StudyMed医師国家試験

デイサービスは「計画を立てる場所」ではない―介護保険の役割分担を整理する

第106回医師国家試験 E問題 第15問

国試問題にチャレンジ

第106回 E問題 第15問

介護保険制度の通所介護〈デイサービス〉で提供されるサービスに含まれないのはどれか。

  1. a.機能訓練の実施
  2. b.ケアプランの作成
  3. c.健康状態の確認
  4. d.生活に関する相談
  5. e.入浴の介助

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は介護保険の居宅サービスの一つ、通所介護、いわゆるデイサービスで何が提供されるかを問う問題だ。ポイントは「サービスを提供する側」と「サービス全体の計画を立てる側」を区別できるかどうか。まず、デイサービスがどんなサービスかイメージできるかな。
医学生医学生
高齢者が日中に施設へ通って、お風呂に入ったり体操をしたりするところ、というイメージです。
ドクタードクター
おおむねその通り。自宅で暮らす要介護者が、多くは送迎付きで日帰りで通い、入浴・排泄・食事などの介護、生活相談、健康状態の確認、そして機能訓練を受ける。本人の孤立を防いで心身機能を保つだけでなく、介護する家族の負担を軽くする、いわゆるレスパイトの役割も大きいんだ。
医学生医学生
地域医療実習で訪問診療に同行したとき、患者さんの家族が「デイの日だけは少し休める」と話していました。
ドクタードクター
まさにそれがレスパイトだね。では順に見ていこう。機能訓練はデイサービスで行われると思う?
医学生医学生
リハビリはデイケアの役割だと習った気がして、デイサービスでは行わないのかと迷いました。
ドクタードクター
そこはよくある混同だ。デイサービスにも機能訓練指導員の配置が求められていて、体操や歩行練習などADLの維持・向上を目的とした機能訓練が行われる。一方、医師の指示のもとでリハビリテーション専門職が本格的なリハビリを行うのが通所リハビリテーション、つまりデイケアだ。デイケアは病院・診療所・介護老人保健施設などで提供され、デイサービスには医師の配置義務がない、という違いも押さえておこう。
医学生医学生
健康状態の確認は、看護師さんが血圧を測ったりする場面ですね。
ドクタードクター
そう。通所介護には看護職員の配置が定められていて、来所時に体温や血圧、脈拍などを確認してから入浴や機能訓練に進むのが基本だ。体調の変化に早く気づいて、家族やケアマネジャー、主治医につなぐ役割もある。
医学生医学生
生活に関する相談は、誰が担当するんですか。
ドクタードクター
生活相談員だ。利用者や家族の日常生活の悩みや介護の相談に応じて助言し、利用開始時の契約や関係機関との連絡調整も担う。入浴の介助は身体介護の代表で、自宅の浴室では入浴が難しい高齢者にとって、デイサービスを使う大きな理由の一つになっている。
医学生医学生
となると、残るケアプランの作成が含まれないものですね。でも、デイサービスでも何か計画書を作っていた気がします。
ドクタードクター
鋭い指摘だね。通所介護事業所も、ケアプランを踏まえて自分たちの事業所で何をするかを定めた「通所介護計画」は作る。でもそれはケアプランとは別物だ。ケアプラン、在宅の場合は居宅サービス計画は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員、つまりケアマネジャーが作る、利用者が受ける介護サービス全体の計画なんだ。
医学生医学生
ケアマネジャーが全体の設計図を描いて、デイサービスはその中の一部品としてサービスを提供する、という関係ですね。
ドクタードクター
いい例えだ。流れとしては、要介護認定のあと、ケアマネジャーがアセスメントを行い、ケアプランの原案を作る。それを本人・家族・各事業所が集まるサービス担当者会議で検討し、利用者の同意を得て確定する。その後、各事業所がサービスを提供し、モニタリングと見直しを繰り返すんだ。
医学生医学生
公衆衛生の講義で、ケアプランは本人や家族が自分で作ってもよいと聞いて驚いた記憶があります。
ドクタードクター
そうだね、セルフケアプランも制度上は認められている。それから要支援者の場合、通所サービスは市町村の介護予防・日常生活支援総合事業に移行していて、介護予防ケアプランは主に地域包括支援センターが作成する。要介護か要支援かで窓口が変わる点も覚えておきたい。
医学生医学生
医師として関わるのは、主治医意見書を書くところでしょうか。
ドクタードクター
それが大きな役割の一つだし、サービス担当者会議で医学的な意見を求められることもある。患者さんの生活を支えるには、どの事業所が何を担うのかを医師も理解しておくことが大切なんだ。

まとめ

通所介護〈デイサービス〉は、在宅の要介護者が日帰りで施設に通い、入浴・排泄・食事などの介護、生活相談員による生活相談、看護職員による健康状態の確認、機能訓練指導員による機能訓練を受ける居宅サービスで、家族の介護負担を軽減するレスパイトの役割も担います。一方、利用者が受ける介護サービス全体の計画であるケアプラン(居宅サービス計画)は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員〈ケアマネジャー〉が作成するものであり、デイサービスで提供されるサービスには含まれません。デイサービスが作る通所介護計画はケアプランに基づく個別計画であり、医師の指示でリハビリテーションを行う通所リハビリテーション〈デイケア〉とも区別が必要です。介護保険の各職種・事業所の役割分担を理解しておくことは、主治医意見書の作成や多職種連携など、医師として在宅療養を支える場面で直接役立ちます。

解答・解説

正解はbです

介護保険の居宅サービスの一つである通所介護〈デイサービス〉の内容を問う一般問題である。 通所介護とは、自宅で暮らす要介護者が日中にデイサービスセンターなどの施設へ通い(多くは送迎付き)、そこで入浴・排泄・食事などの介護、生活に関する相談や助言、健康状態の確認といった日常生活上の世話と、心身機能の維持を目的とした機能訓練を日帰りで受けるサービスである。利用者本人の社会的孤立の解消・心身機能の維持に加え、介護する家族の身体的・精神的負担を軽くする(レスパイト)ことも目的とされる。 一方、どの介護サービスをどれだけ組み合わせて使うかという全体の計画であるケアプラン(在宅の場合は居宅サービス計画)は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員〈ケアマネジャー〉が利用者・家族と相談して作成するものである。デイサービスはこのケアプランに位置づけられた個々のサービスの一つとして提供される立場であり、ケアプランそのものを作る場ではない。 したがって「ケアプランを作る側」と「ケアプランに基づいてサービスを提供する側」を区別できれば、正解を導ける。

選択肢考察

  1. ×a.  機能訓練の実施

    通所介護で提供される。通所介護には機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師など)の配置が求められており、日常生活動作〈ADL〉の維持・向上を目的とした体操や歩行練習などの機能訓練が行われる。なお、医師の指示のもとでリハビリテーション専門職による本格的なリハビリテーションを行うのは通所リハビリテーション〈デイケア〉であり、両者は区別される。

  2. ○b.  ケアプランの作成

    通所介護で提供されるサービスには含まれない。ケアプラン(居宅サービス計画)は、居宅介護支援事業所の介護支援専門員〈ケアマネジャー〉が、アセスメント(課題分析)とサービス担当者会議を経て作成する、利用者が受ける介護サービス全体の計画である。通所介護事業所はこのケアプランに沿ってサービスを提供する側である。なお、通所介護事業所も、ケアプランの内容を踏まえて自事業所で何を行うかを定めた個別の「通所介護計画」を作成するが、これはケアプランとは別物である。

  3. ×c.  健康状態の確認

    通所介護で提供される。通所介護には看護職員の配置が定められており、来所時にバイタルサイン(体温、血圧、脈拍など)や体調を確認してから入浴や機能訓練を行うのが基本である。体調の変化に早く気づき、家族やケアマネジャー、主治医へつなぐ役割も担う。

  4. ×d.  生活に関する相談

    通所介護で提供される。通所介護には生活相談員の配置が定められており、利用者や家族からの日常生活上の悩みや介護に関する相談を受け、助言を行う。利用開始時の契約や関係機関との連絡調整も生活相談員の役割である。

  5. ×e.  入浴の介助

    通所介護で提供される。入浴は身体介護の代表であり、自宅の浴室では入浴が難しい、あるいは家族の介助負担が大きい高齢者にとって、デイサービスを利用する主な理由の一つとなっている。食事や排泄の介助も同様に提供される。

介護保険の主な居宅サービス

・訪問系: 訪問介護(ホームヘルプ)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導 ・通所系: 通所介護〈デイサービス〉、通所リハビリテーション〈デイケア〉 ・短期入所系: 短期入所生活介護・短期入所療養介護〈ショートステイ〉 ・その他: 福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修など

通所介護と通所リハビリテーションの違い

・通所介護〈デイサービス〉: 介護・生活支援と機能訓練が中心。医師の配置義務はない。 ・通所リハビリテーション〈デイケア〉: 病院・診療所・介護老人保健施設などで、医師の指示に基づき理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などがリハビリテーションを行う。

ケアプラン作成の流れ

要介護認定 → 介護支援専門員によるアセスメント → ケアプラン原案作成 → サービス担当者会議(本人・家族・各事業所)で検討 → 利用者の同意を得て確定 → 各事業所がサービスを提供 → モニタリングと見直し。ケアプランは利用者本人や家族が自ら作成する(セルフケアプラン)ことも制度上認められている。

要支援者の場合

要支援者向けの通所サービスは、現在は市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業に移行しており、ケアプランに相当する介護予防ケアプランは主に地域包括支援センターが作成する。

POINT

・通所介護〈デイサービス〉では、入浴・排泄・食事などの介護、生活相談、健康状態の確認、機能訓練が日帰りで提供される。 ・ケアプラン(居宅サービス計画)を作成するのは居宅介護支援事業所の介護支援専門員〈ケアマネジャー〉であり、デイサービスはケアプランに基づいてサービスを提供する側である。 ・医師の指示のもとリハビリテーションを行うのは通所リハビリテーション〈デイケア〉であり、デイサービスと区別する。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。