StudyMed医師国家試験

身長150 cm・体重76.5 kg―「m換算」と「2乗」で解くBMI34、その数字が語る肥満症

第106回医師国家試験 E問題 第69問

国試問題にチャレンジ

第106回 E問題 第69問

68歳の女性。左膝関節痛と腰痛とを主訴に来院した。2年間に10 kg,最近の1か月に1.5 kgの体重増加があった。体重の増加に伴い,次第に左膝関節痛と腰痛とが強くなってきた。身長150 cm,体重76.5 kg,腹囲85 cm。体脂肪率35%。  この患者のBMI〈Body Mass Index〉を求めよ。 解答:①②

対話形式の解説

ドクタードクター
今回はBMIを計算する問題だ。計算自体はシンプルだけど、単位の換算でつまずきやすい。さらに出てきた数字をどう解釈し、膝や腰の痛みとどう結びつけるかまで考えてみよう。まずBMIの定義を言えるかな。
医学生医学生
体重を身長の2乗で割る、ですよね。公衆衛生の講義で習いました。
ドクタードクター
その通り。体重はkg、身長はmで計算するのがポイントだ。cmのまま150の2乗で割ってしまうと、とんでもなく小さい値になる。
医学生医学生
じゃあ1.5 mにして、1.5×1.5で2.25。76.5を2.25で割ると……34ですか。
ドクタードクター
正解、34.0でぴったり割り切れる。検算として2.25に34を掛けると76.5に戻るね。計算問題では、検算で桁や単位の誤りを確認する習慣をつけておこう。
医学生医学生
うっかり身長を2乗し忘れて76.5÷1.5で51にしてしまいそうです。
ドクタードクター
それもよくあるミスだね。BMI 51なら極めて高度な肥満になるから、見た目の体格と照らし合わせて「ありえるか」を感覚的にチェックすることも大事だ。では34という数字はどう評価する?
医学生医学生
日本肥満学会の基準だと25以上が肥満なので、肥満ですよね。何度でしたっけ。
ドクタードクター
25以上30未満が肥満1度、30以上35未満が肥満2度、35以上40未満が3度、40以上が4度。35以上は高度肥満と呼ぶ。だからBMI 34は肥満2度に当たる。
医学生医学生
WHOだと30以上が肥満なのに、日本は25からなんですね。
ドクタードクター
アジア人は欧米人より低いBMIで糖尿病などの健康障害を起こしやすいことを踏まえた基準なんだ。ちなみにBMI 22前後が統計的に最も病気になりにくいとされ、標準体重は身長の2乗×22で求める。この人なら49.5 kgだね。
医学生医学生
標準体重より27 kgも多いんですね。膝と腰の痛みも体重のせいでしょうか。
ドクタードクター
体重増加とともに痛みが強くなっている経過からは、変形性膝関節症や変形性脊椎症といった運動器の障害がまず疑われる。ここで「肥満」と「肥満症」の違いを押さえておこう。肥満はBMI 25以上という状態を指すだけだけど、肥満に関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量が必要なものを肥満症という。
医学生医学生
整形外科の実習で、変形性膝関節症の患者さんにまず減量を勧めていたのを思い出しました。あれは肥満症の治療でもあるんですね。
ドクタードクター
そういうこと。肥満症の健康障害には、2型糖尿病などの耐糖能障害、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、冠動脈疾患、脂肪性肝疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常、そして運動器疾患などがある。
医学生医学生
腹囲85 cmというのも出ていましたが、これは内臓脂肪型肥満の基準を満たしますか。
ドクタードクター
いい着眼点だ。ウエスト周囲長は男性85 cm以上、女性90 cm以上で内臓脂肪蓄積を疑う。この人は女性で85 cmだから目安には届いていない。BMIが高くても内臓脂肪型とは限らないし、確定には腹部CTで内臓脂肪面積100 cm²以上を確認する。一方、体脂肪率35%は女性の目安とされる30%を超えているね。
医学生医学生
BMIだけでなく、腹囲や体脂肪率、合併症まで含めて評価するということですね。
ドクタードクター
その通り。BMIは筋肉量の多い人では過大評価されるなど限界もある指標だ。臨床では数字を出して終わりにせず、健康障害の有無を確認して、減量の必要性と目標を患者さんと共有することが大切だよ。肥満症ではまず現体重の数%の減量を目標にするのが一般的で、それだけでも膝の負担や代謝指標の改善が期待できる。

まとめ

BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求め、本例では76.5÷(1.5×1.5)=34となります。日本肥満学会の基準ではBMI 25以上が肥満で、30以上35未満は肥満2度、35以上は高度肥満とされ、アジア人が低いBMIでも健康障害を起こしやすいことからWHOより低い基準が採用されています。肥満に変形性関節症や糖尿病などの健康障害を伴い減量が必要なものを肥満症と呼び、ウエスト周囲長(女性90 cm以上、男性85 cm以上)は内臓脂肪型肥満を疑う目安です。単位換算と検算を確実に行う計算力に加え、得られた数値を合併症と結びつけて解釈する視点が、肥満診療の基本になります。

解答・解説

正解は34です

BMIの定義

BMI(Body Mass Index、体格指数)は、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値である。 BMI = 体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)] 身長はcmではなくmに直して計算する点に注意する。

計算過程

1. 身長をmに換算する:150 cm = 1.5 m 2. 身長(m)の2乗を求める:1.5 × 1.5 = 2.25 3. 体重をこれで割る:76.5 ÷ 2.25 = 34.0 検算として、2.25 × 34 = 76.5 となり一致する。したがってBMIは34である。

結果の解釈

日本肥満学会の基準では、BMI 25以上を肥満とし、BMI 30以上35未満は肥満2度に当たる。本例はBMI 34で肥満2度である。さらに、体重増加に伴って左膝関節痛と腰痛が悪化しており、変形性膝関節症や変形性脊椎症といった肥満に関連する運動器の健康障害が疑われる。肥満に健康障害を合併し、減量を要する状態は「肥満症」と診断される。腹囲85 cmは、女性の内臓脂肪蓄積の目安(90 cm以上)には達していない。

日本肥満学会による肥満の判定(BMI)

・18.5未満:低体重 ・18.5以上25未満:普通体重 ・25以上30未満:肥満(1度) ・30以上35未満:肥満(2度) ・35以上40未満:肥満(3度) ・40以上:肥満(4度) BMI 35以上は「高度肥満」とされる。なお、世界保健機関(WHO)の基準ではBMI 25以上を過体重、30以上を肥満としており、日本の基準はアジア人がより低いBMIで健康障害を起こしやすいことを踏まえて25以上を肥満としている。BMI 22前後が統計的に最も病気になりにくい値とされ、標準体重は身長(m)の2乗×22で求める(本例の標準体重は1.5×1.5×22=49.5 kg)。

肥満と肥満症

・肥満:脂肪組織が過剰に蓄積した状態で、BMI 25以上をいう。 ・肥満症:肥満に、肥満に起因または関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする状態である。健康障害には、耐糖能障害(2型糖尿病など)、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、冠動脈疾患、脳梗塞、非アルコール性脂肪性肝疾患、月経異常・女性不妊、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)、肥満関連腎臓病などがある。 ・内臓脂肪型肥満:ウエスト周囲長が男性85 cm以上、女性90 cm以上(内臓脂肪面積100 cm²以上に相当)で疑い、腹部CTで内臓脂肪面積を測定して確定する。

体脂肪率

体脂肪率の肥満の目安はおおむね男性25%以上、女性30%以上とされる。本例の35%はこれを超えている。

POINT

・BMI = 体重(kg)÷ 身長(m)の2乗。身長はmに換算して計算する。 ・本例:76.5 ÷(1.5 × 1.5)= 76.5 ÷ 2.25 = 34 ・日本の基準ではBMI 25以上が肥満、30以上35未満が肥満2度、35以上が高度肥満。 ・肥満に健康障害(本例では膝関節痛・腰痛などの運動器疾患)を伴い減量を要するものは肥満症である。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。