StudyMed医師国家試験

「週数÷4」で見抜く違和感―超音波計測値で読む正常妊娠の物差し

第106回医師国家試験 B問題 第21問

国試問題にチャレンジ

第106回 B問題 第21問

正常経過における妊娠週数と超音波計測値の組合せで誤っているのはどれか。

  1. a.妊娠6週 ―― 胎嚢2 cm
  2. b.妊娠10週 ―― 頭殿長3 cm
  3. c.妊娠22週 ―― 児頭大横径8 cm
  4. d.妊娠24週 ―― 胎児推定体重500 g
  5. e.妊娠28週 ―― 羊水ポケット4 cm

対話形式の解説

ドクタードクター
今回は、妊娠週数ごとの超音波計測値の目安を押さえているかを問う問題だ。胎嚢、頭殿長、児頭大横径、推定体重、羊水量と、時期ごとに使う指標が変わるのがポイント。それぞれに簡単な覚え方があるから、それを当てはめて「明らかに外れているもの」を探していこう。
医学生医学生
数字の暗記問題に見えて苦手意識があります。産婦人科の講義でも、表をただ眺めて終わってしまいました。
ドクタードクター
表を丸暗記しなくても大丈夫。まずは妊娠初期から。胎嚢は子宮内に見える袋状の構造で、妊娠5週ごろから確認できる。大まかには「妊娠週数−4」が胎嚢径(cm)の目安だ。
医学生医学生
それなら妊娠6週で胎嚢2 cmは、6−4でちょうど合いますね。
ドクタードクター
その通り。ただし胎嚢は楕円形で測り方や個人差によって値がぶれるから、週数の推定には使わない。子宮内妊娠の確認や、その後に胎児心拍が見えてくるかを評価する材料として扱うんだ。
医学生医学生
週数を決めるのは頭殿長でしたよね。臨床実習で妊婦健診を見学したとき、初期の健診で予定日を修正していました。
ドクタードクター
よく見ていたね。頭殿長は頭頂から殿部までの長さで、妊娠8〜11週ごろは個人差が最も小さい。だから予定日を決める最も信頼できる指標になる。目安は「頭殿長(cm)+7≒妊娠週数」だ。
医学生医学生
3 cmなら3+7で10週。妊娠10週で頭殿長3 cmも正しい組合せですね。
ドクタードクター
そう。次は妊娠中期以降の発育評価に使う児頭大横径。左右の頭頂骨間の最大径で、目安は「妊娠週数÷4(cm)」。満期でも約9 cmにとどまる、という事実をセットで覚えておくと強い。
医学生医学生
22週なら22÷4で5.5 cmくらい……。8 cmだと32週ごろの値になってしまいます。満期で9 cmなのに22週で8 cmは大きすぎますね。
ドクタードクター
正解。妊娠22週で児頭大横径8 cmは正常経過ではあり得ない組合せで、これが誤りだ。仮に実際にこの値が出たら、週数の取り違えや水頭症などの異常を疑う必要がある。
医学生医学生
胎児推定体重はどうでしょう。24週で500 gは少し小さい気がして迷いました。
ドクタードクター
その感覚は鋭いよ。わが国の基準では24週の平均は600 g台程度だから、500 gはやや小さめ。でも胎児発育不全と判断するほどの逸脱ではなく、正常範囲と考えてよい。体重は22週で約500 g、28週前後で約1,000 g、満期で約3,000 gという流れで覚えておこう。
医学生医学生
22週で500 gというのは、流産と早産の境目の時期とも重なりますね。
ドクタードクター
いいつなげ方だね。22週未満の分娩は流産、22週0日から36週6日が早産、37週0日から41週6日が正期産、42週以降が過期産だ。最後に羊水ポケット。羊水腔の最大垂直径で、妊娠中期以降は週数によらず2〜8 cmが正常範囲とされる。
医学生医学生
なら28週で4 cmは問題なしですね。2 cm未満で羊水過少、8 cm以上で羊水過多を疑う、と。
ドクタードクター
その通り。羊水インデックスという、子宮を4分割して各区画の最大深度を足す方法もあって、5 cm未満で羊水過少、24〜25 cm以上で羊水過多とされる。臨床では、計測値が週数と合わないときに「胎児の異常」か「週数そのもののずれ」かを考えることが大切だ。だからこそ初期に頭殿長で予定日をしっかり確定しておく意義があるんだ。
医学生医学生
初期の予定日確定が、その後の発育評価すべての土台になるということですね。
ドクタードクター
まさにそう。簡単な目安式を持っておけば、健診の場でも数値の違和感にすぐ気づけるよ。

まとめ

妊娠週数と超音波計測値の関係は、胎嚢径≒週数−4(cm)、頭殿長+7≒週数、児頭大横径≒週数÷4(cm)という目安で整理できます。児頭大横径は満期でも約9 cmであり、妊娠22週で8 cmは明らかに大きすぎるため誤りの組合せです。予定日の決定には個人差の小さい妊娠8〜11週ごろの頭殿長を用い、胎嚢は週数推定には使いません。胎児体重は22週で約500 g、28週前後で約1,000 g、満期で約3,000 gが目安で、羊水ポケットは週数によらず2〜8 cmが正常です。これらの物差しを持つことで、発育異常と週数のずれを見分ける妊婦健診の基本的な判断が可能になります。

解答・解説

正解はcです

本問は「誤っているもの」を選ぶ問題であり、正常経過の胎児の超音波計測値と妊娠週数の対応として、明らかに合わない組合せを見つければよい。 超音波計測で用いる主な指標と、その時期の目安は次のとおりである。 ・胎嚢(gestational sac:GS):妊娠初期に子宮内にみえる袋状の構造。妊娠5週前後から確認でき、妊娠6〜7週ごろには大きさが2〜3 cm程度となる。大まかには「妊娠週数−4」≒胎嚢径(cm)と覚えられるが、形が不整で個人差も大きいため、週数の推定には用いない。 ・頭殿長(crown-rump length:CRL):胎児の頭頂から殿部までの長さ。妊娠8〜11週ごろは個人差が小さく、分娩予定日の決定(妊娠週数の修正)に用いる最も信頼性の高い指標である。目安は「CRL(cm)+7」≒妊娠週数。 ・児頭大横径(biparietal diameter:BPD):左右の頭頂骨間の最大径。妊娠中期以降の胎児発育評価に使う。目安は「妊娠週数÷4」≒BPD(cm)で、妊娠20週台前半で5 cm台、32週ごろ約8 cm、満期で約9 cmに達する。 ・胎児推定体重(estimated fetal weight:EFW):BPD、腹囲(AC)、大腿骨長(FL)から計算式で求める。 ・羊水量:最大羊水深度(羊水ポケット)や羊水インデックス(AFI)で評価する。 これらの目安を各選択肢に当てはめて、週数に対して値が大きく外れるものを探す。とくにBPDは、満期でも9 cm前後であることを知っていれば、妊娠中期の段階で8 cmというのは大きすぎると判断できる。

選択肢考察

  1. ×a.  妊娠6週 ―― 胎嚢2 cm

    正しい組合せである。胎嚢は妊娠5週ごろから子宮内に確認でき、妊娠6週ではおよそ2 cm程度となる(目安として6−4=2 cm)。なお、胎嚢の大きさは個人差が大きく、形も楕円形で測り方によって値が変わるため、妊娠週数の推定や予定日の決定には用いず、子宮内妊娠の確認や、その後の胎児心拍の出現を評価する材料として扱う。

  2. ×b.  妊娠10週 ―― 頭殿長3 cm

    正しい組合せである。頭殿長は「CRL(cm)+7」がおおよその妊娠週数となり、CRL 3 cmは3+7=10週に相当する。妊娠10週前後はCRLのばらつきが最も小さい時期であり、最終月経から計算した週数とずれがある場合はCRLに基づいて予定日を修正する。

  3. ○c.  妊娠22週 ―― 児頭大横径8 cm

    誤った組合せであり、これが正解である。BPDの目安は「妊娠週数÷4」で、妊娠22週では約5.5 cm(実際の平均値は5 cm台前半〜半ば)である。BPD 8 cmはおおむね妊娠32週ごろに相当し、満期でも9 cm前後にしかならないことを考えると、妊娠22週で8 cmは正常経過の値としてはあり得ないほど大きい。仮に妊娠22週で実際にこの値が得られたなら、週数の誤りや水頭症などの異常を考える必要がある。

  4. ×d.  妊娠24週 ―― 胎児推定体重500 g

    正常範囲と考えてよい組合せである。わが国の基準値では、妊娠24週の胎児推定体重の平均は600 g台程度であり、500 gはやや小さめではあるが、胎児発育不全(FGR)と判断されるほどの逸脱ではない。目安として、胎児体重は妊娠22週でおよそ500 g前後、27〜28週で約1,000 g、30週で約1,500 g、満期で約3,000 gと増加していく。

  5. ×e.  妊娠28週 ―― 羊水ポケット4 cm

    正しい組合せである。羊水ポケット(最大羊水深度)は、臍帯や胎児部分を含まない羊水腔の最大垂直径で、妊娠中期以降は週数によらず2〜8 cmが正常範囲とされる。2 cm未満で羊水過少、8 cm以上で羊水過多を疑う。4 cmは正常範囲内である。

妊娠週数と超音波計測値の目安

・胎嚢(GS):妊娠5週ごろから確認可能。GS径(cm)≒妊娠週数−4(あくまで目安で、週数推定には用いない)。 ・胎児心拍:経腟超音波で妊娠6週ごろから確認でき、7週ごろまでにほぼ全例で確認される。 ・頭殿長(CRL):妊娠週数≒CRL(cm)+7。妊娠8〜11週(CRL 14〜41 mm程度)での計測が予定日決定に最も適する。 ・児頭大横径(BPD):BPD(cm)≒妊娠週数÷4。妊娠12〜13週以降、主に中期以降の発育評価に用いる。満期で約9 cm。 ・胎児推定体重(EFW):BPD・腹囲(AC)・大腿骨長(FL)から算出。わが国では日本超音波医学会の基準値が用いられ、−1.5 SD以下をFGRの目安とする。 ・羊水量:羊水ポケット2〜8 cmが正常(2 cm未満で羊水過少、8 cm以上で羊水過多)。羊水インデックス(AFI、子宮を4分割した各区画の最大深度の和)では5 cm未満で羊水過少、24〜25 cm以上で羊水過多とされる。

週数と体重の関連事項

妊娠22週は流産と早産の境界であり、胎児体重の目安はおよそ500 g前後である。妊娠22週未満の分娩は流産、22週0日〜36週6日は早産、37週0日〜41週6日は正期産、42週0日以降は過期産と定義される。

POINT

・胎嚢:週数−4(cm)が目安(ただし週数推定には用いない)。 ・頭殿長:CRL(cm)+7≒週数。妊娠初期の予定日決定に用いる。 ・児頭大横径:週数÷4(cm)が目安。満期で約9 cmであり、22週で8 cmは大きすぎる。 ・羊水ポケットは週数によらず2〜8 cmが正常。 ・胎児体重の目安:22週で約500 g、28週前後で約1,000 g、満期で約3,000 g。

※問題・正答は厚生労働省の公開資料をもとに掲載しています。