波線の向こうに隠れた目盛―日本人の食塩摂取量グラフを「知識で逆算」して読む
第115回医師国家試験 C問題 第14問
国試問題にチャレンジ
1995~2018年の日本の性別の一人当たり食塩消費量を下に示す。 Xに相当する数値はどれか。

- a.10.2
- b.10.5
- c.11.0
- d.12.0
- e.15.0
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
国民健康・栄養調査によると、日本人の食塩摂取量は長期的に減少してきましたが、2018年でも男性11.0 g、女性9.3 gと、男女差は約2 gで推移しています。縦軸が波線で省略されたグラフでは、0からの距離ではなく等間隔の目盛線の幅を基準に読む必要があり、本問では最近の値と男女差から1目盛を約2 gと逆算してXを12.0と判断できます。食事摂取基準の目標量は男性7.5 g未満・女性6.5 g未満、高血圧患者では6 g未満、WHOは5 g未満を推奨しており、日本人の摂取量はいずれも大きく上回っています。醤油・味噌・漬物・麺類の汁などが主な摂取源で、減塩は高血圧・脳卒中・胃癌予防の重要な課題です。知っている値から目盛を逆算する読み方と、減塩の公衆衛生的意義をセットで押さえておきましょう。
解答・解説
正解はdです
図の読み取り
グラフは1995〜2018年の国民健康・栄養調査による、20歳以上の日本人1人1日当たりの食塩摂取量(設問では「消費量」と表現されている)の推移を男女別に示したものである。縦軸は0.0のすぐ上に波線が入っており、0.0から10.0付近までの区間は省略されている。したがって0.0と10.0の間の距離は目盛として使えない。目盛として読めるのは、10.0の線とその上のXの線、さらにその上下に同じ間隔で引かれた補助線(10.0の1段下と、Xの1段上)であり、この等間隔の目盛線の幅(10.0とXの差)を基準に値を読む。男性は全期間を通じて女性より上方にあり、両者とも長期的には右肩下がりで減少している。
考え方
数値そのものを丸暗記していなくても、次のいずれかの知識があれば目盛を逆算できる。 (1)最近の食塩摂取量は男性約11g、女性約9g(2018年は男性11.0g、女性9.3g)。 (2)男女差はおおむね1.5〜2g程度で推移している。 グラフで2018年の女性の値は10.0の線より目盛間隔の約3分の1下、男性の値はXの線より目盛間隔の約半分下に位置している。女性9.3gが10.0の線より約0.7g下にあり、男性11.0gがXの線より約1g下にあることから、10.0とXの間の目盛間隔は約2gと読め、X=12.0と判断できる。逆にX=11.0とすると男性の2018年値は約10.5g、X=10.5や10.2とすると男女差が0.5g未満となり、いずれも実際の値と合わない。X=15.0では目盛間隔が5gとなり、2018年の男性が12g台、女性が8g台となって実際の値から外れる。 なお、0.0の線を基準に「0.0から10.0までと10.0からXまでが同じ間隔」と読むとX=20のような誤った値になる。波線で省略された軸では、省略部分を除いた等間隔の目盛だけを使うことが大切である。 本問は細かな統計値の記憶を問う設問であり、現在の国試対策としての優先度は高くない。ただし「日本人の食塩摂取量は減少傾向だが、依然として目標量を大きく上回る」という大きな流れは押さえておきたい。
選択肢考察
- ×a. 10.2
Xが10.2であれば、10.0とXの目盛間隔はわずか0.2gとなる。すると2018年の値は男性約10.1g、女性約9.9gと読め、男女差は0.2g程度にしかならない。実際の値(男性11.0g、女性9.3g、差約1.7g)と大きく食い違う。
- ×b. 10.5
Xが10.5であれば目盛間隔は0.5gで、2018年の男性値は約10.3g、女性値は約9.8gと読めてしまう。男女差も0.5g程度となり、実際の値(男性11.0g、女性9.3g)や1.5〜2g程度という男女差と合わない。
- ×c. 11.0
Xが11.0であれば目盛間隔は1gとなり、2018年の男性値は約10.5g、女性値は約9.7gと読める。2018年の男性値11.0gはXの線とほぼ重なるはずだが、グラフでは男性の点はXの線より明らかに下にあり矛盾する。男女差も1g未満となり実際より小さい。
- ○d. 12.0
10.0とXの目盛間隔を2gとすると、2018年は男性約11.0g、女性約9.3gと読め、国民健康・栄養調査(平成30年)の実測値と一致する。男女差も約1.5〜2gで推移しており、実際の傾向と合致する。したがってXは12.0である。
- ×e. 15.0
Xが15.0であれば目盛間隔は5gとなり、2018年の男性値は約12.5g、女性値は約8.2gと読め、いずれも実際の値(男性11.0g、女性9.3g)から外れる。男女差も4g以上と過大になり、1995年の男性値は20gを超えることになって、実際の推移とかけ離れている。
日本人の食塩摂取量の動向
国民健康・栄養調査(健康増進法に基づき毎年実施)によると、20歳以上の食塩摂取量は長期的に減少してきた。2018年は男性11.0g、女性9.3g、全体で10.1gであり、その後も男性は10g台後半、女性は9g前後で推移し、近年は減少が緩やかになっている。男性が女性より多いのは主に摂取エネルギー量(食事量)の差による。
食塩摂取の目標
・日本人の食事摂取基準(2020年版、2025年版): 成人の目標量は男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満。高血圧および慢性腎臓病の重症化予防には6g/日未満。 ・日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン: 高血圧患者の減塩目標は6g/日未満。 ・WHO: 成人で5g/日未満を推奨。 ・健康日本21(第三次): 食塩摂取量の平均を7gとすることを目標としている(第二次では8g)。 日本人の摂取量はいずれの目標も大きく上回っており、減塩は高血圧・脳卒中・胃癌などの予防の観点から重要な公衆衛生課題である。
日本人の食塩摂取源
醤油、味噌などの調味料、漬物、麺類(汁)、加工食品からの摂取が多いのが特徴である。
POINT
・日本人の食塩摂取量(2018年)は男性11.0g、女性9.3g。男女差は約2g。 ・長期的には減少傾向だが、近年は横ばいに近い。 ・目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満(食事摂取基準)、高血圧患者は6g未満、WHOは5g未満。 ・グラフ問題では、確実に知っている最近の値や男女差から目盛を逆算するとよい。波線で省略された軸では、0からの距離ではなく等間隔の目盛線の幅を基準に読む。
