StudyMed医師国家試験

「38歳の閉経」は早すぎる?―数字で押さえる正常月経と早発卵巣不全

第109回医師国家試験 F問題 第9問

国試問題にチャレンジ

第109回 F問題 第9問

月経の異常はどれか。

  1. a.持続期間5日
  2. b.周期28日
  3. c.周期の変動2日
  4. d.初経12歳
  5. e.閉経38歳

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、正常な月経の範囲を知っているかを問う基本問題だ。周期、ばらつき、持続日数、そして初経と閉経の年齢。それぞれの正常範囲を頭に入れておけば、外れているものが一つだけ見つかるはずだよ。まず、月経周期の正常範囲は覚えているかな。
医学生医学生
28日周期が典型なのは知っていますが、範囲となると……21日から35日だったでしょうか。
ドクタードクター
惜しいね。日本産科婦人科学会の定義では25〜38日が正常範囲だ。24日以内で来るものを頻発月経、39日以上あいて3か月未満のものを稀発月経という。だから28日はまさに典型値で、異常ではない。
医学生医学生
周期のばらつきについても基準があるんですよね。産婦人科の講義で出てきた気がします。
ドクタードクター
同じ人の周期ごとの変動は6日以内が正常とされている。2日の変動ならかなり規則的で、まったく問題ない。これより大きくばらつく場合は不整周期と判断するよ。
医学生医学生
出血の持続日数は3〜7日でしたっけ。5日ならその真ん中くらいですね。
ドクタードクター
その通り。2日以内で終わるものは過短月経、8日以上続くものは過長月経という。経血量にも目安があって、20〜140mL程度とされているけれど、実際の外来では量を測るのは難しいから、凝血塊が出るか、ナプキンをどのくらいの頻度で替えるかといった聞き方をすることが多い。
医学生医学生
初経12歳も普通ですよね。小学校高学年から中学生くらいのイメージです。
ドクタードクター
そう、日本人の初経の平均は12歳前後だ。10歳未満なら早発月経、15歳以上なら遅発月経、満18歳になっても初経がなければ原発性無月経になる。
医学生医学生
そうすると残るのは38歳の閉経ですね。少し早い気はしますが、個人差の範囲かと一瞬思いました。
ドクタードクター
そこが落とし穴なんだ。日本人女性の閉経の平均はおよそ50歳で、40歳未満での閉経は早発閉経と定義される。38歳はこれに当てはまるから、明確に月経の異常だ。55歳以上は遅発閉経という。
医学生医学生
40歳と55歳が境目なんですね。閉経って、どうやって判定するんでしょうか。
ドクタードクター
卵巣機能が失われて月経が永久に止まった状態が閉経で、12か月以上月経がないことを確認してから、最後の月経の時点にさかのぼって判定する。その前後およそ5年ずつ、合わせて10年ほどが更年期だ。
医学生医学生
早発閉経は、早発卵巣不全とも呼ばれていましたよね。CBTの勉強で、ターナー症候群と一緒に出てきた記憶があります。
ドクタードクター
よく覚えているね。英語ではpremature ovarian insufficiency、POIと呼ぶ。原因にはターナー症候群などの染色体異常、脆弱X症候群に関連するFMR1遺伝子の前変異、自己免疫疾患、抗がん薬や放射線治療、卵巣手術などがあるけれど、原因がはっきりしないことも多い。
医学生医学生
検査ではFSHが高くて、エストラジオールが低いということになりますか。
ドクタードクター
その通り。卵巣が反応しないから、下垂体は頑張ってFSHを出し続ける。高ゴナドトロピン性の性腺機能低下という形になるんだ。臨床で大事なのは、若いうちからエストロゲンが不足することの影響だよ。
医学生医学生
骨粗鬆症とか、心血管疾患のリスクが上がるということですね。
ドクタードクター
そう。本来なら閉経まで続くはずのエストロゲンの保護作用を早くに失うから、骨密度の低下や心血管リスクの上昇が問題になる。だから原因検索とともに、ホルモン補充療法を検討することが重要なんだ。挙児希望がある場合は妊孕性の相談も必要になる。単に「少し早い閉経」で片づけてはいけないよ。
医学生医学生
数字の暗記問題に見えて、背景には長期的な健康管理の話があるんですね。
ドクタードクター
その視点が大切だ。問診で月経歴を聞くときも、周期・持続・量・初経・閉経の数字を正常範囲と照らし合わせる習慣をつけておくと、異常に気づきやすくなるよ。

まとめ

日本産科婦人科学会の定義では、正常月経は周期25〜38日、周期の変動6日以内、出血持続3〜7日とされ、初経は平均12歳前後、閉経は平均50歳前後です。初経が10歳未満なら早発月経、15歳以上なら遅発月経、満18歳で初経がなければ原発性無月経、閉経が40歳未満なら早発閉経、55歳以上なら遅発閉経となるため、38歳の閉経は異常にあたります。早発閉経は早発卵巣不全とも呼ばれ、染色体異常や自己免疫疾患、医原性などが原因となり、FSH高値・エストラジオール低値を示します。若年でのエストロゲン欠乏は骨粗鬆症や心血管疾患のリスクを高めるため、原因検索とホルモン補充療法の検討が必要です。正常範囲の数値を正確に覚えておくことは、月経歴の問診から異常を拾い上げ、長期的な健康管理につなげる第一歩になります。

解答・解説

正解はeです

正常月経の範囲を知っていれば解ける基本問題である。日本産科婦人科学会の定義では、正常な月経は次の条件をすべて満たすものとされている。 ・月経周期日数:25~38日 ・周期の変動(同一女性における周期ごとのばらつき):6日以内 ・出血持続日数:3~7日 ・経血量:20~140mL程度 さらに、月経の開始と終了の時期にも正常範囲があり、初経はおおむね10~14歳(平均12歳前後)、閉経は平均50歳前後である。初経が10歳未満なら早発月経、15歳以上なら遅発月経、満18歳になっても初経がなければ原発性無月経とよぶ。閉経が40歳未満なら早発閉経、55歳以上なら遅発閉経とする。 各選択肢の数値をこれらの基準に当てはめ、範囲を外れるものを選べばよい。範囲外となるのは38歳での閉経だけである。

選択肢考察

  1. ×a.  持続期間5日

    月経の出血持続日数は3~7日が正常である。5日はこの範囲内に収まるので異常ではない。なお、2日以内で終わるものを過短月経、8日以上続くものを過長月経という。

  2. ×b.  周期28日

    月経周期は25~38日が正常範囲で、28日はその典型値である。24日以内で来るものを頻発月経、39日以上(3か月未満)の間隔があくものを稀発月経とよぶ。

  3. ×c.  周期の変動2日

    周期ごとのばらつきは6日以内であれば正常とされる。2日の変動はごくわずかで、規則的な月経といえる。変動がこれより大きい場合は不整周期と判断する。

  4. ×d.  初経12歳

    日本人女性の初経の平均年齢は12歳前後であり、12歳での初経は正常である。10歳未満の初経は早発月経、15歳以上は遅発月経、満18歳で初経がなければ原発性無月経と定義される。

  5. ○e.  閉経38歳

    日本人女性の閉経の平均年齢はおよそ50歳である。40歳未満での閉経は早発閉経と定義され、38歳での閉経はこれに該当するため月経の異常である。早発閉経は早発卵巣不全(POI:premature ovarian insufficiency)とも呼ばれ、エストロゲン低下に伴う骨粗鬆症や心血管疾患のリスクが高まるため、原因検索とホルモン補充療法の検討が必要になる。

月経異常の分類(日本産科婦人科学会の用語に基づく)

・周期の異常:頻発月経(24日以内)、稀発月経(39日以上・3か月未満)、無月経(3か月以上来ない続発性無月経、満18歳で初経のない原発性無月経) ・持続日数の異常:過短月経(2日以内)、過長月経(8日以上) ・経血量の異常:過少月経(極端に少ない)、過多月経(極端に多い、凝血塊を伴うなど) ・開始時期・終了時期の異常:早発月経(初経10歳未満)、遅発月経(初経15歳以上)、早発閉経(40歳未満)、遅発閉経(55歳以上)

閉経の定義

閉経は卵巣機能の消失により月経が永久に停止した状態で、12か月以上月経がないことを確認して、最後の月経の時点にさかのぼって判定する。閉経の前後約5年ずつ、計10年ほどを更年期という。

早発閉経(早発卵巣不全)の原因

ターナー症候群などの染色体異常、FMR1遺伝子の前変異(脆弱X症候群関連)、自己免疫性疾患、抗がん薬や放射線治療、卵巣手術などがあるが、原因不明のことも多い。血中FSHの高値とエストラジオールの低値が特徴である。

POINT

・正常月経:周期25~38日、変動6日以内、持続3~7日 ・初経は平均12歳前後:10歳未満で早発月経、15歳以上で遅発月経、満18歳で初経がなければ原発性無月経 ・閉経は平均50歳前後:40歳未満で早発閉経、55歳以上で遅発閉経 ・早発閉経は骨粗鬆症・心血管疾患のリスクとなり、ホルモン補充療法の適応を考える

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。