StudyMed医師国家試験

アレルギーの司令塔はどれだ―IgEへのスイッチを入れるIL-4

第103回医師国家試験 E問題 第25問

国試問題にチャレンジ

第103回 E問題 第25問

IgE抗体の産生を促進させるのはどれか。

  1. a.IL-1
  2. b.IL-2
  3. c.IL-3
  4. d.IL-4
  5. e.IL-5

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、主なインターロイキンの役割を整理して、IgE抗体の産生、つまりアレルギー反応の中心を担うサイトカインを選ぶ問題だ。ポイントは「B細胞のクラススイッチ」という仕組みと、それぞれのILがどの細胞に働くかの区別。まずはIgEがどうやってつくられるかから考えよう。
医学生医学生
B細胞が形質細胞になって抗体をつくる、というところまでは免疫学の講義で習いました。
ドクタードクター
いいね。B細胞は最初はIgMやIgDをつくっているけれど、抗原刺激とヘルパーT細胞からの補助を受けると、産生する抗体のクラスをIgG・IgA・IgEなどに切り替える。これがクラススイッチだ。どのクラスに切り替わるかは、周囲にどんなサイトカインがあるかで決まるんだ。
医学生医学生
アレルギーといえばTh2細胞ですよね。Th2が出すサイトカインならどれでもIgEを増やしそうな気がしてしまいます。
ドクタードクター
そこが落とし穴だね。Th2細胞の代表的サイトカインはIL-4、IL-5、IL-13で、どれもアレルギーや寄生虫免疫に関わるけれど、役割は分担されている。IgEへのクラススイッチを直接起こすのはIL-4だ。
医学生医学生
ではIL-4が正解ですね。具体的にはどう働くんですか。
ドクタードクター
IgEへのクラススイッチには2つのシグナルが要る。1つはIL-4、またはIL-13がB細胞のIL-4受容体に結合して、STAT6を介したシグナルを送ること。もう1つは、活性化ヘルパーT細胞表面のCD40リガンドがB細胞のCD40に結合することだ。IL-4を主に供給するのはTh2細胞で、濾胞性ヘルパーT細胞や肥満細胞、好塩基球も産生する。
医学生医学生
CD40リガンドといえば、高IgM症候群でCD40リガンドが欠損するとクラススイッチが起こらない、とCBTの勉強で覚えました。
ドクタードクター
よくつながったね。まさにその仕組みだ。さらにIL-4には、未分化なヘルパーT細胞をTh2細胞へ分化させ、Th1への分化を抑える作用もある。だからアレルギー反応を増幅するループの中心にいるんだ。では、同じTh2サイトカインのIL-5はどうだろう。
医学生医学生
IL-5は好酸球でしたっけ。喘息で好酸球が増えるのと関係がありそうです。
ドクタードクター
その通り。IL-5はTh2細胞や2型自然リンパ球が産生し、好酸球の分化・増殖・活性化・生存延長を促す最も重要なサイトカインだ。好酸球性の気管支喘息や好酸球増多症候群で増えていて、抗IL-5抗体のメポリズマブや抗IL-5受容体抗体のベンラリズマブが重症喘息の治療に使われている。マウスではB細胞に働く作用も知られているけれど、IgEへのクラススイッチを誘導するのはIL-4だよ。
医学生医学生
IL-3もアレルギーに関係していた気がして、少し迷いました。
ドクタードクター
鋭いね。IL-3は多能性造血前駆細胞に働いて多系統の血球の増殖・分化を支える造血因子で、multi-CSFとも呼ばれる。肥満細胞や好塩基球の増殖・活性化にも働くからアレルギーに間接的には関わるけれど、B細胞にIgEへのスイッチを起こさせる作用はないんだ。
医学生医学生
IL-2はT細胞の増殖因子ですよね。腎移植後の患者さんがタクロリムスを飲んでいて、IL-2産生を抑えると教わりました。
ドクタードクター
そう、IL-2は主に活性化T細胞、特にTh1細胞が産生して、T細胞自身の増殖や細胞傷害性T細胞・NK細胞の活性化を促す。細胞性免疫の中心で、制御性T細胞の維持にも必要だ。シクロスポリンやタクロリムスといったカルシニューリン阻害薬はIL-2産生を抑えて免疫抑制作用を示す。IgE産生とは関係しない。
医学生医学生
IL-1は発熱のサイトカインでしたね。
ドクタードクター
その通り。IL-1は主に活性化マクロファージや単球がつくる炎症性サイトカインで、TNF-α、IL-6と並ぶ代表的な内因性発熱物質だ。視床下部でプロスタグランジンE2を介して発熱を起こし、血管内皮の接着分子の発現やT細胞の活性化、IL-6と協調した急性期蛋白の産生にも関わる。ただ、IgE産生を直接促すわけではない。
医学生医学生
IL-1は発熱、IL-2はT細胞増殖、IL-3は造血、IL-4はIgE、IL-5は好酸球。番号順に並べると覚えやすいですね。
ドクタードクター
いい整理だ。最後に臨床の話を少し。IL-4受容体α鎖はIL-13と共有されていて、これを阻害する抗体薬デュピルマブがアトピー性皮膚炎や気管支喘息の治療に使われている。IL-4とIL-13の両方の作用を一度に抑えられるわけだ。またTh1とTh2は互いに抑制し合う関係で、Th1が出すIFN-γはIgEへのクラススイッチを抑える。
医学生医学生
I型アレルギーの流れで言うと、IL-4でIgEができて、それが肥満細胞のFcεRIに結合して、次に抗原が来たときに架橋されてヒスタミンが出る、ということですね。
ドクタードクター
完璧だ。どのサイトカインがどの段階を担うかがわかると、皮膚科や呼吸器内科で使う生物学的製剤の作用点も自然に理解できるようになるよ。

まとめ

B細胞がIgEを産生するには、IgMからIgEへのクラススイッチが必要で、その誘導を担うのがTh2細胞などが産生するIL-4(IL-13も同様の作用をもつ)です。IL-4受容体を介したSTAT6シグナルと、CD40-CD40リガンドの結合という2つのシグナルがそろってIgEへの切り替えが起こり、IL-4はさらにTh2分化を促してアレルギー反応を増幅します。同じTh2サイトカインでもIL-5は好酸球、IL-3は造血や肥満細胞・好塩基球、IL-2はT細胞増殖、IL-1は発熱・炎症と役割が異なり、IFN-γはIgE産生を抑制します。IL-4/IL-13を標的とするデュピルマブや、IL-5系を標的とするメポリズマブ・ベンラリズマブなど、サイトカインの役割はそのまま治療標的となっています。各インターロイキンの機能を整理しておくことは、アレルギー疾患の病態理解と生物学的製剤の選択の土台になります。

解答・解説

正解はdです

【テーマ】主要なインターロイキン(IL)の産生細胞と作用を整理し、IgE産生(アレルギー反応の中心)を担うサイトカインを選ぶ問題である。

IgE産生の仕組み

B細胞は、はじめIgMやIgDを産生しているが、抗原刺激とヘルパーT細胞からの補助を受けると、産生する抗体のクラスをIgG・IgA・IgEなどへ切り替える。これをクラススイッチ(免疫グロブリンのクラス変換)という。どのクラスに切り替わるかは、周囲のサイトカインによって決まる。 IgEへのクラススイッチには、①IL-4(またはIL-13)がB細胞のIL-4受容体に結合してSTAT6を介したシグナルを送ること、②活性化ヘルパーT細胞表面のCD40リガンド(CD154)がB細胞のCD40に結合すること、の二つのシグナルが必要である。IL-4を主に供給するのは2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)で、ほかに濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh細胞)、肥満細胞、好塩基球も産生する。

考え方

Th2細胞が産生する代表的サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)はいずれもアレルギー・寄生虫免疫に関わるが、役割が異なる。IgEへのクラススイッチを直接起こすのはIL-4であり、IL-5は好酸球、IL-13は気道の粘液産生や線維化などに主に関与する。この違いを押さえておけば正解を選べる。

選択肢考察

  1. ×a.  IL-1

    IL-1は主に活性化したマクロファージ・単球が産生する炎症性サイトカインで、TNF-α、IL-6と並ぶ代表的な内因性発熱物質である。視床下部に作用してプロスタグランジンE2を介し発熱を起こすほか、血管内皮細胞の接着分子発現の誘導、T細胞の活性化、肝臓でのCRPなど急性期蛋白の産生促進(IL-6と協調)に関わる。IgE産生を直接促進するサイトカインではない。

  2. ×b.  IL-2

    IL-2は主に活性化したT細胞(特にTh1細胞)が産生し、T細胞自身の増殖(T細胞増殖因子)、細胞傷害性T細胞(CTL)やNK細胞の活性化を促す。細胞性免疫の中心的なサイトカインであり、制御性T細胞の維持にも必要である。カルシニューリン阻害薬(シクロスポリン、タクロリムス)はIL-2産生を抑制して免疫抑制作用を示す。IgEの産生促進とは関係しない。

  3. ×c.  IL-3

    IL-3は活性化T細胞などが産生し、多能性造血前駆細胞に作用して多系統の血球の増殖・分化を支える造血因子である(multi-CSFとも呼ばれる)。肥満細胞や好塩基球の増殖・活性化にも働くためアレルギー反応に間接的に関与するが、B細胞にIgEへのクラススイッチを起こさせる作用はない。

  4. ○d.  IL-4

    IL-4はTh2細胞、Tfh細胞、肥満細胞、好塩基球などが産生するサイトカインで、B細胞にIgE(およびIgG4)へのクラススイッチを誘導し、IgE抗体の産生を促進する。さらに、未分化なヘルパーT細胞をTh2細胞へ分化させ、Th1への分化を抑える作用もあり、アレルギー反応を増幅する中心的な分子である。IL-4受容体α鎖はIL-13とも共有されており、これを阻害する抗体薬デュピルマブがアトピー性皮膚炎や気管支喘息の治療に用いられている。

  5. ×e.  IL-5

    IL-5はTh2細胞や2型自然リンパ球(ILC2)が産生し、好酸球の分化・増殖・活性化・生存延長を促す最も重要なサイトカインである。気管支喘息(好酸球性)や好酸球増多症候群で増加し、抗IL-5抗体(メポリズマブ)や抗IL-5受容体抗体(ベンラリズマブ)が重症喘息の治療に使われる。マウスではB細胞の増殖・分化(IgA産生など)を促す作用も知られるが、IgEへのクラススイッチを誘導するのはIL-4であり、IL-5ではない。

ヘルパーT細胞サブセットと代表的サイトカイン

・Th1細胞:IFN-γ、IL-2、TNF-β(リンホトキシン)。マクロファージ活性化、細胞性免疫、細胞内寄生菌(結核菌など)の排除。IL-12によって分化が誘導される。 ・Th2細胞:IL-4、IL-5、IL-13(IL-10も)。液性免疫、IgE産生、好酸球・肥満細胞を介するアレルギー反応、寄生虫排除。IL-4によって分化が誘導される。 ・Th17細胞:IL-17、IL-22。好中球の動員、細胞外細菌・真菌の排除、自己免疫疾患に関与。 ・制御性T細胞(Treg):IL-10、TGF-β。免疫応答の抑制。 Th1とTh2は互いに抑制し合う関係にあり、IFN-γはIgEへのクラススイッチを抑制する。

主なインターロイキンの整理

・IL-1:発熱、炎症(マクロファージ由来) ・IL-2:T細胞増殖、NK・CTL活性化 ・IL-3:造血幹・前駆細胞の増殖、肥満細胞・好塩基球の増殖 ・IL-4:IgEへのクラススイッチ、Th2分化 ・IL-5:好酸球の分化・増殖・活性化 ・IL-6:急性期蛋白(CRP)産生、B細胞の形質細胞への分化、発熱。関節リウマチ・Castleman病で重要(トシリズマブが阻害) ・IL-8(CXCL8):好中球遊走 ・IL-10:抗炎症作用 ・IL-12:Th1分化、NK細胞活性化

I型アレルギーの流れ

抗原提示→Th2細胞の分化→IL-4によるB細胞のIgE産生→IgEが肥満細胞・好塩基球の高親和性IgE受容体(FcεRI)に結合(感作)→再侵入した抗原がIgEを架橋→ヒスタミン、ロイコトリエンなどが放出され即時型反応が起こる。

POINT

・IgEへのクラススイッチを誘導するのはIL-4(IL-13も同様の作用をもつ)。CD40–CD40リガンドの結合も必要。 ・IL-5は好酸球、IL-3は造血・肥満細胞、IL-2はT細胞増殖、IL-1は発熱・炎症。 ・Th2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)はアレルギーと寄生虫免疫を担い、IFN-γ(Th1)はIgE産生を抑制する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。