在宅で人工呼吸器を守るのは誰か―訪問看護の「指示書・保険・診療の補助」を整理する
第115回医師国家試験 C問題 第7問
国試問題にチャレンジ
訪問看護について正しいのはどれか。
- a.自己負担は発生しない。
- b.主治医の指示とは独立して行われる。
- c.介護保険よりも医療保険を優先して利用する。
- d.要介護認定を受けていない者は対象外である。
- e.人工呼吸器の管理は看護師が在宅で行う診療補助行為に含まれる。
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生まとめ
訪問看護は、看護師などが居宅を訪れて療養上の世話や診療の補助を行うサービスで、訪問看護ステーションでは主治医の訪問看護指示書に基づいて提供されます。介護保険・医療保険のいずれでも自己負担があり、要介護・要支援認定者では原則として介護保険が優先されますが、末期癌やALSなど厚生労働大臣が定める疾病等、特別訪問看護指示書の期間、精神科訪問看護では医療保険が使われます。要介護認定がなくても、医療的ケア児や若年の難病患者などは医療保険で利用できます。人工呼吸器の管理、喀痰吸引、中心静脈栄養の管理などは、医師の指示に基づく診療の補助として在宅でも実施できます。主治医として指示書を作成し多職種と連携するためにも、訪問看護の仕組みを理解しておくことは在宅医療を担う医師に欠かせません。
解答・解説
正解はeです
訪問看護とは、看護師などが患者の自宅(居宅)を訪れ、療養上の世話や診療の補助を行うサービスである。本問は、その制度の骨格を問うている。押さえるべき点は次の4つである。 ①主治医の指示のもとで行われる:訪問看護ステーションの訪問看護は、主治医が交付する「訪問看護指示書」に基づいて始まる。看護師が独自の判断だけで医療的な処置を始めるわけではない。 ②費用は保険から給付され、自己負担がある:介護保険・医療保険のどちらで利用しても、原則として所定の割合の自己負担が生じる。 ③介護保険が優先される:要介護・要支援認定を受けている者は、原則として介護保険で利用する。ただし、例外として医療保険で利用する場合がある。 ④介護保険の対象でなくても利用できる:要介護認定を受けていない者(40歳未満の者や、要介護認定を受けていない高齢者など)も、医療保険を使えば利用できる。 そのうえで、保健師助産師看護師法では、看護師の業務は「療養上の世話」と「診療の補助」とされている。在宅での人工呼吸器の管理、在宅酸素療法、中心静脈栄養や点滴の管理、喀痰吸引、胃瘻(胃ろう)や尿道カテーテルの管理、褥瘡(床ずれ)の処置などは、医師の指示のもとで行う診療の補助として訪問看護で実施できる。
選択肢考察
- ×a. 自己負担は発生しない。
訪問看護は、介護保険で利用すれば原則1割(所得に応じて2割または3割)、医療保険で利用すれば加入している保険と年齢に応じた割合(1〜3割)の自己負担が生じる。また、交通費などが利用料として別途かかることもある。難病医療費助成などの公費負担医療を併用すると負担が軽くなる場合はあるが、制度として一律に自己負担が生じないわけではない。
- ×b. 主治医の指示とは独立して行われる。
訪問看護ステーションからの訪問看護は、主治医が交付する訪問看護指示書(有効期間は最長6か月)に基づいて行われる。看護師は訪問の結果を訪問看護報告書などで主治医に報告し、互いに連携しながらケアを進める。病状が急に悪化したときなどには、特別訪問看護指示書が交付され、一時的に頻回の訪問ができる。いずれにしても、主治医の指示から独立して行うものではない。
- ×c. 介護保険よりも医療保険を優先して利用する。
記述は逆である。要介護・要支援認定を受けている者は、原則として介護保険の訪問看護が優先される。ただし、次の場合は例外として医療保険で利用する。厚生労働大臣が定める疾病等(末期の悪性腫瘍、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉、パーキンソン病関連疾患の一部、人工呼吸器を使用している状態など)に当たる場合、急性増悪などで特別訪問看護指示書が交付された期間、精神科訪問看護を受ける場合である。
- ×d. 要介護認定を受けていない者は対象外である。
要介護認定を受けていない者は、介護保険による訪問看護は利用できない。しかし、医療保険による訪問看護は利用できる。たとえば、医療的ケアを必要とする小児、40歳未満の難病患者、要介護認定を受けていない高齢者などである。したがって、要介護認定がないことを理由に対象外となるわけではない。
- ○e. 人工呼吸器の管理は看護師が在宅で行う診療補助行為に含まれる。
看護師の業務の一つである「診療の補助」は、医師の指示のもとに行う医療行為である。在宅で人工呼吸器を使用している患者(神経筋疾患の患者や医療的ケア児など)に対しては、訪問看護師が呼吸器の作動状態や設定の確認、回路の管理、気管切開部のケア、喀痰吸引、トラブル時の対応、家族への指導などを行う。これらは主治医の指示に基づく診療の補助として、在宅でも実施できる。
訪問看護の提供体制
訪問看護は、訪問看護ステーションまたは病院・診療所から提供される。訪問看護ステーションの場合は、主治医が訪問看護指示書を交付してサービスが始まる。訪問するのは看護師のほか、保健師、准看護師、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などである。
主なサービス内容
・療養上の世話:清潔の保持、排泄・食事の援助、療養環境の調整など ・診療の補助:人工呼吸器や在宅酸素療法の管理、中心静脈栄養・点滴の管理、喀痰吸引、胃瘻や経鼻胃管の管理、尿道カテーテルの管理、褥瘡の処置、服薬の管理など ・リハビリテーション ・終末期ケア(在宅での看取りの支援)、家族への指導・相談
介護保険と医療保険の使い分け
原則:要介護・要支援認定を受けている者は、介護保険が優先される。 医療保険で利用する者:要介護認定を受けていない者(40歳未満の者を含む)。また、認定を受けていても、厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合、特別訪問看護指示書が交付された期間(原則として月1回、最長14日間)、精神科訪問看護を受ける場合は医療保険となる。
在宅医療と多職種連携
在宅医療を推進するうえで、訪問看護は主治医、ケアマネジャー(介護支援専門員)、薬剤師、リハビリテーション職、ヘルパーなどと連携する中心的な役割を担う。今後もニーズの増加が見込まれている。
POINT
・訪問看護は主治医の訪問看護指示書に基づいて行う ・要介護・要支援認定を受けている者は、原則として介護保険が医療保険より優先される(末期癌・ALSなどの厚生労働大臣が定める疾病等、特別訪問看護指示書の期間、精神科訪問看護は医療保険) ・要介護認定がなくても、医療保険で利用できる ・介護保険・医療保険のいずれでも自己負担がある ・人工呼吸器の管理、喀痰吸引、中心静脈栄養の管理などは、診療の補助として在宅で実施できる
