保健所は「見張り役」、保健センターは「お世話役」―地域保健の役割分担を整理する
第114回医師国家試験 C問題 第33問
国試問題にチャレンジ
保健所の役割はどれか。3つ選べ。
- a.3歳児健康診査
- b.医療法に基づく立入検査
- c.国勢調査の調査票の審査
- d.地域における健康危機管理
- e.人口動態統計の調査票の審査
対話形式の解説
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
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医学生
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医学生
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医学生
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医学生
ドクター
医学生
ドクター
医学生
ドクターまとめ
保健所は都道府県や政令指定都市、中核市などが設置する広域的・専門的・技術的な機関で、医療法に基づく病院・診療所への立入検査、地域における健康危機管理、人口動態統計の調査票の審査などを担います。これに対し、3歳児健康診査や予防接種、母子健康手帳の交付といった住民に身近なサービスは市町村(市町村保健センター)の役割です。人口動態統計は厚生労働省所管で市町村から保健所、都道府県を経て集計されますが、国勢調査は総務省所管の人口静態統計で保健所は関与しません。保健所長は原則医師であることや、感染症法の届出先が保健所長であることもあわせて押さえておくと、試験対策だけでなく臨床現場で行政と連携する際の基礎知識になります。
解答・解説
正解はb, d, eです
本問は、地域保健を担う二つの拠点である保健所と市町村保健センターの役割分担を正しく区別できるかを問う問題である。
根拠となる法律
保健所と市町村保健センターはいずれも地域保健法に規定されている。保健所の業務は地域保健法第6条に列挙されており、人口動態統計その他地域保健に関する統計、医事・薬事、食品衛生、環境衛生、精神保健、難病対策、感染症など疾病の予防などが含まれる。さらに「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」において、保健所は地域の健康危機管理の拠点と位置づけられている。
考え方
保健所は都道府県・政令指定都市・中核市・その他政令で定める市・特別区が設置する、広域的・専門的・技術的な機関である。監視・検査(医療機関、飲食店、環境など)、統計、感染症や精神保健・難病などの専門的な対人保健、健康危機への対応が中心となる。 一方、市町村保健センターは住民に身近な一般的対人保健サービス(乳幼児健康診査、予防接種、母子健康手帳の交付、健康相談・保健指導など)を担う。 したがって、「住民一人ひとりへの日常的なサービスか」「専門的・広域的な監視や統計・危機対応か」という視点で選択肢を振り分けると、保健所の役割は医療法に基づく立入検査、地域の健康危機管理、人口動態統計の調査票の審査の3つとなる。国勢調査は総務省所管の統計であり、保健所の業務ではない。
選択肢考察
- ×a. 3歳児健康診査
3歳児健康診査は1歳6か月児健康診査とともに母子保健法(第12条)で市町村に実施が義務付けられた健康診査であり、主に市町村保健センターなどで行われる。住民に身近な一般的対人保健サービスに当たるため、保健所の役割ではない。
- ○b. 医療法に基づく立入検査
医療法第25条により、都道府県知事・保健所設置市の市長・特別区の区長は病院や診療所などに立ち入り、人員配置・構造設備・衛生管理などを検査できる。実務は保健所の医療監視員が担い、開設時の使用前検査や定期的な立入検査(いわゆる医療監視)として行われる。地域保健法第6条の医事に関する事項にも該当し、保健所の役割である。
- ×c. 国勢調査の調査票の審査
国勢調査は統計法に基づく基幹統計調査で、日本に住むすべての人と世帯を対象に5年ごとに実施される人口静態統計である。総務省(統計局)が所管し、調査員・市町村・都道府県を通じて実施・集計される。保健所はこの調査の流れに関与せず、調査票の審査は保健所の業務ではない。
- ○d. 地域における健康危機管理
健康危機管理とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他の原因によって住民の生命・健康の安全が脅かされる事態に対し、健康被害の発生予防・拡大防止・治療などを行う業務である。地域保健対策の推進に関する基本的な指針において、保健所は地域の健康危機管理の拠点とされ、平常時の監視・体制整備から、発生時の調査・対応、事後の評価まで中心的役割を担う。感染症の集団発生や食中毒、災害時の保健医療対応などが具体例である。
- ○e. 人口動態統計の調査票の審査
人口動態統計は出生・死亡・死産・婚姻・離婚の届出をもとに作成される。市町村長が届出に基づいて人口動態調査票を作成し、それを保健所長が審査・確認したうえで都道府県知事を経て厚生労働大臣に送付する。地域保健法第6条にも「人口動態統計その他地域保健に係る統計に関する事項」が保健所の業務として明記されている。
保健所と市町村保健センターの比較
・保健所 設置主体:都道府県、政令指定都市、中核市、その他政令で定める市、特別区 根拠:地域保健法第5条・第6条 所長:原則として医師 主な業務:人口動態統計など地域保健に関する統計、医事・薬事(医療機関への立入検査など)、食品衛生(飲食店営業許可・監視、食中毒調査)、環境衛生、精神保健、難病対策、感染症対策(結核・HIVなど、積極的疫学調査)、エイズ・結核の相談、健康危機管理 ・市町村保健センター 設置主体:市町村(設置は任意) 根拠:地域保健法第18条 所長:医師である必要はない 主な業務:乳幼児健康診査(1歳6か月児・3歳児)、母子健康手帳の交付、予防接種、妊産婦・新生児訪問、健康相談・保健指導、健康増進事業としてのがん検診など
人口動態統計と国勢調査
・人口動態統計:一定期間内の人口の変動(出生・死亡・死産・婚姻・離婚)をとらえる統計。厚生労働省が所管し、届出→市町村→保健所→都道府県→厚生労働省の流れで集計される。 ・国勢調査:ある時点の人口の状態をとらえる人口静態統計。総務省が所管し、5年ごとに実施される。
POINT
・保健所は専門的・広域的業務(監視・検査、統計、感染症・精神保健・難病、健康危機管理)を担う。 ・市町村(市町村保健センター)は身近な一般的対人保健サービス(乳幼児健診、予防接種、母子健康手帳交付)を担う。 ・医療法に基づく病院・診療所への立入検査は保健所が実施する。 ・人口動態調査票は市町村長が作成し、保健所長が審査する。 ・国勢調査は総務省所管で、保健所は関与しない。
