の増加は慢性骨髄性白血病をはじめとする骨髄増殖性腫瘍で特徴的で、Sweet病で増えるものではない。単球は結核などの慢性感染症や感染症の回復期、慢性骨髄単球性白血病で増える。リンパ球は伝染性単核球症などのウイルス感染症、百日咳、慢性リンパ性白血病が代表だ。
医学生医学生
細菌感染なら好中球、ウイルスならリンパ球、アレルギーと寄生虫なら好酸球、という大まかな整理の中で、Sweet病は好中球側に入るわけですね。
ドクタードクター
そういうこと。ここから発展知識だ。Sweet病で臨床的に特に重要なのは、急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの血液悪性腫瘍に合併することがある点。だから診断したら、背景に何かないか探すことが欠かせない。
医学生医学生
でも白血病が背景にあったら、好中球はかえって減っていることもありそうです。
ドクタードクター
鋭いね。その場合は基礎疾患の影響で末梢血の好中球が必ずしも増えないこともある。それでも典型像として押さえるべきは好中球増加だ。ほかにも固形癌、炎症性腸疾患、妊娠、G-CSF製剤などの薬剤に関連して起こることがある。日本人ではHLA-B54との関連が知られていて、Behçet病と症状や背景が一部重なるんだ。
医学生医学生
最初に言ったBehçet病との類似は、そこにつながるんですね。治療はどうするんですか。
ドクタードクター
副腎皮質ステロイドの全身投与がよく効き、その反応性自体が診断基準の副項目にもなっている。ヨウ化カリウムやコルヒチンも使われる。基礎疾患があればその治療も並行する。壊疽性膿皮症やBehçet病の皮膚病変とあわせて「好中球性皮膚症」とまとめられ、血液疾患や炎症性腸疾患を合併しやすいことも共通点として覚えておこう。
医学生医学生
痛い紅斑と発熱を見たら、血算の分画を確認して、背景の血液疾患まで考える、という流れですね。
ドクタードクター
その通り。皮膚だけを見て終わらせず、全身を診る視点が大切だよ。

まとめ

Sweet病は「急性熱性好中球性皮膚症」とも呼ばれ、発熱とともに顔面・頸部・上肢に痛みを伴う浮腫性紅斑が急に出現する疾患です。末梢血では好中球優位の白血球増加、CRP陽性、赤沈亢進がみられ、皮膚生検では白血球破砕性血管炎を伴わない真皮の密な好中球浸潤が特徴です。好酸球はアレルギーや寄生虫、好塩基球は慢性骨髄性白血病、単球は結核やCMML、リンパ球はウイルス感染やCLLで増えるという整理とあわせて理解しておくと鑑別に役立ちます。急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群などの血液悪性腫瘍を合併することがあり、治療には副腎皮質ステロイドの全身投与が有効です。病名の意味から病態を読み解く姿勢は、皮膚症状の背後にある全身疾患を見逃さない臨床力につながります。

解答・解説

正解はaです

Sweet病の日本語名は「急性熱性好中球性皮膚症(acute febrile neutrophilic dermatosis)」である。この名前に病気の特徴がそのまま表れている。急に発症し(急性)、発熱を伴い(熱性)、皮膚に好中球が集まって病変をつくる(好中球性皮膚症)。 典型例では、上気道感染などをきっかけに38℃以上の発熱が出て、顔面・頸部・上肢などに、痛みを伴う赤く盛り上がった紅斑(浮腫性紅斑)が急に現れる。病変部の皮膚生検では、真皮に密な好中球の浸潤がみられる。一方、血管の壁が壊れる白血球破砕性血管炎は通常みられない。 血液検査では、白血球増加(特に好中球の増加)、CRP陽性、赤沈亢進といった強い炎症所見がみられる。したがって、末梢血で増加する白血球の種類は好中球である。 なお、Sweet病は急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)などの血液悪性腫瘍に合併することがある。その場合は基礎疾患のために末梢血の好中球が必ずしも増えないこともあるが、典型像として押さえるべきは好中球増加である。

選択肢考察

  1. ○a.  好中球

    Sweet病は、好中球が過剰に活性化して皮膚に集まる「好中球性皮膚症」の代表である。末梢血では白血球が増え、その多くを好中球が占める(診断基準の副項目にも、白血球数8,000/μL超や好中球比率70%超が含まれている)。皮膚の病変部にも好中球が密に浸潤しており、血液と組織の両方で好中球が主役になる。

  2. ×b.  好酸球

    好酸球が増えるのは、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患、寄生虫感染、好酸球増多症候群(HES)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)などである。Sweet病の特徴ではない。

  3. ×c.  好塩基球

    好塩基球の増加は、慢性骨髄性白血病(CML)をはじめとする骨髄増殖性腫瘍で特徴的にみられる。Sweet病で増える白血球ではない。

  4. ×d.  単球

    単球は、結核などの慢性感染症、感染症の回復期、慢性骨髄単球性白血病(CMML)などで増える。Sweet病の典型的な検査所見ではない。

  5. ×e.  リンパ球

    リンパ球の増加は、伝染性単核球症などのウイルス感染症、百日咳、慢性リンパ性白血病(CLL)などでみられる。Sweet病は好中球が中心となる疾患であり、リンパ球は増加しない。

Sweet病(急性熱性好中球性皮膚症)の概要

・症状: 突然の発熱と、顔面・頸部・上肢などにできる、痛みを伴う隆起した浮腫性紅斑(局面や結節)。紅斑の表面に小さな水疱のような膨らみ(偽水疱)がみられることがある。 ・病理: 真皮に密な好中球浸潤と真皮上層の浮腫。白血球破砕性血管炎は原則としてみられない。 ・検査: 好中球優位の白血球増加、CRP上昇、赤沈亢進。 ・発症の背景: 上気道感染や消化管感染のあとに起こるものが多い。ほかに、血液悪性腫瘍(AML、MDSなど)、固形癌、炎症性腸疾患、妊娠、薬剤(G-CSF製剤など)に関連して起こる。日本人ではHLA-B54との関連が知られ、Behçet病と症状や背景が一部重なる。 ・治療: 副腎皮質ステロイドの全身投与がよく効く。ヨウ化カリウム、コルヒチンなども用いられる。基礎疾患があればその治療も行う。

診断基準の骨子

主項目(2つとも必要): 痛みを伴う紅斑・結節の急な出現、白血球破砕性血管炎を伴わない真皮の密な好中球浸潤。 副項目(2つ以上): 38℃超の発熱、関連する基礎疾患や先行感染・妊娠、全身性ステロイドがよく効くこと、検査異常(赤沈亢進、CRP陽性、白血球増加、好中球比率上昇のうち3つ以上)。

ほかの好中球性皮膚症

壊疽性膿皮症、Behçet病の皮膚病変などもまとめて好中球性皮膚症と呼ばれ、血液疾患や炎症性腸疾患を合併しやすい点が共通する。

白血球分画が増える主な疾患の整理

・好中球: 細菌感染、Sweet病、ステロイド投与、ストレス、CML ・好酸球: アレルギー性疾患、寄生虫感染、HES、EGPA、Addison病 ・好塩基球: CMLなどの骨髄増殖性腫瘍 ・単球: 結核、感染症の回復期、CMML ・リンパ球: ウイルス感染症、百日咳、CLL

POINT

・Sweet病=急性熱性好中球性皮膚症。名前から「好中球が増える」と判断できる。 ・発熱と、痛みを伴う浮腫性紅斑(顔面・頸部・上肢)が急に出現し、末梢血では好中球増加、CRP上昇がみられる。 ・生検では真皮に密な好中球浸潤があり、血管炎は伴わない。 ・AMLやMDSなどの血液悪性腫瘍の合併に注意する。治療は副腎皮質ステロイドの全身投与が有効である。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。