縦はG、横はA―CKD重症度分類の「2本の物差し」を読み解く
第115回医師国家試験 E問題 第2問
国試問題にチャレンジ
慢性腎臓病の重症度分類を下に示す。 A1からA3の方向(横軸方向)の区分を規定する指標はどれか。

- a.eGFR
- b.年齢
- c.蛋白尿
- d.体格指数
- e.平均血圧
対話形式の解説
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ドクターまとめ
慢性腎臓病の重症度はCGA分類で表され、Cは原因疾患、GはeGFRによる腎機能区分(縦軸G1〜G5)、Aは尿アルブミンまたは尿蛋白による区分(横軸A1〜A3)を示します。糖尿病では尿アルブミン/クレアチニン比(30・300mg/gCrが境界)、それ以外の原因疾患では尿蛋白/クレアチニン比(0.15・0.50g/gCrが境界)を用います。年齢はeGFRの推算式に含まれる変数にすぎず、BMIや血圧はCKDの危険因子として管理対象ではあるものの、分類の軸には使われません。蛋白尿はeGFRとは独立して腎予後や心血管リスクを左右するため、2つの軸を組み合わせて色分けでリスクを評価します。表の縦横が何を意味するかを理解しておくことは、紹介のタイミングや治療強度を判断するうえでの基本となります。
解答・解説
正解はcです
CKD重症度分類の枠組み
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の重症度は、日本腎臓学会の分類では「CGA分類」で表される。C(Cause)は原因疾患、G(GFR)は腎機能、A(Albuminuria)はアルブミン尿・蛋白尿の程度を指す。表の縦軸(G1〜G5)は推算糸球体濾過量(eGFR)による区分、横軸(A1〜A3)は尿アルブミンまたは尿蛋白の量による区分であり、両者の組み合わせで末期腎不全への進行や心血管死亡のリスクを色分け(緑→黄→オレンジ→赤の順にリスク上昇)して評価する。
考え方
設問は横軸方向、すなわちA区分を規定する指標を問うている。「A」はAlbuminuriaの頭文字であり、糖尿病ではアルブミン尿、それ以外の原因疾患では蛋白尿で区分する。したがって選択肢の中では蛋白尿が該当する。eGFRは縦軸(G区分)の指標であり、横軸ではない点を取り違えないことが重要である。
選択肢考察
- ×a. eGFR
eGFR(推算糸球体濾過量)は表の縦軸、すなわちG1〜G5の区分を決める指標である。重症度分類には用いられるが、横軸(A区分)の指標ではない。日本人向けの推算式は血清クレアチニン値(酵素法)と年齢から算出し、女性では係数0.739を掛ける。
- ×b. 年齢
年齢はeGFRを計算する式に含まれる変数ではあるが、それ自体が重症度分類の区分軸になっているわけではない。高齢者でeGFRが低めに出るのは推算式に年齢が入るためであり、分類表上の独立した指標ではない。
- ○c. 蛋白尿
横軸のA1〜A3は尿中アルブミンまたは尿蛋白の量で区分される。糖尿病関連腎臓病では尿アルブミン/クレアチニン比(mg/gCr)を用い、A1は30未満、A2は30〜299、A3は300以上である。高血圧性腎硬化症や慢性糸球体腎炎など糖尿病以外の原因では尿蛋白/クレアチニン比(g/gCr)を用い、A1は0.15未満、A2は0.15〜0.49、A3は0.50以上である。随時尿のクレアチニン補正値のほか、24時間蓄尿による1日排泄量(g/日、mg/日)でも評価できる。蛋白尿が多いほど腎機能低下の進行が速く、心血管イベントのリスクも高いため、eGFRと独立したリスク軸として採用されている。
- ×d. 体格指数
体格指数(body mass index:BMI)は肥満の評価指標である。肥満はCKDの発症・進行の危険因子であり、減量を含む生活習慣の改善が推奨されるが、重症度分類の区分軸には含まれない。
- ×e. 平均血圧
血圧管理はCKD診療の柱であり、蛋白尿の有無や糖尿病の合併などに応じて降圧目標が設定される。しかし血圧値(平均血圧を含む)は重症度分類の区分には用いられない。
CKDの定義
以下の①、②のいずれか、または両方が3か月以上持続するものをCKDとする。 ①尿異常、画像診断・血液検査・病理での腎障害の存在が明らか。特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要である。 ②GFR<60 mL/分/1.73 m²
G区分(eGFR:mL/分/1.73 m²)
G1:90以上(正常または高値) G2:60〜89(正常または軽度低下) G3a:45〜59(軽度〜中等度低下) G3b:30〜44(中等度〜高度低下) G4:15〜29(高度低下) G5:15未満(末期腎不全)
A区分
糖尿病:尿アルブミン/Cr比 A1(正常)30 mg/gCr未満、A2(微量アルブミン尿)30〜299、A3(顕性アルブミン尿)300以上 糖尿病以外(高血圧、腎炎、多発性嚢胞腎、移植腎など):尿蛋白/Cr比 A1(正常)0.15 g/gCr未満、A2(軽度蛋白尿)0.15〜0.49、A3(高度蛋白尿)0.50以上
補足
糖尿病で尿アルブミンを用いるのは、糖尿病性腎症の早期(微量アルブミン尿期)を尿蛋白定性で検出しにくいためである。なお、わが国の保険診療では尿アルブミン定量は原則として糖尿病または糖尿病性早期腎症の患者に限って認められている。筋肉量が極端に少ない人などでクレアチニンによるeGFRが不正確な場合には、シスタチンCに基づくeGFRも用いられる。
POINT
・CKD重症度はCGA分類(原因C・GFR区分G・アルブミン尿/蛋白尿区分A)で表す。 ・縦軸G1〜G5=eGFR、横軸A1〜A3=尿アルブミン(糖尿病)または尿蛋白(それ以外)。 ・A区分の境界:アルブミン尿30・300 mg/gCr、蛋白尿0.15・0.50 g/gCr。 ・年齢はeGFRの計算式に含まれるが分類軸ではない。BMIや血圧は分類に用いない。
