「ひねる」動きを測れるのはどの関節か―関節の形から読み解くROMの外旋・内旋
第115回医師国家試験 E問題 第12問
国試問題にチャレンジ
関節可動域で内旋および外旋を測定する関節はどれか。
- a.肩関節
- b.肘関節
- c.手関節
- d.膝関節
- e.足関節
対話形式の解説
ドクター
医学生
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ドクターまとめ
ROM測定で外旋・内旋を測るのは、四肢では球関節(多軸性関節)である肩関節と股関節であり、選択肢では肩関節が該当します。肩関節の参考可動域は外旋60°・内旋80°、股関節は外旋・内旋とも45°です。肘・膝は屈曲・伸展、手関節は掌屈・背屈・橈屈・尺屈、足関節は背屈・底屈を測り、前腕の回旋は「回内・回外」、足部は「外がえし・内がえし」と、外旋・内旋とは別の用語で扱われる点に注意が必要です。関節の形と運動軸の数から測定方向を理解しておくと、診察やリハビリテーションでの可動域評価を正確に行う基礎になります。
解答・解説
正解はaです
関節可動域(range of motion:ROM)の測定は、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会が定めた「関節可動域表示ならびに測定法」に基づいて行われ、関節ごとに測定する運動方向(屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋など)と参考可動域が決められている。 どの運動方向を測るかは、その関節の形と運動軸の数で理解するとよい。 ・多軸性の関節(球関節:肩関節、股関節)は、屈曲・伸展、外転・内転に加えて、骨の長軸まわりの回旋(外旋・内旋)が可能である。 ・二軸性の関節(手関節など)は、二つの面での運動(屈曲・伸展と橈屈・尺屈)を測る。 ・一軸性の関節(肘関節、膝関節、足関節〈距腿関節〉)は、主に屈曲・伸展(足関節では背屈・底屈)を測る。 したがって、ROM測定で「外旋・内旋」の項目があるのは四肢では肩関節と股関節であり、選択肢の中では肩関節が該当する。前腕の「回内・回外」や頸部・胸腰部の「回旋」は、外旋・内旋とは別の用語として扱われることにも注意する。
選択肢考察
- ○a. 肩関節
正しい。肩関節(肩甲上腕関節)は上腕骨頭と肩甲骨関節窩からなる球関節(多軸性関節)で、人体で最も可動域の大きい関節である。ROMでは屈曲(前方挙上、参考可動域180°)、伸展(後方挙上、50°)、外転(側方挙上、180°)、内転(0°)、外旋(60°)、内旋(80°)、水平屈曲(135°)、水平伸展(30°)を測定する。外旋・内旋は、肘を体側につけて90°屈曲し、前腕を前方に向けた位置を基本肢位として、前腕が外側・内側へ動く角度で測る。
- ×b. 肘関節
誤り。肘関節は腕尺関節(蝶番関節)、腕橈関節、上橈尺関節の3つからなる複関節であるが、肘関節としてのROMは屈曲(145°)と伸展(5°)のみを測定する。前腕の回旋は「回内・回外」として前腕の項目で別に測定し、これは上・下橈尺関節の運動であって外旋・内旋とは呼ばない。
- ×c. 手関節
誤り。手関節(主に橈骨手根関節)は楕円関節で、二軸性の運動を行う。ROMでは屈曲(掌屈、90°)、伸展(背屈、70°)、橈屈(25°)、尺屈(55°)を測定する。回旋運動は手関節ではなく前腕の回内・回外として扱う。
- ×d. 膝関節
誤り。膝関節は大腿骨と脛骨(および膝蓋骨)からなり、主に一軸の屈伸運動を行う。ROMでは屈曲(130°)と伸展(0°)のみを測定する。膝を曲げた状態では下腿にわずかな回旋が生じるが、ROMの測定項目には含まれない。下肢で外旋・内旋を測定するのは股関節(各45°)である。
- ×e. 足関節
誤り。足関節(距腿関節)は一軸性の関節で、主に背屈(伸展、20°)と底屈(屈曲、45°)を行う。現行の測定法では足関節と足部をまとめて扱い、足部の運動として外がえし・内がえし、外転・内転も測定するが、「外旋・内旋」という項目はない。
関節の形と運動軸
・球関節(多軸性):肩関節、股関節(股関節は関節窩が深く、臼状関節とも呼ばれる) ・楕円関節・顆状関節(二軸性):橈骨手根関節(手関節)など ・鞍関節(二軸性):母指の手根中手関節 ・蝶番関節(一軸性):腕尺関節、指節間関節、距腿関節(らせん関節とも分類される) ・車軸関節(一軸性、回旋):上・下橈尺関節、正中環軸関節
主要関節の参考可動域(関節可動域表示ならびに測定法)
・肩関節:屈曲180°、伸展50°、外転180°、内転0°、外旋60°、内旋80°、水平屈曲135°、水平伸展30° ・肘関節:屈曲145°、伸展5° ・前腕:回内90°、回外90° ・手関節:屈曲(掌屈)90°、伸展(背屈)70°、橈屈25°、尺屈55° ・股関節:屈曲125°、伸展15°、外転45°、内転20°、外旋45°、内旋45° ・膝関節:屈曲130°、伸展0° ・足関節:背屈20°、底屈45°
用語の区別
・外旋・内旋:上腕骨・大腿骨の長軸まわりの回旋(肩関節、股関節) ・回内・回外:前腕の回旋 ・回旋:頸部、胸腰部の左右への回旋 ・外がえし・内がえし:足部の運動
測定の原則
ROMは角度計を用い、基本肢位を0°として5°刻みで記載する。自動運動と他動運動を区別し、原則として他動運動による測定値を記載する。
POINT
・ROMで外旋・内旋を測定するのは肩関節と股関節(いずれも球関節)。 ・肩関節の参考可動域:外旋60°、内旋80°。股関節:外旋・内旋とも45°。 ・肘・膝は屈曲・伸展、手関節は掌屈・背屈・橈屈・尺屈、足関節は背屈・底屈。 ・前腕は回内・回外、足部は外がえし・内がえし・外転・内転と、用語が異なる点に注意。
